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ETERNAL SAGA  作者: 紫音
42/73

episode 39 記憶に生きる家族

大変お待たせ致しました。


…って待ってねぇよは言わないでf^_^;


今月はハイペースでUPします…タブン



誰かの声がする。

誰かの名前を呼ぶ声。

その名前はアッシュだった。

自分の名前を誰かが呼んでいる。

目の前は真っ暗…何も見えない。

しかし声だけは聞こえている。

透明感があり優しく落ち着いた声は

アッシュを囁く様に呼んでいる。

視界に針の先の様な小さな光が見えたが

そう頭が認識するより先に光は一瞬で広がった。



 「(ま、 まぶしい…)」


 「アッシュ?」



すぐ横から自分の名前を呼ぶ声がした。

眩しい目を細めながら振り向いて見ると…



 「レ、 レレ…レリ、 レリス!?

 何でこんな所にいるんだ!!?」


 「何でって…

 アッシュが連れて来たんでしょ」


 「…え!?」



周りをよく見ると眩しい光ではっきりとは見えないが

どこかの森の様で目の前に湖が広がっていた。

それは今まで何度も何度も出てきたあの湖だった。



 「(なんだ…どうなった…?)」


 「ねぇ…」


 「(ん…? ここ…って…)」


 「アッシュ? 聞いてる? アッシュってば!」


 「(湖…間違いない! あの湖だ!

 そうか! じゃあここは元の世界なのか…?)」


 「もうっ! アッシュ!!」


 「え!? う、 うわぁ〜!!!」


 「そ、 そんなびっくりする事でもないでしょ

 ただ近づいただけじゃない」


 「あ、 いや…え〜っと…あ、 あの…」


 「ん?」



現状をどうにか理解しようと考えるアッシュだが

レリスを前にすると、 どうしていいか

わからなくなり戸惑ってしまう。

2人は今、 湖を前に肩を並べて座っている。

間近にレリスがいると思うだけで

胸の鼓動が高まる。

ぽろぽろと零れてくるレリスの言葉を耳が

異常に敏感な反応する。

神経が全て耳だけに集中してしまっていた。

そのせいもあってレリスの話をまともに

聞ける状態ではなかった。



 「ねぇ、 聞いてる!?」


 「…え、 え!?

 あ、 う、 うん…」


 「ちょっとさっきからなんか変だよアッシュ」


 「あ、 あぁ…」


 「なんか…別人みたい」


 「(い、 今はレリスの事は気にするな〜

 現状把握しないと…えっと………だから…

 えっと…確か…)」


 「はぁ…」


 「(だめだ…気になって考えられない…)」


 「せっかく…2人っきりなのに…」


 「え…え? どういう…」


 「もーいいよ。 あたし帰るね」


 「え? あ、 ああ、 あの…」



レリスは溜息をその場に置いて帰ってしまった。



 「レ、 レ、 レリス!!」



今起きている自分の状況そして

レリスを怒らせてしまった事に理解もできないまま

アッシュはとりあえずレリスを追いかけた。



 「レ、 レリス、 その…ごめん」


 「…ほんと…何か変だよアッシュ」



しばらく歩いていると、 ある村にたどり着いた。

透明なドーム状の建物らしき物が並んで立っていた。

どこかで見た様な感じの村だったが

アッシュは初めて訪れる村である。



 「(確か…シグナスの部屋に行って話をしてて…

 それから…………あれ?

 それでどうなったんだ?)」


 「ねぇ…まだ何か考えてるの?」


 「あ、 いや……。

 それでこ、 この村は?」


 「……この村は…って…ちょっと

 本当に大丈夫? アッシュ」


 「あ…

 (何かまずかったか…?)」


 「もしかして…記憶喪失!?」


 「あは、 あははは…。

 じょ、 じょうだんだよ!」


 「だ、 だよね…。

 いくらなんでも“ミスト村”忘れるなんて」


 「ミスト…村? ミスト村ぁ!!?

 (俺の村と…同じ名前だ…)」


 「(…やっぱりなんかおかしい…)」


 「(そう言えばなんとなく雰囲気が俺の村と似てる…

 …偶然か…?)」



アッシュ達は村の中央へと足を運んだ。

建物こそ違うがすれ違う人全てに見覚えがある。



 「お、 今日は早い帰りだな。

 喧嘩でもしたか? わっはっはっは!」


 「ト、 トマス…さん!?」



首かけたタオルで汗をふきながら話しかける

中年の男をアッシュはそう呼んだ。

その後ろからレリスが声をかける。



 「今日も走ってるんですね!」


 「今日は“エンブレ”まで行くんだよ。

 2人も一緒にどうだ? 」


 「エ、 エンブレまでですか!?

