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リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第5章 ―オーガ大陸激闘編―
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第九拾九話 いつものテラスで

 竜人族を傘下に加えたリンドバウム軍は、砦や城の位置の書かれた地図を手に入れる。それによりサラマンドラは東の魔王である事が判明し、残る北の魔王と西の魔王の征伐に向かう事とした。


「魔神に関しては、こいつらを討伐した後にする。未来における脅威はなるべく減らしておきたいのでね。」


 何故先に魔神を倒さないのかと云うエレーナの問いに、ユーヤは優しく答えていた。


「それでしたら魔神を倒してしまえば、指揮系統が乱れて倒しやすくなるのではないのですか?」


 尤もな問いではある。


「確かにそうではあるが、今回の竜人族のように仲間に出来るのであれば仲間にした上で魔神とは対峙したいんだよ。」


 そうして正妻の妹に接するユーヤを、新参者のセイレイとキャシーは愛おしげに眺めていた。


「奥方様だけでなく、ああしてその妹にまでも優しく接する陛下…いいもんですにゃ。」


「そうですね。婚儀を済ませればうちの妹や弟達にもああして陛下は接して下さるのでしょうね。」


「そんな事ないわよ。ユーヤは婚姻する前からエレーナには優しく接していたし、メルティの兄弟達にも良くしてたわよ。」


「「奥方様!」」


 マリオンを呼ぶ二人の声はどこか高揚しているようであった。目もキラキラしている。恐らく彼女らの「奥方様」と云う言葉には、心の中では「おねえさま」と云うルビが振られているのだろう。


「要はね、慣れなのよ。あれで意外に人見知りな処があるのよ。」


 そう言いながらマリオンは例外を頭に浮かべる。そう、おカジだけは例外であったと。あまりにドストライクな容姿だったのだろう。ユーヤは一目惚れのようにフラフラしていたっけと。


 しかし、それで言うなら女神マリオンその人もまた、ユーヤの一目惚れであったのだが、それに関してマリオンは感知していなかったりするのだった。


「まあでも、あれで唐変木な処もあるから気をつけなさい。普段からなるべく近くに居る事が大事かしら?」


「「さすが奥方様『にゃ』!良く熟知していらっしゃる『にゃあ』!!」」


 そんな平和な時間を過ごす中、リンドバウム軍は竜人領からほど近い北の魔王攻略の準備を進めていた。


 今までとは違い、竜人を仲間にした事によって魔王城周辺の配置なども把握できている為に、ヨーンが久々に参謀司令としての腕を振るう事ができるのである。


 前回の魔王戦に於いて王とその妃達が意識不明と云う事態を経験し、ヨーンはテンゴウとロンには、今までよりも更にユーヤの周囲に気を付けてもらう事にした。…と言うより、お目付け役をお願いした。


 次の攻略戦から、機鋼甲冑隊は全機配置する事にしたのだ。その代わりに機鋼甲冑隊は普段の哨戒任務を無くし、スクランブルのみとした。哨戒は飛空艦と陸戦隊に任せる事となる。




「そう云えばユーヤ、アナトはもう大丈夫なの?」


 サラマンドラとの戦いで、アナトは左腕を失い、そして機体各部も損傷してしまっていた為に、カスバドの監督の元にオーバーホールを行っていたのだった。


「ああ、以前よりもパワーアップしている筈さ。…って、いつの間にそこにお前ら居たんだ?」


 ユーヤとエレーナが歓談していたのは、竜人城の広間であった。


 戦神の加護によって傷も精神も癒されてはいたが、ヨーンら重臣達に「陛下は念の為休んでいてください。作戦行動が始まるまでは絶対安静とは言いませんが、大人しくしていてください!」と、ちょっとキレ気味に言われていたのだった。


