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ETERNAL SAGA  作者: 紫音
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episode 64 ギルヴェリアス


暗き深海の最深部その底の地面のさらに地下にあるのが巨大要塞。

全体が把握出来ない程の巨大な物体にまた驚異的な数の部屋が大小含め内部に敷き詰められている。

その1つの部屋の中にディウスの姿があった。

彼は床に座って何やら静かに瞑想をしている。



 「…………」



部屋の扉が自動で左右に開くと中に入って来たのはシェイル。

瞑想している後ろ姿を扉前で監視するように見ていた。

ディウスの前にはアーディルが2つ並んで浮かんでおり、 それにエネルギーを送っているようだ。

紫に発光するアーディルが少し不気味にギラギラと輝いていた。



 「(あれがアーダと…イーヴァね…。 凄いバルツ数…)」


 「………何か用? シェイル」


 「…!?」


 「気づいてないと思った?」


 「…結構時間がかかるのね」


 「僕もびっくりしてるよ。 これだけ注入してもまだ満タンにならないんだからね。



 アーダとイーヴァ……ふふふ、 でも簡単じゃないところがまた面白いよ」


 「(エターナルサーガを発動するにはそんなに大量のアーディルエネルギーが必要なのね…)」



少しディウスに近づいてその様子を見るシェイル。

宙に浮く2つのアーディルをはっきりと確認出来る位置に移動すると再びスキャンを始める。



 「(今まで多くのヴァルファリエンのアーディルを取り込んだディウスのパワーでも

 まだフルに届かないなんて…)」


 「…まだ終わってないようだな…」



再び扉が音も無く開く。



 「君の方こそまだ動かせないようだね」


 「古代の遺物なのだ。 そんなに簡単に飛ばせる訳ないだろう。

 それにまだ要塞の半分も把握出来ていない」


 「わかってるよ。 それで…2人共、 一体何しに来たんだい?



 気が散るから早く出てってくれないかな」


 「…わかった」



ヴィーゼとシェイルは部屋を出る。

シェイルが振り返り彼の後ろ姿をもう一度目に入れるのと同じタイミングで扉が左右から閉じられた。

それを確認するとヴィーゼの口が開く。



 「相当なバルツ数だな」


 「ええ。 これでもうしばらくは時間稼ぎが出来そうね」


 「引き続き奴の動きを見ていてくれ。


 俺はもう少し先まで調べてみる。

 神話時代の物なのだ。 何か色々と解るかもしれない」



シェイルに言葉を残すとヴィーゼは通路の先へと消えて行った。



 「うふふ……迷子にならないでね」





















同時刻、 丁度ディック達が深海の底へと辿り着いていた。

浪炎の足がゆっくりと地面に着地すると3人はそのまま周囲を探り始める。

彼らが探しているのはこの地面の下にある要塞。

魔力で地面をほじくるのは簡単だが、 それによりディウスに見つかるかも知れないと思い

何処か通じる場所があるのかを探っていたのだった。

浪炎により圧力に潰される事無く、 そして海中でも呼吸が出来る状態にあるディック達だったが

とてつもなく深いこの海の底に陽光が届くはずもなく、 寒さで体温が奪われていく。

そして暗黒の闇の視界。 しかしそれも魔力で解決できる。

ただ、 静か過ぎる深海の不気味さだけはどうする事も出来なかった。

3人共その恐怖と闘いながら道を探す。



 「…絶対あるはずよ。 あいつらが行けたんだから」


 「よし、 散って探すぞ」



3人は各々辺りを散策する。














海上には翼を持った丸い塊、 それはアッシュのレグであった。

下のディック達の様子を見ていると頭の中からフュリンが呼びかける。



 (アッシュ、 このアーディル…)


 「アーダとイーヴァだ。 と言う事は…ディウスがいるのか!?」


 (兄ちゃん達、 まさかディウスのとこ目指してるって事?)


 「だろうな…」


 (じゃあ早く合流しなあかん! アッシュ、 行こ!」



アッシュを乗せたレグは海の中へと潜って行く。

深海の底へ到達するにはまだしばらく時間がかかる。

その途中、 フュリンが再びアッシュを呼びかけた。



 (今ちょっと心遠眼をダウンロードして下の状況見てるんやけど…凄いでアッシュ)


 「凄いって何が?」


 (兄ちゃん達がいるとこの下にめちゃでかい物があるんやけど

 びっくりするぐらいのでかさやねん…。 この海全体に広がってるみたいやわ…)


 「もしかしてその中にディウスが?」


 (まぁ…見てみ)


 「…………何だこれは……要塞の様だなまるで…。



 あれ? 何で俺、 心術使えるんだ?」



 (あんた自身が使ってるんやなくて、 あたいのをあんたに見せてるんや)


 「そんな事が出来るのかお前!?」


 (多分、 シンクロしてる状態やから出来る様になったんやと思う)


 「へぇ…」


 (で、 この要塞……“ギルヴェリアス”って言う船らしいで…)


 「それもダウンロードしたのか? エターナルサーガから」


 (そ。 この世界で言う神話時代に起きた種族大戦争

 “神魔人大戦”の時に使われていた要塞戦艦らしいわ…。


 凄いなぁ…こんなもんが空飛んでたんやから)


 「でもそんなに珍しくもないだろ? エルザードなんかもっとでかいぞ?」


 (あほ、 あの国は浮遊石で浮いてるだけや。

 ギルヴェリアスはそういう素材を全然使ってないんやで?

