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リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第1章 ―転生・ガロウ獣王国編―
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第拾六話 聖神剣マリオネート

チョコレートを連日パクついていたら

下前歯の根元が突然虫歯に…。

痛すぎて何も噛めませぬ。。。

「まずはこれを受けよ!我が国の民達の痛みを知れ!!」


 大刀を全力でクーガーが振ると、床材が四方に吹き飛び衝撃波がデストラスに襲いかかった。だが、デストラスはそれをススっと躱し「受けよと言われて素直に受ける者はおらんよ。」と呟いた。


 しかし、いつの間にかその後ろに回り込んでいたテンゴウが、神剣クサナギを振るう。さすがにデストラスも反応できなかったようで、ローブの肩口を斬り裂いた。それに合わせてユーヤが跳躍し刀で斬りつけると、今度は大鎌で受け止められた。

 すかさずハンゾウ達影は、手裏剣を投擲するが、あまり効果はないようだ。


「あまり手応えを感じぬ。こやつには物理は効果が薄いやもしれぬぞ、勇者王よ。」


 テンゴウが首を傾けながら言葉を吐いた。


「ならば、各々が奥義を披露するまでじゃ。」


 クーガーはそう言うと跳躍し、大刀に炎を纏わせて渾身の一撃を振るった。

 ―豪炎斬


 それを避け損ねたデストラスのローブが炎に包まれると、テンゴウはクサナギに風を纏わせ下段から振り上げた。風の衝撃がデストラスを覆うや、その風圧にローブの炎が一層の火力を持って燃え上がった。


「くぅお!小癪!」

 デストラスは闇魔法を発動して、闇に身の炎を浸食させて打ち消した。


 身悶えるデストラスに、刀に魔力を籠めたユーヤが迫撃する。

 が、その刃は大鎌の一撃で粉砕されてしまった。

 恐らく大鎌固有の闇系統攻撃による、物理分解技を喰らったのであろう。

 意識的に床を横転して退いたユーヤは、背中の大検を抜いて態勢を整える。そこへハンゾウ達が雷遁の術で牽制し、主に充分な時間を与えた。


 ―半端な装備だと、装備自体が分解されるぞ。どうする?こちとら、ジュウガとの一戦で、鎧も一般兵用のを急遽着用してんだぞ。


 そんな思考をしながら、ユーヤはテンゴウの傍へ移動した。神剣クサナギに頼る以外になさそうだった為だ。


「テンゴウ殿。神剣であるクサナギであれば、あれに対抗できますよね?」

「恐らくは。しかし、クサナギの風撃があまりあやつには効いていないようではある。」


 他からの牽制を躱したデストラスが、二人に迫った。大鎌が振るわれると、ユーヤが大剣で受け止め、その隙にテンゴウがクサナギの風撃で一閃した。


 しかし、テンゴウの言うとおり風系列の攻撃は効果が薄いらしく、せいぜいデストラスに掠り傷しか与えていないように見える。

 そうこうしているうちに、ユーヤの剣は分解されてしまった。


 ―やばいな。あとは、短剣くらいしかないぞ。


 察したテンゴウとクーガーが同時に踏み込み、ハンゾウは火遁を繰り出す事でデストラスとユーヤの間合いを離した。この際にクーガーの大刀も分解されてしまった。


 その様子に焦りと驚きを見せた一行に、デストラスは隙を与えずにユーヤに飛び掛かり、大鎌を一閃するとユーヤの鎧をやはりあっさりと分解してしまう。この時、ユーヤの肌に大鎌が掠ってしまい、胸に火傷のような傷がついてしまった。

 更に後方へユーヤは飛び退くが、引き離せずに大鎌の二撃目が襲いかかろうとしている。


 クーガー、ハンゾウ、テンゴウがそれを救う為に駆けだす。しかし、間に合う間合いではない。万事休す。ユーヤは目を閉じた。


 ―ガキッ!