「私は今来たとこよ。セイレイとキャシーはずっと扉の陰からユーヤを見てたみたいだけどもね。」


「奥方様!それを言っちゃ嫌にゃ。」

「奥方様は意地が悪いです~。」


 嫁が増えたと云うよりは、マリオンのお傍付きが増えたように見える。尤も、エテリナもウテナも従者を卒業しているのだが。


 ツッコミ役がいないので、何やら先輩従者達よりも騒がしい気もする。いや、従者ではないのだけれど…。


 そこへおカジさんに案内されて、ウテナとサクヤもやって来た。現状集まれる嫁+α全員集合である。


「旦那様、身内を集めて何を…まさか!多人数プレイですか?」

「え、ちょっとそれは恥ずかしいにゃ…。」

「わ、私はまだ経験自体が…。」


「はいはい。違いますよ淑女の皆さん。」


 ウテナの言葉に乗っかって、盛大な勘違いを吐露した新人妻二人は顔面を真っ赤にしている。


「これから更にオーガ大陸侵攻作戦が激化するかも知れないから、その前に一回トライデルに残っているメルティや娘や息子に、みんなで顔見せするんだよ。それと、エレーナは両親と会ってきなさい。最期にはさせないけど、大事な事だろう?」


 そう、侵攻作戦が始まる前にユーヤがダンジョンコアの力を使って、皆で王城に顔見せをする為に彼女らは集められたのだった。


「カジはどうする?ワダツミの顔を見たあとに、両親の処にも行くかい?」


「いいえ陛下。ヴァルキュリアの隊員達を差し置いて私達だけで顔見せに行くのです。それは団長代理として我慢致します。」


 おカジはそう微笑むと、「ご配慮有難うございます。」と言って頭を下げた。


「じゃ、ゲートを開くぞ。いつものテラスに出るからね。」


 そうユーヤが告げると、皆の周囲でヴォンと空間が歪む音が聞こえ、一行はトライデルのテラスへと転移したのだった。





 そこには、既に予め連絡を受けて待っていたシア、セーラ、そして双子とワダツミが乳母達、そしてメルティと共に待っていて、アンジェリカとクレィル公、マザーソレナとジャンヌもその場で待機していたようだった。そして勿論、エクステリナも私服姿で笑顔を見せていた。


「お父様!お母様!」


 最初に駆けだしたのはエレーナだった。そしてウテナとサクヤが走り出す。マリオンとおカジさんは非常に落ち着いた表情で歩いて行く。その後ろをキャシーとセイレイ王女がユーヤに随伴するような感じである。


 そして、逆に向こうからはメルティが走っている。


「コラ妊婦!走り回るなといつも言ってるでしょうが!」


 そう言いながらも、マリオンの顔は綻んでいた。


「正妻様~久しぶりなんですから、怒らないでくださいよ~。」


 そう言うメルティの顔も綻んでいる。そして、キャシーと目を合わせる。


「ふっふっふー。話は聞いたわよ。陛下の良さを知ってもらえて何よりよ、キャシー。」


「あはは…。メルティが先輩になっちゃったにゃ。」


 側室二人が仲良く抱き合っている。


「で、そちらが第4正室になられる予定のセイレイ様ですね。私はメルティ・L・クノン・コンテです。よろしくお願いしますね。」


「は、はい。セイレイです。大戦が終わりました時には、お世話になるかと思います。」


 メルティの笑顔に、セイレイは安堵する。話ではメルティが第2正室派だと聞いていたからだった。


「来る前に脅かしたけど、メルティは見てのとおり私の親友でもあるのにゃ。だから、これからはセイレイ様とも友達にゃ。」

「そうだったんですか。キャシーったら、もう脅かしっこはなしですよ。」


 セイレイはキャシーの言葉に微笑む。3人はそのまま意気投合して、キャッキャワイワイやっている。


 アルテイシアは母との抱擁を済ませると、テラスの椅子に腰かけ、久々にヒッターと語らう父の許へと「パーパ!」と言いながら飛び込んだ。勿論ユーヤも、ニコニコしながら受け止める。


