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ETERNAL SAGA  作者: 紫音
36/73

episode 33 変わらない思い

この後もこっちの世界のお話が続きます。

物語的には70%辺りです。


 「着ている服以外は…

 ほ、 本当にそっくりだな…」



もう1人のアッシュをいろんな角度から

眺め始めるディック。

顔はもちろん声までそっくりな2人のアッシュ。



 「アッシュに確か…ディックだったな?

 それからレリス達みんな聞いてくれ。

 アッシュが2人だとややこしくなる…

 今から俺を…そうだな…シグナスと呼んでくれ」


 「シグナス…死んだ親父さんの名前か…」


 「うん。 わかったいいよ」


 「アッシュ、 わかったな?」


 「あ、 あぁ」


 「アッシュはもう他の仲間は知ってると思うが…

 ディックは初対面だから一応紹介する」


 「あぁ。 すまねぇ」


 「そこのソファに座っている筋肉の塊が…

 ゼア・カチェスだ」


 「き、 筋肉の塊ってなんだよ!

 へへ、 よろしくな! 兄ちゃん」


 「ディックでいい、 よろしくなゼア」


 「そのとなりにいるのが…

 レジェア、 レジェア・ファブレだ。

 彼女とディックの隣のフィルは頭脳明晰で

 頭が切れる」


 「ふふ、 レジェアと呼んで下さい」


 「あ、 あぁよろしく(綺麗な人だな…)」


 「僕の事はもうわかってると思うけど一応…

 フィル・ドラント、 改めてよろしくディックさん」


 「あぁ! よろしくなフィル」


 「あたしはレリス…よろしくね!」


 「レリス……オーディア」



今までアッシュに纏わり付いて来た名前レリス。

幾度となく夢や幻想の世界で出て来た女性である。

シグナスが仲間を紹介している最中もずっと

アッシュはレリスだけを見ていた。

まるで金縛りにあったかのように…。

心の中の何かが今…この時より

ゆっくりと動き始めようとしていた。



 「アッシュ…? どうかしたの?」


 「……あ、 あ、 い、 や…。

 そその…なななんでも…………ない」


 「あははは。

 こいつ2人があまりにも美人なもんで

 照れてやがんだ!」


 「ち、 ちが…」


 「な〜にが違うんだよアッシュ!!

 まぁわからないでもないぞー。

 2人共綺麗だしおめぇが一目惚れすんのも

 仕方ねぇわぁ!! なぁーっはっはっはっは!

 (まぁ俺は…ティナの方がいいかな〜)」


 「そして俺達5人は最後の…

 【ヴァルファリエン】なんだ」


 「!!!!!?」



先程まで笑っていたディックだがその事実を

聞いた瞬間に顔色が変わった。

しかしアッシュはあまり驚いてはいなかった。



 「あ、 あ、 あんた達みんな!?」


 「そうだ」


 「ま、 マジか……伝説のヴァルファリエンが

 俺の目の前に…夢じゃない…よな…」


 「…シグナス、 俺達この世界から

 元の世界に帰りたいんだ…」


 「あぁ。 だが今は無理なんだ」


 「今はって…どういう事だよ」


 「6大魔導がイフリナに向かって来てるんだよ」


 「6大…魔導っていやぁ…アッシュ、

 おめぇが倒した…」


 「あぁ…ガルってやつが確かそう言ってたよな…」


 「え? ガルをやっつけちゃったの!?」


 「あ、 あぁ。 灰になって消えたから多分…」


 「し、 信じられねぇ…」


 「シグナス、 そいつらいつ来るんだ?

 明日か? 明後日か?」


 「フィルの計算だと95日後には来るらしい」


 「大体3ヵ月ってとこか…。

 よっしゃ! じゃあ俺達も一緒に戦うぜ!

 なっ、 アッシュ!」


 「実を言うとその為にフィルに

 動いてもらったところもある…。

 2人がこの世界にやって来たのは偶然にも

 6大魔導の襲撃前…

 2人が加われば間違いなく大きな戦力になる」


 「いい? ガルは6大魔導の中でも

 1番弱いって言われてるんだ。

 今度の相手もガルと同じと考えない方がいいよ」


 「あのガルが…1番弱い…?

