表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第3章 ―ラウズ大陸動乱編―
42/260

第参拾九話 進軍

 ベルド皇帝の保護の後、二日程でリンドバウム軍は四方に分散しての作戦行動を取りだす。


 ☆クーガーとヒューズ率いる防衛遊撃隊三万(獣騎士隊第参師団及び王宮騎士団第弐第五師団と義勇軍)


 ☆ユーヤ率いる本隊による獣王区からの北上戦線部隊十五万(王宮騎士団及びヴァルキュリアとテンプルナイツなどの僧兵部隊)


 ☆ライガ率いる皇国援護部隊五万(獣騎士団)


 ☆オーガ大陸を睨む魔王軍警戒部隊五万(各種混合部隊)


 これにレギオン及びヴァルキュリア諜報部隊による国境防衛隊が二万ほど、重傷でハンゾウが不在の影の軍団千名が偵察及び密命を帯びて帝国内を飛び回っている。


 以前と違い国力が増強され、希望入隊した兵員もシア様効果なのか異常に増えていた。普段から書類と睨めっこしていたはずのユーヤも、流石に実際にこの陣容を見た時には口をポカーンと開けて「いつからうちは軍事国家になったんだっけ?」と首を傾げる始末であった。

 その一端を担ったのは、強力な兵器開発による安全な職場環境を作ったユーヤ本人であるはずなのだが、本人には自覚がない。






 獣王区からの北上を始めた本隊は、帝国にとって魔王軍が中立地帯や皇国の陣を破って来た際の最初の砦の攻略に乗り出すのだが…これはあっさりと終わる。


 砦が見えた場所で機械化部隊を前に出し、帝国が撃って出て来る前に魔導戦車砲の一斉射を天守中心に行い、砦の外壁も焼き払った事によって指揮系統と守りを一瞬で失った帝国兵は、即時に投降をして来たのだ。

 これは、主である皇帝がリンドバウムに亡命している影響もある。元々長きに渡って皇帝のカリスマに依って維持されてきた大国である。いきなり首が挿げ代わっては、士気もクソもないと言うものだ。


 下士官クラスは希望すればそのまま登用し、上級指揮官などは捕虜として聖都に送り、皇帝及びカイザーブレードに引き渡す事とした。


 因みに魔導戦車の大きさは、大型バス三台分ほどになる。足回りはキャタピラ式で、外装は鉄板をいくつも組み合わせた程度ではあるが、低級魔法や弓矢程度ではビクともしない仕様となっている。


 こうして次々とその日のうちに3つほどの砦を落とすと、気付けば愛理須皇国とリンドバウムの間の帝国領はほぼ壊滅していた。そして、その日のうちにレギオン師団とも合流をし、レギオンとヴァルキュリアには皇国領の奪還及び、防衛部隊増援の任に就いてもらう事になった。

 その全体統制はエテリナに一任した。彼女に任せれば戦場下での略奪などの規律の乱れなどは、まず起きないと踏んでの事であった。またレギオン総司令であるミハイルも、兄であるジードよりは義姉の方が妙な蟠りもないので同意した。別の意味の蟠りはあるようであるが…。


 そしてこの軍団には、ライガの軍と合流後は速やかにレギオンに防衛を一任して、ライガ共々ヴァルキュリア軍は本隊を目指して帝国領に入って来るようにヨーンが通達を出した。

 魔王軍がもしも攻め込んで来ようとも、皇国の魔王防衛隊とレギオンによって防衛してもらう。その為に魔導戦車の半数を残したうえで、本隊は夜明けを待って、更に北上を開始する。


 しかし、ここからの進軍は慎重に行う事となる。私事であるがヨーンの姉の捜索、皇帝親族の生き残り捜索、街などへの過剰な攻撃の抑制など、これらを踏まえた上での進軍が必要であるからだ。それ故に魔導戦車は半数に絞った。半数と言っても戦にロールアウトが間に合ったのが8台であるので、帝国と皇国に4台ずつとなる。


 ただし、これらの消極的措置とは裏腹に、リンドバウム内の街付近などへ侵入した帝国部隊に関しては、防衛兵器による徹底的な蹂躙を通達している。二度とリンドバウムに手を出す気がなくなるほど徹底的にやれ、と。


 首都トライデルや、リンドバウム市などは割合帝国に近い位置にあるため、特に警戒を促している。尤もトライデルに関してはあまりユーヤは心配をしていないようである。


 その王城には子を産んで間もないが、元くノ一隊筆頭のウテナと、ユーヤの幼い頃からの側付きであるヒッターもいる。ましてや、防衛遊撃部隊とはいえシア様大好きなクーガー卿とヒューズ卿が、王城への侵入なぞ許すわけもないのである。




