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リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第2章 ―戦神のダンジョン編―
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第参拾五話 ガンプの三剣

 年が明け、新年の催事が営まれる中、ユーヤは頭を抱えていた。

 あのSSS神が、よりにもよって同盟二国の特使がいる前で愛娘シアの事を「大陸の女王」と呼び、言い回し的には今後起こる戦乱をリンドバウムが鎮めるような神託をしてくれたからである。


 因みにこの神託以後、シアの正式な呼称は『アルテイシア・クノン・クィーネ』とされてしまう。『神託である以上、これからはそう呼ぶべきである』と聖都派議員等が中心となり、シア様人気も手伝って議会でほぼ全会一致で可決されてしまったのだった。



 同盟二国は、あくまで『神託』である為に、これらの事について特にリンドバウムに問い合わせを出来る訳もなく、静かに時は流れてはいた。


 しかし、新年の挨拶にベルツ帝国特使が謁見の間に現れた時から、事態は静かにだが動きだそうとしていた。



 帝国特使は形式どおりの挨拶を新生リンドバウム連合国国主アレクソラス十三世ことユーヤに済ませると、「後程、テラスの方に窺ってもよろしいでしょうか。」と青い顔でユーヤの顔色を窺うように告げた。

 ユーヤは嫌な予感を抱きつつも「貴国との関係を私は大事にしたいと思っている。おやつ時には体も空くはずなのでいらしてください。」と返答した。


 王らしくない丁寧な口調をしたのは、やはり戦神の神託によって多少なりとも関係が悪化しそうな現状に於いて、相手に誠意を見せようとのユーヤなりの配慮であった。




「これから話す事は、あくまで内密にお願いいたします。」

 特使の顔は相変わらず青いままである。ユーヤのみならず、その場にいたマリオンとヒッターさえもが心配をするくらいに。


「私はあくまで帝国の人間であります。故に自国の事を他国の王で在らせられるアレクソラス王にお話しする事は、大変に罪深い事ではあるのですが、神託の件もある故お話し致します。」


 と、出されたお茶にも手をつけずに特使は語り出した。


「あの神託は近からずも遠からず…おそらく我がベルツ帝国の事を言っているのではないかと思われます。多くは申し上げられませんが、今我が国には戦乱の目と思われるような事態が発生しつつあります。」


 特使は一旦瞑目し、心を落ち着かせると目を大きく見開いてユーヤに懇願した。


「有事の際には、どうか我らが帝王にご助力ください。皇帝陛下は今、戦乱の業火に巻き込まれようとしています。同盟内の諍いは、皇帝陛下の望むところではないとご記憶ください。くれぐれもよろしくお願いいたします。」


 特使は椅子から立ち上がると、床に頭を擦りつけてユーヤに必死の形相で平伏した。その姿は土下座と云っても良い。


 さすがにユーヤも困惑し、当惑した表情のまま「特使殿。特使殿。顔をお上げください!」と云うしかなく、特使もまた、土下座の態勢を解くこともなかった。



 魔神と云う脅威が迫る中、大陸内での戦争の火が少しずつではあるが広がろうとしていたのだった。





 年始の催事が全て終わり五日目には通常の業務に皆が動き出した頃、ユーヤも戦乱の火の粉が舞った時に少しでも国民を助ける為と、聖都に守備の為の備えを配備させた。攻城兵器であるカタパルトを転用して開発した。更には製造中だった魔導列車の三~五番機を改装して、列車砲装備の装甲列車までも作り上げた。


 聖都の配備が済んだあとは、リンドバウム市とアルガス要塞都市にも配備を急がせる。それらは全てダンジョンの工場区で製造して各街に転移させた。


 これらの配備が整うのに、約三ヶ月を擁した。その間にもユーヤは影の軍団を動かして、同盟二国の内情を調べさせていたのであった。


 他にもダンジョン第一層にも改良を施していた。いざと言う時に国民ほぼ全員を収容できる広さと、仮収容施設を配置した。食料は動物やモンスターがいるので、三日分くらいの備蓄のみにした。最悪の場合、工場で生産も出来る。




 工場や居住区の拡張ばかりを述べてきたが、ダンジョンのダンジョンたる攻略用の階層も、実はこの数ヶ月で十層ほどになっていて、すこぶる冒険者達の評判も良い。


 その恩恵として有力な冒険者達もリンドバウムには集まって来ていた。故に冒険者パーティー同士が手を組み、幾つかのパーティーが一つとなった集まり『レギオン』を構成する事をユーヤは奨励した。


 このレギオンと云う組織は、国に対してある一定の働きをする事で、国から規模に合わせた給付金が入る。また、レギオン運営用の屋敷もダンジョン第一層に国が低価格で提供した。

 これらの優遇をする代わりに、構成員の中に犯罪系ギルドに属している者がいないかどうか徹底的に調べる事は義務化した。隠しても、影の軍団が少し動くだけで露見する。

 それでも国からの高待遇に冒険者達は次々に集まり、新たなレギオンを築いていった。


 こうして、ユーヤからしてみれば謂わば『傭兵団』を構築していったのだった。


 ただし、戦争に関しては参加の強制はしない事とした。希望し参加したレギオンに対しては、恩賞としてその後は騎士団級の扱い並びに、働きによっては爵位の授与をする事も掲げた。