 金属音が響いた。


 ユーヤが目を開けると、目の前には光り輝く大剣でデストラスの攻撃を受け止めるエクステリナが立って居た。


「陛下、お待たせいたしました。陛下の太刀が完成致しました為、私がお持ちいたしました。」


 そう言うと、エテリナはニコっと微笑んだ。

 瞬間、煙幕が二人を包んだ。


「陛下の御身は、この私、ウテナ・ハーゲンが守ります!」


 煙幕の中からウテナの声が轟く。

 煙幕にたじろいだデストラスが怪訝な表情をしつつ後方に下がる。


 次第に煙幕が晴れると、片膝をついて小刀を構えるウテナと、大剣を抜いて上段に構えるエテリナがユーヤの傍らに居た。

 そして、ユーヤの手には獣王国奪還戦以前より発注し、待ち侘びていた大太刀が閃いていた。

 その刀身は、光の粒子が溢れているかのように輝いている。


「陛下の出立から三日程で王宮に届きましたが、それから更に姫様が力を注いでおります。なので、勝手ながらその大太刀には『聖神剣マリオネート』と命名が施されております。」


「『聖神剣マリオネート』、か。ありがとうエテリナ。これで存分に戦えるよ。」


 ユーヤはデストラスの方を睨んだままで、エテリナに返答した。


「陛下、私の持つ小刀には奴と同じ闇属性の魔力が封入されています。及ばずながら助太刀いたします。」


 同じようにデストラスを睨みつけながらウテナが言った。


「では、私はウテナと共に牽制をいたします。私の剣には、姫様からのご加護が付いておりますので。」


 ユーヤは無言で頷くと「行くぞ!」と一言だけ発して、三人同時で踏み込んだ。


 正面から一旦納刀した状態でユーヤが飛び込むと、デストラスの左右にエテリナとウテナが駆け込み斬りつける。焦ったデストラスは更に後方へ退いた。


 しかし、そこには神剣クサナギを構えたテンゴウが待っていた。


「ぶぁっ!」

 テンゴウに気付いたデストラスが叫ぶや否や、クサナギがカマイタチを発生させてデストラスのローブを後ろから袈裟切りにした。

 その勢いでデストラスは前に吹き飛び、目の前には瞑目し『聖神剣マリオネート』を携えたユーヤが迫った。


 ――久能流奥義 無心無拍子


 無心となり、明鏡止水の領域からの居合切りを繰り出したのである。これに光の魔力と元女神であるマリオンの加護が加わった聖神剣マリオネートの力が上乗せされている。


 大いなる光の柱がデストラスを包んだ。

 デストラスは、「あ”あ”あ”-」と、言葉にならない叫びをあげながら、闇の魔力で構成されたその体を、徐々に消失していった。

 やがて、ブオン!と云う大音量が響いたと思うと、ユーヤが一閃した箇所が大きく輝きデストラスを真っ二つにした。


 デストラスは光となり、元王城の謁見の間は静寂に包まれた。

 これで、倒した七大幹部は四人。残りは三人となった。

 だが不思議な事に、それを指揮する魔王を未だ誰も見た事がない。そして、名前すらわからないでいる。

 ユーヤはその事に少し不安を覚えてはいたいたが、一先ず獣王国を奪還出来た事に安堵するのであった。






 懸念された魔王軍増援はなかった。その為、元獣王城でそのまま同盟の今後の方針が話し合われるのと同時に、奪還した獣王国の領地についての話し合いが成された。


 まず、マジンゲルまでの中央部と中立地帯であった要塞都市アルガスの周辺は、現在獣王クーガーが属している新生リンドバウム連合国に割譲し、そこから南部を中立地帯として同盟三国で治める…と云うよりは守備する事となった。

 帝国は中立地帯に面していないが、国境から中立地帯への交代要員に関しては、特例として連合国が責任を持って国境から輸送運搬を行うと云う事で合意した。

 そして、今回連合国を助けた同盟二国に対して、連合国はその対価を金銭又は物品にて支払う事となった。





 そのように忙しい中、エテリナからの進言に、ユーヤはある決意をする事となる。


「長く姫様のお傍に付いて来た我々としては看過できません!獣王区の完全奪還の成った今、お二人のお志の一端が成就されたとして胸を張って良い時と思われます。私の考えではありますが、お子様が生まれてからでは遅すぎます!」


