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リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第1章 ―転生・ガロウ獣王国編―
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第拾参話 剣達(つるぎたち)の舞

ちょくちょく言い回しに悩みます。

そして、台詞に頼って字数を稼いでいる自分に気付いてまた少し反省。。。

 帝国騎士団の中でも最精鋭を集めた五人組、それがカイザーブレードである。

 その筆頭を務めるのはブライ・モラルタ。年の頃は六十代後半であるが、その肉体は衰えを知らない。その称号剣聖は戦闘系のスキルを幾つも持ち、勇者と並び戦闘職に於いて最強の一角と謂われている。


 その手に持つ聖剣シューレを斜めに振り下ろすと、ブライはその勢いをもって回し蹴りを浴びせる。ベラホースは後方に飛ばされそうになり、その四本の脚で踏み止まった。

 そこへブライの脇を駆け抜けて、ゼフィールドが大剣を振りかざし突進する。対処に困ったベラホースは戦斧を盾にして受け止めた。しかし、その挙動を待っていたロンが横合いから掌打をかまし、完全に態勢が崩れたベラホースに三連脚をお見舞いした。


 ゼフィールド・ベガルタは、剣聖ブライの最後の弟子と謂われている。まだ十代であるにも関わらず、幾度も闘技大会で優勝しており、その名は帝国に於いて知らない者がいないほどの剣技を持つ。

 その親友である武闘家ロン・イェンもまた、十代でありながら幾つもの武道大会を総なめにしている帝国次代の星の一人で、無手に於いてはゼフィールドですら敵わないと謂われる。


 昏倒しそうになりながら、ベラホースは戦斧を放った。その戦斧の一撃を大盾でラドクリフが受け止める。そしてそのまま盾を翻し、ベラホースを横に吹き飛ばした。


 ラドクリフ・ソーン。帝国内に於いて最強の盾と称賛される彼は、嘗ては帝国騎士団近衛隊副隊長を務めていたが、その見事な盾捌きに目を止めたベルド皇帝自らが、カイザーブレードに招聘した。年の頃は三十代である。


 ラドクリフに吹き飛ばされたベラホースが、戦斧を杖にして立ち上がろうとした時、流星群のように光の矢が降り注いだ。


「ふぉっふぉっふぉ、カイザーブレードはまだもう一人いるぞい。この大魔導師カスバド・ヘンリークを忘れてもろうては困るのぉ。」


 防御しながらどこから声がするのかとベラホースが見回すと、ベルド皇帝の影がスススと伸びて人の形になった。そしてその人型の影は、漆黒のローブを纏った老人の姿へと変貌した。


 カイザーブレードに於いて歴代最高齢、百八十歳とも謂われるその男は帝国の魔導ギルドの長でもある。そして、このラウズ大陸で魔導を志す者達にとって、カスバド・ヘンリークは神のような存在であるのだ。


 カスバドの放った光の流星群は、まだ態勢のとれていなかったベラホースの脚を貫通し地面に縫い止めると、ベルド皇帝が大剣を閃かせ、ガラ空きの左腕を斬り飛ばした。


「あ”あ”あ”ぐあ”!!」


 ベラホースが痛みから奇声を発した。そこへ間髪入れずに剣聖ブライの必殺剣がその首元に迫る。


 ザシュ!と謂う音と共に、ベラホースの首が宙を舞った。


 兵達の歓声の中、ベルドとカイザーブレードの面々が勝鬨の声を上げるのだった。






 その頃、東部戦線をテンゴウ率いる愛理須皇国軍は、二つほどの町を解放し西へ西へと進んでいた。そしてこちらにも七大幹部の一人が現れた。


「我こそは魔王七大幹部、蛇王アぺプカガチなり。皇国民共よ、お前達を滅ぼした後に、皇国を塵にしてやる。」


 アぺプカガチの細く吊り上った目は、見る者に恐怖を感じさせる。口からは蛇のような舌がチロチロと見え隠れしている。二対の腕全てに剣が握られ、そしてその下半身は蛇であった。


