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全力疾走  作者: レイン
3/7

記憶

「記憶」

伊藤さんは話が終わると病室を後にした。

美月と真輔の両親は愕然とした。

あの事件で真輔はどんな機密文書を預かったのか・・

そして一つの疑念が生じた。その機密文書は今でも残っているのか


と3人は考え自宅に戻る事にした。


そのころ、伊藤さん達警察は一刻も事件を解決するため

過去の書類を読み漁った。

そして一つの憶測が生まれた。

「部長!この男、3年前あの組織に入っていて、そして今

強姦の罪で起訴されています。」

もしかしたら、あの時真輔君が預かった機密文書が

この事件の鍵なのではと・・・

それをはっきりさせるべく、伊藤さんは

この男「葉山一樹」に当たることを決断した。


車で移動すること約1時間で目的地に

着いた。そこは刑務所だ。

看守が手続きを済ませ。葉山を檻から出した

「おい。葉山。お前3年前ある組織にいたそうだな?」

「あぁ・・いたぜ。でも俺はあそこでは何もやってないはずだ」

「それは調査済みだ。私が聞きたいのは、とある機密文書だ」

それを言うと葉山の顔が変わった

「機密文書?あぁあれか。だがあれは3年前盗まれそして

盗んだ張本人、祐樹という人間と一緒に処分したはずだが」

「処分だと?まさか殺したのか!」

「おいおい。刑事さん。俺は何もやってないぜ。でも記憶によると・・」

男は口ごもった・・。

「おい。話せ」

「処分して随分と経過した頃。たしか半月前かな。

その機密文書が処分されていないという事実に気づき調査したんだよ。

そしたらある男が浮かんだんだ。たしか隆宏って言ったっけな

あいつが書類を持ち去ったていう事実に漕ぎ着け、あいつに聞いたんだよ

その文書はどこだって。でもあいつ口割らなくってよ。

つい手を出してしまったんだよ・・・そして死にかけの状態で

ある少年に渡したって。でもそれ以上のことを言わずに死んだんだよ」

伊藤さんは頭をよぎった。

もしその少年が真輔くんだったら・・・

そして葉山はこういった

「もう俺がいた組織は今となっては解散している。

だがその機密文書は高額の値で取引されるほどの貴重な書類だ

だからもしもその文書を持っているやつが判明したらその書類を

盗まれる・・・いやそいつも殺されるかもしれない。

刑事さんが知りたいことはこれだけか?」

私は愕然とした。もし彼の言うことが正しければ

犯人特定の一つになる


それから月日が経過し、真輔が意識が戻らないまま7日が経った日のことだった

真輔の父である、駿さんは真輔の部屋で機密文書を探している最中だった。

机の引き出しからメモ帳が出てきた。だがそれには

年月が経過しているせいかインクが滲んでおり読める状態ではなかった。

だがこのメモ帳にはもしかしたら何かが書かれているのではないかと考えた父、駿は

伊藤さんのところにいった。

そのメモ帳で事が大きく動くなんて考えもしなかった・・・・


伊藤さんが勤めている警察署に父、駿は車で行き、受付の人に呼んでもらった。

「お待たせしました」と前から伊藤さんが来た

話をするために会議室へと足を運んだ

会議室に着くと早速本題に入った

「伊藤さん、息子の部屋で探し物をしていたのですが、そのとき偶然メモ帳を

みつけたのです。しかしながらこんな感じにインクが滲んでいまして」

と駿さんがバッグからメモ帳を出し、伊藤さんがその滲んでいるページを見ると

「これなら鑑識で文字を確認することが出来ます。後で鑑識に出しておきますので

結果をお待ちください。私からもお話があるのですが、よろしいでしょうか?」

