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擬似恋愛  作者: 槻 
4/7

4:問い。

彼が生徒会室から出てくると、一緒に昇降口までいこうか。と誘われた。

断る理由のないあたしは、控えめに彼の後ろをついて歩く。



まるで、お母さんと子供みたいだ。



そう思ったけど、口にしないでおいた。




2階に下りる途中の階段で彼が、あたしを方を向いてこう言った。




「佐野さんって呼ぶとなんか他人みたいだから、まことって呼んでいい?」


あたしはもともと他人なのに、と思いながら頷く。

きっと今のあたしの顔はニヤけているのかも知れない。




それを確認してか、また彼は口を開く。





「まことってどういう字?」


「さんずいに、旬って言う字で(まこと)。」


「へぇー。いい名前じゃん。」


「そうかな?」



会話が途切れる。

雨が煩いおかげで、そんなに気まずくはならなかったけど。



少しの沈黙が続いた後、彼はまた前を向いて歩き始めた。





ちょうど今彼が階段を全て下り終わって、昇降口まであと少しのところに居る。


それを見計らって、今度はあたしから声をかける。





「ねぇ。」







「・・・ん?」



「さっきのコト聞いていい?」






聞いていいのか、聞いちゃいけないのか、そんなことは分からない。どうでもいい。

ただ単純に、会話を終わらせたくなかっただけで。





しばらく彼は、黙ってあたしの前を歩いていた。







昇降口まで来たところで、足が止まって彼があたしの方に振り返る。





「なに?」




聞いていいということなのだろうか。

分からなかったけれど、あたしは思い切って聞くことにした。





「さっきの子に告白されて、断ったんだよね?」




答えはない。

けれど、彼の顔がそうだ、と言っていた。



「どうして??」




これは、至って素朴な疑問だと思う。

告白してた子は、うちの学校でも、顔よし、性格よし、で有名な子だったから。


「メンドクサイから。」




どこか素っ気ない口調で彼は言う。

彼の瞳は確かにあたしを見ていたけれど、頭では他の何かを考えているようだった。




簡潔に。


でも何を隠してる?


どう頑張ったって、その答えをあたしが知る余地はない。





「じゃあさ、洵は好きな人いないの?」




あたしが言葉に詰まっていると、今度はあたしが質問された。




「いないけど。」



口からでたのは、紛れもない本心。

答えに迷う必要はなかった。





「どうして?」



きっと彼にとっては素朴な疑問。








けれどあたしが、その答えにつまったのは、言うまでもない。


更新が遅くて申し訳ないです!!

もっと早く更新できたらいいのですが;;

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