episode 37 シャドウトラップ
大変お待たせ致しました。
久しぶりなんで文章にミスや間違いなどあるかも知れませんが…
そのときはすいませんm(__)m
流星の如く、 雲を突き破って走る光が空に現れた。
地上からは全く何なのか認識できないが
その光の正体はクレイドだった。
彼はたった一人でロゼ達の元へ向かっていた。
亡き友ロンの敵を討つ為に…。
いや今のクレイドはただ怒りだけに
支配された猛獣の様だった。
「殺してやる…殺してやる…
殺してやる…殺してやるからなぁぁぁ!!!!」
叫び声と共に魔力を辺りに撒き散らす。
人は心から怒ると信じられない力が
発揮される事があるが今の彼は
まさに怒りそのものだった。
とり憑かれたかの様に狂ったクレイドの瞳に
映ったのは小さな3つの光。
ロゼ、 リーベルト、 そしてシキであるが
ロゼ達はまだ向かって来ているクレイドには
気づいていなかった。
「グランベルク…ゆるさん…
ゆるさん…絶対にゆるさん…!!」
突然クレイドは何やら呪文を唱え始めた。
飛行中に体を真上に向け両手を揃えて前に向ける。
その両手から少し離れた距離の中心から
光の魔方陣が拡がっていく。
魔方陣はクレイドの飛行に合わせて浮遊している。
「ジ・アージス・ディ・ウォルト…
大地の精霊よ…
我が剣となりて彼の者を滅ぼしたまえ…
いでよ…イシュメル」
なんとクレイドは空中で
マテリアルフォースを発動させた。
魔方陣の端を巨大な手で掴み泥の様にヌメっと
顔が押し出された。
そしてゆっくりと出てくる。
牛の顔に2本の鋭い角。
真っ黒な体毛は途中で霧の様に霞んでいる。
全体が黒いので白い角が余計に目立つ。
20mはあるであろう恐ろしく巨大なイシュメル。
クレイドは以前にも召喚した事があるが
見た目と大きさが違うのは送る際の
魔力量によるものだろうか。
特に大きさは以前の倍以上だった。
以前は魔力を抑えていたのか今回通常よりも
魔力を注いだかは謎だがとにかく
その巨大なイシュメルがクレイドと共に
飛行しているのだ。
しかしグランベルクが気づかない訳がない。
呪文永唱中に既に察知されていたのだった。
イシュメルの姿が確認出来る距離まで接近すると
「ん? あの巨大なのはなんだ?」
「マテリアルフォースだねぇ……」
「術者は…クレイド・ヴァラーか!!?」
クレイドはロゼ達を視界に捉えると
イシュメルと共に突進して行く。
目を大きく見開き、 怒り任せに叫んだ。
「きさまらぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
クレイドは片手を前に出すと隣にいた巨大な
イシュメルが雄叫びをあげながら飛んで行った。
急激に迫るイシュメルにロゼ達はそれぞれ攻撃や
スペルなどの構えを取ろうとするが間に合わない。
「ぐが…!!」
「ぎゃぁぁ!!」
「ぐぁぁぁ!!!」
ロゼ達はまともにイシュメルの体当たりをくらうと
凄まじいスピードで辺りに吹き飛んで行く。
海に落ちたロゼにターゲットを絞った
クレイドは追い打ちをかける。
「くらえぇ!!
メテオストリィィム!!」
叫びながら片手をかざすとイシュメルの角が
輝き出し上空から流星群がロゼ目掛けて飛んできた。
一つ一つが巨大なイシュメルの握りこぶし程の
大きさでそれがまさに滝の様に降り注ぐ。
近くにある孤島の岩山にぶつかったシキは
瓦礫を魔力で吹き飛ばして起き上がると
その光景が飛び込んできた。
「どうやらあやつ1人だけか…。
流石にあれはロゼでも防げないだろうな。
まぁ…心配は無用か」
メテオストリームが海に次々と衝突する。
降り注ぐ範囲はグツグツと煮えたぎっている。
なんとその中からロゼが勢いよく飛び出してきた。
メテオストリームを避けながら
イシュメル目掛けて飛んで行くと
魔力を両手に集め始めた。
「そぉぉらぁ!!
さっきのお返しだよぉぉ!!!!
