高校でもやっぱり……
私は高校で授業をボーっとしながら聞き流していた。
勉強をしなくても点は取れるので、問題はない。
嘉神川高校は私立で特待生制度があり、入試でも満点を取っておいたので、授業料は免除である。
さぼることを前提として入学しているので、親からの支援を受けるのは最小限にとどめておきたい。
未来を覗くと2年後くらいに弟か妹が出来るようなので、さっさとこの学校を卒業しておきたいものだ。
一応、高卒認定試験(通称 高認)を使えば、高校に通う必要もなく、17歳で飛び入学制度のある大学に入学することもできるが、そこまでしてステータスを作る必要もないので、やめた。
あと数日で今月のテストが行われるため学校に来ているが、ビックリするほどつまらない。
この学校の成績は上は驚くほど高く、下はあきれるほど低いので、遊んでいるような奴の大半がバカだったりする。
現在の授業は中学の復習だが、一部の単元を避けているようだ。きっとテストには、復習を行っていない部分を多く出すのだろう。
それぞれの先生の授業と性格を加味した上で、テストの予想問題を作ったらどれほど当たるのか知りたくなった。
当分は授業中に暇が出来ることはなさそうだ。
休み時間は一人で本を読んでいる。
◇◆◇◆◇◆◇
テストが終わった。
予想で作った問題は8割が同じ問題だった。
初めてのテストで8割があっていたとなると、夏休みに入るころには全て予想できるような気がしてきた。
ここまで来ると授業を受けていても、あまり収穫はなさそうなので、今日中に夏休み前までのテストを終わらせてしまおう。
話しかけてくる人がいない。この学校の校風だろうか。
◇◆◇◆◇◆◇
テストを受けた翌週の放課後、全ての教科で満点という結果が出た。これで堂々とさぼることが出来る。
だが、結果を聞き終わったあとで、先生が
「一つ聞くが、友達はいるのか?」
と聞いてきた。
ボッチだとでも言いたいのだろうか。
「います。彼女もいます」
彼女とは香里の事だ。
香里は中学でも成績が良かったので、そこそこの進学校に通っている。
今は月一で合って魔術を教えているが、二人で外に出ることも多いため、対外的には付き合っているという事にしている。
なので、ボッチではない。彼女持ちがボッチなはずがない。
「……そ、それはこの学校の中の友人なのか?」
先生がなぜか、胸のあたりを抑えながら聞いてきた。
この学校で友人と呼べる奴は……あれ?
「………………」
「やっぱりそうだろう。彼女も二次元ってオチなのだろう?」
「あ、いえ。彼女は他校ですがちゃんといますよ?」
恋愛としてではなく、契約としてだが、告白と了承という手順は踏んだので、一応恋人だ。
他の世界では、変な虫がつかないようにと両親が仮の婚約を結んだり、告白=求婚という事もあった。まあ、この世界では恋人という状態が存在するので、余計なことを心配する必要もなく、とてもありがたい。
「なんなら、写真でも見せましょうか? 一緒に撮ったプリクラがありますけど?」
言い終わってから、この先生がまだ独身で「婚活が大変だ」とか、愚痴を良くこぼしていることを思い出した。
授業中に何をしているんだろう……
「いや、いい。そんな、ことよりも君は、この学校でも、友人を作ったほうが良い」
「考えておきます」
とりあえず、そう答えておく。私としては本が読めればいいので、余計なお世話である。
余談だが、もし先生のHPが見えたなら、半分くらい減っていたに違いない。
私に彼女がいるという事でかなりダメージを負っていたように思う。
みなさんこんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。