「シアいっぱいいい子にしてたのじゃ!だからまたアナトちゃんにのせてほしいのじゃ。」

「判っているよシア。アナトもシアと会えなくて寂しがっていたよ。でもそれは次に帰って来れた時にな。」


 ユーヤはそんな会話をしながら抱き上げて、膝の上にシアを座らせるのだった。久しぶりのパパの膝上に、お嬢様は満足げである。そんな二人の傍に、トテトテと双子が「パーパ、パーパ」と寄って来て、シアをジーーっと見つめる。


 二人の要求が何であるのか気付いたシアは二人に告げる。


「ダメなのじゃ。パーパのひざはシアのものなのじゃ。」


「シア、イズナもハヤテも久しぶりなんだ。少しくらいいいじゃないか。」

「ダメなのじゃ!パーパのおひざはシアのなの!!」


 イズナとハヤテは指を咥えながらヴーヴー言っているが、シアが決して譲ろうとしないのを見兼ねた母者が、そこで物申す。


「シア、お姉ちゃんでしょ。妹と弟達にも座らせてあげなさい。」


 しかし、シアは半ベソをかきながら抗議する。


「ダメっていったらダメなのじゃああ!ここはシアの場所なのじゃああ!!」


 半ベソから号泣に変わると、さすがの母も「あらら…。」と言って苦笑いをしてしまった。やはりまだ厳しく接しきれないようだ。


「シア様、でしたら3人一緒にお座りになるのはいかがですか?陛下がちょっと大変かもしれないけれど、それなら仲良く座れると思いますよ。」


 セーラが微笑みながらシアを説得すると、シアは涙を拭きながら「それならゆるす。」と、どうやら妥協してくれたようである。そしてイズナとハヤテも抱き上げられて、ユーヤの膝の上に納まるのであった。


「セーラありがとう。良い案を出してくれたね。」


 と云うと、ユーヤは3人を乗せたままセーラの頭を撫でるのであった。それを眺めながら、母は少し不服そうな顔をテーブルの向こうでしている。


「なんでセーラの言う事は聞くのに、私の云う事は聞いてくれないのよ。」


 とブツブツ言っているようだ。これには乳母達もクスクス笑っていた。


「それは普段の姫の行いが悪いからですよ。」


 いつものようにマリオンの後ろに立ったエクステリナの言葉に、マリオンは苦笑いを浮かべている。


 そしてシアと双子を膝に乗せたユーヤの元に、今度はワダツミを抱いたおカジが寄って来た。


「あ…もう定員オーバーでしたか…。」


 おカジは笑ってはいたが、心底残念そうである。それを見てシアもちょっとだけお姉さんとして考える。


「ワダツミはシアがだっこして、パーパがいいこいいこすれば良いのじゃ。」

「え?シア様いいんですか?」

「よいのじゃ。おかた様、ワダツミをかしてたもう。」


 気付けばユーヤの膝上は大変な事になってしまっていたが、そんな状況に皆は幸せを噛み締めているようだった。


 そんな膝上戦争を横目に、ウテナとサクヤはマザーとジャンヌと共に語らっていた。


「学校の方は大盛況でね。なにしろ平民は学費免除なんで、結構問い合わせが凄かったのよ。」


「ふむ。しかしソレナ様、それでは経営が立ち行かないのでは?」

「そこはそれ、貴族の庶子もいるので…。」

「なるほど、取れる処からはがっぽり取っているのですね。母様(かかさま)。」

「ウテナ!言い方!!」


 サクヤの問いに返したマザーに、ウテナがオブラートに包まずに発言したものだから、ジャンヌは苦笑いをしつつツッコんでいた。


 そうして、こんな状況が早く日常になる日を思い、それぞれが再び胸に、一刻も早い魔神討伐を誓うのであった。

最終決戦前の家族へのご挨拶回でした。

キャラクター(嫁)を増やし過ぎたので

一旦整理する意味合いもありました。

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