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ETERNAL SAGA  作者: 紫音
41/73

episode 38 転身の秘術

今回は非常に短いです。

なんだかんだでもうすぐ40話ですね。

いやぁ我ながら長く続いてます(゜▽゜)

結構3日ボーズな性格なのですが(笑)


−飛空船−

トレーニングルーム





シグナスは言った。


【アーディル】を使い熟す事ができれば

強大なパワーが得られると…。

しかしアーディルを解放する事で

自分が自分でいられなくなるのではないか。

【アーディライズ】したシグナスの変わり様を

その目で見たアッシュはアーディルの力を

引き出す事に戸惑い、 恐怖する。


ヴァルファリエンの里に到着するまで10日。

今日で8日目を迎えた。



 「はぁはぁ…はぁ」


 「アッシュ、 お前はアーディルを引き出す事に

 恐怖している。

 そんな事ではいつまで立っても無理だ。

 何も考えるな」


 「…はぁはぁ…はぁ…」


 「…いいか、 今日でもう8日だ。

 もしお前があと2日でアーディルの力を

 引き出せなかったら……その時は

 6大魔導は倒せないと思え」


 「……はぁ…はぁ…」


 「全てはお前にかかっている事を忘れるな。

 今日はここまでにする。

 アッシュ、 話しておかなければならない事がある。

 後で俺の部屋に来てくれ」


 「…あぁ…わかった」



シグナスは部屋を出て行った。

するとアッシュは力が抜けたかの様に地面に座った。



 「ふぅ…。 あと2日か……」



仰向けに寝転がると天井を見つめた。

この部屋は空間を自在に変える事のできる

イマジンルーム。

今アッシュが見ている天井は眩しい太陽が

見える快晴な空。

風が緩やかに流れ草木の揺れる音が聞こえてくる。



 「ディックのやつ、 ちゃんと修業してんのかな…。 



 そうだ! 通信オーブで!!」



すると勢いよく起き上がると魔力を込め始めた。

両手に集まる魔力を丸い光へと変えて行く。



 「ディック・ストライバーの元へ」



アッシュが再び魔力を込めると光の玉は

部屋を突き抜けて飛んで行った。



 「…えっと…これでいいんだよな…?」














−イフリナ−

エリア1

イマジンルーム




 「はっ! だぁ! でやぁっ!!」



イマジンルームにはディックとフィルが

激しい戦いを繰り広げていた。

オーバードライヴしたディックは一方的に攻撃を

仕掛け、 フィルに反撃のチャンスを与えない。

ディックは距離を取ってスペルを連発するものの

全くと言っていい程手応えを感じない。



 「…ダメだ…全然きいてねぇ」


 「ちょっともう終わり? 

 真面目にやってよディック。




 はっ!!」



フィルは片手を前に向けて気合いを入れると

突風の様な衝撃波を出してディックにぶつけた。



 「のわっ!!




 ……な…んだよ…バカにしやがって!!」


 「こんなんじゃあ修業にならないよ。

 遠慮なんかしなくていいからどんどん来て!

 開け! 魔力の扉!!


 エアサークル!」



いくつもの真空の刃がディックへと飛んで行く。

その刃を必死でかわす。

しかし段々とディックの避けるスピードが落ちてきて

何発か命中してしまった。



 「あが! …うぐっ!

 く…、 えん…りょな…んてしてねぇよ…」


 「開け! 我が魔力の扉!!


 ほらほら、 次々行くよ!」



無造作に左手を軽く前に出して掌を上へ向けた。



 「スピアフロスト」



フィルは膝をついているディックにもう一撃

スペルを放つ。

巨大な槍が3つ、 フィルの頭上から隕石の様に

落ちて来た。

通常のスピアフロストとは威力も形態も異なっていた。



 「ば、 バリアオーブっ!!」



とっさに叫んだ。

すると自身が光に包まれ光は透明な

球体へと姿を変えた。

そしてそれはフィルのスピアフロストを遮断する。

スペルに守られているとは言え物凄い衝撃がくる。

ディックは思わず防御体勢をとってしまった。



 「な、 なんちゅう威力だ…。

 スピアフロストかよマジで…」


 「へぇ、 サポートスペルかぁ。

 そんなのも使えるんだね」


 「さっきのエアサークルでさえあの威力…。

 一体どうなってんだ…ヴァルファリエンは」


 「でも本当に強くなったよディック」



フィルは話ながら変身を解いた。

全身が光に包まれ中心に集まっていくと光は

胸に吸い込まれていった。



 「なぁフィル、 6大魔導も確か

 ヴァルファリエンなんだよな?」


 「うん。 そうだよ」


 「俺……多分役に立たねぇわ……。


 かえって足手まといになるかもしんねぇ…」


 「…はっきり言って確かに今の君じゃ

 相手にする事は無理だね…。

 アーディライズした僕と同等…ううん

 それ以上と思った方がいいかも」


 「(オーバードライヴを使ってもあのザマだ…。

 残りの日数でもしギガドライヴが使えるように

 なったとしても無理だろうな…。

 魔力の桁が…違いすぎる…)」


 「君はたったの数日で驚く程強くなってる。

 日にちもまだあるし君はまだまだ強くなれるよ」


 「そりゃあ強くはなんだろうよ…。

 けど6大魔導とやりあえるとはどうしてもおも」


 「大丈夫だよ、 必ず強くなってる。



 だって君はその頃

 “ある力”が身についてるんだから」


 「ある力ってなんだよ…」


 「僕達ヴァルファリエンには扱えない力…。

 6大魔導と戦う時に必ず役に立つ力なんだ」


 「ヴァルファリエンにも扱えない力が

 俺なんかが使いこなせるのか?