ヴォルテックスブレード!!」
イシュメルの真っ正面に入り込み
腹部に突進するとロゼは両手から無数の光の鞭を
出して巨体を乱れ舞いながら切り刻む。
その攻撃スピードが余りにも速い為に
ただ光ってるだけにしか映らない。
そして次の瞬間イシュメルはサイコロ状に
細かくカットされ数秒後に霧となった。
「きさまらは…
絶対ゆるさんぞぉぉ!!」
クレイドはロゼの側面から飛び掛かった。
素早く連撃を放つがロゼは腕や脚で受け止め
時にかわしながら余裕を見せつける。
しかし反撃はしない。
ロゼは戦いを楽しんでいる様だ。
「あんた1人なのか〜い?」
「よくも…よくも…きさまぁぁぁ!!」
「へぇ、 あんたもキレる事があるんだねー」
「開け! 我が魔力の扉!!
ラピッドインパクトォォ!!」
「なに!? スペル!?」
ロゼの頭上に放たれた大きな光の塊が
無数の小さな弾に分散してロゼに降り注いだ。
光の弾をよく見ると台風の様な風エネルギーが
凝縮されている。
それが物凄い速さで一気にロゼに襲い掛かる。
とっさに見上げたロゼだが間に合わず
クレイドのスペルをくらってしまう。
ロゼの体にぶつかると弾がはじけ
凝縮されたエネルギーの衝撃が放たれる。
その光の弾が無数に次々と降ってくるのだ。
「ぐぅぅくく…あんな…至近…距離か…ら」
「よくも…よくも…ロンを!!」
休む暇もなくクレイドは次の行動に移った。
仲間が攻撃されているのに
リーベルトもシキもただ見ているだけであった。
「ぐぐ…ぐぐぐ」
「殺してやる!!」
震える程両手を握りしめ魔力を集め出す。
そして光となり光が形を作っていく。
クレイドはフォースエッジで槍を精製すると
ロゼに飛び掛かって行った。
「風陣衝ぉぉっ!!」
ロゼの目の前で槍を大きく振り下ろすと
巨大なエネルギーの波が発生した。
まだラピッドインパクトをくらっているロゼは
この技も同時にくらうはめになった。
さすがのロゼもかなり辛そうな表情だが堪えている。
しかしそこへクレイドは第二撃目の風陣衝を放つ。
さすがに堪えきる事ができずにロゼは激しい衝撃と
共に吹き飛んで行った。
「があぁぁっ!!」
「開けぇ! 我が魔力の扉ぁ!!
くたばれぇぇ!
クロォォスッ!!
トルネェェドォォォ!!!!」
巨大な竜巻が2つ、 広範囲に発生した。
右回転の竜巻と左回転の竜巻の真ん中にいるロゼの身体は刃の様な跡を刻んで行く。
シールドに守られていてこれほどの衝撃。
ロゼはそのまま再び海へと落ちた。
「………はぁ……はぁ」
クレイドは近くの島に降り立つと
今まで発動していたクイックフェザーを解いた。
その途端に膝から地面へと倒れ込む。
魔力は既に3分の1以下…
怒りが収まったからなのか要約正気を
取り戻すと冷静ないつもの彼に戻る。
「はぁはぁ……ま、 また…
またやってしまったの……か…う、 うぐ…」
何とか立ち上がると息を調えながら
ロゼをスキャンする。
「(海の中か…くそ…あれだけ攻撃して
やっと半分…いや潜在魔力量を計算に入れたら
30%程しか魔力が減ってない事になる…。
わ、 私の魔力はもう残り少ないというのに…)」
そしてチラッとシキに目を移す。
「(それにしても何故だ…。
今攻めてこれば間違いなく私を殺せるはず…
だが見ているだけとは…)」
空に腕を組んで浮かぶリーベルトを見ても
シキ同様ただ見ているだけであった。
助けようともクレイドに攻撃する様子も
全く見られない2人。
「(ロゼの魔力が70%をきった…。
なかなかやるな…あの男)」
上空からクレイドを無表情で見ながら
ゆっくりと近づいて来たリーベルトを
睨みながら構えるクレイド。
冷や汗が一滴地面に落ちる。
しかし通り過ぎて行きリーベルトはそのまま
シキの元へと向かって行った。
そんな中、 別方向から魔力の反応をキャッチした。
「この魔力は……」
当然シキ達も反応を拾った。
「ん? 援軍か?」
「いや…、 違う。
…また1人のようだ…何かの作戦か…?」
「あの女、 かなり高い魔力量だ…何者だ?」
「……ティナ・ウインスレットだ」
ティナはクレイドを見つけると同時に
残りの魔力をスキャンする。
そしておおよその状況を把握すると口を開いた。
「飛べる?」
「あぁ。 コントロール程度なら何とか…な」
「…問題は今のあんたの魔力で
どこまでスピードが出せるか…」
「ティナ……すまない…私は…」
「それは後で聞かせてもらうわ。
まずはここからどうやってあんたを
逃がしてあげられるか考えないと…」
「……引っ掛かるな。
まるで自分が囮にでもなると
言わんばかりのセリフだな」
ティナはクレイドにクイックフェザーをかけ
上空に飛び上がった。
「よし! やっぱりこれでいくしかないわね!