父、駿は頷いた

「この前、お話したこと覚えてますか?真輔くんがあの日受け取った機密文書についての。

真輔君が今回襲われた理由はおそらく、その機密文書を奪い去るためではなかったのか?と我々は

考えております。言い切ることは出来ませんが、このことを真輔君のお父さん、お母さんに言うべきかと

思い、お話に伺おうと思った矢先に来られたというわけです」

父、駿はこの話を聞いて愕然とし、一つの眼差しが見えた。もしこのメモ帳に事件と関連性がある事

が書かれていれば、この事件は発展するだろうと・・・

「あの。この事は妻、夏美と娘の奈緒にも話しても?」

「はい。大丈夫です。その方がお二人にもよろしいかと。この後お時間ありますでしょうか?」

伊藤にはどうしても真輔の父である、駿さんに訪れて欲しい所があるのだ。

父、駿は頷き、あるところへと向かった。

そこはなんと3年前真輔が事故に巻き込まれた桜島だったのだ。

何の意図があるのか分からず足を進めると広大な海が目の前に現れたのだ。

「あの。何のために?」

「はい。少し先ほどの話の最中、ずっとお顔が優れていなかったようなのでリフレッシュにと。」

自分が少し恥ずかしくなった。まさか顔にまで出るとは

だが、これで吹っ切れた。今自分が出来ることは真輔がなぜ襲われたのかを出来る限り探すことだと。

「どうですか?駿さん。ここは私の秘密の場所なんですよ。必ず事件解明をしますので」

そうして、広大な海で心を洗い、一歩前進をしたのである。

そのころ、真輔の妹である奈緒はというと

学校の友達と買い物をしていた。年頃の女の子なのでいつもどおりの生活をして欲しいという

母の願いでもあった。もちろん友達も今回の事件のことは知っている。ただそんな時であるからこそ

いつもどおりに接するという気遣いなのだ。

「ねぇ。奈緒ー。もうすぐ公開する映画なんだけどさー。観にいかない?」

友達は話題を持ちかけるが、奈緒は上の空にいた。

仕方が無いことだ。自分の兄、真輔が脱獄者である人物に命を狙われ

挙句未だ目を覚まさないのだから。でも奈緒まで体を壊してしまったら意味が無い。

呆れた友達は、奈緒の手を取りある場所へ向かった。

「ねぇ。どこ行くのー?」

奈緒が聞いても友達は耳を傾けず向かった先は

テーマパーク、動物園だ。

奈緒は幼いころから大の動物好きで無論友達も知っている。だからこそ

気分転換に相応しいところなのだ。友達のみとしてはいつもの奈緒でいて欲しい。そんな気遣いが

溢れている。そんな中、奈緒は自分が好きな動物を目の前にして少々興奮気味、だが今日に限っては

とても良い刺激剤になったようだ。今日は未だ時間が早いのでゆっくりと動物園に入れる、

幸い、ここの動物園は入園料が安く、一度料金を払ったら閉園まで出なければ滞在することができ

園内では可愛いレッサーパンダを見れる喫茶店、猫と戯れることが出来る喫茶店など数々の動物と

接することが出来る店が展開されている。特に奈緒が気に入ってるのは生後数ヶ月のトラと遊べる

喫茶店、その名は「とらカフェ」だ。なんともかわいらしい名前だ

「うわー。かわいい!トラちゃんー、」

効果が現れたみたいなのか、いつもの奈緒に戻ったようだ、友達は安心したみたいだ。

奈緒と友達はとらカフェで休むことにした。

「ねぇ奈緒、奈緒は何食べるの?」

と友達が何を食べるかと聞いてきた。ここはデザートなどがおいしいと評判なのだ、勿論

奈緒もここの食べ物、いやデザートは大の好物だ。本人は気づいていないかもしれないが

よだれが少し出ている。だが言わないでおこう。さてと友達はワッフルの生クリーム添えを頼み

奈緒はパンケーキのアイス添えを注文し、しばし話題は奈緒が好きなトラの話になった。

