episode 4 ディルウィンクエイス
episode 4 完成しました。
ep3までは携帯の送信トレイに保存していたやつに改良を加えたものだったんですが、今回は全く0から作ったんでもしかしたら矛盾してる所もあるかもしれないですが、 何とか目標期限を達成しました。では、どうぞ!!
「ご、 ご報告致します!!」
「どうした?」
「はっ! アッシュ・バーナム他2名の現在の所在地が判明しました!!!」
「……何してる続けろ!!」
「現在バリオン国ラジュより東にあるディルウィンクエイスに到着
しばらく滞在するようです!!」
「我が兵士達は何をしておる!? テリス近辺に潜伏させていたであろう!?」
「そ、 それが……残りの2人って言うのがエレメンツでして…そのー」
「ええいっ!! その様な戯言聞きとうないわ!
とっととさがれぃ!!!」
「も、 申し訳ありません!! し、 失礼します!!」
「まったく……どいつもこいつも!」
「まぁ、 いいじゃない」
「陛下!!」
「居場所はわかったんだし、 それに簡単だとつまらないじゃないか」
「し、 しかし陛下、 お言葉ですが計画が遅れております!
あれの中には陛下と同じアーティファクトを宿しているのですぞ!?
万が一、 覚醒してしまっていたら我が帝国はかつてない危機に陥るやもしれません!
お早めに手をお打ちになられ……」
「15年前、 バリオンとの戦で2000もの軍をたった1人で薙倒していった
お前の言葉とは思えないよ。
そうだろ? 銀獅子のシキ?」
「し、 しかし陛下! 計画を急ぎませんと……」
「わかったよ! ……じゃあレヴィナードのエレメンツを要請して」
「レ、 レヴィナードですと!?」
「なに? だって急いでるならいいじゃない
相手はディルウィンクエイスなんだから……
忘れたの? あそこのマスター……マーディンがいるんだよ!?」
「しかし、レヴィナードを…」
「シキ……これ、 命令だよ…」
「!?……仰せのままに…」
「アッシュ・バーナム……
ふふふっ、 君と会える日を楽しみにしてるよ……」
――ディルウィンクエイスの街――
「(……朝か…最近、 いろんな事があって眠れてなかったからぐっすり寝れてよかった。
そう言えば今日はエレメンツマスターに会うんだった。 確かティナが迎えに来て
くれるはず、 けどまだ時間あるから外に出てみようかな)」
宿を出て適当に辺りを散歩する事にした。
「(それにしてもディルウィンクエイスだっけ?
俺が今まで見て来た街や村と少し雰囲気が違う
様な気がするんだけど…気のせいか…?)」
予感は的中してしまった。 何気なく空を見ようとした時だった。
ちょうどアッシュぐらいの背丈程の木が土と共に宙に浮いているではないか!
浮いている小さな小島には人の姿も見えるいや浮いていると言うより
固定されてる様に感じた。 まるでそこに地面が存在するかの様に……
アッシュは目を疑った。
頬や髪を引張り、 挙句の果てに舌を噛んで夢か確かめる。
しかしこの後、 さらに驚かされる事となる。
民家らしき建物から出てきたどこにでもいる様な女性が花壇の花に水をやっている。
これもまたどこでも目にするごく普通の光景。
しかしこの女性、 指先から水を作り出している。
人差指から流れる水は流線を描いていた。
しばらく釘付けになるアッシュは何度も何度も自分の頬を引っ張りながらもその光景に
見入ってしまっていた。
「なにぼぅーっと突っ立ってんの……」
その声はティナだった。
「あ、 あれ見ろよ!」
ティナはアッシュが指差した辺りに目をやった。
「ん? あれって何よ??」
「あれだよ! ほら! また出した!!」
「お花に水をあげてる人?」
「驚かないのか!? 指から水が出てるんだぞ!!?」
「別に驚かないわよ…。 ここじゃ普通だから」
「ふつうって……あれもスペル……なんだろ?」
「う〜ん、 正解と言いたいところだけど少し違うわ。
何が違うかって言うと……
スペルは相手の中のオーブを感じ取って放つの。
だから素早く動く相手や暗闇でも対応できるし
スペルによってはかなり遠距離からでも発動できるわ!
