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リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第2章 ―戦神のダンジョン編―
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外伝Ⅰ シア様と、その従者達

 話しは飛んで、遠くて近い未来の事である。


 一人の紅い髪の少女が父の言いつけにより、戦神のダンジョンに挑む事となった。

 少女の年は十六歳。かつて父が戦神に認められる為に挑んだその迷宮を探索していた。


「姫様。戦神の試練の扉はこの先右になります。ここからは、気を引き締めてお願い致します。」


 少女の幼い頃からの従者であるセーラ・ロータスは、茶色のボブカットの髪を小指で弄りながら、主に忠告をした。しかし、少女は父に似たのか母に似たのか、どこか呑気で従者の言葉も意に介さない様子で、「わかったわかった。わかったわよー。」と右手をヒラヒラさせている。


「セーラ様。シア姉様は私共が守りますので大丈夫ですよ。」「そうそう。俺とイズナの二人がいれば姉様に怪我なんてありえないよな。」


 銀髪の双子姉弟イズナ・クノンとハヤテ・クノンは、揃って黒装束に鎖帷子と云う出で立ちで、姉の手にはヴァルキュリア入団祝いに母からもらった『ウテナの小刀』が握られている。弟の背には、父から『影の軍団』入団の際に作ってもらった太刀、『陽炎丸』が装備されていた。どちらも魔法付与がなされており、魔力操作も可能な逸品である。


 二人の実力は共に次代のエースと目されている程で、どちらも『ニンジャマスター』の称号持ちである。


「お二人共、そのような油断が自身に身の危険を呼ぶのです。ご自重ください。」

「へいへい。本当にバレンティーノはカテーよなぁ。『ガンプの三剣』の一族はこれだから…。」


 黒い長髪の少年バレンティーノ・ガンプは、父に似てスラリとした長身の持ち主で、剣と銃を使いこなす銃剣士である。そんな彼の肩ほどの背しかないハヤテは、普段からその長身をやっかむかのように彼によく絡む。幼い頃から一緒に遊んでいた為、兄弟のような関係ではあるのだが。


「まったく、俺から謂わせればクノンの王族はどいつもこいつも…と言ったところだぞ。」

「んだとぉ。ラウズの守護三神官家は随分口が悪いんだな。」


「タケルと我ら一族を一緒くたに述べるのは止めよ。アマテラス家はスサノオ家のように野蛮ではないわ。」

「シズ姉様の言うとおりにございます。アマテラス家とツクヨミ家を、戦闘バカのスサノオ家と一緒にしないで頂きたいです。」


 ハヤテと睨みあう細マッチョなハイエルフの少年タケルは、叔父から借り受けた『神剣クサナギ』に手をかけハヤテを威嚇していたが、親族であるシズカ・アマテラスとトモエ・ツクヨミの二人の思わぬ口撃によって戦意を喪失してしまった。


 シズカ・アマテラスは、ハイエルフの一族の中でも魔導に優れた一族『アマテラス家』の巫女である。アマテラス家の特徴である美しい黒髪を閃かせ、スサノオとハヤテの傍からセーラの許へと、二人を呆れたように見つめながら歩んで行った。


 それに付き従うかのように歩を進めるトモエ・ツクヨミ。『ツクヨミ家』の特徴である銀色の髪を持つトモエは、ハヤテとイズナに親近感を持っているのだが、シズ姉様の前ではハイエルフらしく高潔に振舞うようにしている。そのためか、タケルを諌めたもののその大きな目がどこかしょ気ているようだ。寧ろ本音は、何だかんだと言いながらもハヤテと仲の良いタケルが羨ましいのであろう。


 かつての愛理須皇国は新生リンドバウム連合国に併合され、その御三家であったアマテラス、ツクヨミ、スサノオの各家は、『ラウズ大陸の守護三神官家』として存在感を残している。この三神官家は現在のリンドバウムに於いて、防衛のトップを任されているのだ。呼び名に『神官』と付くのは、元皇族である彼等の立場故である。


 少ししょげているようなトモエを見兼ねたのか、シズはトモエの肩を軽く叩くと「クノン王家の双子に興味があるのであろう?遠慮する必要はない。何ならクノンの血を分けてもらうが良かろう。」と、意味ありげな微笑を浮かべながら囁いた。

 意味を察したトモエは、尖った耳の先まで真っ赤にして慌てている。どうやら今まで、視線がハヤテに釘付けになっていたようだった。


「ふむ、それは面白い提案であるな。宮家を復活させるに当たって、父様に一つ良い話しができそうじゃ。」


 トモエとシズの会話に、いつの間にかシア…アルテイシア・クノン・クィーネが参加していた。シズは内心相当に驚いていた。何しろトモエ以外の周りの者に聞こえぬように、彼女は『囁いた』はずなのだから。

『やはり、クノン王家の中でもこのお方は別格と謂う事なのだろう。』と、肝を冷やしながらもシズは心のどこかで納得してしまった。


「宮家?シア姉様何を言ってるんだ?」

「ハヤテ、お前は何の話しにでも入ってくるでない。女同士の話しじゃ。」

「そ、そうでありまする。シア様の仰るとおりであります。お、オナゴ同士の会話に入ってくるなぞ、無粋と言うものであります。のう?トモエ。」

「は、は、はい!姉様!!」


『女だらけのこのパーティーで、じゃあどうしろと?』と、ハヤテは少し眉を顰めながら視線でシアに訴えた。シアはその表情をみるや二ヤリと口元を歪める。瞬間、ハヤテは土下座の姿勢を取り全力で謝った。姉のあの表情は、どんなモンスターを相手にするよりも危険だと承知しているからだ。


