episode 68 導き
最近何かSFチックになって来てますが一応ファンタジーです。
あ、 SFファンタジーでいっか(笑)
-ギルヴェリアス-
内部
地面が大きく揺れ始めた。
立っている事さえも出来なくなる程、 揺れは激しかった。
ただ、 ティナ達は浮遊しているのでその影響は受けない。
ティナの手に左手がぶらさがったまま、 リルティはその周りの状況を確認する。
2人はディックが言っていた場所を目指していた。
「ティナさん…。 これってディックさんが…」
「………」
「(ティナさん…)」
ティナの顔は恐ろしく冷静であった。
光の翼を羽ばたかせ、 真っ直ぐ目的のポイントを目指して飛び続ける。
彼女達には揺れの激しさは体感できないがディウスの手でシェイルを爆発させて
崩壊した建物がそこら辺に転がってあり、 崩れていく様子で把握できる。
今は廃墟となったその街の様なエリアを右へ左へと残骸をかわしながら飛行する。
「スピード上げるわよ…。 しっかりつかまってて」
「はい……」
リルティは力弱く返事を返す。
彼女は正直ティナの取る行動がわからなかった。
愛する人を見捨てて自分だけ助かる…本当にこの選択でよかったのか。
何か出来る事があったのではないかと、 そんな思いでティナの手を見つめる。
胸の奥が苦しくて、 空いているもう片方の手をそっと当てて心を落ち着かせた。
2人は目的のポイントに到着すると、 激しく揺れている地面になんとか着地する。
「………」
「…………」
ティナはリルティに背を向けた。 そしてその後ろ姿を複雑な眼差しで見つめるリルティ。
しばらく2人は口を開かない。 振動と崩壊していく音が辺りに響く。
「……ティナ…さん」
「……………」
「……………。
ティナさん…………あた」
「今」
「え?」
「今ディックが使っている技はね…、 エディと闘う時に使おうとしていた技なの」
「エディ……。 弟さん…ですよね…」
「そう…。 ディックは非道に走るエディをどうしても止めたかったのよ…。
でも、 闘わなくちゃならくなって…ね」
「……」
「命を奪うか奪われるかにまで差し迫って、 自分の手で殺して
自分も一緒に死のう…って
その時は、 マーディン様が止めたから使わなかったけど…」
「今回も止められたのに…何で止めなかったんですか!?」
「あいつの顔見たでしょ!!
あいつは……あいつはそうしたかったのよ…。
命をかけても守りたいのよ…みんなを、 この世界の平和をね…」
「あたしにはわかりません!! 2度と会えないんですよ!?
ディックさんが死んじゃったらティナさんは悲しくないんですか!?
そんなの……そんなの全然平和じゃない!!」
リルティは魔力を練り、 クイックフェザーを発動させようとする。
しかしティナがそれを引き止め彼女の頬を掌で叩いた。
「…!?」
「あんたまだわからないの!?
ここで引き返したら何の為にあいつがやったか全て無駄になるでしょ!!」
「………」
「私達は生き延びるのよ! 生き延びてここから脱出するの!
あいつが絶対に脱出できるって言ったんだから信じて待つだけ!
