3:少年は欠落していた
相変わらず日本語がおかしい。それにしても透くん。本当に感情ないのか疑うぐらいしゃべるね←他人事
...し..もし....も..もし?もしもーし?
なんだ、これは僕に呼びかけているのか。
透くーん?画星 透くーん?
...ここは病院だろうか。
それにしてもおかしいな。
僕を「透くん」などと呼ぶ人など居ないのだが。
あぁ。看護師が子供を呼ぶ時はこんな感じなのか。
目を開けてくださーい!意識はあるのでしょう?
やけにうるさいな。
声は優しい感じなのにこれだけやかましければ台無しだ。
僕は声に応えて目を開けた。
僕は目を疑った。
目の前に広がる光景は決して病院などではなかった。
真っ暗な空間。
そしてその中で何故か見える自分の身体。
そして目の前にいたそれは、その「声」の持ち主は
「あ、やっと目を開けてくれましたねー」
女神。
本当にそうかはもちろんわからない。
ただ、それを見た瞬間思い浮かんだのはその言葉だった。
「あの、どなたですか」
そう僕が言うとその女神と思わしき人はとても意外そうな顔をした。
「あのー、この場所とか色々びっくりしないんですかー?」
あ、それ言うんだ。
確かに驚きはした。
今も色々なことを聞きたい。
だが、今はその中でもこの人に興味がある。
「あなた、私にきょうみがあるんですねー。」
図星だった。
人の心でも読めるのだろうか。
「興味があるならお答えしましょう。
私の名前は 女神『カリス』です。
よろしくお願いしますー。」
カリス。
確か優雅の女神だったはずだ。
優雅?
のほほんとはしているが優雅とは違う気がする。
寧ろさっきうるさかったぞ。
あと語尾を伸ばすな語尾を。
「さて、自己紹介も済んだところで、本題に入りましょうー。」
そうだ。
何故僕はこんなところにいるのだ。
どれだけ思い出そうとしても頭を打った後の記憶はない。
「残念ながらあなたは死んでしまいましたー。」
.....は?
何を言っているんだこの人は。
確かに頭を打って死を覚悟しながら意識は遠のいた。
しかし僕は目覚めた。
そしてこうやって立って喋っている。
女神と...そう、女神とだ。
「あぁ、そうか。」
死んだのか。
「あれ?もう少しパニックに陥るかと思っていたらあっさりと理解しちゃうんですねー。」
そうだな。
自分でもびっくりだ。
なぜだかこの女神を見ているとすんなりと受け入れてしまった。
「あなたと私が今いるこの空間は普通死んでも入れないんですよー?」
そうなのか。
てっきり死んだものはここへ来て、天国や地獄的な何かの判断を下されるのかと思っていた。
「あなたがここへ来て私といる理由。
それはあなたが欠落者だからでーす。」
女神カリスのご登場。口調が安定しない。はい、生暖かーい目。