 そして、今ではリンドバウムには十以上のレギオンが誕生していたのだった。


  各々のレギオンが凌ぎを削る中、国内最強最大のレギオンと謂われる『鋼の魂(はがねのたましい)』は、構成員1000人以上であり、エース級冒険者の集まりでもある。その筆頭はガンプ家次男ミハイル…つまりはジードの年子の弟である。


 彼はこの世界では成人である十四(数えで十五の歳)になると、騎士団には入らずに冒険者となっていた。その剣の腕は十の頃から国内の道場と云う道場に知られていた為、その頃の騎士団長はミハイルが冒険者になると聞くと、ガックリと肩を落としたそうだ。これを聞いた父ガンプ伯爵も激怒して、ミハイルは当時勘当を告げられ、これ幸いと家を出て行った。


 彼は、元々貴族社会に嫌気が差していた。しかし、今は少し考えが変わってきているようで、ユーヤが発したレギオン構想に、割と深く関わっていたりする。と言うか、この案自体をぶち上げたのは、何を隠そうミハイル自身であったからだ。



  ユーヤとミハイルが初めて顔を合わせたのは、王家、ガンプ家、ロンバルト家の三家合同で行われた結婚式の本祭の日である。

 当日は朝の王城での合同婚儀から始まり、昼はロンバルト家で昼食会が行われ、最後にガンプ家で晩餐が執り行われた。これは各家を尊重する意味合いと、当時妊娠していたマリオンが「初夜はせめて寝る時に一緒に居て欲しい。」と云う思いを持っていた事を判っていたエテリナが、対ウテナ用に色々画策した為である。


 クーガーとブランを使いながら、最終的に自陣にて「記念のこの日だけは、ウテナとお酒を陛下に近づけさせない!」と云う絶対防御の策であったのだ。尤もこの日はウテナの日記を参照すれば解るように、敵自ら(ウテナ)が撤退して行った事とユーヤ自身がマリオンの為に自重したおかげで、取り越し苦労となったのだが。




「へえ、君が噂のミハイル卿か。」

 合同主賓である三者が並ぶ席へ、ミハイルは酌をすべく挨拶をして回っていた。そこで初めて触れた王たるユーヤが、ミハイルからすれば意外にも砕けた人物だった為、すぐに意気投合した。

 打ち解けた二人は酌を何度も交わし…と言ってもユーヤは水であったが。冒険者をやっている訳やらをユーヤに話していた。


「なるほど。そうか、そういう思いの人もいるんだね。で、貴方はそれを変えたくて冒険者をやっているんですよね?何か目標とか目的とかそう云ったものがあればお聞きしたいな。」


 ユーヤのこの一言に乗せられて語ってしまった事を、ミハイルは数日後に後悔する。


 相手は国の国家元首である。乗せられたとは云え、数日後には酒の席で語った『レギオン構想』が現実となってしまったのだ。

 街のそこいら中に王からの御触れの紙が貼られ、しかもその内容は構想の発案者である自分にも触れられているのだ。


「しまった…。相手はあの(・・)戦神様の分身だった。。。」


 彼がそう気付くのが余りにも遅かった。

 気付いた時には「あの御触れのレギオンというものの発案者は貴公と聞いた。我らは、この度の御触れの内容には痛く感銘した。是非貴公の傘下に入れてください!」と、幾つもの冒険者パーティーが、まだ起ち上げてもいないミハイルのレギオンに合流してきてしまったのだ。


 彼は已む無くレギオンの起ち上げを申請し、滞りなく同調して来た全パーティーの査察も通り、リンドバウム国内最初のレギオンとして承認された。


「まあ、宿泊まりの日々が終わって家族を持ったと思えばいいか…。」

 と、彼は半ば諦めの気持ちではあったが、兄とは違う形で国に対して尽力していくのである。

 しかし、彼としては納得のいかない事があるにはある。


 それは御触れに書かれた一文に『有事の際には発案者であるミハイル・ガンプ卿が責任を持ってレギオン部隊総司令としてその責務を全うする。』と記されていたことであった。


「俺そんな事言っちゃったのか?酒宴の場だからと調子に乗っちゃったのか?」


 こうして彼は冒険者でありながら、書類の山と度々格闘する羽目に陥っていた。その度に王に文句を!と思い謁見に行くと、謁見の間ではなくテラスに通され、軽い感じの歓談の雰囲気に流され、気付くと新たな案を出させられていたりする。


 故に今王宮では兄と兄嫁、それにミハイルを加えて『ガンプの三剣』と呼ばれていたりするのである。

 この呼び名は父であるガンプ伯爵の耳にも入っており、伯爵は大層気に入ったようで、勘当したはずのミハイルを、何かと家に呼ぶようになっていたのだった。

ミハイルは今まで考えてはいたんですが、どこで出そうか悩んでここになりました。


強さ的には兄のジードとそんなに変わらないくらいと思っています。



てか、毎日更新状態のこの数日が怖いよー。

ストックが貯まる気がまるでしないよー。

毎日更新してる人達ってすごすぎだよー。


 と、ミツクラは只今戦々恐々としております。(爆)

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