 あ、 あたしは…えっと…」


 「わっはっはっは! 冗談だよ。

 よし、 じゃあ行くか!

 あ! そうだレリスちゃん」


 「……はい?」


 「喧嘩して悩んでるみたいだけど

 仲直りのきっかけを探してるんだったら

 そんな時はキスしてあげなさい☆」


 「あ…は、 はい……え?

 えぇ!! な、 なに言ってるんですか!!」



レリスが声をかけようとしたがトマスの姿は

もう既になかった。



 「もう…

 トマスさんいつもああやってからかうんだから〜」


 「…レ、 レリス…あの人……」


 「ちょ、 ちょっとア、 アッシュまさか

 あれ本気にしたの〜!!?

 トマスさんいつもの事じゃない!

 喧嘩してないしそれにキ、 キス…なんて

 な、 何考えてるんだろうね〜!!

 で、 ででも…アッシュがど〜してもって

 言うんだったら……しても…ぃぃ…カナ…」


 「え? ほ、 本気にしたって?」


 「………………もういい!!

 バカッ!!」



かぁーっと顔を赤くしたレリスは怒りなのか

恥じらいなのか思いを沸騰させながら

どこかへ行ってしまった。



 「レリス……何か感じ変わった様な…。

 気のせいか…。



 それにしてもさっきのトマスさんといい…

 ここにいる人みんな知ってる…。

 どういう事だ?

 俺の村はあの時火事で無くなったんだ。

 村人も俺以外生き残りはいないって

 ディックが言ってたし…」



と、 思い出しているとある一つの事に気がついた。



 「そ、 そうだ…。

 だったら………だったら」



するとアッシュはいきなり誰かを探し始めた。

すれ違う人、 1人ずつ確認する様に顔を確かめていく。



 「違う……。

 違うこの人でもない…」


 「どうしたの?」



キョロキョロとせわしなく動くアッシュに

声をかける女性がいた。

聞き覚えのある声だった。

その懐かしい声に思わず感極まる。

瞳を潤わせながら振り返ると…



 「誰探してるの?








 お兄ちゃん」


 「ミ…リア…ミリアァー!!」



アッシュの瞳の中には小柄な一人の女の子がいた。

年齢は16、 7歳ぐらいだろうか。

恐らく解くと肩甲骨辺りまである黒髪を団子状に束ね

一本の棒状のクシで止めてある。

そのクシの先には同じ素材で作られた

小さな赤い花がチェーンを通して付いていた。

この髪型にクシ…忘れるはずはない。

そう、 妹ミリアである。

アッシュは叫びながら強く抱きしめた。

火事で妹を失いもう2度と会う事はないと

思っていたそのミリアが今自分が抱きしめている。

何故この村に自分はいるのか?

夢なのか? 幻想なのか?

そんな事は今のアッシュにはどうでもよかった。



 「…お兄ちゃん?」


 「…ミリア…会いたかった…」


 「会いたかったって…?

 お、 お兄…ちゃん…いた…い」


 「いいから…」


 「ちょ、 ちょっと痛い…。

 痛いってばぁー!!」


 「あ、 わ、 わるい…」



はっ! と気がついて力を抜くと

地面にしゃがんだミリアは腕をさすりながら

ムッとした表情でアッシュを軽く睨んだ。


 「いたいよぉもぉ〜」


 「そ……そうだ! ミリア、 母さんは?

 母さんはどこだよ!? なぁ! 母さんは…」


 「だから痛いって…」


 「あ…」



またミリアの肩をガシっと掴んでしまったアッシュ。

再び力を抜いて離したがまた同じ事にならない様に

ミリアから少し距離を置いた。



 「お…母さん? お家にいるよ…。

 あ…ぁ、 いたぁ…ぃ」


 「家? どこだ?」


 「どこって…あたし達のお家じゃない…」


 「あ、 い、 いやぁ…。

 (記憶喪失とか面倒だからここは…)

 

 じゃあ一緒に…か、 帰ろう…か…ハハハ」


 「え〜なんでよ〜?

 だってあたし買い物頼まれてるし」


 「じゃ、 じゃあ俺も付き合うよ」


 「…え……うそ……」



ミリアはアッシュの言葉にぽかーんと口を

半開きにしながら一言零した。

今の発言がそんなに驚く事だったのか?

