第拾五話 攻城戦
さあ、GW中の書き溜めも底をついたぞ!
獣王国奪還編もクライマックスだし、がんばろう♪
ユーヤは夕日が沈みかけた頃に、獣王クーガーの嘆願を聞いた。理由が理由なだけに承認するしかなかった。ここでもしも却下して彼が戦意を失えば、彼自身を戦場で失いかねないと判断したからだ。
それにクーガーがこの難局を越えられれば、ひょっとしたら表向きには見せないヒューズへの蟠りのようなものも晴れるのではないか?とユーヤは思っていた。
「陛下!ブツの組み立ては完了しました。後はテストだけになります。」
「ごくろうさん。組立班はテスト作業が終わったら、補給で入ってきた大樽を持って行ってやってくれ。明日の昼までに起動準備が出来てれば、他の連中に文句は言わせないからさ。」
「ありがたき幸せ!よっしゃー野郎共!もうひと踏ん張りだ!!」
技術部の様子を見に来ていたユーヤは、なんとか本番に攻城兵器が間に合いそうで安堵した。何しろ相手は嘗ての獣王国王都である。堅牢な城壁を破るのは通常の街の外壁を破るよりもしんどい事は目に見えていた。
組立班の技術士官達は、ユーヤの配慮で目の前に吊るされた大樽と言う名の餌の為に、今燃え上がっていたのだった。
この日の夜は、技術部と見張り以外は早めの就寝をとらせた。養える時に英気は養わねばと。
早朝、帝国軍より連絡がユーヤ達の元に届いた。無事に北門付近に到着したようだ。使者にすぐ返事を持たせる。そして、すぐに皇国軍にも同じ内容で使者を送る。『正午より本格的な行動に移られたし。勝利の栄光を我らに!』
この作戦に於いてキーとなるのは、連合国軍と皇国軍の攻城兵器である。そして帝国軍は全軍団中最も多い兵力で、なるべく魔王軍を引き付けてもらわねばならない。
因みに現在の各国の兵力は、帝国軍約五万強、連合国軍約三万五千、皇国軍約二万八千である。クーガーが帝国軍に支援で残ったので、なんとか五万もの兵力を維持出来たが、連合軍はクーガーとその配下の兵員を欠いているのが痛い。
―市街戦に移行すれば、ジードの指揮も冴えるかもしれないな。後は、如何に早く開城するかだ。
正午、作戦開始の鐘と共に、それまで散発的な攻撃しかしていなかった同盟軍がマジンゲルに一斉に攻撃を開始する。
連合国軍と、皇国は攻城兵器として自走式のカタパルトと破城鎚を投入する。どちらも魔導動力が組み込まれ、通常の物よりも強力凶悪な代物である。
「盾隊前へ!!」
号令と共に大盾装備の騎士達が攻城兵器を守備しながら進軍した。そして三百メートル手前で停止し、カタパルトが射出態勢をとる。
魔導力によって引き伸ばされるバネがキリキリと音を立てている。
「てーっ!」
―ドン!
街壁に向けて魔導力によって射出された岩は、大きな音を伴なって衝突した。石組みの外壁は、轟音を上げて崩れて行く。外壁の上に居た魔族は、その衝撃によって粉微塵に消し飛んだ。
ニ発、三発と撃ち込まれて行く岩の弾丸に、魔族達は成す術がなかった。
充分に侵入できるスペースが確保されると、同盟軍は一気にマジンゲルの街中に飛び込んだ。
その後ろからは攻城鎚が前進し、カタパルトと攻城鎚本隊が侵入出来るだけのスペースを作るべく魔導力炉の出力を上げながら鎚が本体からせり出す。鎚が…?鎚なのか?いや、これは、ドリルだ。巨大なドリルを回転させて、攻城鎚が突進する。
ガラガラと八つの木製車輪が鳴り響き、外壁に到着したドリルがズゴゴゴゴと、耳を劈く。そしてそれを確認したカタパルトも前進を始める。
そして北門では、帝国軍の攻撃に気をとられた魔族達が、予め潜入していたハンゾウ達、連合国軍の影によって背後から成すすべなく駆逐されていた。
影達は逃げ惑う魔族を情け容赦なく次々に狩りながら、街門を中から開け帝国軍を迎え入れた。
あとは、中心に位置する元王城だけだ。
そこにはまた、七大幹部のいる可能性が高い。
「なるべくカタパルトを城壁に近い位置に設置しろ。短期決戦で行くぞ!」
ユーヤがカタパルト周辺を守りながら檄を飛ばした。ヒューズとヨーンは攻城鎚の傍にいて、先程の使用の後に故障個所などがないかメンテナンスの監督をしているようだ。
ジードは、ユーヤが思っていたとおり市街戦に移行してからは縦横無尽に飛び回って活躍している。それは帝国軍も同じらしく、あれほど野戦では魔王軍相手に苦戦していたのが、嘘のように順調に進軍している。
―騎士と言うものは、本来は王城周辺を守っていたりするものだからな…やっぱ野戦向きじゃないのかもな。
ユーヤがそんな事を考えていると、伝令から報せが入った。街内の戦闘は落着き、残すは王城のみと。
何気なくユーヤが街の外、西の空を見ると、既に太陽が赤く燃えていた。それを見て、このまま攻めるべきか明日にすべきかとユーヤは悩む。
夕日を見ながら足を止めているユーヤに気付いて、ヒューズが歩み寄り上申した。
