表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四季の女王達   作者: 大西洋子
8/12

雪と氷の地

「……四季の女王は、それぞれの季節を統べると同時に、それぞれの力を世界に放つ。

 これは、他の季節の女王も同じように、何らかの力を放っていると考えたほうがよいかの?」

 フクロウ博士は秋の女王にたずねますが、女王は再び眠ってしまいました。

「……この世は、まだ、知らぬことが多いのぉ……」

 言葉は残念そうですが、どこか楽しげな雰囲気が混じっています。

「博士、一度父の元に戻りましょう。もしかしたら、北に行った兄が何らかの情報をつかんでもいるかもしれません」

「ほほ、そうじゃな。どれ、ワシも王の元にまいるとしよう」

「三番目の王子さま、わたしも同行いたします。秋の女王が目覚めた時に、おそらく、事の顛末をおたずねになるでしょうから」

 こうして、三番目の王子は、フクロウ博士と雁と共に精霊王の元に戻ることになりました。

 

 さて、少しばかり時間をさかのぼって、北の地に向かった一番目の王子をみてましょう。

 

 王子は白鳥と北風と共に、北へと歩き続けていました。北に進むに連れ、服や装備が環境に合わなくなり、立ち寄った村で身なりを整えました。

「雪と氷と地だと耳にしていましたが、以外と人がいることに驚きました」

「王子、もう少し北に集落があります。そこが人が住む最北の村になります。そこで王子様はお待ちになってください。そこから先は、この時期は死に等しい世界となっておりますゆえ」

「ありがとうございます」

 王子は何故自分達がこのようなことを命じたのか、行く先々で見物を広げるためなのだと気づかされました。

 百聞一見とはよくいったものです。王子は目に映る光景を焼き付けます。

「王子。気をつけてください。オオカミが後をつけてきています」

 白鳥が囁きます。

「いざとなったら、私が盾になります。王子は全力で村に向かってください」

「しかし、それだと……」

 王子は言葉が続けられなくなりました。白鳥の悪い予感が現実になってしまいましたから。

「白鳥、白鳥!」

 王子は北風に羽交締めされた状態で、空に浮かびあがります。白鳥がオオカミの群れに取り囲まれ、その姿はオオカミの身体で見えなくなってしまいました。

「王子様、父上の、いや、皆の願いを果たすために、ここは堪えてください」

 王子は北風にそうなだめられ、唇を噛み締めながら先を急ぐのでありました。

      

 

 

 

    

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