そう、なんたって今奈緒たちがいるところは「とらカフェ」という店名なのだから。

そうこうしている間に注文した品が揃った。

「あのー。すいません、トラちゃん見たいんですが。」と奈緒が店員に言い数分後

トラが来た。奈緒は嬉しそうにトラちゃんを触り、夢中になっていたがせっかくの美味しい品が

不味くなってしまうので、友達が早く食べよと促すと寂しそうにトラちゃんから離れ

席に着いた。だがそこからでも十分にトラちゃんが見えるようで笑みがこぼれた。

そしてメインの食べ物へ目にいったようで奈緒は音を立てずにナイフをもつと

次の瞬間キレイに十字に切れ目を入れ、食べやすい用カットした。友達も同じように切った。

「んまい!ねぇこれ美味しいよ。」と奈緒がはしゃいで。友達はとてもうれしそうだった。

一口食べ、また一口食べてあっという間にぺろりと食べ終え、またトラちゃんと戯れた。

見かけた店員さんが「あの。もしよろしければ記念撮影は如何でしょう?」と勧めてきたので

奈緒と友達は記念としてトラちゃんと撮影をし、ゆっくりと時間が流れてゆき、時刻は既に夕方5時を

過ぎていた。奈緒と友達は帰りの支度をすまし、店を後にした。

今日の一日は奈緒にとっても良い日だったはずだ、兄である真輔の事件から離れ、こんな一日を

送るのが精神的にも良いだろう。

そのころ、父駿は自宅にいた。

「ねぇ駿さん。伊藤さんと会いに行ってきたんでしょ?何か分かったの?」

と夏美が聞いてきた。

父駿は今日話してきたことを包み隠さず妻である夏美に事細かく話した。

案の定、妻夏美は少し動揺していた。なぜならばその機密文書を持っていたせいで

真輔が意識不明の重体になったのだから。しかし父駿と同様少し光が見えた。

真輔のメモ帳に書かれたことが今回の事件との繋がりがわかれば、この事件は

大きく進むはずだからだ。時計をみると時刻は夕方6時になろうとしている。

「そろそろ夕食の準備をしないと。駿さん何か食べたい物あるかしら?」

夏美は献立を旦那である駿に聞いた。

そんな時、玄関が開く音がした。すぐにリビングの扉が開いた。

「ただいまー、お母さん」と掛け声とともに入ってきたのは、奈緒だった。

すかさず、夏美は何がいいのかを聞き、結果今晩の夕食はすき焼きに決まった。

すき焼きは家族みんなの好物だ。夏美は冷蔵庫を確認すると材料が無いといい

買い物に行こうとすると、奈緒も着いて来るといったので

久しぶりに奈緒と買い物に行くことにした。

歩いていると、奈緒が聞いてきた。

「さっき、お父さんと何話してきたの?」と夏美は少し考え

「後で家に帰ったら話すわ。」と話を持ち越した。そんなこんなで

談笑をしてると目的地のスーパーに着いた。買い物籠を持ち、すき焼き用の食材を

探した。奈緒は家に帰って、自分の部屋で飲むジュースを選んでいた。

「んー。どっちにしよーかなぁ。」と一人ぶつぶつ言ってると夏美が

奈緒の右手にあったジュースをチョイスした。

「これでいいでしょ?もう材料はそろったからレジに行くよ。」

流石、日ごろスーパーへよく立ち寄るだけある。

一方、父である駿は一足早く晩酌を始めていた。テーブルには地酒とブルーチーズが

置いてあった。食事前の晩酌にしては些か微妙なメニューだが一人楽しく

飲んでいた。楽しく焼酎を飲んでいると妻、夏目と娘、奈緒が買い物から帰ってきた。

「あ!お父さんもうお酒呑んでるー」と娘の奈緒が言ってきたが気にしない。

キッチンでは妻、夏美が夕食の準備を次々に進めていって、もう完成間近だった。

部屋には美味しそうな匂いが漂っている・・。

そして、料理が次々にテーブルに運ばれていった。

当初はすき焼きの予定だったが、すき焼き、からあげ、豆腐のほうれんそう和えが