「若、今は足を止めるべきではないと思います。明日にも魔王軍の増援が来ないとも言えません。」
「そうだな。迷っている時ではないね。クーガーを呼び戻してくれ。」
そう言うとユーヤは王城に向き直し、新たな号令をかける。
「今が攻め時だ!カタパルトと攻城鎚の用意を急がせろ!付け入る隙を与えるな!!」
そのまま攻めの陣形を構えると、テンゴウが騎馬に跨り駆けて来た。
「勇者王よ!貴公らだけでおいしいところを持って行くつもりではあるまいな。我も行くぞ。」
「テンゴウ殿、皇国には魔族軍の増援への警戒をお願いしたいのです。何卒…」
「ヒューズ殿、貴殿の考えなら既にわかっておる。故に皇国からついて行くのは我一人だ。心配には及ばん。」
「…仕方ありませんな。帝国軍も居りますし、承知いたしました。」
ヒューズはやれやれと謂った雰囲気で了承をすると、伝令を帝国軍陣営に送った。
こうして夕闇が濃くなって行く中、連合国軍とテンゴウによる王城への攻撃が始まろうとしていた。
「カタパルト射出!てぇっ!!」
簡易メンテが終わったカタパルトを起動し、魔導力の力で大岩を射出した。予想どおり外壁とは違い、さすがに城壁は一発では粉砕できず、五発も撃ってようやく粉砕できた。そこへ影達がまず侵入し、粉砕箇所周辺の索敵及び制圧を行ったあと、攻城鎚によって侵入路の道幅を広げると次に騎士団が突入して行った。
しかし砲撃は止まない。カタパルトからは更に、城本体を目標に岩が撃ち出される。ユーヤ達は城内部の中庭まで進行し、この様子を眺めていた。
「獣王殿、元の城主である貴方にこのような光景を見せるのは、本心では気が引けています。」
ユーヤは、少し哀しげな瞳をして獣王に話しかけた。それに対してクーガーは首を振って答える。
「陛下。国敗れて山河あり、と申します。我は国王から降りた身、個人的な感情は多少はありますが、形有る物は必ず壊れるのです。諸行無常、盛者必衰ですな。それに今の我は、新生リンドバウム連合国獣王区領主ですぞ。気兼ねはいり申さん。」
クーガーは二ッと笑ってユーヤを見た。ユーヤは頷いて、砲撃の音が止んだ王城を見上げながら続いてテンゴウに話しかける。
「さて、テンゴウ殿お待たせいたしました。天守などを粗方吹き飛ばしましたが、恐らく一番堅牢で安全な場所に七大幹部が潜んでいる事と思われます。ご用心ください。」
城周辺の制圧を終えた連合国軍は、ここで騎士団の半数を残し影を先頭に内部に突入をかけた。幹部でこの場に後詰めと警戒に残ったのは、ヒューズとヨーンである。
城内に突入してみると、敵の系統が外部と違っていた。外部で遭遇したものは、猪や鹿に馬といった獣タイプがメインであった。しかし、内部で出てきたのはレイスや骸骨兵に魔獣のゾンビと謂った死霊タイプばかりである。
「これは、いる可能性がかなり高いな。七大幹部の一人が。」
そんな事を誰ともなしに呟きながら中央の間まで到着すると、先行していたハンゾウが戻って来て片膝をついて報告する。
「陛下、この先の謁見の間にて上級魔族の姿を確認しました。現在、ジード卿の指揮の下、影の軍団及び騎士団が応戦中です。七大幹部と思われる上級魔族及びその配下は何れも死霊タイプであります。」
ユーヤはその場の全員を見回す。クーガー、テンゴウ、ハンゾウ、そしてユーヤの護衛として付き従っていた騎士団副団長ブランがユーヤに注目した。
「諸君、この戦におけるフィナーレが近いようだ。だが、まだ隠し玉があるかもしれない。充分に気を引き締めて、誰一人もかけないようにしてくれ。では、行くぞ!!」
「「「応!!」」」
中央の間の階段をクーガーが先頭になって、ハンゾウ、テンゴウ、ブラン、ユーヤとその背後に騎士団員が駆け上がった。先行していた影や騎士団のおかげで敵は少なく、謁見の間までその勢いのままに突入ができた。
辿り着いた謁見の間には、骸骨兵と斬り合うジード達騎士団と、上級魔族に足止めの牽制をする影達が居た。
「ジード、ブラン!骸共は任せたぞ!こちらは上級魔族に対処する!!」
「「御意!」」
クーガー、テンゴウ、ユーヤ、ハンゾウが上級魔族へと殺到した。上級魔族の姿は角を生やした死神といった風貌で、巨大な鎌を片手に影達の攻撃を難無くいなしていた。
「ようやく来おったな勇者よ。我こそは七大幹部が一人死霊王デストラス。その首、我らが王に献上させてもらおう。」
地の底から這い出るような、不気味な声であった。
ユーヤでさえも思わずゾッとして身震いをした。
描いてるうちに
あれ、なんで戦記物書いてるんだろ?
単純に異世界転生モノ描こうとしてたはずだよね?
と小一時間ほど自問自答。
三国志好きです。吉川三国志も横山三国志も読破してます。
そしてコーエーさんありがとう。
銀英伝も好きです。旧作アニメから視てます。
銀河戦国群雄伝ライも原作全巻持ってましたよ。
だから仕方のない事なのだ。
と最終的に割り切った。(爆)