クレイド、 合図するから全力で飛ばして逃げて」
「ティナ…お前何を…」
いきなりロゼが海から水しぶきをあげながら
豪快に飛び出してきた。
まるで巨大な生物が海から
跳び上がってきたかの様にド派手に登場すると
首を鳴らして魔力を全身にみなぎらせた。
「ふぅ〜。 今のは効いたねぇ。
くっくっくっくなんだい、 いつの間にか
1人増えてるじゃないか〜♪
もっと楽しませてくれるのかい?」
「ロゼ、 次は俺だ。 代われ」
シキと共に離れた距離にいたリーベルトが
いきなりロゼの前に現れた。
「!!?
(み、 見えなかった…。
あいつ一瞬で…)」
「…ティナ、 もし戦うのなら私も共に戦う。
1人では到底無理だ…心配しなくても
私はまだやれる」
「馬鹿、 戦いにきたんじゃないの!
いい? あたしが合図したら全力で逃げるのよ!」
「しかし…お前1人をおいてなど…」
するとティナはツンツンと指を地面に向けて
少し冷や汗混じりにニヤリとした表情を
クレイドに向けた。
「なんだ…? 地面がどうか…
!!!!?」
「ふふふ、 わかった?
だから遠慮はしなくていいから全力で逃げて」
「お前…、 いつの間にそんな…」
ティナは一歩ロゼ達に近づくと魔力を溜め始めた。
「今度はあたしが相手になるわ!!」
「ディルウィンクエイスで今1番マーディンに
近い存在、 ティナ・ウィンスレットか。
おもしろい…」
リーベルトはロゼの前に出るとゆっくりと構える。
「ちょっと、 まだ代わるって言ってないだろ
おい! リーベルト!」
「(さぁここからが問題ね…。
今の状態でこの技ができるかどうか…)」
ティナは目を粒って全身に魔力をみなぎらせると
身体が黒い靄に覆われていった。
その靄を身体から周りに放つと
しばらくしてそれが少しずつ人型へ形を変えていく。
「クレイド今よ!!」
「よしっ!!」
クレイドは今発揮できる全ての魔力を使い
全力でその場から遠ざかった。
リーベルトは目の前のティナの行動に興味が
あるのかただじっと観察している様子。
だがロゼは…
「逃がしゃしないよ!」
ロゼが追いかけようとしたその時、
影がロゼの前に立ちはだかった。
それはなんとリーベルトだった。
「な、 なんだい…
また見逃せってのかい…?」
「…………」
リーベルトはいきなりロゼに膝蹴りを浴びせた。
膝があごを直撃し、 少しよろけながらリーベルトの行動が理解できないロゼは声を荒げる。
「ぐっ、 あんた!
自分が今何やったかわかってんだろうね!!」
「それは偽物、 俺はここだ」
「偽物?
な!!?
…あ、 あたしがもう1人…!?」
ロゼが後ろを振り向くと離れた所で
リーベルトはロゼのコピーと戦っていた。
それを確認したロゼはすぐにティナへと目線を移す。
「あいつ……なにをしたんだ…」
「(よし、 シャドウコピー成功!!