でも彼女のは目で見て捉えているから近くのものや止まって
いるものとかに制限されるの。 まぁご飯作ったり、
彼女みたいにお花に水をあげたりとかによく使うかな…
それにスペルはスイッチワードが必要だから」
「スイッチワード?」
「例えばスペルなら……
開け! 我が魔力の扉!! って感じに…ん?」
アッシュは怯んでしまった。
「何やってんの? 今は発動しないわよ〜魔力込めてないんだから」
目を瞑った瞬間に気づいていた。 恥じらう心が顔を赤く染めた。
「あ、 あんた達いったい何者なんだ!?」
「あれ? 言ってなかったっけ? あたし達はエレメンツだって」
「……………」
「言っとくけどディルウィンクエイスに住む人間はあの程度の魔力、みんな使えるから
いちいち驚いてるとキリがないわよ」
「みんなって……じ、 じゃああの子供もか!?」
母親と手を繋いでる少年を指差した。
こんな子供ができるはずがないと思う中で
心のどこかでは密かに強い期待を忍ばせる。
ティナはその少年と目についた近くの少し年上の
少女をスキャンし始めた……
エメラルドの輝きが彼女の瞳に宿る。 そしてその瞳を見つめるアッシュ。
「ん〜と……。 うん、 たき火するぐらいならなんとかできるかな…多分」
「(あ、 あんな小さな子供が……)」
「男の子の方が少し魔力が高いみたいねあんた見る目あるじゃない!!
…って何!? もうこんな時間!? やばい遅れるわ!!」
ティナはアッシュの手を引張って急ぎ足で歩き出した。
「あたしとしたことが…時間厳守の…このあたしが…だめだわ、 間に合わない!!」
「ティ…ナ…痛いって……」
「(…こんな使い方は許されてないけど…でももうこれしかないわ!!!)」
「?」
「開け! 我が魔力の扉!! クイックフェザー!!」
すると2人の背中に白い光の翼が現れた。
「お、 俺の背中に!? は、 羽が生えた!!?」
「コントロールはあたしがするから暴れないでよ!」
浮遊しながら物凄いスピードで向かう2人。
経験した事のない突風がなれないアッシュに襲いかかる。
「な、 なぁー!! 何で街の真ん中に向かってるんだー!?」
「マスターに会うからよー!! 言わなかったー!?」
「でもあそこは広場があるだけでそんな特別な
建物なんか無かったはずだけどー!!?」
「いいからー!! 説明してる時間はないわー!!!」
広場についた2人。 目的地に着くと光の翼は役目を
終えたかの様にそして霧の様に溶けて消えた。
アッシュは周りを見るがやはりそれらしき建物は見当たらない。
「ふぅ…よかった間に合った!」
「間に合ったって、 何もないじゃないか…」
「ふふっ、 アッシュ!」
人差指を頭上に向けたティナ、それにつられて顔を上げた。
「空…?」
「そのまま待って……もうすぐだから」
すると雲一つ無かった空に街の半分はある巨大な物体が音もなく現れた。
それでもティナは表情一つ変えない。
「…この辺かな。 アッシュこっち!」
少し手前で待つティナの元へ恐る恐る向かう。
あれ程の巨大な物体が浮いているにもかかわらず
街の人々は当たり前かの様に普通にしている。
「あの島みたいなとこに行く…んだよな?
