ぼくは悪魔
オギャー、オギャー……
「こんな真冬に赤ちゃん!?…かわいそうに…よし!オレがこの子を育てよう!」
………
「松ちゃーん、はやく病気治してよ〜」
「愛ちゃんの頼みだから頑張って松ちゃん治すよ〜」
このおじさんは、松 大次郎。ぼくの父ちゃんだ。ぼくの名前は、松 愛。小学1年生。ぼくは父ちゃんのことを「松ちゃん」と呼んでいる。何の病気かぼくは知らないけど病院にいるらしい。
「松ちゃん、そろそろ学校いってくるー」
「おう、頑張ってこいよ!!」
「それじゃあ松ちゃん行ってくるわね」
このお姉さんの名前は、松 奈那子。松ちゃんの妹らしい。ぼくと一緒に暮らしている。いつも奈那子お姉ちゃんと病院にいく。
………
キーンコーンカーンコーン…
学校が終わった。
「愛ちゃーん、帰るわよ〜」
「はぁーい!」
「今日はちょっと寄り道をしてくけどいいかな?」
車を運転しながら言った。
「うん!」
キキィーン
車を停めた。
そこは墓場だった。
「ここ?」
「うん、そうよ」
ぼくは奈那子お姉ちゃんのあとをついていった。
男の人がいてその人が帰ってくるときすれ違った。
「今の人誰だろ…けっこうかっこよかったわね」
「う、うん」
ぼくは誰が亡くなったのかよくわからないけど、奈那子お姉ちゃんのマネをしていた。
………
病院に戻った。
「愛ちゃんおかえりぃ〜〜!!!」
「ただいまぁ〜〜!!!」
「今日は愛ちゃんに松ちゃんからプレゼントがあるんだ、はいこれ!!帽子!」
「わあ〜、ありがとう松ちゃん!!!!」
なんだか変な帽子だけどうれしかった。
「今日からぼく松ちゃんと一緒に寝るー、いいでしょ奈那子お姉ちゃん?」
「いいわよ」
ニッコリ笑って返事してくれた。
「松ちゃんのイビキがなきゃ眠れないぜ」
「この!…あははは」
松ちゃんはうれしそうだった。
………
夜になった。
グガアアァァー…グォォオオオ―…ガガガガァア〜…
松ちゃんのイビキがうるさくて眠れない。
ぼくは帽子をかぶった。
帽子を反対にしてみた。
ビビ…ビビィ…ピピー…
「あ…愛…聞こえる…?……お母さ…」
ビリィィイ…ビビィィ…ピピピピー…
「あ…お母さん!?どこにいるの…?」
ピピィィイイ…ビビッ…
「あ…、声が聞こえなくなった…なんだったんだろう…お母さん…の声?」
………
夜が更けた。