これで少しはなんとかなりそうね)」
リーベルトとロゼは自分達の分身と戦闘を開始した。
広範囲に渡って光と光が激しくぶつかり合う。リーベルトコピーの凄まじく繰り出される
パンチの嵐を右へ左へかわしていくロゼ。
「動きも本物とそっくりじゃないか。
こんな技初めてだ…」
「だが、 全てと言うわけではなさそうだ。
魔力量は本物より程遠い」
ロゼコピーがスペルを放ってきた。
リーベルトはシールドを高めて
片手でスペルを弾くと瞬時にロゼコピーの
背後に回り込み後ろ髪を掴み、 引っ張りながら
もう片方の手を背中に添える。
「開け…我が魔力の扉…。
スパークボルト」
背中に直接スパークボルトを流し込んだ。
しかしリーベルトのスペルがエネルギーから
電撃へと変わるまで耐え切れず
ロゼコピーは一瞬で粉々に分解された。
「フッ、
所詮、 この程度だ…」
それを離れた孤島から見物しているシキは
「あの女、 不思議な技を使いよる…
あの様な技は今まで見た事がないが
焦る程の事でもないか…
殺した後でスキャンオーブをじっくり調べてやる。
くっくっく…」
笑みを漏らしながら高見の見物気分の
シキ目掛けてどこからともなくスペルが飛んできた。
「む、 アイスファングか…」
スペルを簡単にかわすと術者に
ゆっくりと目を向ける。
「あんたの相手はあたし」
シキの前にはティナの姿があった。
ティナは再びスペルを詠唱しながらシキから離れる。
「貴様なんぞがこのシキと闘うだと?
くくく、 愚か者めが!」
シキは不適な笑みを浮かべながら
ティナを追いかけて行った。
−イフリナ−
イマジンルーム
一方別世界に飛ばされたアッシュとディック。アッシュと別れたディックはフィル達と
日々修業の毎日を送っていた。
「あれ?
フィル、 おめぇだけか?」
「うん、 他のみんなはいろいろやる事あって
空いてるのは今日僕1人だけなんだ」
「そっか…。
よっしゃ!
今日もビシバシ頼むぜぇ!!」
ディックは気合いを入れるかの様に魔力を込める。
「ディックの魔力はもうかなり上がったし
普通に僕達とやり合えるみたいだから
僕もそろそろ本気でいきたいんだけど」
「おぅいいぜ!」
「じゃあ…いくよ!!」
フィルの目つきが鋭くなると同時に
素早くディックに接近する。
ディックは冷静に見極めフィルの第一撃を
腕で防ぐとそこからフィルの連続的な
攻撃が続いていく。
一見ディックが劣勢に見えるが
実は2人共軽くウォーミングアップ感覚で
戦っている程度でフィルの連撃を
かなりの余裕でしっかりとガードしている。
ここへ来てからたったの8日間で信じられない
成長を遂げたディック。
隙を見てフィルのパンチをかわして
今度はディックが連撃を浴びせる。
フィルもディックの素早い攻撃をしっかりと防ぐ。
そして両者の腕と腕が衝突すると距離を取る2人。
「よし! じゃあそろそろ飛ばしていくぜ!
オーバー
ドライヴ!!」
ディックが言葉を発しながらフィルへと
突っ込んで行く。
スピードが乗せた連続的な蹴りを放ち
その最中にフォースエッジを呼び出していた。
蹴りのフィニッシュの後に流れる様に
巨剣を振り回し剣撃へと繋ぐ。
「攻撃パターンが多彩になってきたね…
ぐぐ、 いい……感じだよディック!」
「うらぁっ!
へへっ、 だろ〜!!」
「でもね、 …はっ!!」
次の瞬間巨剣を手刀で弾いた。
剣は落ちた瞬間光になって消えてしまった。
そして隙ができたディックの腕を掴み投げ飛ばした。
「うぉあぁ〜〜!!」
「……じゃあ、 本気でいくからね!!
はぁぁぁぁぁぁ…」
フィルが魔力を溜めだした。
小さな身体から光が段々と強く輝きぐんぐんと
上昇していく魔力。
投げ飛ばされたディックは宙返りして
受け身を取るとフィルの発っする魔力の風圧に吹き飛ばされてしまい地面を転がっていく。
「くぅ!!
…な、 なんだ…この感じ…。
魔力の波形が…変化していってるぞ…」
全方向から波の様にやってくる来る圧迫感と
今まで感じた事のない魔力がスキャンするディックの瞳に次々と情報として放り込まれていく。
そう、 それはまるで洪水の様に。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
床が激しく揺れて彼自身が見えなくなる程の
凄まじいスパークが幾重にも重なる。
フィルが放つ魔力はさらに急激なスピードで
上昇していく。
余りに凄すぎる光景にディックは
オーバードライヴを解いてしまった。
「信じられねぇ…ま、 まだ上がるのか…」
「はぁぁぁぁー!!!!!!!」
「くっ…」
眩しい程の光がイマジンルーム全体に広がり
ディックはとっさに目を粒ってしまう。
最後の魔圧が突風の如く通り過ぎると光は落ち着き
ディックは腕で顔をかばいながらも目を開けてみた。
瞳の中にいたフィルは……別人だった。
「………な…なな…」
「ふぅ…。
久しぶりにアーディライズしたから
かなり時間かかっちゃったなぁ…。
やっぱり魔力がかなり低下してる…」
背中から生えている白鳥の様な純白の翼と
こうもりの様な漆黒の翼。
そして真っ白い布の様な衣服を羽織っていた。
深い青の頭髪は鈍く光を放つ銀色に。
身長もディックと同じくらいまで伸びていた。
「(な、 なにをしやがったんだ…あいつ)」
「さ、 始めるよ!!」
「ちょ、 ちょちょちょっと待て!!」
ディックは慌てながらも再び
オーバードライヴを発動する。
しかしいくらパワーアップしても
魔力の桁が違いすぎる。
「く…くそー!