アッシュは少し苦笑いをしながらミリアに話しかける。



 「あ、 その…嫌だったらいいんだ」


 「嫌…って言うか…だってお兄ちゃん

 レリスさんは? 一緒に湖に行くって…」


 「あ、 あぁ…うん。 それはもういいんだ」


 「そ、 そうなの。

 (お兄ちゃんレリスさんと喧嘩したんだなきっと)


 じゃ、 じゃあ…ついて来てくれる?」


 「あぁ。

 で、 どこまで行くんだ?」


 「ん〜っと…ちょっと待ってね…。

 確か今日はエンブレの方が安かった様な…」


 「(エンブレってさっきトマスさんが言ってた

 あのエンブレか…?

 エンブレって村なのか? 聞いた事ないぞ…

 そんな村…)」


 「お兄ちゃん? わかった?」


 「え? 何が?」


 「だからスフィアタワーに行くのー!」


 「うん、 わ、 わかった…はは」


 「もう…何か調子狂っちゃうなぁ…」



そう愚痴を零しながらミリアは小さく両手を

丸く作り動かし始めた。

するとその両手の中に光の玉が現れた。



 「おま、 お前……それ何だよ」


 「え? なにって?」


 「(魔力だ…こいつ…何で魔力を使えるんだ!?)」



ミリアは不思議にアッシュを見ながら手の光を

大きく解き放ちそして円を描く。

光は渦となってやがて形が整っていく。

鏡の様なその物体…アッシュは知っていた。



 「ワープドア!?

 お前なんでワープドア使えるんだよ!!?」


 「あ〜〜お兄ちゃんがおかしくなっちゃったよ〜」














−エンブレ−

スフィアタワー前








光の中から出て来たミリアとアッシュ。

目の前にはガラスの様なもので作られた巨大な物体が

3つ空に浮いていた。

これがどうやら“スフィアタワー”らしい。



 「言っとくけど…余計な物は買わないからね」


 「え? あ、 あぁ…」


 「えっと…メメスのモモ肉とアンダモの葉だから」


 「(やっぱり聞いた事ない…名前だな。

 一々聞くと怪しまれるし…ここは流しとくか…)」


 「何やってんの…行くよ」


 「あ、 あぁ…」



ミリアは空に浮かぶ丸い物体の一つに向かった。

その後をついて行くアッシュ。

エンブレと呼ばれるこの場所は村と言うよりは

街と言うに相応しい造りだった。

ミスト同様ドーム状の建物が見えるが

数と大きさはエンブレの方が多い。




前まで来ると周りは人で賑わっていた。

スフィアタワーの真下には少し丘の様になっており

目の前の数十人が一瞬で消えた事から

どうやらここから上へとワープするらしい。

この手の事は今のアッシュは

それほど驚きはしなかったが

思わず本音が口から漏れてしまう。



 「す、 すげぇな…。

 エンブレってこんなに広い街なのか…」


 「な、 なんか初めて来たって感じだよそれ…」


 「い、 いやぁ…ひ、 久々だからかなぁ

 ははは…」


 「久々って…つい3日前に行ったんじゃないの?

 “ディルウィンクエイス”の皆で」


 「え? あ、 あぁ!!

 そっかそっか!! そう言えばそうだったな〜」


 「はっ!? まさか!!?」


 「いやぁははは……。 …え?」


 「ううん!! な、 なんでもないなんでもない!!

 (まさか昨日あたしが作ったご飯…

 あの肉やっぱり…やばかったのかな…)」


 「?? ミリア?」


 「さ、 さぁ〜早く買って帰らないとね!!」


 「あ、 あぁ…」



このガラスの様な素材の球体は中心に向かって

重力が働いており小さな星の様だった。

なので本当の地面が真上に見える場所があるのだ。

アッシュ達が今いるエリアがまさしくその場所である。



 「すっげぇ……人が逆さまに…

 そうか…向こうはこっちが逆さまに見えてるんだ

 不思議だな………」


 「お兄ちゃん!! 隣のスフィアに行くよ!」


 「お、 おい待てよ!!」









1時間後…。





2人は買い物を済ませスフィアタワーのワープで

降りて来たところだった。

アッシュの両手には荷物で一杯になっていた。



 「まさかこんなにも買う物があったとはな…。

 しかも半分以上お前のだろ」


 「だ、 だってさぁ見ると

 つい欲しくなっちゃうんだもん」


 「その性格は同じなんだな…」


 「え? 同じって?」


 「あ、 お、 同じと言うか……

 その…な、 直らないんだなぁって」


 「大きなお世話だよーだ」


 「あははは。

 ……じゃあミリア、 ワープドア頼む」


 「……それなんだけどさ」


 「ん?」


 「そのワープドアって何?」


 「え? えっと……あ、 ほ、 ほら…あれだ

 ワープドアの方がカッコイイだろ? 名前…」


 「ワープドア? そお?」


 「いや…言いやすいかなぁって…ははは…」


 「う〜んワープドア?

