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リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第5章 ―オーガ大陸激闘編―
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第九拾七話 竜人族

 サラマンドラとの戦闘の後意識を失い、2日ほどで目覚めたユーヤであったが、更に安静を余儀なくされる。それに伴い、ヨーンとベルドが話し合い王不在のままの進軍を決定する。


 そして次に目指すは、第一拠点にほど近いエリアであった。


『この作戦行動は、倒れられている陛下には知らせていない。各員陛下を落胆させる事のないように行動してくれ。以上だ。』


 ユーヤ達を第一拠点に搬送した後に、リンドバウム号とコンゴウ丸、そしてガリアン号とマジンゲル号が続いた。リンドバウム号とガリアン号は連戦に近い状態ではあるが、ヨーンもベルドもユーヤに極秘での作戦を立ち上げたが為に、休むわけにはいかなかったのだった。


 エリアに近づくと、まずは鳥人魔族がお出迎えをする。テンゴウを隊長とした機鋼甲冑隊が、その掃討に向かう。


『プテラスを倒したと云うのに、こやつ等は未だに健在なのだな。』


 そう言うテンゴウに対して、マジンゲル号のライガが告げる。


『まだ裏切り者の種族は残っていますからな…。竜人共が…。』


 2000年前の戦役に於いてラウズ大陸を裏切り、魔族側に付いた最初の種族。それこそが竜人族であった。元々鳥人達と共に生きて来た部族であるが故に、鳥人達もその後を追ったと思われる。


 魔導砲の一斉射撃のあと、陸戦隊と共にライガも地上に降り立った。


 今回は槍働きが少なく嘆いていたライガの為の作戦とも言えた。陸戦隊を主力とした行軍である。海洋からはカラシン改やダイワ改などからの援護射撃も飛び交っていた。


「海と緑に囲まれた楽園か…かつてあったと聞く竜人と鳥人の村のようだな。」


 ライガはそんな事を口走る。そしてライガ用に作られた大型魔導バイクが疾走する。後部にあるタンクのような物が起動すると、そこからガトリング砲が両脇に2門接続された。


「ふふふ…こいつはいいな。俺好みだ。」


 魔族を発見するや否やガトリングを乱射し、そして大刀を振るう。オートバランサーも装備されているため、ちょっとやそっとの動揺では倒れないように出来ていた。


 後続の獣騎士団もバイクに跨り、その爪や武器を振るっている。そうして突き進むライガ達の目の前には、どこかラウズ大陸の建築様式に似た城が見えて来ていた。


「ふむ。フラグだったかな。先程のテンゴウ殿との会話は。」


 そんな事をライガは呟いていた。そして、いかんいかんと首を振る。すっかりリンドバウム王家の影響を受けている自分に気付いたのだった。


「将軍、如何されましたか?」

「何でもない。気にするな。」


 そう言いながらライガは苦笑する。


 ――しかし、おかしい。あれが竜人族の城だとして、何故竜人が一人も現れぬのだ?ひょっとしてプテラスの城か?


 そんな自問自答をするライガの目の前に、巨大な戦斧を携えた、お待ちかねの竜人が現れる。


 その戦斧とは対照的に、その持ち主の線が細く見える。女性であろう。美しい顔や肌の所々に鱗が見える。そして強靭な尻尾も窺えた。その背中には翼竜のような翼が生えている。


 その姿を見つけたライガは、バイクから降りて名乗りを挙げた。


「我こそは獣人族の長、クーガーが長子ライガ。間違いがなければ、お主は竜人族の者と見た。名を名乗れ。」


 その竜人の女は目を閉じてそれを聞いていた。そして目を開けるや跪く。


「申し遅れました。私は竜人の王、ドラクーンが長女セイレイと申します。此度の戦は我が父の望む処ではなく、その使者として参りました。」


 そう言うや彼女は立ち上がり、その周囲に居た魔族を戦斧とブレスによって消し飛ばしたのだった。


「なに?貴様らはラウズを裏切った民であろう。それが何故今更!」


 ライガは警戒しながら、少しずつ歩を進めた。


「はい。確かにその通りで御座います。しかし父ドラクーンは先代や先々代達とは違い、ラウズとの和解…いえ、新生リンドバウム連合国との和解を考えております。」


 そう告げながら彼女は、更に周辺の魔族を薙ぎ払って行く。


「ではこの鳥人共はなんなのだ!!」


 ライガも魔族を薙ぎ払いながら進む、そして二人は背中合わせとなっていた。


「魔神様の配下です。よく城の方をご覧いただければお判りになるかと。」


 そう告げられライガが城の方をよくよく見れば、鳥人達は竜人城をも攻撃していたのだった。


「状況は解った。我のみでは返事の仕様もない。取り敢えずあれの後ろに乗ってくれ。」


 ライガはそう言うと、バイクに向かって顎を杓った。セイレイ王女はそれを理解したようで、ライガと共に魔導バイクへと駆けるのであった。






 ヨーンもベルドも顎に手を添えて思案している。ライガもまた腕組みをしつつ思案していた。


 ここはリンドバウム号の中である。この件を知ったヨーンは、一旦退避する事を選んだのだった。そして今はミハイルとジードに周辺の警戒を頼み、リンドバウム号に彼等は集まっていたのだった。


「罠であると疑われる事も覚悟の上で赴きました。それ程に2000年前の因縁が深い事も理解しております。」


 機動性重視と云ったところか、彼女の装備は革鎧の簡単な物であった。肩当てなどには幾つもの傷の跡がある。肌もよく見れば、その白い肌に薄っすらと傷が見える。竜人故の身体強度によって、その程度で済んでいるようだった。