並べられていた。これも妻の気遣いだ。

一度酒を呑むのを止め、皆で「いただきます」と言った。

「すき焼きはやっぱ酒にあう!特にこの味がしみたネギ、最高だ!」

と時折感想をいいお酒を呑む旦那の姿をみて、妻は嬉しそうだ。

ちなみに奈緒はからあげに夢中になっていた。

食事が始まって1時間ぐらい経つと、父、駿は出来上がっており

妻と仲良く談笑をし始めたので、奈緒は自室へと戻った。

イスに座り、今日を振り返った。

いろいろな動物と会い、友達と久しぶりに遊んだおかげか朝と比べると

心が軽くなったような気がした。昨日までは兄の真輔の事故、容態をずっと気にしていたが

今日、やっと分かった。いつもどおりに生活することがきっと兄に対して自分が

できる最大限のことだと。と振り返っていたら突如

瞼から熱い液体が垂れてきた。そう涙だ。

「え・・・なんで私泣いてるの?悲しくないはずなのに」

段々涙の量が増えてきて、泣き崩れてしまった・・・

どのぐらい時間が経っただろうか、やっと落ち着き音楽を聴くことにした

私は悲しいときや落ち込んだときにいつも音楽を聴くようにしている

ベッドに横たわってるといつの間にか寝てしまった。

そのころ一階のダイニングでは旦那であり、奈緒の父である駿と、妻夏美が

話をしていた。

「で、さっき奈緒に話したのか?」

「いえ。食事のときに言おうと思ったんだけど言い出せなくって」

「そか。じゃぁ機会があるときに話そう」

真輔の事件に関しての話を2人でしていたのだ。

少し、駿は悩んでいた。本当に娘にいうべきなのか、知らない方がきっと

奈緒にとっていいのではないかと考えていたが、妻は包み隠さず、情報が入り次第

私にも奈緒にも話してちょうだいと言ってきた。父、駿は少し悩んだ結果。

その話に頷いた。そうして静かな夜が過ぎた。

翌日、奈緒は少し早めに起き、学校への身支度を済まそうとしていた時であった

母、夏美がダイニングへ来るよう言ってきたのだ。

ダイニングに行くとそこには母と父がいた。

「なに?朝から」と奈緒が言うと父が真輔の事件についての

新たな情報を奈緒に伝えたのだ。話を聞き終わって奈緒は

「事件が前に進んだってことなの?」と少し安堵の表情をしながら言ってきた。

父は頷き、「もう時間じゃないのか?学校へ行ってきなさいと」と促し、

奈緒は学校へと言った。

父、駿は今日は有給を取り、妻、夏美と一緒に真輔のお見舞いに行く予定だ。

車で真輔が入院している病院までは30分ほどの距離だ。電車で行けば10分ほどで

つく距離にある。車中では世間話をしており、あっというまに病院へ到着した。

病院のロビーに行き、手続きをすると来客用カードを受け取り、真輔の病室へと足を進めた。

ちょうどその時間帯は真輔の精密検査の日だった。

病室につくとそこには担当の先生が検査をしていた。

「あの先生真輔の容態は?」

「はい。良好状態です。ですが未だに意識は戻っていません」

と先生が答えてきた。

父、駿はいつ目が覚めるか念のため聞いてみると

「それははっきりとは分かりません。ですが私たちが必ず真輔君の命をお守り

いたしますので。どうか安心してください」その言葉には信頼性があった。

この部屋には真輔を襲った犯人、脱獄者が来るかもしれないという観点から

暗視カメラを取り付けており、防犯性ではとても高い能力をもっている。

「はい。どうか真輔をおねがいします」とあいさつをし、先生は病室から出て行った。

そして、父と母は真輔に言葉を言い放ち、意識が戻ることを祈り後にした。

そのころ、真輔の意識はと言うとある世界である少女とあっていた。

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