「これよりリンドバウムに属する北端の街ゲッタに攻撃を仕掛ける!総員前へ!!」

「司令!お待ちください!ゲッタの街の外壁に妙な機械が―。」


 帝国士官の声はそこで途切れる。

 帝国軍西南部司令官共々、次の瞬間にはゲッタの街に配備されていた魔導砲台によって、隠れていた森林ごと灰と化していたからである。


 そこへ、間髪入れずにクーガー率いる老練の獣騎士団が横合いから雪崩れ込む。


「投降する者には直ぐに傷の手当てを施す!いまだに進撃せんとする者には、我らの爪と牙が容赦なく襲いかかると思え!!」


 その言葉通りクーガーの部隊は投降者は手厚く扱い、いまだに進撃を続けようとする者には何の躊躇も加減もなく斬りこんだ。そして、国境ギリギリまで追い詰め、そのまま逃げる者は見逃した。

 リンドバウムの恐ろしさを、帝国の後続部隊に知らしめるためである。


「正直に言えば、ここまで弄り蹂躙するのは気が引けるのだがな…。しかしこれも姫様のいるトライデルに手を出させぬ為か…。皆すまぬな。」


「いえいえ。久方ぶりに獣王閣下の槍働きを見れて、我々退役していた者達全てが心躍っております。良い冥途の土産となりまする。」


 獣王ことクーガーの部隊は一旦退役した者やその寸前の者達、謂わばクーガー直参の者ばかりなのである。クーガーの一声に皆喜んで復帰し、そして戦っているのだ。

 獣騎士隊第参師団もそれに近い者達でほぼ固められている。


 それに対してライガの率いる部隊は、若くて勇猛な者達を揃えた、謂わば精鋭部隊といえるようだ。


「一人でも多く皇国民を救い出せ!逃げる帝国軍は追うな!逃げた先には恐らく陛下の本隊15万が待っているだけだからな!」


 このライガの言葉は、半分は合っている。逃亡しようとしている先から、エテリナ率いるヴァルキュリアとレギオン、そして僧兵隊による5万の軍勢が皇国内に進軍して来ていたからである。


 そう、完全に皇国内のベルツ帝国軍は行き場を失った事になる。


 この迅速なリンドバウムの動きを予見していた愛理須皇国軍大将テンゴウ・スサノオは、リンドバウム軍の入国を知るや「各軍に伝令!帝国軍はリンドバウム軍に任せ。我々は本来の仕事である魔王軍への警戒を優先せよ!」と通達した。


 彼等無くしてオーガ大陸からの守りは、現状乏しいのだ。それをよく理解しているのがこの男、テンゴウなのである。


 この動きに諜報部隊を先行させていたエテリナも驚き、感服した。まさにエテリナが諜報部隊を先行させたのは、テンゴウの行っている『本来の仕事』を優先してもらおうと、密使を送る為であったからである。

 そして、その為にテンゴウは国の半分以上を帝国にもぎ取られても、軍の損耗を最小限にして戦わせていたのであった。




御門様(みかどさま)…この(いくさ)の後、如何致します。恐らく我々は国としての機能を保てぬと思いまする。」


 アマテラス家筆頭であるミカガミが、愛理須皇国の辺境…魔王軍防衛砦ナガサキにて、御門…天皇ツクヨミに問いかけていた。


 ミカガミはやはりハイエルフであるが、美しい黒髪と切れ長の流麗な瞳を持つ雅な女性神官と云ったところである。

 それに対して天皇ツクヨミは、月灯りに映えそうな見事な銀髪の男性であり、口元には立派な髭をたくわえていた。


「ミカガミよ。余は心得ておる。」


そう一言だけツクヨミはミカガミに告げると、そっと目を瞑った。

雑記


以前にミツクラの忌避感について書きました。

実はその煽りを喰らっているのが

ヒューズとヨーンだったりします。


作戦会議中に私は彼等に参謀であるにも関わらず

あまり作戦内容を語らせず

大概ユーヤに言わせている事と思います。


それは、彼等に語らせるともっと非情な宣告をしかねないからなのです。

その点ユーヤは甘ちゃんな処があるため

オブラートに包んでくれて助かっています。


そんな私が一番甘ちゃんなのでしょうけれど。(苦笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