6:誰も知ることのない最大の核
彼に送ってもらった翌日
あたしが昇降口で靴を履き替えていると、彼に出会った。
「おはよ。」
「ぉ、おはよ。」
少々ぎこちなかったかも知れない。
でもあたしには、彼が声を掛けてくれたくれたことだけで満足だった。
「じゃぁ、また教室で。」
そう言うと彼は、仲の良い友達と共に教室へ向かっていった。
あたしは、その背中が視界が見えなくなるのを待って、教室へと向かった。
++++++
「最近洵、圭太と仲良いじゃん?」
ちょうどお昼休みに差し掛かるところで、
あたしの友人、由佳に声を掛けられた。
彼女の顔が、やけにニヤニヤしていてあたしは自分の顔がほんのりと熱くなるを感じた。
「違うし。」
彼女にまたひやかされないように、とあえて冷たく言い放つ。
ふーん、と曖昧な返事をした彼女は、あたしの机の横に座ってお弁当を開ける。
「でもさ。」
「何?」
あたしもお弁当を取り出そうと、自分の机の上にあるお弁当を見ながら言い返す。
すると、由佳は普段彼女が見せないような真面目な顔になって、あたしに話しかける。
「圭太ってさ、元彼のこと引きずってんでしょ?」
その声は囁くように小さくて、誰かに聞かれることを恐れているようだった。
けれど、その声はあたしの中でこだますように繰り返された。
動作が止まる。
たった一瞬がとても長く感じる。
あたしの目はとっさに彼を探した。
――……・・いた。
幸い彼は窓際の隅で友達と一緒にいて、あたし達とは正反対な方向にいた。
それを見て、あたしは安心したのか胸の鼓動が急に落ち着きを取り戻すの感じた。
ほっとしてあたしが、由佳の方に向きなおると彼女があたしの方を心配そうに見ていたことに気付いた。
「大丈夫だよ。」
あたしは、小声で彼女に微笑む。上手く笑えているといいと願いながら。
「洵には悪いけれど…。」
嫌な感じがした。
身構えるような。
冷や汗が伝うような。
「あいつだけは、好きにならない方がいいよ。」
由佳がそう告げたとき、あたしの全てが音を立てずに。
―――止まった。