やれるだけやってやるぜっ!!!」
ディックは激流に逆らう勢いでフィルに向かって行った。
上手くクレイドを逃がしたティナ。
ロゼとリーベルトのコピーはあっさりと倒され
ティナ1人となっていた。
空中はクイックフェザーの事もあって
不利だと思ったティナは小さな島に降りて
シキと激しいスペル合戦を行っていた。
コピーを倒し終えたロゼとリーベルトは
戦闘には参加せず、 離れて見物していた。
「ブレイズフィールド!」
「くっ!」
シキが放つスペルをシールドでなんとか防ぐ
がダメージは徐々に蓄積されていく。
影術とスペルの連発で魔力も尽きようとしていた。
「はぁはぁ…はぁ」
「くっくっく、 ついに息が切れたか…」
「はぁはぁはぁ…はぁ…はぁ…
(クレイドはもうディルウィンクエイスに
戻ったかしら…)」
ロゼ達がティナとシキの所へとやって来た。
地面に降り立つとクイックフェザーを解き
静かに着地した。
「さすがはディルウィンクエイスのエレメンツ。
あたし達マスタークラスを相手によく頑張ったよ。
でも…
もうそろそろ限界みたいだね。
最後に、 あんたにご褒美をあげるよ」
「………ご褒美?」
「この中から好きに選ばせてあげる。
さぁ、 誰に殺されたいんだい?」
「……ふふふ」
「ん? 何がおかしい?
正気を無くしたか?
くくく、 まぁ無理もないねぇ」
「ふふ、 あははははは!!!
あたしの役割はクレイドをここから
逃がしてあげる事…。
最初からあんた達に勝つつもりでやってないから」
「あいつは逃がしたけど…。
あんたは逃がさないよ。
まさか帰れるとでも思ったのかい?
くくくく、 残念だけど無理だね。
あんたはここで死ぬ」
「あっはははは!!!
あんた達まだ気づかない?
それでもエレメンツマスターなのかしら。
はぁぁぁぁぁぁ…」
するといきなりティナは生命力を魔力に変え
全身へと送った。
「あんた達まさか“影術”を知らないとはね。
まぁグランベルクなんかと仲良くする
エルフなんていないから知らなくて当然か」
「影術…?」
「あたしはあんた達に殺されるぐらいだったら
自ら死を選ぶわ。 でもね…
あたしが何の考えもなくこんな事すると思う?」
「………まさか
お前…!?」
「ふふふふっ…
正解…!!」
ロゼ達に近づくと自身をエネルギーに
変えて大爆発を引き起こした。
ロゼ達の周りが閃光の様に白くなり凄まじい
爆風が島全体に広がる。
島は粉々に粉砕していった。
ディルウィンクエイス付近まで戻ってきた
クレイドの所までティナが起こした爆発が見えた。
振り返って爆発の光景を見つめる。
「………まだ生きてるだろうな」
「ま、 あれで死んだら苦労はないわね」
「しかしまさかシャドウコピーだったとはな」
「ふふ、 考えたでしょ?
自分自身をコピーしたのは初めてだったけど
とりあえず上手くいってよかったわ」
「お前、 影術を使いこなせるのか?
人間が使用する場合、 膨大な魔力を消耗するはず…
そんな膨大な魔力を制御できるのか?」
「完璧じゃないけど一応ね。
あいつらのコピーは不完全だった…。
まぁでも役に立ったからよしとしなきゃね」
「……なんてやつだ」
「さ、 早く戻りましょ。
あいつらもすぐそこまで来てるんだから」
「…そうだな」
2人はディルウィンクエイスを目指して飛んで行った。