5:どうしての答え
『どうして?』
どうして。
そんなコト、一度も考えた事なんてなかった。
どうして、あたしは恋をしない?
メンドクサイから?
―…違う、そんな深い理由じゃなくて
怖い?
―…怖くなんてない
怖くなんか……
「あたしは・・・・・」
その後の言葉がどうしても続かない。
答えなんて見つからないのかも知れないけれど、
頭の中で必死に理由を考えてる自分が居て。
「あたしは・・・・・」
一体あたしは何を恐れている?
頭の中で何かが疼く
心の底が空っぽになる
「もう、いいよ。」
そう声をかけられて、あたしの意識が戻ってきた。
顔を上げれば、私を安心させるような彼の笑顔がそこにあって。
作り笑いなのは分かっている。
でも作り笑いなんかに見えなくて。
そんな風に彼に遠慮させている自分に少し腹が立った。
かといって、今のあたしが何かできるわけでもなくて。
「・・・ありがと。」
小声でそう言って、あたしは彼の優しさに甘えることにした。
そのことに気付いているのか、いないのか、彼はそっとあたしの手を掴んで
「帰ろっか。」
そう言った。
昇降口から外に出ると、
幸い雨も小雨になっていてあたし達が困ることは無かった。
そしてあたし達以外に下校する人達はいなかったせいか、あたしが恥ずかしい思いをすることは無かった。
けれど、下校中も彼はあたしとあまり話さずに前を向いたままで、あたしの手を引いて帰る彼の背中は、少しだけ小さく見えた。
その彼の傷をあたしが知るのは、もう少し後のことで。
本当に更新が遅くなって申し訳ないです;;
できるだけ早く更新したいのですが、私の都合で今週の更新も難しそうです;;
いろいろ至らない部分もあると思いますが、これからもお付き合いお願い致しますm(_ _)m