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拙いリアル


「これより、戦略的捕食者狩を開始する!!」


 -ウオオオォォォォォ!!-


今、俺は奥の見えない深い森の前に整列させられている

周囲は鎧や皮等に身を包んだ筋肉隆々な男性陣

はたまた、ローブを頭まですっぽり被った不思議な奴等


そして、俺を含む頭から獣耳を生やした連中


「なんだよコレえぇぇぇ!!」

「五月蠅いぞファリス!」


頭部に生えた獣耳を、抑えながら地面にしゃがみ込んだ俺に糞豚から叱責が飛んでくる

なんだかんだクレイが現地での最高責任者って何なんですかね


 文句を言ったら、殴り殺される気がするから言わないけども


『ファリスの装備はこんな感じだ』


今朝、朝飯直後に早速と着替えさせられた俺

姿見の前に立った俺は現実を突き付けられる


俺の頭から生えている獣耳

それも猫耳である


これでナッシェに“ぬこ”と名付けられた意味が分かった

それでもネーミングセンスの無さには代わりは無いが


と、話は戻すが。

俺の装備は至って軽装である

何故か獣人となった俺は、動きが速いらしい


一撃でも受ければ彼の世へと、片道切符を渡される為に

少しでも軽い皮の装備となった。

私服では無いのは、かすり傷程度なら防げるとの事


「おう、坊主。 聞いたぞ?

お前今回が初陣だってな」

「ハゲ親父が俺になんの用だよ……」


嘆き記憶を巡らせる俺に声をかけてきた奴が居る

先程述べた、筋肉隆々の男達の一人だ


背丈は軽く2mを越えて居るであろう

全身に漲る筋肉は、クレイに劣るものの。

それでも逞しい塊であることに変わりは無かった


「ガハハハハッ! この俺をハゲ親父と初見で呼ぶのは貴様で数人目だ!」

「何が愉快なんですかねぇ……」


実に豪快な男だ

俺の肉盾として活躍して貰おう


 だが、この親父

 武器を持っていないのだ


「なぁ、親父」

「なんだなんだっ! 先輩たる俺に質問すると良い!」

「なんで武器を持っていないんだ?」


何故か気分を良くするハゲに質問を投げかけてみる


実は、クレイに予め世界の事を聞いておいた

その中に格闘家グラップリンと呼ばれるタイプの人が存在すると聞いたが。

格闘家は、基本的に対人の大会等で活躍するらしく。

今回のような対捕食者には向いていないらしいのだ


「おう! 良く聞いてくれたな!!

俺の名はマストリン=ホーエンガイド!

「ホーエンガイドさーん、クレイさんに呼ばれてますよー」

「っと……、今行く!!

すまんな坊主」


ハゲ親父の名前を知れた

だが、肝心の事を聞く前にクレイに呼ばれ隊列の前へと走っていった

あの筋肉をどう活かすのか

俺に“流石異世界!”と、言わせるようなモノで有って欲しい


「俺はホーエンガイド!

今回の依頼は大規模になるために、帝国より呼ばれ馳せ参じてきた!

我が前では誰一人犠牲にはさせん!」


台座に乗り、全員から見える位置に立った親父

帝国と呼ばれる世界の中心とされた国。

そんな所から来たのは素直に強い証拠なのだ


   多分


「アレが噂の……」

「あの人が居れば、なんとかなるぞ!」


周囲の歓喜の声がとても五月蠅い

それだけ親父が高名な人である事なのだが……


「我が対国家用超越級魔術の前では捕食者等笑止!!」


 ……、んぁ?


「え、今なんて」


魔術って言った?

この世界に魔法が存在する事は知っている

対人用、対軍用、対城用、対国家用。

凡級、豪級、越級、超越級。

少ししか覚えていないが、とても強い位置に存在する魔法なのは分かる


筋肉の意味とは


「聞いたか!!

このホーエンガイドが居れば、捕食者を狩るのも容易いこと!

活力を、士気を上げろ!!」


 -ウオオオォォォォォ!!-


再度巻き起こる雄叫び

周囲の沸騰するような歓声の中

俺は一つの言葉を心で描いていた



 “流石異世界”

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