「我を誰と心得る。我はテンゴウ、スサノオ家が当主なり。蛇如きが敵うと思うてか!」


 ダン!と音をさせて鞘に刀を納めたままテンゴウは踏み込むと、アぺプカガチの胸元を居合切りで一閃した。その手に光るのはスサノオ家の家宝「神剣クサナギ」。

 アマテラス家の「ヤタノ鏡」ツクヨミ家の「ヤサカニノ勾玉」と、この「神剣クサナギ」は各家の家宝であるが、皇国の国宝でもあり、これらは「三種の神器」として普段は皇家の祭壇に祭られている。


「このクサナギの真の銘は、天業雲剣。正に我の為にある剣と言えよう。」


 そう言うと、テンゴウはクサナギを鞘に納める。

 その刹那に、アぺプカガチの胸元から見飛沫が上がった。


「ぐはぁ!!ば、馬鹿な!剣筋が見えなかったぞ!?」


 アぺプカガチは血を飛び散らせながら驚愕の声をあげている。


「我もまた、ブライ殿と同じく剣聖の称号を持つ者。ヤマト流剣術の真骨頂を括目せよ。」


 そう言うが早いか、テンゴウはまた力強く踏み込んだ。アぺプカガチは恐怖し、四本の剣をクロスして防御の構えをした。


 ブライの志す剣の道は、集団戦に於ける剣を追及したものである。それに対し、どこまでも己が力と技を追及した剣の道こそが、テンゴウの剣であった。


「さあ、その力を示せクサナギよ!」


 そうテンゴウが吠えると、神剣の鞘は緑色に瞬き強風を生み出した。防御姿勢であったアぺプカガチであったが、その強風に上体をよろけてしまい大きな隙を作る事になってしまった。


「斬!」


 その隙を見逃さずに、テンゴウの一撃が放たれた。アぺプカガチには何が起こったのか把握できていないようである。

 頭頂から蛇の尾の先までが真っ二つに切り裂かれ、アぺプカガチは声も上げれずに絶命していた。


 風の精霊神の力が備わっているクサナギの真なる力。その大いなる威力を持ったカマイタチのような風の刃が、アぺプカガチを切り裂いたのだ。


「我とクサナギに断てぬものなし。」


 テンゴウはそう言うと、剣を一度振り払いその鞘に戻した。それを見ていた皇国の騎士達は、残る魔族を斬り伏せながら気勢を上げた。

 その気勢に押された魔族達の半数が、マジンゲルの方向に逃亡した。皇国軍はその勢いのままに、アぺプカガチの敗残軍を追走する。元獣王国王都マジンゲルは、既に目と鼻の先であった。







 同じ頃、ユーヤ達連合国軍も一つの街と二つの村を解放していた。そして、マジンゲルまであと五キロ程の場所に(・・)は現れた。

 斬馬刀を背負い腕組みをし、威風堂々と手勢の先頭を歩んで来るのは、七大幹部の一人で、その威容は黒い獅子に見間違う程の精悍な佇まいを持つ上級魔族であるジュウガだ。


「待っていたぞ勇者王。今度こそは一対一で受けてもらう。」


「何を貴様!このクーガーを捨て置いて、陛下に挑むとはいい度胸だ!」


 と、クーガーが前に出ようとしたがユーヤがそれを制した。


「獣王殿、国を焼かれた遺恨があるのはわかっています。しかし、申し込まれたのは俺です。ここは、堪えてください。」


 と、言うとユーヤは右手にアダマンタイトの剣を、左手に刀を構えて歩み出た。二刀のうち右手の剣をジュウガに向け、眼光を鋭く光らせながらユーヤは小走りをしてジュウガの前に立つ。


