6:占い師は独りだった
新キャラだよー
日本語がおかしいのはデフォルトです(白目)
「ちょっとそこのお兄さん。
あなたの未来を見たくはありませんか?」
それは冒険者の登録を済ませ、ギルドから出てきたばかりの僕に向けられた言葉だった。
声の方を向くと、黒のフード付きローブみたいなのをかぶった人が水晶片手に手招きしていた。
フードは深くかぶっていて顔はわからない。
「君が例のエセ占い師?」
実に怪しかった。
その見た目からもしかしたらと聞いてみた。
「チッ。なーんだ。
お兄さん知ってたんだ、僕のこと。
登録したての冒険者なら騙せると思ったのにー。」
そう言うとその占い師は顔を上げた。
フードで見えなかった顔も今なら見える。
少女だった。
声から少しはそんな気がしていたがまさか本当に女の子だったとは。
背は僕より10センチほど低いぐらいだ。
しかもこの子オッドアイか。
右目が赤っぽく、左目は黄色だ。
黄色の目の方の瞼から下瞼にかけて大きめの傷がある。
義眼なのだろうか。
でも動いている。
僕がジロジロ見すぎたのだろう。
「なーに?お兄さん?
僕に興味があるの?」
こんな質問を前にもどこかで聞いたことがあるな。
「そうだね。
いくつか聞きたい事はあるかな?」
言ってみた。
「フフフ、お兄さん面白いねー。
いいよー。
僕をエセの占い師だと知っててこんなに興味を持ってくれる人はあまりいないからねえ。
僕もお兄さんに興味持っちゃったよー。」
持たれてしまった。
でも今は少しでも情報が欲しい。
そしてこの子のことも知りたい。
感情がなくとも興味はある。
「じゃあ、名前を聞いてもいいかな?」
いきなりこれは失礼だったかな?
「いきなり名前聞くんだね、ふふふ。
いいよ、教えてあげる。
僕の名前はクロリス。
クロリス・メルクーリ。
呼ぶならクロって呼んで。」
クロリスか。
黒のフード被ってるし丁度だな。
「次はお兄さんの名前を教えて?」
「僕の名前はエボシ トオル。
トオルって呼んでくれ。」
「エボシ トオル。
変わった名前だね!」
「そうかな?」
「うん。変。」
やっぱりか。
クロの名前を聞いた時からこの名前は合ってないと思っていたよ。
「そうかぁ。
あ、そうだ。
ここはなんていう国なんだ?」
「え!?トオルそんなのも知らないで冒険者手続きしてきたの?
...ある意味すごいねぇ。」
まあ当然の反応だろう。
「ここはヒュペリカ王国だよ。
そしてこの街はアーチアーリア。
他の街と比べると結構安全な街だよ。
塀からでなければね。」
そういえばこの街は塀に囲まれている。
流石に50mまではいかないがそこそこに高い。
まあ街を守るにはちょうどいいぐらいかな?
「それにしても面白いよね、トオルは。」
「?何がだ。」
「外見ではない内面の修正能力持ちなんてさ。」
そう黄色の目を輝かせながら言ってきた。
「修正能力?
なんだそれは?」
「え!?!?何で修正能力持ってる本人が自覚してないのさ!
....フフフ、ハハハハハハハ!!
本当に面白いねえトオル!
いいよ、説明してあげるよ。」
なにかものすごい笑われてしまった。
「修正能力っていうのはね、体の一部を失ってしまった人、例えば腕だったり脚だったり目だったりを失ってしまった欠落者といわれる人が女神から与えられるスキルのことでね。
その失った部位が元通りになるだけじゃなくて、固有のスキルまでついてくるの。
つまり失ったものがスキル付きで返ってくるもの。
それが修正能力。」
「じゃあもしかして君のその目は...」
「そう。
ほら、私エセ占い師とかやってたでしょ?
人の恨み買っちゃってさ。
ちょっと昔短剣で目カスっちゃって。
片方目がなくなるとさ、遠近感がなくなるんだよ。
ものすごい生活が不自由になった。
でもそんな時女神からこの修正能力が与えられたの。
『真実の目』
見たものの真実、ステータス、ある程度なら知りたいと思ったことも見ることが出来るの。」
「なるほど。
金をふんだくれるほどの信用度を得たのはそのスキルのおかげが。」
「まあそうだねぇ。ハハハ!
見えたこと素直にいうだけで
「なんでわかったのー!」
ってなって勝手に信じてくれるからねえ。」
なるほど。
それが修正能力か。
僕はそれが内面にある。
多分女神からもらった『感情の器』のことだ。
これは失った感情をスキルとしててにいれるものだ。
今の説明とも合う。
「だとすれば僕がこれから手に入れるのは修正能力ってことか。」
「トオルは何を失ったの?」
「僕は感情だ。」
「感情かぁ。
女神は感情をまるごとはくれなかったんだねぇ。」
「多分、感情は自分で手に入れなきゃ意味がないんだと思う。
そんな気がする。」
「そうかもね。
...ねえ!トオル!」
「なに?」
「今からその感情を取り戻す旅に出るの?」
「しばらくはこの街を拠点にするつもりだけど、そういうことになるな。」
「じゃあさ、僕も連れてってよ!」
!!
願ってもいなかった。
この世界の住人で知識もそこそこある。
そしてその便利そうなスキル。
とても頼りになりそうだ。
「いいよ。
歓迎するよ。」
「ほんとに!?
やったあー!
久々に仲間が増えたー!」
飛び跳ねてフードが脱げて、中からオレンジ色のショートヘアーが見えた。
とても嬉しそうだ。
これだけ気さくなら変な商売しなくて仲間を作ればよかったのに。
「なんで仲間を作らなかったんだ。」
「元々あんな商売やってたし。
それを隠してパーティにも入ろうとしたよ?
でも、
...みんなこの目が気持ち悪いって。
何もかも見透かされているようで嫌だって。
でもトオルはこの目のことを知っても拒絶しなかった。
だから一緒にいたい。」
なるほど。
修正能力が必ずしもいい方向に動く訳では無いということか。
人間というのは自分の中に誰にも知られたくない自分がいるものである。
それを他人に見透かされるのはさぞ気分が悪いのだろう。
「一緒に行こう。クロ。」
こうして異世界に来て早々仲間ができた。
クロリスちゃん登場。
みんな国の名前とかどうやって考えてるんだろうね。
かなり迷ったよ。
このぐらいの文字数をキープしていく予定。