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ETERNAL SAGA  作者: 紫音
52/73

episode 49 王誕生

非常に短いですがepisode49です。

 「ま、 眩しい…また別の場所か…?」


 「ここはわらわが造った世界だ。

 ソウルスペースと呼んでいる…」


 「何故俺様をこんなとこへ連れてきた?」


 「決まっておろう、 お前をエルフの王にする為だ」


 「お、 王だと?」


 「まぁそれにはまだまだ足りぬ物があるがな

 お前に眠るエルフの知識、 能力を

 引き出す所から始めなくてはならんが…

 その為には……」


 「………」



ジーナはジェノの身体をジロジロと見て回る。

そして指をパチンと鳴らすとジェノの服装が変わった。



 「な、 なにをした…」


 「あんなダサイ服はわらわの趣味に合わん。

 それとそのメガネも取れ」


 「……こ、 これは駄目だ」


 「……なるほど、 そう言う事か」


 「な、 何だよ…」


 「わらわは心が読めると言ったであろう。

 口に出さなくてもわかるのじゃ。



 ふむふむ…

 リルティとやらの視線を反らすのがきっかけらしいな

 リルティとは女か?」


 「そ、 そんな事てめぇに関係ねぇだろが」


 「ふぅむ、 苦手な女か…。

 全く情けないのぅ」


 「るせぇ!! いいからとっとと始めやがれ!!」



ジーナは再び指を鳴らすとジェノのサングラスは

消えて無くなった。



 「おぉ! さすがわらわの子じゃ!

 顔の形もちゃんと整っておる♪」


 「て、 てんめぇ〜!!」



ジェノは魔力を解放し勢いよく殴り掛かろうとした。

しかし何かに身体を縛られたような不思議な力が

ジェノの動きを止める。



 「…が…くく…」


 「愚か者め…。

 わらわと戦おうなど考えるだけ無駄じゃ」



しばらくすると不思議な力は消え

ジェノの身体は解放される。

そしてジーナは今までの表情とは明らかに違う

真剣な眼差しでジェノを見た。



 「さて………始めるか…」


 「………」


 「今から…



 わらわの全魔力と共にこの魂ごと

 お前に授ける」


 「さずけるって……



 お、 おい…それってまさか…」


 「わらわはどのみち存在が消えてなくなる。

 つまり無駄死にも同じじゃ。


 しかしお前の魂と合わさる事で

 わらわのこれまでの知識、 能力は

 受け継がれるのじゃ」


 「まさか転身の秘術か!?」


 「安心しろ。 転身の秘術ではない…」


 「俺様にパワーがプラスされるって

 言ったじゃねぇか」



 「能力を受け継ぐと言ったのじゃ。

 わらわの能力を引き出すにはお前が自身で

 身につけなければ使えん。

 第一あれはそれぞれが術を習得して

 初めて発動できる術…。

 お前は習得しておらんだろ」


 「…つまり転身の秘術は

 術の完了と同時に使い熟せると言う訳か…





 だったらあのババァは何なんだ?

 術で能力はババァに行ったんじゃないのか?」


 「術は失敗じゃ。

 転身の秘術はお互いが望まなければ成功しない」


 「…なるほどな」


 「わらわの息子よ。 ディウスとやらを倒し

 そしてラミュンダを治める王となるのじゃ。

 わらわの願いはそれだけだ」


 「言われなくてもぶっ飛ばしてやるよ」


 「ふふふ、 そうか…。





 よし、 ではわらわの手を取れ」



ジェノはジーナの両手をしっかりと握り閉めた。


 「この力、 知識が完全にお前のものとなるまでに

 時間が少しかかる。

 これは修業などでは引き出せんから覚えておけ

 どうもお前は自分を痛ぶる癖があるからのぉ」


 「あぁ…。

 (また読みやがったのか…)」



ジーナが深く深呼吸を繰り返す。

そして魔力を解放して全身に漲らせると

頭や足の先から光が腕に流れて行き手の先へと向かう。

やがて光はジェノへと伝わる。

ジェノの表情がゆっくりと険しくなっていく。

火にさらされているかの様に熱い。

それは握っていたジーナの手の感覚が

わからない程だった。

しばらくして眩しい閃光が辺りを

埋め尽くしジェノは反射的に目をを閉じた。

だが熱い感覚はそのまま感じる。

ジェノが次に目を開けたのはあの大きな墓石の前だった。

地面からゆっくりと痺れた身体を起こしながら

墓石に目を向ける。



 「……戻ってきたのか…



 おいババァッ、 帰って来たぜ」



しかしヴァレアの姿は無かった。

とりあえずジェノは立ち上がって螺旋階段へと向かう。

そして階段を降りていく。

その途中、 自分の右手を見つめながら

何かを確かめているジェノ。



 「(…強くなった感じがしねぇな。

 あいつの言った通り修業で引き出す必要がある。

 