今、 やらないといけないのはこれだけなのよ! リルティ!!」
ティナが放った言葉を最後に再び沈黙してしまった。
そんな2人の瞳が周りの異常を捉えた。 崩壊した残骸達が次々と宙に浮かび上がる。
何故そんな現象が起こっているのかを考える暇もなく、 2人の身体もふわりと浮き上がった。
「ど、 どうなってるんですか!?」
「……重力が弱くなってる…。 これは…
この現象………(ディック…………)」
「な、 なんだ……」
その頃、 ディウスの所でも同じ現象が起こっていた。
ディウスの身体も宙に浮き、 何か強い力で上へと引っ張り上げられているようだ。
そんな状態であっても決してヴィーゼを離さない。
そしてその現象を作っているのは…
ディック・ストライバー。
彼は両手を高く上げて、 その先の馬鹿でかいエネルギーの塊の中へと
ディウスを引きずり込もうとしていた。
「うぐぐぐぐぐ……。
から…だが………」
「へへへ…。 観念するんだなディウス。
おめぇもこれまでだ」
「ぐ、 ぐぐぐ……こ、 ……んな……こんな……もので…
僕を………倒せ…ると…で…も……?」
「ばーか、 倒すんじゃねぇーよ。 細胞レベルまで分解してやんだよ。
いくらしぶといおめぇでも、 ばらばらになりゃあおしまいだろ? へへ!」
「ぐ…ううぐうぐぐぐ…。
そ、 そう…簡単……には…………いかないよぉぉぉ!!!」
吸い寄せられている力に抵抗できないとわかったディウスは要約ヴィーゼを離し、
魔力を振り絞る。 そして光のレーザーをディックに向けて放った。
「ぐっ。 ………へへ」
「何が…おかしいんだい…」
「いや……。 へへへ」
「へぇ…。 そんなに嬉しいんだ。
だったら、 ほら、 これもプレゼントだよ!!!」
またもやレーザーを放ちそれが命中する。
しかしディックは笑って堪えていた。
「…………そんな攻撃……何ともねぇよ…」
「そうかい……それじゃあ僕も…本気を出すよ」
ディウスは右手をディックへと向けて左手をその腕に添えると魔力を高め始める。
身体が黒と紫のオーラに包まれ、 それは吸い寄せる力を受け付けなくさせた。
右手に黒いスパークと黒い光の粒が集まっていく。
「(物凄い魔力の密度だ……くそ…!
まだだ……奴を消滅させるには…まだ足りねぇ…。
早く俺のオーブを全部吸っちまえ! 間に合わなくなる…!)」
「……キースダ・モルーシー・マダ・フィウス
ディグエ・レ・アデール・ゲネ・オム
暗黒の淵に眠りし者よ 其の呪縛を解放し
我が元へ来たれ
ふっふっふ…堪えられるかな?
デフィスレイヴァァァァァァァ!!!!」
「よし!! 間に合った!!
いくぜぇぇぇ!
ミスティックケェェェェイジ!!!!!」
下から放つ黒き闇の流れと上から落ちてくる巨大な太陽。
強烈な2つの魔力がぶつかった瞬間、 辺りにエネルギーフィールドが爆風の様に拡散する。
地面がはがれ、 また天井をぶち破った。 凄まじい勢いでその範囲を広げていく。
ティナとリルティ達の視界にも十分入る程、 それは大きく膨れ上がった。
ギルヴェリアスの半分が完全に消滅していたのだった。
今なら外へ容易に出られる。
ティナは魔力を放ち、 物体を召喚する。
そしてすぐにシャドウコピーを使い、 複製した。
「さあ、 早くこれに乗って!」
2人が丸い塊に乗る頃、 ギルヴェリアスが収まってあった大空洞全域にまで
そのエネルギーが達し、 壁の向こう側から勢いよく海水が流れ込む。
海水は、 一気に空洞を飲み込んでしまったがティナ達は間一髪その空洞から脱出したのであった。
一方、 ディウスとディックはそのエネルギーフィールドの中にいた。
この中は海水はもちろん、 物質が入る事はない。
お互いの魔力がその中の中心にあり、 激しくぶつかり合っている。
「ただの人間にここまでのパワーが出せるなんて…。
君…案外やるじゃない」
「ぐぐぐ…………」
「さぁ、 後何分堪えられるんだろう…ふふふ」
「(くそぉ…、 俺の全てが込もってんのによ…!
何でこれ以上いかねぇんだ…!!)