「この右目が疼いて仕方がない。貴様の命を以って癒させてもらうぞ。」


「受けてたつ。今日こそはけりを着けよう。」


 静かに二人は睨みあう。幾何かの静寂の後、ジュウガが斬馬刀を振りかぶった。

 ユーヤは二刀でこれを受け止める。ギシと擦れあう剣の音が聞こえた刹那、ユーヤは右の剣で斬馬刀を払い、左の刀で喉元目掛けて突きを放った。

 これに態勢を崩しかけたジュウガは、後ろに飛び退き難を逃れる。

 だが、これをユーヤは追撃する。


 跳躍しながら右の剣を振り、ジュウガがそれを斬馬刀で払うと、そのままの勢いでユーヤは横回転をしながら刀で斬りつけた。


「ぐぁ!」


 ジュウガの左肩に刀が食い込んだ。

 痛みにジュウガがよろめくと、ユーヤはジュウガの死角である右の方へと跳躍して、今度は刀をその脇腹に打ち込んだ。


「あ、あ”!」と呻きながらジュウガは反対方向に退く。それを追い、ユーヤは右の剣を下段から振り抜いて、ジュウガの胸板を守る防具を切り裂いた。


「くっ!貴様ぁああ!」


 態勢を立て直しながら、ジュウガは斬馬刀を横薙ぎに振り回してユーヤの更なる追撃から逃れた。そして右足を力強く踏み込み、逆にユーヤに肉迫する。

 ユーヤは前に出過ぎた事に焦り後方に跳躍するが、斬馬刀がユーヤの鎧を捉えてその鎧を寸断した。


 ツツーと、ユーヤの胸から血が垂れる。

 ―おいおい。まともに喰らってたら、鎧ごと真っ二つだったぞ。


 だがユーヤは、休まずにジュウガの右側に回り込む。ジュウガもさせまいと右旋回を繰り返し、二刀の間合いから逃れる。

 その攻防を、連合国軍もジュウガの手勢も息を飲んで見守っている。


 ユーヤの息が切れてきて僅かな隙を作ってしまった時に、ジュウガが斬馬刀を縦に振り抜いて来た。思わずユーヤは左の刀で受け止めてしまった。

 ガキッ!と云う音と共に刀がひしゃげ、それをジュウガに向けて投げ捨てた。

 斬馬刀の手応えに勝利の確信をしていたジュウガは、その意外な行動に気付くのに遅れたのが命取りとなった。


 ひしゃげた刀はジュウガの腹に命中し、思わず頭を下に向けた刹那、ユーヤは脳天目掛けて右の手の剣を振りかぶる。

 ゴス!と云う鈍い音がして、ジュウガが膝をついて崩れ落ちた。


 鼻先まで剣は頭部を斬りこんでいた。遅れて血飛沫が上がる。ジュウガの最期であった。


 しんとする場。


 魔族達はポカンとしていた。

 ジュウガが敗れた姿に目を奪われて、動けなくなっていたのだろう。そこからは、只の蹂躙だった。


 マジンゲルに逃げ延びられた魔族は、四分の一にも満たなかった。

愛理須皇国アリスコウコクあれこれ


人種:主にエルフ族が支配しています。上級貴族は基本的にハイエルフが占めています。


皇家御三家:アマテラス、ツクヨミ、スサノオの三家から成ります。まんま日本神話です。

アマテラス家は治癒系補助系の魔法に優れ、主に代々政治に関わる職務に就きます。

ツクヨミ家は攻撃魔法…特に闇魔法に優れます。皇国の忍達の頭領を代々務めています。

スサノオ家は武勇に優れている為、代々皇国騎士団の筆頭を務めています。


三種の神器:アマテラス家が持つ「ヤタノ鏡」は、光を集積して広域攻撃の出来る代物ですが、真の能力は生死問わずに広範囲無差別に回復再生させてしまう力です。

ツクヨミ家の「ヤサカニノ勾玉」は魔法や呪術の威力を増幅する物です。

スサノオ家の宝剣「神剣クサナギ」は、風の能力を帯びた攻撃を自由自在にする事ができます。


五大老:皇家の選抜を取り仕切る長老衆です。アシカガ、ホージョー、ミナモト、フジワラ、トクガワになります。


武装:防具は日本式の鎧兜です。武器は基本的には刀や太刀ですが、神剣クサナギのように古代剣を用いている者も散見できます。

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