手がかり
数日後、俺はベクトに来ていた。
「まさにファンタジーとしか言いようがない文明レベルだな」
研究所自体は壁に覆われていたため問題ないが、その周辺が大きな街と化していた。
そして、極端に魔法ばかり発達した文明となっている。
「もう少し、まともな発展をすると思ったが、設定をミスったか」
異様なほど魔物の類が多くなっているようで、その魔物はどれもピーキーな種族ばかりだった。
繁殖ばかりに特化した種族や、物理を受け付けないレイス系、魔法を無効化する種族、それらが、他の生物を良く襲うのだ。
魔物は一部を除き繁殖によって生まれるが、魔物と呼ばれるどの種族も黒くなっていた。
ツリーの下位互換という言葉がぴったりだ。
この世界の住人はそれらとうまく付き合いつつ生活しているようだ。
「人間も残っているし、特に問題はないか」
そう判断し、すぐに研究所の中に飛んだ。
中では異常と言える事態が広がっていた。
「どうして、こいつが生きているんだ?」
それは、連れてきたシード、猪だった。
研究所内のデータを調べると、この世界はすでに数千年も過ぎていた。
だが、猪はツリーにもなっておらず、そのままの状態で生存していた。そして、俺に対し、ケージに入れる前と変わらない態度をとっている。
モルモット達は特に問題なく、一定の個体数のみ生存し、繁殖、死亡していたことが記録から分かった。
まさに猪だけが、この世界の時間軸から取り残されているような……
「もしかして……」
俺の中に一つの仮説が浮かび上がった。
すぐに仮説の検証に移る。
「失敗したら、またシードを見つけ出さないといけないが、成功したら、今まで以上に警戒する必要が出てくるな」
俺はそうつぶやきつつ、猪をマジックボックスの中へ直接入れ、そして同じ場所へ取り出した。
マジックボックスは中の時間軸がこの世界と極端に違うため、普通は生物を入れると、そいつの精神が崩壊する。運が悪いと死に至ることさえある。
そのため複雑な精神を持つような生物は絶対に入れてはいけないとされている。
もちろん、通常の猪もそれなりに複雑な精神を持っているため、そのまま入れてしまえば死に至る可能性がある。
だが、出てきた猪を見ると、
「まさか、こんなことがありえるとは……」
俺を警戒していた。
精神が壊れてしまえば、まともに行動することが出来ない。まして、敵対することはありえないと言ってもいいだろう。
そこから導き出される答えは、
「精神耐性の大幅な向上……」
予想した限り最悪の答えだった。
この性質がこのシードだけでなく、全てのシード、ツリーに当てはまるとすれば、ほかの世界から直接ツリーを持ち込むことが出来るのだ。
あの世界でも、元の世界でもツリーをほかの世界から移動させてきているようには思えない。
だが、他の世界からドラゴンのような現代の人が勝てるかどうかわからないものを連れてこられたら、それこそ一瞬で世界が滅ぶだろう。
思い返してみれば、ヒントはあったのかもしれない。
それも、一番最初の あの世界 で既に気が付いて当然だったのだ。
まだ大きな被害は出ていないが、もし最悪が起これば、それは俺の失態とも言えるだろう。
俺はすぐさまベクトから元の世界に飛んだ。
みなさんこんにちはyoshikeiです
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします
数話ほど書き溜めが出来ましたので、連日投稿が出来ると思います。
次回の投稿は3月18日午前10時です




