異世界
「あ?おい、お前だれだ?」
俺は今知らない街の路地裏で、不良に絡まれている。否、自ら絡まれに行った。
だってしょうがない。路地裏で可愛い女の子が、男に絡まれていたのだから。
「あ?お前やるのか?」
「あ、いえ~ね、あの~ね、うん。女の子に手を出すのは、あんまりよろしくないな~って思いましてね~」
なんとか平和に終わらしたい。だって、まともにやりあったら勝てないもん。あんな強そうな顔しているやつ。
つか俺何で知らない街にいるんだ?昨日は外出してないのに。こんなリアルな街の造りは、夢じゃないし。ま、考えるのはこの少女を助けてからにしよう。でもどうやって助けよう。
「あ?お前には関係ないくせに偉そうな口聞いてんじゃねえぞ!あぁん?」
「いやぁ、まあ関係ないんですけどね、アンタみたいなヤバい顔して実際ヤバいことやっている奴から、女の子助けないって男として終わりでしょ」
瞬間男に殺意がわいたのが分かった。
「お前舐めてんのか!?」
これは実にマズい俺はこいつに勝つ術を持っていない。仮にこいつがナイフを取り出したら、俺は終わる。そして、この少女もひどい目にあわされる。
「え?あ、いや別にアンタを舐めたりバカにしたりしませんよ」
「とりあえず、お前は引っ込んでろッ!」
男が飛びかかってきた。俺はそれをギリギリで躱すと、すれ違いざまに足を引っかけた。
男はうまく受け身をとれなかったのか顔をおさえ、両膝をつき蹲っているところに首筋に思いっきりかかと落としをお見舞いしてやると男は、気絶した。なんだこいつこんな顔して弱いのかよ。
「大丈夫?名前は?」
俺は男に絡まれていた少女に声をかける。
「ええ、大丈夫。ありがとう。アタシは、トリサ・エーミ。あ、故郷は、隣のエルザ国よ。リサって呼んでね。あなたは?」
「俺の名前は、相浦弦馬だ」
「出身はどこなの?」
この質問には答えることは出来ない。だってこの世界の国名知らないもん。適当なこと言うとバレそうだしどうしよう。
「ごめん。実は俺名前と性別以外の記憶を、失ったからここがどこなのか、うまれがどこなのか分からないんだ」
俺はバレる可能性の低い嘘を吐いた。記憶喪失以外ほぼ事実だし、おそらくバレないだろう。
「だから、この国の国名を教えてほしいんだけど」
「え、えーとね。この国はシリウス王国よ。ところで、どこに住んでるの?」
「あ、え~と。今目を覚まして名前以外何もわからなくて…」
「ならアタシが、借りてる宿にこない?」
「あ、でも俺、金持ってないんだけど…」
「ん~、ならアタシと一緒に明日ギルドに登録して、そこで依頼をクリアして稼ぎましょ」
ギルド?ギルドってあれか?掲示板に貼り出された依頼書から、依頼を選んで受付に出して依頼クリアして金貰うってやつか?
「でも今日の分の宿代が…」
「それならアタシが出すわ」
「え、それは悪いよ」
「今助けてもらったから、これで貸し借り無しって考えは出来ないの?」
なんか、逆ギレに近くねこれ。まあ、悪い話じゃないし一泊分出して貰うか
「じゃあお願い」
「じゃ、宿に行きましょ」
よし、これで仕事と宿ゲット!
ラッキー!