オリジナリティ溢れる小説を書きたいのにどうしても他作品と設定がかぶってしまう話
皆様、はじめまして。なろうに異世界転移系小説を投稿しようと現在執筆中の箱見烏です。
「ならその小説出せよ」と思うでしょうが、記念すべき初投稿は御覧の通りエッセイとなってしまいました。
作者が書いている異世界冒険譚ですが、実はその小説を書き始めてから半年ほど経っています。
しかも最初に考えていたものとは世界観も人物も状況も主人公も物語の最終目標すら何一つ同じではありません。もはや別の物語です。
では、なぜこうなってしまったか。
それはタイトルにもある通りなのですが、『オリジナリティを出したいのにどうしても他作品と設定がかぶってしまう』からなのです。
私はそのことにずっと悩んでいましたが、最近は半分仕方ないことだと思うようになりました。
というのも小説というのは、要は「作者の好きな設定や場面を詰め合わせた妄想」なのです。
「こういうキャラを登場させたい」「こういうシーンを書きたい」「こういう敵を殺したい」「こういう娘とイチャラブチュッチュしたい」「絶望させたい」。
思う存分自分が好きなように作った物語。
もちろん、「売れたい」「評価されたい」という思いも多分にありますし、むしろそっちのほうが強いという方もいるでしょう。
しかし生活のために仕方なく小説家になるしかない、という人は聞いたことがありません(もしかしたらいるかもしれませんが)。根本は「自分が考えた物語は面白い」ので「だれかに評価してほしい」というもののはず。
当然、自分がおもしろいと思う作品には自分が好きなものがこれでもかというほどに詰め込まれています。
しかしとりあえず書き終わった後、読み返してこう思うのです。
「あ、これ見たことあるわ」、と。
そしてよくよく考えてみると、自分が考えたキャラクターの「能力」「性格」「環境」「目標」「体質」「性癖」「技術」。そのほぼすべて「なんかどっかで見たことあるやつ」なのです!
……虚しくなります。
別にワザとやったわけでもないのに、罪悪感で目線を泳がせてしまいました。誰にも責められてないのに。
そのうえで自分が考えたものより圧倒的に「書籍化・漫画化・アニメ化している作品のほうがおもしろい」んです!!
そりゃあそうです。金もらえる作品なんですから。
しかし作者はとにかくオリジナリティあふれた作品を書きたかった……!!
ここから作者の苦悩の日々が始まります。
まず、漫画をこれまで以上にたくさん読み始めました。
オリジナリティを出すためにはそもそもほかの作品を知らなければなりません。いわば参考資料です。
そして知れば知るほどかぶっている設定。
『ケンガンアシュラ』の主人公の奥の手と、とある謎の一族の歴史と体質! 『呪術廻戦』の主人公の相棒のお父さんの強さの秘訣! 『都立呪術高等専門学校』の暗躍するラスボスの恐るべき能力! 『武装少女マキャヴェリズム』の最速不可避の必殺技! 『恋愛感情のまるでない幼馴染漫画』のヒロインの可愛らしい性格! 『終末のワルキューレ』の人類最古の眼! 『魔法少女プリティ ベル』の将棋上手いやつの圧倒的戦闘力! 『TSUYOSHI』の空手家と戦いにて勝敗を喫した最後の一撃! 『浅草鬼嫁日記』の主人公とヒロインの気になる秘密!(※ネタバレ防止のため表現をぼかしています)
マジかよぉお……っ!
マジです。本当なんです。
嘘でも誇張でも冗談でもなく、本当に知らずにこれだけ被っていました。
これまで知らなかった漫画だけでパクリと言われそうなものがこれだけあったのです。書き溜めた全32話の中で、調べた(楽しんだ)だけでこれだけあるのです。
それを変更し、違和感ないように修正。それらを繰り返すうちに当初の物語とは全く別物になりました。
しかしそれにとどめを刺すかのような『鬼滅の刃』のラスボス最終形態ッ!!(2020年 2/21現在)
これをこのまま出すと鬼滅のパクリタグ付きで晒されてしまう……!!
どうしたらいいんだ、どうやったら解決できるんだと悩みに悩みまくっているその時でした。ふと、こういう考えた浮かんだのです。
「もう異世界ってだけでパクリじゃね?」、と。
この時やっと、自分が考え過ぎていることに気づきました。
とてつもない虚脱感に襲われました。ばぶー。
確かに、似ている描写はありますし、考えている必殺技や能力とダダ被りしていました。
しかし描写は作風が違えば全く同じ状況でもない。必殺技や能力は理屈や使い時、威力が全く違います。
よく思い返してみれば、「能力無効化」に「超怪力」、「超人的な動体視力」「複数能力」「単純で強力なビームや斬撃、衝撃波」など、似たような能力はたくさんあります。
しかしどれもパクリ炎上したのを見たことがありません。
鬼滅の刃がジョジョと似てると言われても炎上してません。なんなら無惨とDIO戦の考察が立っていました。
どれだけ呼吸を使おうと、日に当たれなかろうと、人の血肉を食らおうと、心理戦を繰り広げ、かっこいいセリフを吐こうと、ジョジョと鬼滅は別物なのです。別物の面白さなのです。
つまり、あれぐらいじゃ炎上しない!? 似ているとは言われてもパクリとは言われないのでは!?
要は使い方とそこに至るまでの過程や結果、セリフや名前など、それらが同じじゃない限りパクリとは思われない、という周りの常識人が当然のようにわかっていたことを、ここにきてやっと理解したのです。
ここまで書いたところで、なろうで「パクリ」をエッセイで検索したら15作品も出てきました。
パクリについてエッセイを出している人は少なくともこれだけいて、このエッセイと同じようなことを語っている人はもっとたくさんいることでしょう。
でもいいのです。
なぜならこれはパクリでもオマージュでもなく、自分が考えて書いたものなのですから。
盗作は間違いなくしてはいけない行為で、その気もないのに炎上してしまうことを事前に防ぐ。これは当たり前だと思いますし、作者自身、これからも気を付けていこうと思っています。
ですが、気にしすぎもダメなのだと、この半年で思い知りました。
大切なのは中身。分類も必殺技もパクリでなければかぶっていてもほとんどの人は気にしない。むしろ一番気にするのは作者自身なのだと。
自分の好きな物語を書いていこう!
そしてもう一つ大切なのはモチベーション!
ということで、評価と感想、一言だけでもいいのでよろしくお願いします!