でもどうやって…? 階段も見当たらないし……」
するといきなり上空から細い光の柱が2人のちょうど
真ん中辺りめがけて落ちてきた。 その光は一度地面に吸収されると
今度は3つの光に分かれ2人の足元に現れた。 そしてその光は円を描きだした。
見覚えがある形、 そう魔方陣だった。
しばらくすると2人は光の玉となって上昇していった。
「さぁ、着いたわよ。 ここが……、 ディルウィンクエイスよ!」
「ここが……? え? じゃあさっきの街は??」
「あの街はディルウィンクエイスの【街】よ。
あたし達がいるここはエレメンツしか出入りできない所なの。」
「よ、 よくわからない……な」
「……もともとは【ディルウィンクエイス】って言葉はエルフ語で
≪美しき平和の種≫って言う意味なの。 【エイス】って言葉が【種】って
意味なんだけど、 他にも【子供】って意味もあって初代マスターは
ここで育った子供たちがいつか平和を手にして欲しいって
込めて命名したって聞いてるわ!」
「美しき…平和の種…ディルウィンクエイス…か」
「エルフ語は言葉自身に魔力があってスペルの
スイッチワードなんかもそうなの」
「でもあれはエルフ語じゃない じゃないか」
「それはエルフの人達にわかりやすく簡単にしてもらったの
いちいち難しい言葉使わなくてすむから」
「それにしてもこの島、どうやって浮いてるんだ?」
少し前を歩いてるティナの後を辺りを見回しながら
ついていくアッシュ。 焦点が定まらない。
右側には光る水晶の様な物が一定の距離をおいて
奇麗に並んでいる。
恐らく闇を照らす明かりの様な物と足りない頭で推理する。
また左側には宙に浮いているお碗状の器が目に入った。
器には水が溜まってあり、器の外側を伝ってゆっくりと
水が流れ落ちている。
それが小さな小川を作り島の外まで続いていた
どこか蜘蛛の巣を連想させる。
「ここは…天国か……?」
「なるほど〜天国かぁ、 あんた面白い事言うじゃない〜!!」
しばらくすると目の前に丸い輪の様な扉らしき物が見えてきた。
「扉か…? でも取ってついてないし……
ティナが呟きだすと扉の様な物は緩やかに波打ち波紋を作った。
その中に入ろうとしているティナ。
「ど、 どうなってるんだ……!?」
「はいはい、 いちいち驚かない!」
水の様な…でも濡れないその不思議な物体の中に恐る恐る身を投げた。
その先には、 どこか屋敷らしきものの玄関に繋がっていた。
玄関と言ってもかなり広い。 アッシュはしばらく辺りに
目を散らせ場所を把握しようとしていた。
「ここにマスターが……?」
「そう。 マスターはこの先であんたを待ってるわ!」
階段辺りの柱に両腕を組んで寄りかかってるディックを見つけた。
「来たな」
ディックと合流するとマスターが待つ部屋へと向かった。
「なぁ、 マスターって偉い人なんだよな?」
「偉いも何も、 国で言えば王様だぞ!?」
「マスター、 マーディン……
数々のスペルを編み出した、 間違いなく最強のエレメンツよ!!」
ティナがドアのノブをゆっくりと回した。
「失礼します……」
「ディック・ストライバー
ティナ・ウインスレット、 よく戻りました。
アッシュ・バーナム…君、 ようこそディルウィンクエイスへ」
肩まで伸びた奇麗な髪は空の様に青く、 優しく微笑む瞳は大地の様に茶色で
立ち振る舞いから何まで明らかに他とは違っていた。
「マーディン様、 ターゲットを連れて参りました」
「戻ってきてすぐと言うのも大変申し訳ないですが……ディック」
「はい」
「偵察隊の情報ではどうも帝国に動きがありまして
レヴィナードのエレメンツ部隊がこちらに向かって来てる様なのです」
「レ、 レヴィナードって言うと…あのリーベルトがいるとこじゃないですか!?」
「そのリーベルトが部隊を率いているらしいのです」
「本当ですか!?」
アッシュはティナの耳元に小声で話した。
(リーベルト?)
