渡り鳥
王子達は、父である精霊王に渡り鳥を追えと言われても、どう追えばいいのか検討もつきません。
そこで三人の王子達は、その鳥のことを手分けして調べることにしました。
「兄さん、昔読まされた本を読んでみたら、ツバメは夏と冬で住まいを変える。と書かれていました」
「弟よ、こちらの本では、雁たちは季節に合わせて旅をすると書かれているぞ」
「白鳥は、冬になるとこちらに住まいを移すようです」
「お兄さま、白鳥なら、宮殿の北の湖にたくさんいます。彼らにたずねてはどうでしょう」
姫君の言葉にうなずき、三人の王子達は北の湖に行ってみました。すると、白鳥達はすぐに見つかり、王子達はこれまでのことを話ました。
冬が終わらなくなっていること。
塔に様子を見に行ったら塔が氷でおおわれていたこと。
氷を取り除くと、冬の女王が氷の繭に包まれた状態であったことを。
「些細なことでも構いません。四季の女王についてお話していただけないでしょうか」
群れを統る白鳥が、静かに話し出しました。
「我々は、冬の女王と共に雪と氷の地からこの地に来て、春になるとその地に帰ります。
秋の終わり、冬の女王は精霊王の統べる地に来る前、秋の女王を眠りにつかせます。その後、秋の女王はどこで眠っているのかは、我らにはわかりません。
春の女王は、どこから来られるのかは、我らは答えることができません。ただ、雪と氷の地に春を届けに来られているのは確かでございます。
冬の女王が他の季節の時、雪と氷の地に過ごされていることは確かですが、詳しいことまではわかりかねます。
王子様、我らをその塔に案内してください。冬の女王と共にこの地に訪れる者同士です。何ができるかわかりませんが、冬の女王様に会わせてください」
王子達は白鳥達を塔に案内しました。氷の繭に包まれた女王の姿を見るなり、白鳥達は騒ぎ出しました。
群れを統べる白鳥が騒ぎを押さえると、王子達に言いました。
「この繭は冬の女王が、雪と氷の地で過ごされる時の一つの姿です。なぜ今この姿になのかわかりませんが、雪と氷の主ならば次なる季節への廻らせ方を存じているかと」
王子達は話し合い、一番上の王子が北風と共にその地に赴くことにしました。
「王子様、わたくしも旅にお加えください。冬の女王が雪と氷の地に戻れないとなると、わたくし達も戻ることができません」
こうして一番上の王子は、北風と白鳥と共に雪と氷の地を目指すことになりました。