第百話 北の魔王城
12:00 LINDBAUM's Encyclopedia にて『勇者を中心とした世界観うんちく』を投稿。
17:00 ご覧の本編では、『100話記念番外 凛道学園物語~転校生ウテナ~』を投稿します。
よろしくです。
「グラビティーシールド出力低下!魔法攻撃、ブレス攻撃、直に来ます!!」
「修理を急がせろ!魔導師によるグラビティーウォールで以後は対応する!魔導隊とその護衛として魔銃隊の出撃要請!!」
「了解!うあっ!!くっ…艦底部破損!!底部魔導砲1門が使用不能です!」
北の魔王との戦いが始まり、その猛攻によってリンドバウム号は満身創痍に近い状態になりつつあった。そしてその寮艦であるトライデル号も傷つきつつあった。しかしこちらはリンドバウム号とは違いカラシン級を改装したものではなく、1から強固な装甲材を使って構成されている為に、リンドバウム号ほどの傷は受けてはいなかった。
『ヨーン提督!一旦旗艦はお下がりください!!ここはトライデルが引き受けます!!』
『ミハイル済まん!エンジンの不調が回復次第に戻る。それまで頑張ってくれ!』
「ゼフィー!しっかりしなさい!!みんなの命がかかってるのよ!!」
『判ってるよアルル。着陸までは保たせるさ。』
そこへアナトとエンリルが駆け付ける。魔導ランチャーの斉射によって飛龍や魔鳥が次々と落ちて行く。
『ヨーン済まん。陸戦隊の降下に手間取った。ウテナ達はそっちの援護に回ってる。これより援護する。』
『助かります!エレーナ様とロイエルはトライデル号の援護をお願いします。』
『『了解!!』』
エンリルがトライデル号の方向へ向かうと、アナトはリンドバウム号に着陸して、そこから魔導砲撃を再び開始した。
『ヨーン!暫く砲台代わりをやる!その間にリンドバウム号は魔導炉と各機関のチェックをしろ!』
『了解です!各部チェック急がせろ!!修理班!昼飯は良い物を出すから頑張ってくれ!』
北の魔王は、魔鳥のみならず飛龍までも使役して来ていた為に、各艦は苦戦を強いられていた。
飛龍はドラゴン族に属した魔獣で、魔鳥などよりも遥かに固い外皮に覆われ、ブレスまでも吐いて来るのだ。ただそれでも、ドラゴン族の中では下級に位置する魔獣である。
そしてこの激戦の中、ユーヤのお目付け役であるテンゴウとロンはこの場にいない。それは――
「ガリアン並びにセイト号、予定どおり左翼からの砲撃始まりました。続いてコンゴウとマジンゲルも右翼から来ます。」
「よし、これで形勢逆転するぞ。リンドバウム号も応急処置完了後に前に出る!急がせろ!!」
「了解!!」
全飛空艦隊による作戦行動の為、テンゴウとロンの機鋼甲冑隊がユーヤに合流するのは、これからなのである。アナトの元にイザナミ、エンリル等の全機鋼甲冑が集結する。いざ北の魔王城へ――
『緊急入電!北の拠点を守るゼフィールド様より、魔王軍襲来せり補給線を守る為、死守す。援護は無用。以上です!!』
「このタイミングでか…いや、このタイミングだからこそか。」
『陛下…ここはゼフ殿に頑張って頂く他はないかと…。』
そう告げるヨーンも唇を噛み締めていた。今のユーヤがそうであるように。
「ああ。やってもらうしかあるまい。一応ナガサキに居るミカガミ殿に連絡をとってみてくれ。通信が届くかは判らないが。」
『了解しました。』
そうこうしている内に、リンドバウム号の応急処置も完了し、ユーヤは全機鋼甲冑に命令する。
「これより北の魔王…ドラクーン候の話しではグラディウスと云ったか?奴を退治しに行く。ただし、先方が降伏した場合は速やかに戦闘を停止、講和する。いいな?」
『『『了解。』』』
「それじゃあ、行くぞ!!」
『『『おお!!!』』』
ユーヤ達機鋼甲冑隊が動き始めると、手始めに、各艦からの全力砲撃が始まった。各艦から伸びる光の航跡が、魔獣と魔族の群れを焼きつくし、北の魔王城の城壁をも呑み込む。
そして――
「各隊!魔銃隊を守れ!!いいか!ここが落とされれば、我が軍は補給路を失うのだ!それは何としても防がねばならない!!陛下のお造りになったこの基地を信じて守り抜け!!!」
「「「おおおおお!!!」」」
現在北の拠点にある装備と云えば、魔導戦車5台、基地自体に装備されている大型魔導砲4門。そして防衛部隊の魔銃であった。
魔銃隊が魔導砲で討ち漏らした魔獣と魔族を狙い撃ち、更にそれを躱した相手に、防衛部隊の騎士達が斬りかかる。
空と地を覆い尽くさん限りの敵に、リンドバウム軍防衛部隊は挑んでいた。
「ゼフィールド様!第二魔導砲大破!魔導戦車も一台中破です!!」
「第二魔導砲の隔壁を閉じろ!基地内部防衛隊もそちらに増援を出せ!中に入れさせるな!!戦車は残存部隊を後退させろ!基地の直営に回せ!!」
次々に入る戦況報告は、どれも思わしくはなかった。それでもゼフィールドは矢継ぎ早に指示を与えて行くのであった。
しかし、報告の中には悪い事ばかりではなかった。
「クリスタル砦より海洋艦隊が合流!援護射撃きます!!」
カラシン改とダイワ改級4隻が到着したのだ。基地の前方の魔王軍にこれらの艦砲射撃と、拡散射撃仕様で魔導砲の雨が降る。