「わかりました。現在我々も王が重傷を負い、人手が欲しい処です。貴女を信じましょう。」


「ヨーン、しかしこれは…。」


 ベルドは否定的のようだった。ライガは…。


「ですな。あの状況はどうやら竜人を裏切り者として処分しようとしていたと理解しよう。」


 ベルドもヨーンも意外であったのだろう、目を瞬いている。セイレイ王女は深く深く頭を垂れていた。


「では、竜人族の城の防衛に赴きましょう。」


 ヨーンは気を取り直して皆に声をかける。ベルドはやれやれと云ったような表情であったが微笑していた。ユーヤがいなくとも、リンドバウムのやり方は変わらないと云う事である。


 ――降伏して来た者、或いは救いを求める者には手を差し伸べよ。


 それがリンドバウム軍の指針である。






 機鋼甲冑隊と飛空艦隊が城を襲う鳥人魔族を焼き払い、陸戦隊が地上の魔族と交戦する。その一団の中にセイレイ王女も参加している。彼女のブレスによって、次々と魔族が焼き払われる。


 そしておおかたの魔族を打倒すとようやく城門が開かれ、そこから一人の紳士を先頭に竜人族達が列を成して出迎えた。


 その紳士こそが、七大幹部の一人竜人王ドラクーンであった。


「此度は大変に助かりました。我々はあなた方を歓迎いたします。」


 口髭を生やしたその紳士…ドラクーンは、見た目には30代ほどに見えた。しかし、エルフ同様に長命な種族故、見た目に騙されてはいけない。


「この度はこちらは王不在であり、誠に申し訳ないが我…元ベルツ帝国皇帝ベルドがお話しを伺いましょう。」


 そう言ってベルドが右手を差し出すと、ドラクーンは快く握手を交わしたのだった。





 一応の警戒のために、話し合いは城門前にテーブルや椅子、そしてテントを張って行われた。


 そしてドラクーン王の話しによれば、今この城に居る竜人達が最後の純血なる竜人であり、毎年その血を寄越せと年若い娘達は魔軍に搾取されていた。


 そんな状況を憂いていた王の耳にリンドバウムの噂が入る。かつての故郷に新たな救世主が誕生した。そんな噂を聞いた王は幾度か接触の機会を窺っていたらしいのだが、巧く行かず、遂には魔神に知れる事となり今回の襲撃があったようである。


「諸君らが我々を信じきれない気持ちも判る。故にこちらもその証としてこの大陸にある砦や城の配置を描いた地図を差し出し、次の戦ではその先頭に立ちたいと思うのだ。」


 ベルドもヨーンも腕組みをしたままである。事が事だけにユーヤにこのまま黙っているわけにもいかないのだ。


「……信じましょう。しかし本来の決定権を持つ者の回復を――」


 その時、テントの真横にズドーーンと音を立てて紫色の巨人が降り立った。イザナミである。


「げ!ウテナ様?!」


 しかしそこに降り立った人物は、ウテナではない。青い鎧を身に付け、腰には聖神剣マリオネートを帯びていた。


 そう、リンドバウム王ユーヤ・クノン・アレクソラス・ゾル・サーティンである。


 頭には包帯が巻かれたままであった。鼻には絆創膏も貼られている。


「ウテナ、それにイザナミ、ありがとうな。」


 そう言いながらユーヤは、イザナミの手の平から飛び降りたのだった。


「陛下!何故ここに!!?まだ絶対安静の筈じゃないですか!」


 ヨーンがそう叫ぶとユーヤは「悪い悪い」と頭を掻きながらテントの中へと入って来た。そして、『陛下』と云う言葉に反応したドラクーンは臣下の礼をとる。


「勇者王様、この度の直々の御来訪、誠に感謝いたします。」


 そうして頭を垂れるドラクーンの肩にユーヤは手を添えると、優しい表情で告げた。


「詳細はわからないが戦神から聞いている。前回アイリスの国譲りの件を黙っていた償いだとか言ってやがったがな。」


「な!?戦神様が神託を下されたのですか?」


 テンゴウが立ち上がった。ヨーンとベルドは「なるほど」と、納得している。


「ああ、サクヤの体を使ってね。それでまあ主治医がうるさいんで、ウテナのニンジャマスターのスキルで逃げ出し…いや、飛び出して来たのさ。」


 ヨーンとベルドの目がジーっとユーヤを見る。それこそ生温かい目で。


「そんな目で見るなよ!話しが拗れて戦闘にでもなったら大変だから、行ってこいよと戦神も言ってたんだよー!」


 顔を赤くして非常に言い訳がましいユーヤに、竜人族以外のメンバーが冷たい視線を送っている。


「はいはい。もういいです。どうやら戦神様のおかげで完全回復してらっしゃるようですし、どうぞお座りください。」


 そう言ってヨーンは自らの席を明け渡した。こんなやり取りを竜人達は目をパチクリして見ていたのだった。

予想はしていた事でしょうが、七大幹部の一人は竜人族でした。


そして、辞典の補正の為に本編を読み返していて

以前戦神がツクヨミの呼び出しに対して

「奴には知らせておこう」と言っておきながら

全然知らせていない事に気付きまして

ここで告げさせると云うアホな伏線回収をしました。


すーいーまーせーん!!

ごめんなさーーーーい!!m(_ _)m

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