新たな生活の準備
10月からの新たな生活に向けて、それぞれの準備が始まった。
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田中優弥は大学の夏休み中。
夏はコ○ケにコスプレをしに行った。
男の娘コスプレイヤーとしてSNSのフォロワーも多い。
「今回のコ○ケで引退します!」
男の娘から女の子になる決意だった。
もちろんコスプレは今後も続ける。
だけどそれは「男の娘」ではなく「女の子」として…
コ○ケの3日間を全力で過ごした。
色んな人とコス合わせもできたし。
8月下旬、優弥は実家へ行った。
恐らく優弥として行くのは最後になるんだろうな…
実家にいる間、女の子になることは誰にも言わなかった。
大学を辞めることだって言わなかったんだし…
関東に戻った9月上旬。
優弥はホルモン治療を始めた。
早めに始めたほうがいいというアドバイスがあったからだ。
大学にも退学届を提出した。
いよいよ優弥としての生活から別れる時。
そうだ…名前はどうしよう…
優弥から1文字とって「優希」にしよう。
「希」は「希望」の「希」。
これから希望のある人生にしたい。
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立花梨花こと貴志は、姉の梨絵に10月からのことを伝えた。
「梨花がいいなら、それでいいと思うよ。
私はいつでも梨花の味方だから。
早く姉妹2人で海とか行きたいよねーーー」
梨絵とは定期的に会っていたし、お店のことも色々と話してきた。
だからこそ梨絵は妹(弟)の判断を尊重した。
「JKとか人生で一度しかないんだから大事にするのよ!
合法的に制服を着られるなんて、高校を逃したらもうないんだからっ。」
「今後一緒に制服デートしようよ(笑)」
「あたしもう22だよ?
もう犯罪でしょ(笑)」
「いいじゃん(笑)」
「デートって彼氏彼女じゃないんだからさ(笑)」
「だったらわたしが高校に入ったらすぐ行こうよー。
そうしたらまだ形式的にはデートってことにできるよ(笑)」
「梨花ったら(笑)
んじゃわかったよ。
あたしも歳取る前に早めにやらないと制服が似合わなくなるしね(笑)」
お店には9月で辞めることを伝えた。
梨花の指名客もだいぶ増えていて辞めないでくれと言われたが、
最終的に梨花の決意を受け止めてくれた。
このギャル風のメイクともおさらば。
これからは自然体でありたい。
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藤原健人は夏休み中にホルモン治療を始めた。
学校は2学期が始まって、9月の半ばまで行くことにした。
10月から来年2年生となるいわば先輩たちと一緒に研修を受けることに。
もちろんこのことはクラスの誰にも言ってない。
況してや自分が女の子になるってことも…
「健人、お前転校しちゃうのか」
そう話しかけてきたのは菅野達也。
達也とは小学校からの幼馴染だ。
「せっかくお前とずっと一緒だったのに…
なんか寂しいな。」
「死ぬわけじゃないんだしさー(笑)
達也には今まで色々とお世話になったよ。
ありがとう!」
「…なんだよ、お前こそ死ぬ訳じゃないんだぞ!?」
藤原健人として達也に接するのも最後だし…
ある意味、健人が死ぬのは正しい訳だし…
今の生活の中で心残りと言えば、達也のことくらい。
だってずっと一緒の学校だったんだし…
元気でいてくれたらいいな。
私は新しい生活に向けてがんばろっと。
早く胸が出てきたらいいなー
新しい名前どうしよ?
これからは華やかな人生にしたい。
「彩華」ってどうだろ?
藤巻彩華
これにしよ。
あとから両親にも伝えないとっ