学校だと、やっぱりボッチだよね? by筆者
テストの結果を聞いた翌日の朝、学年ごとの連絡版にテストの順位の1位から10位までの名前と点数が張り出されていた。
今回は基礎5教科と家庭科、保健体育、選択科目である美術と音楽のどちらか、総合、これら9教科がテストの対象だった。ただし、総合が合計点に入ることはない。
ちなみに、毎月行われるテストは基礎5教科が国語、数学、理科、社会、英語と中学の時と同じようなものになっている。授業は古文や現代国語など普通科と同じように分かれているが、テストの場合はすべてが合わさり、一つの科目として扱われる。
総合とはコンピュータや法律などいろいろだ。5人の先生がくじ引きで選ばれ、その先生の持っている趣味などのある意味専門的な知識が出題される。
例えば、アニメが好きな先生であれば『今期放送開始のアニメを3本書きなさい』といったものだ。
総合のテストも、1人の先生につき20点分の問題があるので、満点が100点のテストだ。
様々なことに興味を持ってもらうため、という理由から始まったとか。
ただし、内心にはほとんど響かない。担当した教員のテストが赤点だった場合は、多少点数が加算されるくらいらしい。
毎日がテスト週間のような学校でもあるので、普通はテストで満点が出ることはない。
まあ、私は全教科満点で、さぼれない教科は体育のみ。テストも夏休み明けまでは受ける必要がない。だが、総合のテストはなかなか面白く作られており、テスト当日にならないと受けることが出来ないので、そのテストだけは受ける予定だ。
1年生の連絡版に張り出された結果を見て、自分の順位と2位以下の成績を見た。
2位は800点中762点だった。
「ねぇ、中島君だよね? 今回一位だった」
誰かが話しかけてきた。
声がした方を向くと、女生徒が立っていた。比較的きれいな方だと思われるので、世間一般では美少女と呼ばれる部類に入りそうだ。
栗色のポニーテールと、大人慣れした作り笑顔が特徴的だ。
「私に勉強教えてよ。今度でいいからさ」
「嫌だ。めんどい。それと、誰だ」
「ありゃ? 野村 千晴って名前聞いたことない?」
「ない」
「同じクラスだよ?」
「そうか」
「……聞いてる?」
「もう行ってもいいか?」
「そうだね。じゃあ、行こっか」
女生徒が去っていく気配がしたので、私も教室に向かう。
自分の席に移動し、ラノベを取り出した。
ちなみに、私の席は最後列の一番窓に近い場所だ。
ここが最も人目に付かず、冬でも日光が当たるため、とても暖かい。
「あれ? 一緒のクラスだったのか」
「やっぱり、聞いてなかったんだね」
女生徒は肩を落としながら、そう言った。
「じゃあ、もう一回自己紹介からするけど、今度はちゃんと聞いててね?」
「はいはい」
そう言いながら、ラノベに目を向けようとすると
「き・い・て・て・ね?」
手で顔を挟まれ、強引に戻された。
「「「ちっ!!!」」」
鳥肌が立つほどの嫉妬心が向けられた。
周りにはこっちに目線を向けている生徒はいないが、ほとんどの男子が舌打ちをしていた。どうやら、周りにはこの女生徒がとても魅力的に見えるようだ。
私にとっては大人の中で育ってきたため、本心を隠し万人受けするように振る舞おうと努力している赤子だ。
この国に貴族制はないが、貧富の差により貴族のような家系もあるのだろう。
「野村 千晴、教卓の正面の席が私の席よ」
「あ~、野村さんね。よろしく~」
とりあえず、軽く流しておく。
野村 千晴、うん。覚えた。
「用件はこれで終わりか? それなら、本を読ませてくれ」
「勉強を教えて貰うのが私の用件。だから、宏輝君がラノベを読んでいると困るのよ」
おや? さっき、ラノベといったか? この本にはブックカバーを付けてあるので、表紙を見て判断することは難しいはずだ。
「……もしかして、これ、読んだことある?」
「うん。親戚に勧められてね」
なるほど。なら、この本がラノベだと分かっても不思議ではない。
「そこから、強すぎて喧嘩慣れしていないキャラクターと何度も喧嘩をしてきた主人公がぶつかって、主人公が周りのクローンの力も借りて勝つんだよね~」
こいつ、ネタバレを始めやがった。なんて卑劣な。
「あ~、詳しく話したいな~、もっと話したいな~」
チラチラとこちらに目線を送ってくる。
まあ、魔術を使えばネタバレなんて一切怖くはないのだが、
「勉強教えてほしいな~」
そんなこと知らない彼女は、言い続けている。
というか、そもそもこれを読むのは2回目なので、全部知っている。
「なあ、勉強を教えて、俺にメリットがあるのか?」
「……え?」
予想だにしない答えが返ってきた。とでも言いたそうな顔をされた。
たぶん自分の容姿は、男性に対して十分な武器になると認識していたのだろう。
確かにそうかもしれない。十分美少女と言える見た目に、それなりの胸、万人受けする性格。これだけあれば、普通なら頼みごとを聞いてもらえるだろう。
それに加え、勉強を教えてほしい、という事は、近づくチャンスでもある。普通なら、頼みごとを断られることはないだろう。
「べ、勉強場所は私の部屋でもいいよ?」
「必要ない。というか、放課後以外は予定がある」
「メリットはなくても、デメリットが……」
「この学校にはそこまで執着してないし、そもそも夏休みまではさぼることが出来るから、教室にいる必要がない。よって、いじめ等はデメリットに入らない」
「そ、その本の続きはね~」
「あ、今更だけど、これ2回目なんだ」
「……つ、付き合ってあげてもいいよ?」
「彼女いるからごめんなさい」
とりあえず、さりげなく頭部の拘束を解きつつ、頭を下げる。
「「「え!!」」」
野村さんではなく、周りの人から声が上がった。
「なんだよ。俺に彼女がいたら、おかしいか?」
「「「もちろん」」」
男女そろって、ほとんどの人にそう返された。
解せぬ。
あ、勉強会については、担任によってLHRの時間を使って行われることとなりました。
なんでも、教える立場になってみるべきだ、とか言ってた。
この世界の誰よりも長いこと教鞭をとってはいるが、それを証明する手段と、必要もないので、おとなしく従う事にする。
いい機会なので、どこかの黄色い怪物っぽく教えてみようかとも思ったが、香里に止められた。
みなさんこんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
宏輝君がボッチを脱却することはありません。
というか、させません。
次回からが、ある意味本編です。
今後ともよろしくお願いします。