 金属の塊が人の魔力だけで動くんやから)


 「魔力だけで!? それは凄いな…

 その当時、 一体どれだけの人がこれを動かしていたんだろうな」


 (まぁ…ざっと10万人以上は必要やろな。

 一部しかダウンロードしてないから詳しくは今わからんけど…)


 「10万人の魔力を使って動く戦闘艦…確かにこんなもの今の時代にはないな…」


 (それをディウスが使おうとしてんのかな…)


 「まさかその為に大量のアーディルを取り込んでいたって事なのか!?」


 (……違うと思う。 だってヴィーゼが言ってたやん。


 エターナルサーガを発動する為やって)


 「あぁ、 そうだった。 



 …そうか。 ヴィーゼ達も知らないんだ…エターナルサーガの正体」


 (まぁ知ってるって事は、 それは神様って事になるからな)


 「だったらヴィーゼ達に教えてやらないと」


 (でもアッシュ、 ヴィーゼ達の目的はエターナルサーガを壊す事なんやろ?

 それならあいつらは敵なんじゃないん?)


 「……それもついでに教えてもらう。 きっと本当の事を知ればやめてくれるはずだから」


 (…あ! アッシュ、 あそこ!)



数百メートル先に大きな魔力の反応が3つ、 ディック達だ。

しかしディック達の魔力はガルドエディルに来てから彼らを見つけた瞬間より

ずっと捉えていた。 フュリンが言った言葉の意味は別にある。

それはディック達3人が闘う相手に対してのものであった。


そう、 今ディック達は深海の魔物と戦闘中だったのである。



 (なんちゅうでかさや…!!)


 「あ、 あんな魔物今まで見た事ないぞ…。 助けに行かないと」


 (あかん。 このレグは移動するだけのただの使い捨てなんやから

 戦闘機能ゼロでどうやって闘う気やアッシュ。


 大丈夫。 でかいだけで魔力はそんなないから3人だけでいけるやろ)


 「それはわかってるけど…」


 (でも早よ行こ。 もしかしたら戦闘でディウスが気づくかも)


 「あぁ!」



魔力を込めてレグのスピードを上げた。

スキャンからディック達の、 そして魔物の激しく波打つ様な魔力が伝わって来る。

肉眼で見ると周りは自分の足も見えない程の暗闇、 実際彼らはその中で戦っているのだ。

エメラルドに輝くアッシュの瞳に要約ディック達が映った。


その3人が浪炎に乗ったまま遠距離からスペルで攻撃を仕掛けている。

ディックのドラゴブレイズも大して効いていないようだ。



 「くそっ! 水中じゃ本来の威力がでねぇ」



ティナもリルティもとりあえず効果がありそうなスペルを乱発してみるものの

同じ結果に終わってしまった。



 「ダメです…大してダメージないです…」


 「ディウスに気づかれそうでちょっと気が引けるが…



 ここは一気に決めた方がいいな…。




 …よしっ!!」



ディックは魔力をリリース・ドレインをするとギガドライヴを発動させる。

発動した瞬間、 彼の身体から強いフラッシュとスパークが辺りに広がった。

次に右手にフォースエッジを出すと大剣を担いだまま浪炎と共に

巨大な魔物の懐へと突っ込んで行った。

そして一番前衛で戦っていたティナを通り過ぎる。



 「ディック!」


 「あぶねーからリルティのいる所まで離れてろ!」


 「どうするのよ! …ちょっとディックー!!」


 「…へへ、 遂にこの技を使う機会がやってきやがったか。


 



 はぁぁぁぁぁ…!!」



全身を覆うギガドライヴのエネルギーを右肩、 腕、 そして右手に流れていき

担がれた大剣へと溜まっていく。

黄金に輝いたその大剣を固く握ると手綱を引っ張り浪炎を急停止させた。

そして一度その場で小回りすると再び魔物に向かって浪炎を走らせる。

激しいスパークを帯びた大剣をX字に振り回して黄金の衝撃波を作った。



 「行くぜぇぇ~!




 


 ギガクロスブレイドォォォォォォ!!!!!」



ディックはそう叫ぶと先程放たれた衝撃波に向かって行った。

衝撃波が魔物に命中するのと同じタイミングでX字の中心に勢いよく突き刺した。

そして両手で支えると無理やり大剣を押し込んで行く。

大剣が魔物の内部をぶち破って完全に突き抜けた瞬間、 それはゆっくりと大爆発を起こす。

爆発の衝撃が辺りに膨らむようにして広がっていく。

浪炎を止めて泡と砂が混じった視界の先にスキャンで魔力を確認するディック。

魔物の消滅を確認する。



 「はぁ…はぁ…ちょ、 ちょっと……張り…き…りす…ぎたかな……はぁはぁはぁ…はぁ…」



しばらくして辺りが落ち着くとティナとリルティがディックへと向かう。



 「ディックさぁ~ん!! だいじょうぶですかぁ~!!」


 「はぁはぁ…へ、 へへへへ…どうだ? すげぇ…だろ」


 「(凄い…ギガドライヴを一点に集めるなんて……)」


 「ギガドライヴ自体が難しいのに本当に凄いですねぇ☆」


 「一か所に集める事によってギガドライヴ本来のパワーを超える事が出来んだ。


 ただ……これやると魔力が無くなっちまうけどな…はは。


 てか、 あの魔物一切攻撃してこなかったな…」



そんな中、 集まってる3人に向かって丸い塊が近づいて来ていた。



 「あ、 新手か!?」


 「……違う…あれは…アッシュよ」


 「なんだ……アッシュかよ……脅かしやがって…」


 「うふふふ! ディックさんふらふらですよ~」





















 

 『アッシュ……?
















 ア、 アッシュ!!?』



3人共に声を揃えながら今到着したアッシュのレグに同時に目を向けた。



 「へへへ…。 た、 ただいま…」





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