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シード

 再度石を調べてみたものの、侵略者であるベクドの手がかりを見つけることが出来なかった。

 主にベクドは世界を渡ると、その世界に生息している生物に憑く

 ベクドの憑いた生物はシードと呼ばれ、一定の潜伏期間を終えると他の生物を襲い始める。

 潜伏期間を終えたシードは、ツリーと呼ばれていた。そして、ツリーとなった生物は、あの犬のように半霊となる。そして、ツリーに襲われた生物は、新たにシードとなる。

 なお、ツリーを倒すと魔力などとは全く別の、世界に干渉することのできるエネルギーの入った石が残ることがある。その石は界石(かいせき)と呼ばれていた。

 ベクドとは、まさにウイルスのようなものだ。

 あの世界では魔術を使い、ツリーを倒す方法はあったが、シード化した生物からベクドを方法はなかった。


「この世界にベクドが出現するとはな」


 魔術が全く浸透していない世界で、物理攻撃の効かないツリーを倒せるとは思えない。魔術を広めるか、その前にすべて倒すか。

 方法としてはこの二つだろう。

 だが、後者はかなり厄介だ。

 そもそもシードを探す方法がない。

 ツリー化すると膨大なエネルギーを消費し、存在自体が変化するので、探査魔術にはかかりやすい。しかし、シードは憑かれる前と比べても一切変化がないので、見つけることが出来ないのだ。

 ゆえに、ツリーに攻撃され、その場で憑かれたことを確認できないと、シードかどうかを判断できない。

 ただ、前者も難しい。文明自体を破壊する危険性がある。

 俺は過去に一度だけ科学文明に魔術を広めたことがある。

 その世界には一切魔術とのかかわりがなく、この世界のように技術が廃れていたり、創作の中に存在していたわけではない。完全に未知の技術を広めてしまったのだ。

 結果、その世界の文明は飛躍的に向上した。ただし、文明の統一という副作用を伴って。


「この世界はまだ、創作の中には魔術があるし、一応使用されていた形跡がある」


 たとえ広めたとしても、この世界が滅ぶという事はないだろう。

 だが、問題はその手段だ。適当な教え方だと、術者を壊す危険性がある。

 それに加え、中途半端な技術の提供は、それこそ世界をも滅ぼすかもしれない。


「どうにかして、全世界にツリーを倒すための手段を一斉に広められないものか……」


 そう呟くが、周りに人はいなかった。


 俺は引き続き、界石について調べていた。



◇◆◇◆◇◆◇



 あれから数時間、界石については全くと言っていいほど手がかりがつかめなかった。

 気分転換にテレビをつけた。

 その中で


「………なるほど、この方法なら応急処置として使えるな……」


 今まで思いつかなかったアイディアが出てきた。

 思いつかなかったと言っても、さして複雑なものではなく、とても単純なものだった。


 現在使えるダミー人形や自動人形(オートマタ)は数十体ある。それらを使用して、防衛線を作るのだ。

 だが、これらは単体での魔術使用がほとんどできない。自動人形には機能さえつければ使用させることが出来るが、微々たるものだ。しかし、魔法道具を使うことはできる。

 よって、魔術や魔法が使える魔法道具を持たせておけば、ツリーに対する十分な戦力となるのだ。

 それに、ダミー人形はコピー前の生物の、自動人形は構成によって身体能力が違い、どちらも人よりも上位の身体能力を手に入れることが出来る。

 使用するにあたって、定期的な魔力供給が必要にはなるが、配置先に転移用の魔法道具を作れば特に問題はなくなるはずだ。


「これなら、大きな問題もなく進められそうだな」


 部屋にあるコンピュータに予定を入力し、どこに配置するか考えつつ、人形たちの準備を始めた。

みなさんこんにちはyoshikeiです。

今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。



次回は1月29日の午前9時に投稿します

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