 まぁ確かに言いにくくはないけどさ…」


 「だ、 だろー!!」


 「でも“ラループ”って名前で

 決まってるんだからそう呼ばないとさー

 法律ルールは守らないとダメだよ」


 「わ、 わかってるよ」


 「じゃ、 ラ・ルー・プ・

 作るから待ってて」


 「…あぁ。

 (ルール? そんなものがあるのか?)」



ミリアは再び空間に歪みを作りその中へと入って行く。



 「お兄ちゃーん!! 早くー!

 閉めちゃうよー!!」


 「あ、 今行く!」



光の中へと慌てて入るアッシュ。

鏡の様な物体は触れると波打ちそして

アッシュが通過するのを確認したかのように

スッと消えた。












−ミスト−

バーナム家前








アッシュが光から飛び出すとある建物の前だった。

透明なドームの形の建物。

恐らくこの建物が自分の家なのだろうか…。

アッシュがミリアに尋ねる前に

先に答えを教えてくれた。



 「お家到着〜! あ〜ぁなんか疲れたなぁ」


 「そうだな」


 「あ、 でさお母さんに何か用だったの?」


 「…用って?」


 「だってさっきものすごい顔で

 『母さんはどこだ!!?』って…」


 「あ! あ、 あぁ〜あははは。

 あれは…」


 「………あれは?」


 「あれは……」


 「お前達、 こんな所で何してるんだ」



後ろから低い声がした。

この低く穏やかな声…

勿論覚えのある声だった。

アッシュが振り返るその前にミリアが

先に言葉を返す。



 「お父さん!?」


 「!?」



濃い紫の着物を羽織った男性が

2人に向かって歩いて来る。

180cm程の身の丈の黒髪の短髪だが

前髪の一部分は少し長い。

これは父親の特徴でもあった。

ミリア同様忘れるわけがない。

忘れるわけがないが…



 「ほら、 中に入りなさい」


 「お父さん、 今日なんか早くない?」


 「お前はお父さんに早く帰って来て欲しいのか

 そうでないのかどっちなんだ?」


 「もちろん、 早く帰って来て欲しいよ」


 「…にしてはあまり嬉しそうじゃないか」


 「わぁー早く帰ってきてくれたうれしー」


 「お、 お前な…」


 「と、 父さん!!!?」


 「な、 何だよ…そんな涙目で…

 どうした?」


 「と……父さん…」


 「まぁ、 話は後で聞くから

 まずは荷物を置いてからにするんだな」


 「そうだね、 あたしお腹すいたし」



2人は建物を囲うドームへと歩いていった。

そしてアッシュも他人の家に入るかの様に続く。

透明なドームは感触は無くまるで霧や雲の様だった。

今3人は透明なドームをくぐり抜け

中心の白いサイコロ状の建物へと向かっている。


 「(あの透明なのはバリアか何かか?

 でもまてよ…。

 もしバリアだとしたら……何から守ってるんだ?)」



腕を組みながら考えるアッシュ。

不思議な建物は数多く見て来たが1番近いのは

イフリナで見た街を覆う巨大なバリア。

しかしあれは敵の進入を防ぐ為で物凄い電流を

密集させて作られたもの。

見た目は似ているが進入を防ぐと言う事では

ないらしい。

そんな事を集中しながら考えていると

前にいたはずの2人を見失ってしまった。

しかし行方はわかっている。

と、 向かった建物に入るアッシュだったが…



 「あれ? いない…」



白い建物は近づくとその部分だけ壁が消え

中へ入れるようになるのだが中は何もなく

2、 3人が入れるスペースしかない。

これもどこかで見た事がある…。

恐らくまたどこかへワープするに違いないと

思うアッシュなのだがしかしその方法がわからない。



 「(どうやったらワープできるんだ…?

 スイッチも何もないな………魔力か?)」



床には銀色の円が描かれておりどことなく

魔方陣を思わせる。

その為アッシュは魔力が関係していると

推測したのであった。

するといきなりアッシュの目の前に

映像が映し出された。

そこには少し不機嫌そうなミリアが映っていた。



 「お、 お兄ちゃん…何やってんの…」


 「え…あ、 なんて言うか…その…」


 「動くとワープできないって…

 まさか忘れたとか言わないよね…?」


 「あ、 あた、 あたりまえだろ〜!!