しかし、それでも倒しきれないほど魔軍は多い。これほどの規模となると恐らく、魔神の直営隊であろう。倒しても倒しても、怯む事無く後続が突き進んで来るのであった。
「敵後方に爆発光あり!」
「なに?陛下達か?気にせずに魔王討伐に専念してくれと伝文を送った筈だろ!」
「いえ…これは…竜人族のようです!!」
見れば、いくつものブレスの痕跡が見える。ドラクーンが精鋭を募って助太刀に来てくれたのだった。
「ばかな。竜人領を空にして来たとでも言うのか!?帰って頂け!彼等の領地が危ないではないか!!」
「無理ですよ。彼等は我々のような通信機を、それほど持っていない筈です。せいぜい城に大型の物を配備しただけと聞いてます。」
「通信魔法ならどうだ?」
「現在、この基地に仕える者がいません。」
ゼフィールドは歯噛みしながらも、竜人達のその心意気に、深く感謝をする。
「ならば、彼等の為に道を作ってやろう。カラシンに座標を連絡してやってくれ。」
「了解です。」
そして、基地と竜人の部隊の間に、幾つもの花火が打ち上がる。拡散魔導砲による幾つもの花火が…。
「効いてないな。」
『ええ。魔法防御壁でしょう。直ぐに実弾による砲撃に変更します。』
「ああ、それしかないようだな。」
北の魔王城に対して行われた、全艦隊による魔導砲撃は見事にその城壁に阻まれてしまっていた。これでは機鋼甲冑隊も城内に侵入できず、ユーヤ達は足踏みをしていた。
「こっちの戦略をよく把握してやがる。…いや、魔神の入れ知恵かな?」
「恐らくそうじゃない?今まで相手にしてきた七大幹部もサラマンドラも、そんなに頭が良さそうじゃなかったもの。」
コパイロットであるマリオンが頷いている。遂にアスモデウス自らが手を出し始めたと云う事であろう。
「そうなると、補給線を分断に掛かっているのも…。」
「そうね。魔神と見た方が良さそうね。」
そうなるとゼフが危険である。しかし今更後退するわけにもいかないのが現状である。リンドバウム号以下、各艦全てが既に何らかの損傷を受けており、下手に後退をすれば、更に損害を増やすだけに思えるからであった。
「行くしかないか。」
そうユーヤが呟いた時、装填を終えた各艦からの砲撃が始まった。城壁が爆散して行くのが見える。それによって、魔法障壁も崩れ始めたようだった。
「よし。各機俺に続け!ランチャーも、もう魔導モードに戻して大丈夫な筈だ。突撃!!!」
『『『おう!!』』』
味方の魔導砲撃を避けつつ、機鋼甲冑全機が城壁へと飛翔した。そして、城門を完全に破壊して、陸戦隊の進入路を確保する。その位置から魔軍を排除しつつ陸戦隊が追いつくのを待つ。
やがておカジとブラン、そしてセイレイが手を振りながらバイクを走らせる姿を認めると、機鋼甲冑隊は城の中へと滑り込んで行く。
中で待ち受けていたのは、飛龍よりも格上で機鋼甲冑と大差のない大きさであるストーンドラゴン達であった。
ストーンドラゴンは中級のドラゴン族で、名前のとおり岩石のような皮膚を持つドラゴンであり、パワーに於いては上級ドラゴンに匹敵するらしい。
反面、ブレスは苦手のようだ。どの個体が放つブレスも、口元で燻る程度で脅しにしかなっていないようである。
無論そうなると機鋼甲冑の敵ではなく、次々と打ち倒されて行くのだった。
「また今回も内部が広いな…。」
「魔王クラスはサラマンドラと同じくらいの大きさと思っていいんじゃないかしら。」
「だろうな。」
ユーヤは今回は焦らずに、後続の陸戦隊が追いつくのを待ちながらの進軍をしている。そのおかげである程度進んでは休憩が出来ているのだった。そうして大広間であるらしい一際広い部屋に来た時だった。
ズシーン、ズシーンと広間の奥から巨大な影が一行の前に現れる。その影が近づきはっきりとその姿を確認出来た時に、目の前に現れたそれの姿に一同は、恐怖に近い感情を持つ。
「ドラゴン?大き過ぎるだろ?」
200mはあるだろうか?それほどにもなると、ちょっとした小山ほどの大きさとも言える。
ユーヤの呟きに反応したかのように、強力なブレスをドラゴンはまき散らす。全機体はイザナミの後ろへと逃れる。そしてイザナミはグラビティーウォールを発動させ、皆を守る。
「こいつは守護なのか?それとも魔王なのか?」
『魔王グラディウスの変化した姿に間違いありません。』
ヴァルキュリアと共に行動していたセイレイは、柱の陰から通信を送っていた。
「変化か…。厄介だな。」
ユーヤはグラディウスの巨体を見上げながら、歯軋りをしていた。
新たにブクマしてくださった方々ありがとうございます。
m(_ _)m
ところで、自分で書いてて
グラビティー・シールドと
グラビティー・ウォールの
概念的違いをよく勘違いしますw
おさらいとしては
シールドは
機鋼甲冑も飛空艦も
機体周りの重力制御による圧力緩和や、防御装置みたいな感じで
機体と精霊のシンクロが影響する機械的防御システム
ウォールは
任意発生させた攻撃吸収、防御魔法と云う扱いで
こちらは精霊と搭乗者のシンクロと、搭乗者の資質に左右される
魔法による防御ですね。
因みにリンドバウム号がこれを発生させる場合、ピンポイントバリアのように使うのですが
使役するのは、ゼフィロスの力を借りたアルルになります。