「そろそろ…終わりにしようじゃないか」
「俺の力は……
まだまだこんなもんじゃねぇぇぇ!!!!」
存在を維持している魔力をミスティックケイジへと流し込んだ。
ディックの足は爪先から徐々に光となって消えて行っている。
しかしその行動によりスーパースペルを飲み込んでしまったのだ。
「!?」
「あばよ、 ディウス…。
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
叫声と共にディックの身体は光となり自らが放った塊に吸い込まれるようにして消えていった。
その巨大な太陽が、 ディウスに直撃しようとしている。
「これをなんとかすれば僕の勝ちだぁぁぁ!!!!」
両手を前に出したディウスはその塊を受け止めた。
だが押し返す事は出来ず、 まるで洪水の様に流されて行く。
「(と、 とてつもない…魔力だ…。
この僕が、 全力を持ってしても…押し…返せない。
こ、 この……まま……じゃ…)」
どんどんと押されて行き、 その度に堪える力が消耗していく。
「(ア、 アーディライズしておくべきだった…)
くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
やがて堪え切れなくなったディウスはその塊と共に消滅していったのであった。
ディックの放った太陽は彼を飲みこむと縮小し、 瞬時に消え去った。
ティナとリルティは無事に脱出し、 近くの島に降り立った。
2つの反応が消えた事を確認するとスキャンを解いて視線を落とした。
「ディウスの反応が消えたわ…」
「そう…みたいですね」
「………」
「リルティ、 あんたまだ魔力残ってる?」
「…え? あ、 はい」
「それじゃあ…ジェノに通信オーブ飛ばしてくれない?」
「はい…。
え? ジェノに…ですか…? どうして…」
「どうしてって…ジェノはマナフォビッドのマスターでしょう。
状況を報告しておかないと…私達のマスターはもういないんだし」
「…わかり…ました」
リルティは通信オーブの準備をする。
両手から魔力を出し黄色い球を作ると空に向かって飛ばした。
2人が今いるのはギルヴェリアスがあった地点より数キロ東にある小さな無人島。
その海岸の砂浜から空を見上げている。
ティナがリルティに頼んだのは自分の魔力が尽きたからではなかった。
「…ごめん。 私疲れたから向こうの方で休んでる。
あんた1人に任せて悪いけど…お願いね」
「いえ。 ゆっくり休んで下さい」
言葉を交わし終えたティナはリルティから遠ざかって行く。
歩く動作がおぼつかなく、 顔はまるで抜け殻の様な無表情で
ぼーっと地面を見つめながら歩いている。
「………あれ…、 私…」
今何故自分が歩いているのか、 何処に向かっているのかを忘れてしまったらしい。
だがそんな事は大した問題じゃない。 彼女は休みたくてリルティと離れたのではないのだ。
何も考えずにしばらく歩いていると何かにつまづいて、 地味に転んでしまう。
しかし立ち上がろうとする気はなく、 事の流れに身を任せて地面に倒れている。
彼女の瞳は人形の様に感情を出さない。 顔に表情も作らない。
何かの呪いにかけられたかの様に…。
そんなティナが見ているものは今までの記憶。 彼との想い出。
映像として流れ、 色々な過去の出来事を辿っていく。
楽しい事より言い争った事の方が多いが彼女にとってそれも今は大切な想い出なのだ。
失って初めて気づく。 もちろん彼女は覚悟していたつもりだったが、
たった1人の人間を失う事がこれ程にも辛くて堪えられないものだったとは。
そして余りにも大きな存在であったと改めて認識する。
自分の思いと記憶の映像がごちゃごちゃに絡まっていたのであった。
ティナが現実を受け入れるとやっと涙が頬を伝う。
彼に触れる事はもう出来ない、 彼に愚痴を零す事も出来ない。
彼の笑顔を見る事も出来ない、 そしてもう2度と会う事は出来ない。
彼女の心の箱では収まりきれない程、 大量に溢れ出していた。
高次元領域・エターナルサーガ
一方、 光と共に消えたアッシュは再び“あの図書館”に戻っていたのだった。
マテリアライズが解かれフュリンの姿が形成される。
2人の元に何処からともなくメルヴァーが現れるとすぐに自分の身に起きた事を尋ねた。
その問いに対してメルヴァーはいつも通り丁寧に説明をする。
「マテリアライズは貴方様の身体を一時的に実体化させるものでして永続的には続きません」
「じゃあさっきのは効果が切れたと言う事なのか?」