 ちょっと…考え事してたんだよ」


 「ふ、 ふうん…そっ…か。

 (これは相当すごい喧嘩だわ…)」



そして無事にワープした先は透明な

カプセルの中だった。

先程と同じく近づくと壁が消える仕組みだ。

アッシュが通り抜け離れていくと

透明なカプセルだったそれは樹の質感に変わった。

カプセルから出るとそこはまだ外だった。



 「あそこが…家…なのか…?」



黄緑の若々しい芝が続く地面を割って

石畳が敷かれてある。

そして蛇の様に緩やかな曲線を描きながら

ミリア達のいる建物へと繋がっている。

その道を少し歩いて行くと両サイドに

水か何かわからないが数十センチ程の液体の粒が

池らしき所からゆらゆらと上昇し

ある一定の高さまで来るとそこでふわふわと

浮いていた。

シャボン玉の様だが質感は水に近い。

アッシュはそれに思わず持っていた荷物を

落としてしまった。

そしてまた拾うが顔はずっと固定されたままだった。



 「なんだ…これ…どうなってるんだ…」


 「もうお兄ちゃん! 早く!!」


 「………あぁ…」


 「ほんとにどうしたの!?」


 「いや…なんでもない…」


 「……それにいつまでも面倒臭そうに持ってないで

 転送したら?」


 「て、 転送?」


 「…はぁ〜あ…もう…」



ミリアは溜息を吐くと地面に転がっていた荷物に

向かって手をかざした。

すると荷物が全て光と共に消えた。



 「買い物してた時からずっと思ってたんだけどさ

 何で魔力使わないの?」


 「え、 それは…」


 「レリスさんと何かあったの?」


 「レリス? い、 いや別に…」


 「やっぱり何かあったんだね。

 喧嘩したんだ…」


 「(そういう事にした方がよさそうだな…)

 ま、 まぁ…な」


 「はぁ…やっぱりね…。

 なんか今日おかしいと思ったんだよねー」


 「あ…は…はは…」


 「あ、 そうだ、 お父さんが呼んでたよ。

 トレーニングルームに来いって」


 「トレーニングルーム…?」


 「だって明日お兄ちゃんのチーム出るんでしょ?」


 「え、 出るって…」


 「いいから行きなさぁーい」


 「うわぁっ」



ミリアはアッシュに向けて光を放つと

アッシュは瞬く間にトレーニングルームへと

ワープした。



 「遅いぞ…アッシュ」


 「と、 父さん…」


 「明日は大事な決勝だぞ?

 強豪チーム“ルファスヴァリエ”との試合だ」


 「ルファスヴァリエ…?」


 「そうだ。 今まで最弱チームと言われた

 あのチームが驚異的に力をつけて最近では

 優勝候補としても噂されている」


 「あ、 あぁ…。

 (なんだ…何かの大会か…?)」


 「いくらディルウィンクエイスといえども

 油断してると敗れる可能性もある。

 聞いた話ではルファスヴァリエの1人は

 “アーディライズ”を既に身につけたらしいしな」


 「あ、 アーディライズ!?

 アーディライズってあのアーディライズ!!?」


 「まぁお前が驚くのも無理はない。

 アーディライズはヴァルファリエンの奥義。

 一人前の証だからな」


 「アーディライズ……。

 (シグナスが変身したあれ…だよな…。

 シグナス…? ん? 

 !? そうだ…思い出した!!

 確か俺に真実を告げるとかでまたこの前の

 幻想を見せられてるんだ!

 そっか! これはシグナスの記憶なんだな)」


 「おい聞いてるのかアッシュ!!」


 「あ、 う、 うん…ははは」


 「やはり最近修業を怠けているせいか

 気迫が一切感じられん…。

 今日はビシバシいくから覚悟しろよ

 最初からフルでかかってこい!」


 「(どうせあいつの記憶なんだ。

 いくらなんでも死ぬ事はないだろ。

 だったら…全力で!!)」



アッシュは全魔力をいきなり身体から解き放ち始めた。



 「はぁぁぁ〜」


 「……な、 に!?」



全て解き放つと再び吸収し始める。

青い光は赤く変わりやがて黄金に変化していく。

激しく体の周りをスパークする。



 「それじゃあ〜父さん行くよ…。




 ギガ…ドラァァァイヴ!!!」





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