5:そこは異世界だった
いつもの倍ぐらいの文字数です。
やっと異世界だと思うとテンション上がっちゃった。
はい、生暖かーい目
...風の音が聞こえる。
眩しさを感じる。
人の足音や話し声が聞こえる。
ふと目を開けると、そこには人が通っていた。
なんだろう、街って感じだ。
それも現代じゃない、中世のだ。
ここで我に返る。
ここはどこだ。
そうだ、僕は転生したんだった。
それにしても立ったまま目が覚めるなんて。
つまり、
ここは異世界だ。
来た。
異世界に来てしまった。
僕はここで「色」を手に入れるんだ。
ここで女神の言葉を思い出した。
これは転生なんだ。
この身体は元の僕のじゃない。
新しい身体なんだ。
そう思うと、自分の姿を確認せずにはいられなかった。
少し歩くと服屋のようなものがあった。
看板には「服屋」と書かれていた。
?日本語ではない。
少なくとも僕の知っている言語ではなかったのに読めてしまった。
女神の言っていた「言葉の壁の修正」とはこのことだろう。
中に入らせてもらう。
からんころーん
「いらっしゃいませー。」
中から店員の声が聞こえた。
何人か客がいたが、僕の目的は姿見だ。
あった。
すごいアンティーク感が出ている鏡だ。
早速自分の姿を確認してみた。
髪が真っ白だ。
透き通るような白に少し癖がついた髪の毛。
眉毛も白だ。
目の色は黒い。
吸い込まれるような綺麗な黒をしている。
そしてさっきから視界がとてもクリアだ。
眼鏡がなくとも視力がとても良くなっている。
そして顔自体。
自分で言うのは恥ずかしいが、とても美形だ。
寧ろ女みたいだ。
男らしさ見たいのはあまりない。
背はあまり変わっていない。
触った感じ体格は前世よりも少しガッシリしている気がする。
身体は前世よりも軽い。
ガッシリしてるのに軽いと言うのもなんだが、こうキビキビ動ける感じがする。
転生した時に服を着ているか心配だったが、ちゃんと着ていた。
前が開けてる茶色のロングコートみたいなのを着ていた。
革ではないな。
中世って感じ。
あまり飾りっけはないシンプルな感じだ。
手には指抜きグローブ。
足には黒ブーツ。
中に着ているシャツっぽいのは黒。
長ズボンは灰色だ。
ぐるぐると回って全身を見ていると腰のあたりに何かついているのが分かった。
黒字に銀色の装飾を施した鞘のようなものが見えた。
それがなにかわかったので一旦この店を出て路地裏へ向かった。
路地裏につき人の目がないことを確認すると背中の「それ」を引き抜いた。
ダガーだった。
持ち手は黒っぽい銀。
刃は綺麗な銀。
何製だろうか。
ヒルトの部分には文字が書いてあった。
「汝、その刃、女神カリスの加護の元、決して朽ちることなかれ」
この文字が本当に加護を与えてくれるのならこのダガーは刃こぼれしないのか。
非常に便利だ。
女神がくれたのならプラチナ、下手すればミスリル製かもしれないな。
実際にはないがこの世界ならあり得るかもしれない。
さて。
これで今の僕の姿はだいたい把握出来た。
結論から言うと、かなり厨二病っぽい。
しかしこの世界はスキルがある。
ダガーが与えられたという事は戦いもするのだろう。
厨二病で結構。
さて、次はどうしようか。
ここで前に見た異世界ものの小説を思い出す。
この世界ではない違う世界の物語を見れば、この世界に退屈することもないかと読んでいたがそんなことは無かった。
たがそれが今は役に立つかもしれない。
あの小説では確か「ギルド」というものに行っていた。
冒険者が色々な登録を行う場所だ。
早速道行く人に聞いてみる。
「すみません。ギルドってどこにありますか?」
「冒険者ギルドかい?それならそこを曲がったところにあるよ。あ、でも兄ちゃん気をつけな。あそこには変な占い師みたいのがたまに来るのさ。何でも適当な占いをしてかなりの金をぶんどるんだそうだ。騙されないようにな。」
「わかりました。ありがとうございます。」
占い師か。
この世界ならあながちやっていけそうな気がするが。
まあ詐欺という事は偽物なのだろう。
しかしスキルもあるこの世界で、占い詐欺という手口で相手にかなりの金を払わせることができるのか。
その信用度の集め方をほかに使えばいいのに。
そう頭で語っているとギルドに着いた。
看板には「冒険者ギルド」とデカデカと書かれていた。
中に入ると、何人かテーブルに座って酒を飲んでいたり、カウンターでなにやら取引をしていたりする。
討伐の報酬かなにかか?
そして奥に「冒険者登録カウンター」の文字が見えた。
早速足を運ぶ。
「すみません。冒険者の登録をしたいのですが。」
受付にはエルフっぽいお姉さんがいた。
「はい。冒険者の登録ですね。
登録の前にこのギルドの仕組みをご説明しましょうか?」
「はい。お願いします。」
「この世界には昔からモンスターと呼ばれる者達がいます。
モンスターたちの多くは我々人間や魔人などに危害を加え、害獣として扱われてきました。
そこで、モンスターの討伐をしてくれる方に報酬を与えモンスター退治に利益をもたらすのがこの冒険者ギルドです。
しかし勝手に討伐されてはこちらでも管理が追いつきません。
なのであそこにあるボードからクエストを受け付けていただき、それをクリアすると報酬が支払われる仕組みになっております。
なお、討伐したかどうかは冒険者登録用紙に書いた冒険者様の名前と、こちらにある討伐証明書がリンクしているので心配はございません。」
「何故名前を書いただけで僕が倒したってわかる?」
「その人の名前と言うのはその人自身とかなり強く繋がっていますからね。例え同姓同名であっても間違われる事はありません。」
すごい世界だ。
これならスキルがあっても不思議じゃないだろう。
「では説明も終わりましたので、冒険者登録の方を進めさせていただきます。
それではこの冒険者登録用紙に名前を記入してください。」
そう言ってカードのようなものを出された。
よくポイントカードとして出されるあのサイズだ。
用紙というからちゃんとした紙のようなものかと思っていた。
とりあえず横にあった羽ペンを手に取り名前を書いた。
今度は見知らぬ文字が書けてしまった。
名前を書くと、名前の欄のしたに「スキル一覧表」というものが出てきた。
そこには『感情の器』と書かれていた。
書き終わったのでカウンターの人にカードを渡した。
「エボシ トオル様ですね。...!」
カウンターの人がいきなり僕のカードを見てびっくりしていた。
「どうかしたんですか?」
「いえ...なんでもありません。」
そう言うとカードの名前の欄の横に判子を押した。
「これで冒険者の登録が終わりました。
冒険者様!これからのご活躍をお待ちしております!」
最後は笑顔で送られた
なんか怪しい。
まあいっか。
これでスタート地点に立った。
そういえばあの女神はどうすればスキルが獲得できるか教えてくれなかったな。
まあ後から人に聞けばいいか。
何はともあれこれから僕はこの世界で「色」を取り戻していくんだ。
僕はそう決意を固めて冒険者ギルドを後にした。
ダガーってかっこいい。
ギルドの設定はもう使い古されたやつをまだ使うよ。
1番ギルドっぽいからね。
ヒルトは†←の横棒の部分のこと。