(…レヴィナードの中でもトップクラスの実力を誇るエレメンツなの。
エレメンツには階級があって下からクラスC、 クラスB、 クラスAとあって
リーベルトはあたしより上のクラスAなの。)
(え!? ティナよりも上なのか!!?)
ティナはゆっくりと返事を返した。
「ディック、 貴方はクラスAのクレイドとクラスBを数名連れて
エレメンツの部隊数、 帝国兵の数を調べて来て下さい」
「わかりました」
「戦闘はできるだけ避けるように、 心術を使える者も
入れておきなさい。 わかりましたね?」
「任せて下さい! 俺があいつらの耳の穴まで調べ尽くして帰って来ますよ!!」
「……では、 行きなさい」
ディックはアッシュとティナの間を駆けて行った。
「さて……。 ティナ」
「はい」
「貴方は、 アッシュにディルウィンクエイス内を案内し
一通り終わったらまた戻って来て下さい。
私は儀式の準備をしているのでイマジンルームに来て下さい。」
「わかりました」
「あ、 あの……」
「はい、 どうしましたか?」
「お、 俺も……俺もエレメンツになりたいんです!!!
エレメンツになってミリアや母さんの…村の仇が討ちたいんです!!」
「…………駄目です」
「!? どうしてですか!!!?」
「ティナ、 時間がありません行きなさい」
「……はい…」
アッシュの腕を掴み無理やり部屋の外まで連れ出した。
「は、 離せよ! 俺はエレメンツになって村の仇を……」
「あんたわからないの!? なんでマーディン様があんたにダメって言ったか!!!」
「……」
「よく自分で考えてみたら!?」
「おれは……」
「とりあえず案内しないとダメだからついて来て!」
かなり怒ってるティナの3歩後からついて行くアッシュ。
「(なんでなんだよ!? なんで駄目なんだよ!?
じゃあ何の為にここまで来たんだよ!!!)」
「よし、 そろったな。
いいか今回の任務はあくまでも偵察だ、 戦闘はできるだけ避けるいいな!!」
『はいっ!!』
「よしクレイド、 出発だ」
「あぁ、 では行くとするか」
ディックの部隊が偵察に向かう。
「ここは、 宿舎よ。 アッシュの部屋はここの……705号室ね」
壁を見ると鉄の様な板があり、数字が縦に並んでいる。
ティナが705に指を当てると目の前の壁が透けて扉が現れた。
ティナがドアノブを回す。
「ここよ。 外に出るときは玄関のここについている
所を触ればこの扉が開くようになるから。 わかった?」
「あ、 あぁ……」
ティナの説明も半分しか聞いていないアッシュは
部屋の広さに圧倒されていた。
「お、 おい…この部屋全部俺が使っていいのか……?」
「そう言ったつもりだけど?」
「何部屋あるんだ!? 一体!!」
「えーと……12ね」
「じゅ、 12ぃ!?」
「よしっ……これで全部周ったわ。 さ、 じゃあ戻るわよ」
その時、 部屋の窓のすぐ近くを黄色の丸い光の玉が通り過ぎて行った。
「ティナ……」
「…………」
「おいティナって!!」
「もう〜何? 今行ってないとこがあるか
最終確認してるとこなのにまだ何かある!?」
「いやぁ〜、 なんか丸い光の玉が横切って
行ったから何なのかな〜って……」
「……光の…玉?」
ティナは窓を開けて確かめた。
「……!?」
「なんなんだ? あれ……」
「ディックの通信オーブだわ!!!」
「つう…しん……おーぶ?」
光のオーブの後を急いで追いかけたティナ。
アッシュ1人取り残される。
「お、 おい、 ちょっと! ……俺はどうすればいいんだ……?」
「(まっすぐマーディン様の元へ向かってる!!
通信オーブを送るって事は何か緊急事態が発生した場合のはず
まさか、 ディックの身に……!?)」
ティナはさらにスピードを上げ、 オーブを追いかけた。
今回からランキングに参加しました。
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