2:その時は突然きた
「白の少年」って単語、結構使われてるんですね。
怪しい日本語で頑張る。例の生暖かい目で。
トコトコと階段を降りていく。
古い校舎だ。
廊下が冷たい空気で満たされている。
一階につくと、人気のない角にある物置部屋へ向かった。
物置部屋につくと、なんだか古臭い匂いがした。
古い本棚や使わなくなったただの棚などが不造作に置かれている。
こんなところに生徒1人で行かせるなんて。
やはり教師という生き物は...
などと頭の中でグダグダと喋っていると脚立を見つけた。
普通に脚立として使うこの折りたたんだ状態の時の高さは僕の胸らへんの高さだ。
小枝目が「小さい方」といったという事は、当然「大きい方」もあるわけだ。
それは「小さい方」のすぐ横にあった。
折りたたんだ状態でも僕の背より10センチは高いであろうその脚立は、伸ばした状態で棚に寄りかかっていた。
明らかに棚よりも大きいので、今にでも倒れてきそうだ。
しかし一応僕は165センチと、この年齢の平均値はあるのだが。
やはり「大きい方」だな。
(さて、頼まれたものは手に入れた。そろそろ戻るか)
そう言って脚立を持ち上げたその時。
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
何の音かすぐに分かった。
古い棚が震えている音だ。
なぜ震えているかなんてその場にいた者ならすぐに分かった。
地震だ。
突然起きた地震に驚き、持っていた脚立につまずいてしまった。
震度3ぐらいだろうか、そこそこだなと転んで横になりながら考えているとなにかの影が迫ってくるのが分かった。
ふと上を見ると、小さな棚に支えられ不安定だった「大きい方」の脚立がこちらへ倒れてきていた。
逃げなきゃ。
そう思った頃には遅く、「大きい方」の脚立は透の頭を直撃した。
痛い。
頭へのダメージは相当なもので、直撃した場所からは血が流れていた。
だが透の予想では、外側よりも内側へのダメージが深刻であると踏んでいた。
意識が遠い。
呼吸も苦しくなってきた。
おそらく「脳挫傷」だ。
脳挫傷の死亡率は約44%だ。
しかし、いざけが人側となってくるとこの確率は高いように思えてくる。
不思議だ。
だめだ、本当に死ぬ。
誰も居ないのか。
そうだよな。
みんな自分のことで必死だ。
不思議と怖くはない。
僕はここで独りでいよう。
最期まで。
独りで。
透が最後に見た景色の中には何も無かった。
あったのは、鮮やかな赤だけだった。
死ぬまで長いね←長くした本人
それにしても脳挫傷起きてからこんな短時間で死ぬのだろうか。書いてる本人は医学的知識に乏しい。