「左様で御座います。 アース様。
ただ、 それを早めた原因はフュリン様にあります」
「あ、 あたい!? なんで?」
「シンクロしている間は、 フュリン様がアース様の魔力中枢を司り、
コントロール出来る立場となります。
フュリン様はエターナルサーガからいくつものデータをダウンロードされましたので
アース様の許容限界を超えてしまい、
その結果、 マテリアライズが維持出来なくなったのです」
「そ、 そっか…(あの時の重い感じ…あれってそう言う事やったんやな…)」
「それでまたシンクロすればあっちに行けるのか?」
「いえ、 今の状態では無理です。
まずはデータを戻し、 容量を軽くしなければなりません」
「軽くするにはどうすればいい?」
「データをエターナルサーガへ戻せばいいのです」
小さな羽を動かしてアッシュに近づくとフュリンは頭を下げる。
「ごめんアッシュ! 調子乗って勝手にやってしまって」
「仕組みがわからなかった俺にも責任があるよ。
でも次、 ダウンロードする時には声かけろよ?」
「うん。 ほんまごめん…あんな大事な時に…」
アッシュはセティスをアクティブ状態にし、 杖を頭上に掲げると
辺りが暗くなり巨大なスクリーンが目の前に出現する。
「えっと……どうするんだっけ?」
メルヴァーはアッシュに寄るとスクリーンを指差した。
「“サークルスペース”を展開して下さいませ」
その意味をアッシュが問いかけようとする間もなくメルヴァーが話を続ける。
「サークルスペースとは、 貴方様の中に記憶されてある知識、 スペルなどを
管理する為のデバイスで御座います。 これを使ってデータを戻す事が出来ます」
「そうなのか…」
理解半分で手に握られたセティスをスクリーンに向けて操作する。
杖の先が紫に輝く。
操作が完了するとアッシュの足元に光の円が現れ、 鈍く青色に輝きを放つ。
同時にスクリーンに自分の情報が表示された。
「後は、 セティスを操作して頂ければ完了で御座います」
今まで習得してきたアッシュのスペル、 技、 そして知識が並び、
そこからフュリンがダウンロードしたものを削除する。
「これでいいのか…?
別に…何も感じないけどな…」
「なぁ、 もしかして容量が少なければそんだけ向こうの世界にいれるってことなん?」
「その通りです。 フュリン様」
「じゃあ、 使わなくなったスペルは戻しておいた方がいいのか…」
「フレアボールとかバスターフレアとかその辺はもういらんやろ。
あいつがそんなもん効くとは思えへんし」
「低ランクスペルでも使い方次第で戦況を逆転出来る場合もあるんだぜ? フュリン」
「わかってるけど…アッシュのスペルや技って強力なものばかりやから
戻すならそういうものを消した方がいいやろ?」
2人はしばらく容量をコントロールする議論を続け、 数分後やっと結論を出し
それを実行した後サークルスペースを終了させた。
そして再びセティスを掲げて元の図書館へと戻す。
杖はまた腕輪となり自分の腕にはまった事を確認すると声をかけた。
「よし、 じゃあ行くかフュリン」
「そうや、 ディウスと闘うところやったんや。
早よ行った方がいいな」
と、 フュリンがアッシュのセティスに触れようとした時であった。
メルヴァーが口を開き、 2人を引き止める。
「お待ち下さい。
ガルドエディルより霊魂流を捉えました」
「ソウルストリーム?」
「アース様、 貴方様の役目の1つとして“導き”と言うものが御座います。
導きとは肉体を失い霊体となった者を天界、 地獄へと誘うもので
この神行を行う事により、 貴方様のミクトアーディルを高める事が出来るのです。
その流れを先程、 捉えました」
「……そ、 そうか。 それで…?」
「本来は天界か地獄へ送るのですが
この者は強力でいて良い魂を持っておりますので、 昇化させてみてはいかがかと思いまして」
「昇化…?」
「つまり、 あたいらと同じ存在になるって事なん?」
「左様で御座います。
歴代アース神はその様にして沢山の神霊騎士をお創りになられました。
この者は貴方様と深い関係にある者なので必ずやお力になる事でしょう」
「俺と深い関係?」
「誰?」
「そこへはどうやって行けばいいんだ?」
「導きはまずヴィジョンを通して行います」
「ヴィジョンか……よし」
アッシュは図書館中央にある机に向かう。
イスに座り心を静かに落ち着かせると再びメルヴァーに話しかけた。
「ヴィジョンは相手を浮かべないとダメなんだよな?