 だが、 完全に引き出すのは無理なんだったな…)」



気がつくと入口の扉前まで来ていた。

重い扉をゆっくりと開けるとジェノの瞳には

信じられない光景が映し出されていた。



 「…………」



塔から出て来たジェノの前には数千のエルフ達が

彼に声援を送っていた。

その先頭にヴァレアとルシアがいる。



 「おいババァ、 何なんだよこれ…」


 「ジェノ、 いやクラヴィス王。

 そなたは今この時より

 エルフを統べる王となられたのじゃ」


 「クラヴィス王バンザーイ!!」


 「クラヴィス王バンザーイ!!」


 「(……そうか。 王がどうとか言ってたな)」



ルシアがひざまづいて顔をジェノへと向けた。

つい先程闘いをした者がこうも変わるのかと思いながら

ジェノは彼の言葉を聞き入れる。



 「クラヴィス王よ。

 ここにいる者達は皆、 貴方のしもべです。

 我々をどうかお導き下さいませ」


 「……んだよそれ」


 「?」


 「俺様が何でてめぇらを従えなきゃいけねぇんだよ」


 「クラヴィス王、 貴方は王となられたのです」


 「あ? いつなったんだよ」


 「(ジーナ様の魂がまだ完全に

 一つになっていないのか…)」



ジェノは階段を下りながらヴァレアとルシアを

通り過ぎていくと前にいる数千のエルフ達が

皆一斉に片膝をついて綺麗に並んだ。 

少しビクっと背中を反らしたジェノだったが

直ぐに足を運ぶ。

その中に見覚えのある姿が目に映る。



 「うん…?


 てめぇ……確か…ディアナだったな?」


 「…そうです」


 「……まさかてめぇまで敬語とはな。

 敵が自分の王になるなんて皮肉だろ? くくく」


 「恐れながらクラヴィス王…

 我々は元から敵ではありません」


 「敵じゃねぇだと?」


 「我々がアーディルを狙っていたのは

 ジーナ様を復活させる為だからです」



後ろからルシアがこちらに向かいながら静かに声を出す。



 「…我々は罪深い行いをしました。

 その償いはもちろんこれから償うつもりです

 どうかお許し下さい」


 「んな事俺様には関係ねぇよ。



 そんな事より俺様は修業がしてぇんだ」


 「……わかりました。

 ディウスの情報は把握しております。

 そうでしたらフォトゥラへ向かって下さい。




 アスファ!! ニルヴァ!!」



ルシアが名を呼ぶと中から2人のエルフが

ジェノの前へと現れ、 ひざまづいた。



 「アスファに……ニルヴァです。

 彼女達はクラスAでその中でも

 トップを誇る実力者です。

 修業のお供に使って下さい」


 「アスファです」


 「ニルヴァと申します」



アスファとニルヴァは“アークエルフ”と

呼ばれる階級で階級は最も高い。

髪の毛が長髪で黄色に近い金髪をしている

水色の瞳の特徴をしたエルフ。

ちなみに階級が最も低いディアナやノアは

レッドエルフと呼ばれている。



 「……確かに、 とんでもねぇ魔力を感じるな…。




 それで…

 そのフォトゥラにはどう行きゃあいんだ?」


 「この者達にお任せ下さい。

 それでは我々は一端エルザードへと戻りますので

 王がお帰りになるのを心待ちにしております」



ルシア達は巨大な光と共に消えていった。



 「クラヴィス王、 参りましょう」


 「王と呼ぶな。 気持ちわりぃんだよ」


 「ではジェノ様」


 「……ふん」



ニルヴァが作り出したワープドアを抜けると

ジェノ達の目の前には1つの台座がポツンとあった。

アスファがそれに近づいて手をかざすとジェノを呼ぶ。



 「準備が出来ました」


 「これでフォトゥラとやらにワープするのか。

 フォトゥラとは何だ?」


 「フォトゥラは…。


 我等エルフの聖域でございます」


 「その聖域と俺様の修業とが何の関係があるんだよ」


 「恐らくルシア様はジェノ様にエルフとしての

 知識や力を学んで頂きたくて

 ここを選ばれたのでしょう」


 「ジェノ様がエルフの全てを知った時

 きっとジーナ様のお力も使いこなせるようになると

 ルシア様はお思いになられているのではないでしょうか」


 「まぁ強くなるなら何でもいい。







 …………よし、 始めろ」



ニルヴァは再び手をかざし、 呪文を口ずさむと

ジェノは光と共に消え去った。





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