 特別でも何でもないんだぜ?」


 「正確に言うと人間にしか扱えない力…

 と言った方がいいかな。

 でも今の君にはまだ無理だね。

 せめてアーディライズした僕とそれなりに

 戦えるぐらいにならないと。


 …続き、 始めるよ!!」


 「ま、 悩んでても仕方ねぇしな。

 よっしゃ! 魔力も回復したとこだし全力で

 飛ばして行くぜっ!!」










−飛空船−

トレーニングルーム




 「…おかしいなぁ…。

 通信オーブってこんなに待つのか…?」



通信オーブを送って30分が過ぎようとしていた。

何故繋がらないのか考えていると

トレーニングルームに兵士が1人入ってきた。



 「アッシュ・バーナム。

 シグナス様が御呼びだぞ。

 直ぐに部屋へ来いとの事だ」


 「あ、 忘れてた…。

 そうだった、 呼ばれてたんだった」



急いでトレーニングルームを出たアッシュは

シグナスの部屋へと向かう。




この巨大な飛空船は4階層に分かれており

最下層には他兵士達の部屋がある。

1つの部屋は大体12畳と言ったところで

そこに2人か3人が共同で使うようだ。

それが100部屋程あるが今回同行している

兵士の数は十数名。

1人1部屋でもまだ有り余っている。

最下層は部屋だらけでまるで何かの巣の様に見える。

廊下はぐるりと一周でき10部屋1ブロック単位で

区切られてある。

他の部屋へは廊下から扉を抜けて行くのだが

同じ造りな為に初めて搭乗する兵士は

迷う事もあるらしい。

廊下の壁には【A−1】などのプレートが見える。

彼等はこれで把握するようだ。

各ブロックにはワープできる装置があり

いざ戦闘で出撃する時にも

素早い行動がとれるようになっている。



続いて2階に上がると食堂や医療センターがあるが

この階層は他とは違ってまるで小さな街。

木や花などの植物が植えてあり綺麗に並べられている。

一種の癒しの空間とも言えるこの階層は

兵士だけではなく、 アッシュもここに来て

身体をリラックスさせている。

この階層にも数ヵ所ワープ装置が設置されてある。


3階はトレーニングルームただ一つだけだった。

これはただの訓練部屋ではなく

空間を自在に変える事ができるイマジンルーム。

その利点を活かすなるべく広く使いたいと

シグナスが指示したらしい。

使用中の場合は利用者の権限で入れなくしたり

しなかったりとロックがかけられる。

もちろんこの階層にもワープ装置が設けられている。

そして最上階にはアッシュ、 シグナスの部屋がある。

これまでの部屋と違い豪華な造りとなっている。


シグナスの部屋の扉をノックして声をかける。



 「シグナス、 入るぞ」



中に入るとシグナスは机に何枚もの

透明なプレートを並べ

それを見比べたりしながら書き物をしていた。

書き物とはペンや鉛筆で書くというものではなく

直接プレートを触って入力するというもの。

シグナスはアッシュと顔を合わせる事はなく

それらを見ながら話を返す。



 「そこに座れ」



アッシュがテーブルのイスに腰掛けるとシグナスは

4枚のプレートを持って来てテーブルへ並べた。



 「これには“転身の秘術”と呼ばれる

 術について書かれてある」


 「転身の秘術?」


 「そうだ…。

 この術をこれから習得しに行くんだ。

 厳しい試練に堪えてな」



アッシュは“転身の秘術”に聞き覚えがあった。

何処で聞いたか場所は思い出せないが

感覚で危険な術だという事を思い出す。



 「転身の秘密ってなんなんだ?」


 「転身の秘密とは2人で行う術で術者が

 もう1人のオーブを吸収し新たに1人の

 人間として生まれ変わる術なんだ。

 そして自分の能力に相手の能力がプラスされる。

 1人が犠牲となる事もあって禁じられた術

 とされている」


 「1人は…死ぬのか…?」


 「いや、 それは“死”ではない。

 2つが1つの生命体になると言うことだ」


 「つまり、 俺とシグナスが融合して

 1人の生命体になる……と言う事か?」


 「…そうだ」


 「………そういう事か…」


 「だがお前は不思議な事にアーディルを

 抜き取っても死ぬ事はないらしい…。

 もしかしたら1つに融合される事なく

 パワーアップができるかもしれん…。

 まぁこれは推測だがな」


 「(それほど6大魔導が強敵という事か…)」


 「残り後2日…。

 幸いにも目的地については順調に進んでいる。

 6大魔導にも気づかれていないしな」


 「それまでに…、 アーディルを引き出して

 上手くコントロールできるようにならないと…」


 「………そうだな…」



シグナスはそう言ったきり口を閉ざしてしまった。

アッシュもまた言葉が詰まった様に黙り込む。

並べた資料プレートを重ねて机の中に戻すと

シグナスは一言、 アッシュに言葉をかける。



 「お前に…話しておきたい事がある」


 「…あぁ、 なんだ?」


 「この前、 お前が何故俺のアーディルを

 半分宿しているか聞いただろ?


 その答えを教えてやる。



 それは…





 お前が俺のクローンだからだ」


 「クローン? なんだよクローンって」


 「お前は造られた存在なんだよ」


 「つくられた? 俺がか??

 ど、 どういう意味なんだよそれ…」


 「わかった。 初めから話してやる。









 お前が何故、 誕生したのかを…」


次回からはアッシュ誕生の話になるので

アッシュがどうやって誕生したかご期待下さい。


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