 ここは、元獣王都の王城の執務室である。「我々って、私も入ってるの?」と、空気を読まない発言を、鬼気迫る形相のエテリナにしてしまっているのはウテナである。

「あーんたわぁああ!」と導火線に火が点いているエテリナが更に燃え上がってしまった。


「ま、まあエテリナ。これから各国への礼やらで資金的に危うい時期なんだから、陛下に無茶を言っては…。」

「ジード様は黙っていてください。今は私が女性としての意見を陛下に進言しているところです!」


 どうやらガンプ家は、既に結婚前に尻に敷かれる事が内定したようである。ジードが少し涙目になっている。


 ヒューズはそっぽを向いて苦笑いをしつつ、書類の山を捌いている。ヨーンはエテリナとジードの間で、あたふたとしていた。ウテナは頭にハテナマークを浮かべながら小首を傾げている。


 怖い顔をしているエテリナにユーヤは畏まって椅子に座り、額に汗を垂らして愛想笑いをしながら対応していた。


「しかし、エテリナ。ジードが言うように国庫が逼迫しそうな状況なんだ。そこを鑑みてくれよぉ。」


 ユーヤが苦笑いを浮かべながら返答すると、エテリナが「それなら良い案がありますよ。」と目を細くしながらユーヤを睨んだ。相手は国王であるはずなのに…。


「前夜祭七日、後夜祭七日と云った慣習を、一日ずつにしてしまえば良いのです。それだけで、かなり節約できます。」

「え?それっていいのか?」


「大丈夫だと思いますよ。陛下は以前に、普通はあまり執り行う事のない婚約の儀を執り行っています。あの時点で内外へのお披露目は終わっていると考えられます。」

「ああ、なるほどね。」


「それに陛下は姫様がご懐妊している現在、子種(こだね)を下手な処に撒かれないように飲酒を控えておられます。これも理由にできるかと思います。お酒に関しては主賓なので婚儀の三日間は構いませんが、その間はジード様率いるガンプ隊に警護して頂ければ問題はない筈です。」


 ユーヤが涙目になった。そして話しを振られたジードは、既に涙を流している。

 エテリナの云う警護とは、勿論(あるじ)であるユーヤを守ると云う意味の事ではあるのだが、酒乱の(あるじ)に女性を近づけるな!と云うのが真の任務と云う意味合いであろう。


「エテリナ…剣聖級の相手をどう守れと…。」

 涙を垂れ流しながら、未来の夫は訴えた。

「それは貴方様の器量に掛かっています。情けない顔をしないでください。」


 男達は、エテリナ嬢の剣幕に小さくなる一方であった。


「じゃあいっその事、エテリナ達も一緒にやっちゃえば良くない?」


 ウテナの発言に、その場に居た全員の頭の上にエクスクラメーションマークが灯ったのだった。

ここまで登場した聖剣・神剣


聖神剣マリオネート:ユーヤが鍛冶ギルドに特注でオリハルコニウム等を用いて制作し、仕上げに光の精霊力とマリオンの神聖力を付与した、光と神の力を持つ大太刀。


神剣クサナギ:風の力を持つ剣。かつてテンゴウの祖先が大蛇を退治した際に、その尾より出現したとの古文書に記述がある。スサノオ家の当主に代々与えられる。愛理須皇国の三種の神器のうちの一つで皇国の宝剣である。


聖剣シューレ:剣聖ブライが所有していた聖剣。古代の帝王が所持していた聖剣で、その家臣が貸し与えられて活躍した逸話から、代々ベルツ帝国帝王がその家臣に貸し与えている。故にこの剣もまた宝剣と云える。


ウテナの小刀とエクステリナの大剣:ウテナの小刀は闇属性の魔力を持っている。それに対してエテリナの大剣は、女神であったマリオンの加護が付与されている。どちらも元は無銘であるので、そのうち気が向いたら命名するかも。

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