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四季の女王達   作者: 大西洋子
7/12

秋の女王

「王子、雁の群だ」

 フクロウ博士の言葉に、王子は慌てて雁達に戻って来るように大声を出しました。

「これは、精霊王の三番目の王子殿ではありませんか」

「雁よ、あなた達を探してました」

 そう前置きして、王子はこれまでのことを話しました。

 冬が終わらなくなっていること。

 塔に様子を見に行ったら塔が氷でおおわれていたこと。

 氷を取り除くと冬の女王が繭に包まれた状態であったこと。

 次なる季節の廻りに、何をすればいいのかたずねるため、一番上の王子が北に向かっていること。

 夏の女王に会い、春と秋の交代時の話を聞き、二番目の王子が、ツバメと共に精霊王の元へ戻ることになったこと。

 雁のことをフクロウ博士にたずねに行ったら、博士も秋の女王を探す旅に同行することになったことを話しました。

「……おっしゃるとおり、我々は秋の女王様がお休みになっているところを存じています。

 秋の女王と話すことができるかどうかはわかりませんが、案内いたしましょう」

 群れを統べる雁が、王子達を案内しました。

 たどり着いたのは、大きな穀物庫でした。中に入ると秋の女王は巨大なミノムシのような姿で眠っていました。

「形状は違いますが、私達が見た冬の女王の状態と似通っています」

「……その声の主は、精霊王の三番目の王子さま?」

 なんと、秋の女王が目を覚ましました。ですが、まだぼんやりとしているようです。

 王子は手早く、冬の女王が秋の女王の今の状態に似通った姿になっていて、季節が廻らずに困っている。と、話しました。

「冬の女王は、今、わたしの秋の力を使うために、そのような状態になっているのだと思います」

「秋の力とな?」

「その声はフクロウ博士ですね」

 秋の女王は、声の主であるフクロウ博士でも知らない、わたしのことを話しましょう。と前置きして、ゆっくりと話し始めました。

 

「わたし達四季の女王は、それぞれの季節を統べると同時に、それぞれの力を世界に放ってます。わたしの場合は豊穣の力です。

 秋の終わり、豊穣の力を使い果たす時が近いと感じると、わたしは塔を離れます。

 わたしの、足は自然と穀物が集まる所に向かいます。

 それを待っていたかのように、冬の女王が待ち構えていて、残り少ない豊穣の力を奪っていくのです。

 なんでも、わたしの力が届きにくい雪と氷の地にその力を届けるためだそうですが……

 こうして力を失ったわたしは、次なる秋の役割の時まで、眠り、目覚めている時に渡り鳥らに話を聞く。を、繰返すのです」

  

 

   

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