暦
土曜日
香里の部屋にいる俺は外出の準備をするように指示を出す。
「終わったよ~」
「なら、行こうか」
香里を連れて、奈良にある魔術協会の支部に転移した。
◇◆◇◆◇◆◇
「ねぇ、宏輝、どうしてこんな場所に来るのぉ?」
「ここの方が都合がよかった。それだけだ」
俺は香里を連れ、支部の中に入っていく。
幸い香里には支部内で使えるレベルの魔術は教えていないので、暴れたとしてもすぐに取り押さえることが出来る。
「待っていたよ」
出迎えに来ていた京谷は、見知らぬ少女を連れ立っていた。
「急な用件で悪いが、見える奴は?」
「私の隣にいるこの子だ」
「初めまして。暦とお呼びください」
たぶん魔術師としての名前だろうが、特に問題はない。
「それで、どうだ?」
「残念ながら、不自然なよどみが見られます。それもかなり大きな」
大きな……ツリーに近づいているという事だろうか。
「それは、ここで軟禁している者達よりも、という事で合っているのか?」
「ええ、魔力量はかなり多いほうですが、それでも6割を超えているように思えます」
「そうか……」
「なあ、6割って言ったが、ツリー化は魔力がすべて淀むことが条件なのか?」
「はい。正確には9割を超えたあたりから変化が始まり、すべて淀んだ状態で完全なツリーになると思われます」
魔力の淀みを見ることが出来ないと、細かい検証はできそうにない。
すぐにでも新しい魔法道具を作り出したくなったが、先に香里をどうにかしたほうが良いだろう。
「すぐにでもこちらに移したいが、手続きなどの問題もある。どうにかならないか?」
京谷がそう聞いてきた。
この建物内にいる限りは淀みが増えるのを抑制できるのだ。利用しない手はない。
「俺の人形を使う。手続きは必要ない」
「法律的にも倫理的にもアウトなのだろうが、悪化してからでは遅い。おい、長期滞在用の部屋を用意しろ」
彼が周りにいた部下にそう指示を出す。
「すまないが、香里には一度眠ってもらうとしよう」
「え? ま……」
香里はなにがなんだかわからないという顔をしていたが、すぐに目を閉じ、力が抜けた。
俺は香里の身代わりを作り、それを香里の部屋に送った。
みなさんこんにちはyoshikeiです
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします




