新たな出会い
いよいよ鳳鳴女子高校への準備が本格化する。
鳳鳴女子高校の校舎は、廃校になった公立中学校をそのまま買い上げリニューアルした。
学生寮と屋内プールを新たに建設し、環境を整えた。
現在の表向きは「山田学園大学 第三キャンパス」としているが、
来年4月には「学校法人山田学園 鳳鳴女子高等学校」の看板に変わる。
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10月1日、いよいよ研修が始まる日。
各自は集合時間までに受付を済ませる。
その際に受付であるものを渡される。
それは鳳鳴女子高校の制服だ。
一足早く彼女たちには制服が支給される。
これから始まるJK生活を盛り上げるためでもある。
「式には制服で参加してもらいますので、更衣室で着替えてきて下さい」
田中優弥改め優希は受付を済ませて、更衣室の部屋へ向かった。
すると部屋で着替えている人が居た。
「お邪魔します」
「あっ、はいどうぞ~」
「あなたも鳳鳴女子ですか?」
「そうよ~
あたしは立花梨花っていうの。
よろしくね~」
「田中優希です。
これからよろしくお願いします。」
「そんな固くならないで~
これから一緒にここで過ごすんだし~
普通に梨花って呼んでね」
「あっ、じゃあ…梨花よろしくね。」
「優希よろしく~
なんか凄いお化粧慣れしてる感じだけど、
普段からお化粧とかしてたの?」
「普段はあんまりだけどコスプレとかしてて…」
「コスプレってどんな~?」
「女の子のキャラクターとか。」
「いいないいな~
今度あたしにコスプレ教えてくれなーい?
一度やってみたかったんだよね~」
「いいよー」
「あたしこの間までギャルメイクばっかりで
あんまナチュラルメイクっていうか
そういうのに慣れてないんだよね~」
「なんでまたギャルメイクだったの?」
「お金稼ぐために夜のお店で働いてて~。
いわゆるニューハーフってやつ。
ほんと体を使ってお金を稼いでたって感じ。」
「だから初めての人でも普通に話せるんだね(笑)」
「お客さんとの会話が成り立たないと商売できないからね(笑)
でもここに来ることにしたから足は洗った。
だって女の子になりたいのにそれがなんか違うって思ってたし。」
「なんか…大変だったね」
「そんな暗くならないでよー
ここで会ったのも何かの縁。
優希はもう友達だからね!
女の子になろうね!!」
「う…うん!!」
二人は着替える手を止めてすっかり話し込んでいた。
「あっ…もう少しで時間じゃん梨花!」
「やば~早く着替えないと」
早速支給された制服に着替える。
紺色のセーラー服だ。
「初めてのセーラー服…なんかドキドキするねっ」
「優希チョーかわいいー」
「梨花だってお似合いじゃん」
「二人並んで写メ撮ろ!!」
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藤巻健人改めて綾華は早めに学校に来ていた。
制服に着替えて校長室へ向かうと、山田理事長と制服を着た子が居た。
「おはよう。
藤巻さんにはまだ言ってなかったんだが、
もうひとり来年から1年生で通う子が居るんだ。
つまり同級生になるってことなんだけどね。
樋口麻友さん。
これから一緒によろしく頼むよ。」
「はじめまして。
樋口麻友っていいます。」
「藤巻綾華です。
これからよろしくね!」
「藤巻さんと樋口さんには来年度1年生として
学年を引っ張って行ってくれる存在と期待しているよ。
まだ式まで時間があるから、二人で色々と話しててくれ。
私はちょっと席を外すから。」
そう言って山田理事長は校長室を出た。
「藤巻さんはいつから女の子になりたいと思ったの?」
「いつからって訳でもなく…
気づいたら女の子になりたいと思ってた。
昔から女の子の輪の中にばっかいたし」
「私と同じだね…!
なんか藤巻さんと仲良くなれる気がする…!」
「藤巻さんって呼び方やめてよ。
これから同級生なんだし。
普通に綾華って呼んで!」
「わかった…綾華!!
私のことは麻友って呼んで!!」
「麻友!!
わたしたち今日から友達ね!!」
「うん!!」