「皆様。すでに試練の扉の前であります。少しは厳粛にお願いいたします。特にハヤテ様。」

「うあー!何で俺ばっか―」

「シャラップ!セーラ様、ハヤテはこのイズナが黙らせておきます。」


 イズナとハヤテ姉弟にとって、シアと同じくらいに絶対の存在がセーラである。シアの従者である彼女ではあるが、二人にとっては生まれた頃より面倒を見てくれている、もう一人の姉のようなものである。

 その血筋は元々は平民の身であるが故に、古い貴族達からは嫌がらせや嫌味を言われる事が絶えないが、後ろ盾であるクノン王家、その中でもシアを含めた三姉弟を敵に回そうと思う者はまずいない。

 尤も、この三人の下にも同じようにセーラを慕う王家の子供達がまだいる事を明記しておこう。


「まったく。セーラはそれなりに美貌もあると云うのに、そうお堅いから男が寄ってこれんのじゃ。少しは肩の力を抜けば良かろう。」


「姫様は抜き過ぎです。」

「セーラ様の言うとおりです姫様。うちの母上も、姫は若い頃の王妃様に似過ぎていると頭を痛めておいでです。」


 新旧の従者一族にシアは逆に責められる結果となり、『戦神の宣告した未来の女王』たる彼女も立つ瀬がない。


「あーもう!わかったわ!取り敢えずこれからどうするのじゃ。先に進むか?それとも時間が時間じゃし休むかや?」


 そうシアに言われて、セーラとバレンティーノが今更ながら協議を始める。既に地上では夜となっている時間だったのだ。

 どうやらセーラもバレンティーノも、エテリナのような『段取り女王』にはまだ遠く及ばないようだ。


 結果、夜も更け時間も遅い為、賛成多数と云う事で扉付近の安全地帯でキャンプとなった。かつてのユーヤパーティーの行動をなぞる様に。




 ユーヤ達が挑んだ時は、今は試練の扉と云われるボスの扉は三層階層のボスへ挑む扉であった。しかし現在は別で三層の階層ボスは設置されており、ここには王家の血筋の者がいるパーティー以外の侵入を阻む封印が成されているのだ。

 これはユーヤが自身の子孫達を鍛え上げる為に作った儀式『王家の試練』の為である。そしてそのテストケースとして、最初に挑むのが彼女らアルテイシアと双子の姉弟なのである。





 キャンプファイヤーを囲んでシア達はボス攻略会議を始める。


 前衛:アルテイシア(剣)、セーラ(剣)、タケル(剣、タンク)。

 中衛:イズナ(忍術)、ハヤテ(忍術)、トモエ(弓、補助魔法)。

 後衛:シズカ(回復、補助魔法)、バレンティーノ(魔銃)。


「昔の父様達のパーティーよりバランスが取れているようじゃの。」

「ええ。陛下曰く脳筋パーティーだったそうですね。」

「ま、遊撃で遊んでいたと云う父上も前衛職ですし、義母様も本来は中衛職なのに前衛に出る方ですしね。」


 シアの問いにセーラとイズナが答えている。その脇ではハヤテが眠そうに目を擦っている。そして欠伸をしながら「それに弓役をやっていたヒッターの爺さんも本来なら前衛なんだろ?」と付け加えた。


「ヒッター卿を爺さん呼ばわりなんかして…まったく。あの方は父上の幼き頃よりの従者ですよ?我々で謂えばセーラ様と同じお立場です。少しはその口をなんとかしなさい。」


 双子の姉に怒られてハヤテはシュンとしてしまった。その時を狙っていた…もとい、様子を見ていたトモエがハヤテにお茶とつまみを差し出している。


 横目でそれを見ていたシアはニヤニヤしていた。


 シアは徐に立ち上がると、「ちょっとトモエを手伝おうかの。」と言いながら、イソイソとお菓子やらおつまみやらを用意しているトモエの横に並んで小声で助言(?)した。


「あれも我が父の血を継いでおる故、その茶に少しずつ酒を入れてやると良いぞ。少しずつ少しずつ量を増やしてのう。その後の事はそちに任したぞ。」


 そう言うと、シアは悪い顔をしながらトモエに酒の瓶を渡したのであった。


「し、シア様!?」「そちに任すと云ったであろう。良きに計らえ。」


 驚き戸惑ったトモエの表情も、どこか悪そうな顔になっている。この二人、良い義姉妹になれそうである。


 この思惑はシズの協力もあり見事に成功し、後にトモエがハヤテに輿入れとなった事は云うまでもない。その際に血の絶えた宮家『アプリリア』をハヤテは名乗る事となる。


 全ては女王様(シアさま)の手の平の上であった。

次章を待っていたならすいません。

息抜きです。

次で新たな章となります。




え?このパーティーの戦闘内容を描け?


次々代の中でも最強級のこいつらの?


気が向いたらで…。

だって、シア様も何気に次々代の剣聖であり勇者設定してんのよ?

私には描ききれません!(ぉい



*明日は投稿はありません。明後日からとなります。

以前と同じく2日毎の投稿となります。


楽しみにされている方がいらっしゃいましたら


どうもすいません!!

ペースを元に戻さないと、たぶんストックが貯まりません!(泣)

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