誰かわからないのにどうやってヴィジョンを開くんだよ」
「確かにその方法も間違ってはおりませんが、 ヴィジョンを開く手段は1つでは御座いません。
ソウルストリームを感じる事でも開く事が出来るのです」
「うん。 続けてくれ」
「スキャンの要領でガルドエディルを見ればソウルストリームを捉えられます」
「スキャンの要領だな……よし」
この宇宙、 プラートガルドの中のいくつものある星の中から
アッシュ達の星、 ガルドエディルを探す。
プラートガルドは途方もない位果てしなく、 またその中に散らばる星もそれに比例する。
こんな超広域を見る事が出来るのは神の力を持つアッシュだからである。
宇宙には数億、 いやそれ以上のソウルストリームが漂っている。
天界、 地獄へ行く者達は皆ある一定以上の魂の量を対象とされており
それに満たない普通の霊魂は宇宙を漂う形となるのだ。
生きていた頃の行いによって魂の量が決まり、 それが直接天界や地獄へと行く切符となる訳だ。
メルヴァーがアッシュにそう説明している内に例のソウルストリームを捉える。
「見つけた……」
反応をキャッチするその瞬間何処からともなく本がアッシュの元へと飛んで来る。
静かに机の上に置かれると、 本はヴィジョンとなりそこに映像が流れ出した。
映像には光で出来た物体が宇宙空間を漂っていた。
「これがソウルボディ?」
「左様で御座います」
「それで、 どうやってここへ行くんだ?」
「その中へ入るイメージをして頂ければ」
「アッシュ、 あたいはここで見とくわ」
「わかった」
映像を見ながらその中に自分がいるイメージを浮かべると
まばたきしている間もなく、 既にその場所に移動していた。
そこは宇宙空間…
目の前には美しい青い星、 ガルドエディルがあった。
アッシュの心は壮大な何かを感じざるを得えないと言った感情が沸き起こる。
しかし自分がここへ来たのは役目を果たす為…
気持ちを切り替え、 目の前を漂う光の塊に触れてみた。
すると、 周りの景色が一変して真っ白な空間になる。
そしてアッシュは、 その中で1人の人物に出会う。
「…………ディック」
「……よ! アッシュ!! へへへ」
「ディック…あんたは…」
「ああ。 わかってる死んだんだろ?
俺、 自爆したからよ!」
平然と笑顔で話すディックに調子が狂った表情をするアッシュ。
自分が消えてから今までの事を聞くと要約、 彼が口にした言葉の意味を理解出来たのだった。
「そっか。 おめぇ神様だったんだよな…。
で…? 俺はどっちに行くんだ? 天国ならいいけどな。 にひひひ」
「う~ん。 実はさ…ディックには昇化してもらおうかなって思ってるんだ」
「昇化? 何だそりゃ…」
頭に?を浮かべたディックに対して自分もまだ完全に理解していないながらも
わかりやすく説明を述べる。
「なるほどな…。
神霊騎士ねぇ…」
「どうだ? ディック」
「具体的に俺は何をやればいいのかわかんねぇけど
その…しんぎょう? その為にこんな俺でもまだ役に立つんだったら使ってくれよ」
「じゃあいいんだな?
きっと天界に行った方が楽だと思う…。
でも俺は…」
「ばーか、 神様の手伝いが出来んだぜ?
こんな事一生ねぇだろ! まぁ、 一生つっても俺死んじまってるけどな。 はははは」
「本当に…いいんだな?」
「あぁ!」
ガッツポーズを作るディックに微笑みを見せたアッシュはセティスをアクティブ化し、
ディックに向かって振りかざした。
その瞬間、 周りの白い空間が元に戻る。
先程光の塊だった存在はディックの姿を形作り、 そして昇化が完了される。
「じゃあ一先ず、 エターナルサーガに戻る」
「楽しみだぜ。 どんなすげえ所かよ!」
アッシュは杖を振りかざし、 ディックと共にその場所から消えて行った。
エターナルサーガについて
初期の設定はそのまま本だったんですが
これだと何か当たり前すぎてアレだったんで変えました。
現実だとPCが一番近い…と言うかほぼそんな感じです。
エターナルサーガとは空間そのものでありまた創造書としての役割もあるものです。
エピソードの中に“ダウンロード”という言葉が出てくるんですが
実はこの言葉使いたくなかったんですよね…。
でもこれが一番ぴったりだったんで止むを得ずと言った具合に(笑)
エターナルサーガもそろそろ終わりに近づいて来ているので
もう少しの間だけお付き合いの方よろしくお願いいたします。
感想も待ってますので。