 う、 嘘だろ…」


 「なーにビビってんだよー

 3ヵ月もありゃなんとかなんだろ〜!」


 「とりあえずこれからの事を簡単に説明する。

 まず俺はさらなる力を身につける為

 里に向かう。 ヴァルファリエンの里だ。

 そこで試練を受ける事になる。

 アッシュ、 お前にも来て欲しい」


 「お、 俺も?」


 「その間ディックにはレリス達と

 訓練を受けてもらう。

 あんた以外はヴァルファリエンだから戦闘レベルが

 飛躍的に向上できると思う。 しっかり学んでくれ」


 「よっしゃ! 望むところだぜ!!」


 「残りの数週間は全体的な訓練に入る。

 時間はたっぷりあるが有効に使いたい。

 簡単に説明したがみんなわかったか?」



シグナスに皆一つ返事で返した。



 「よし。 3日後に開始する。 解散

 アッシュ、 ディック、 部屋へ案内する」



シグナスは2人をこれから何日も寝泊まりする

部屋へと連れて行く。

海底に造られたこの地下施設、

廊下の床は綺麗な絨毯が敷かれており足音が

響かなくなっているせいもあって静かだ。

前を歩くシグナスに近づきそっと声をかけるディック。



 「シグナス、 根本的な質問していいか?」


 「…なんだ?」


 「あんたとアッシュは何か関係があんのか?」


 「……………」


 「……な、 なぁ………聞い」


 「着いたぞ、 この部屋を使うといい」



ディックの会話の途中に部屋へと着いてしまった。

部屋の中はホテル並の綺麗さだった。

恐らく客人を泊める時にこの部屋を使うのだろう。

しかしベッドのシーツや枕の位置、

テーブルの上の花瓶の花など全て綺麗に整えられていた。

誰も利用した事がないのではと疑う程

綺麗でいてそして豪華な部屋。



 「す、 すげ……」



その部屋に吸い寄せられるかの様に先に

アッシュが入っていった。



 「ディック!! 早くこいよ!!

 こんな柔らかいベッド初めてだ!!!」


 「あ、 あぁ!!」



ディックが部屋へ入ろうとした時、

彼の後ろからシグナスが静かに呟いた。



 「答えは…

 知りたければ教えるが知らなくていい事もある。

 それでも…まだ知りたいのなら…。

 夜中、

 あいつが寝たのを確認した後さっきの部屋へ来てくれ」


 「……わかった」



シグナスはその後は無言のまま廊下に消えていった。










真夜中…。



ディックはあれから一睡もできなかった。

今まで謎だったアッシュの秘密が

説き明かされようとしている。

だがディックには少し躊躇いがあった。

真実を知って自分は今までの様に

アッシュと接する事ができるのだろうか。

シグナスのあの言葉が耳に残る…

【知らなくていい事もある】


隣で眠っているアッシュを見ていると

このまま知らない方がいいのだろうかと

その2つの狭間でディックは悩みに悩んだ。




そして…ディックが出した答えは…。













 「ディック、 本当に…いいのか?」


 「あぁ……こんなに悩んだのは久しぶりだったぜ…。

 もう変える気はねぇよ…」


 「………1つだけ教えてくれ。

 何故その答えを選んだんだ?」


 「…………あいつと初めて会った時…

 あいつ、 エレメンツになりてぇって

 言ってきやがってよ、 そん時の

 あいつの目は今でも忘れられねぇ…。

 そうそう、 俺も昔はこうだったってな…

 あいつは俺が忘れていたものをまるで

 ディック、 忘れてるぜって持ってきたみてぇに

 俺の目の前に現れやがったんだ。

 あいつは人を不幸にしたりはしない…。

 例えバケモンだろうが悪魔だろうが

 俺はあいつを……アッシュを……

 



 この俺の……弟だと思ってる!!」


 「……そうか…。

 なら…







 ……教えてやる」



これがディックが出した答えだった。

どんな真実でもアッシュを受け入れる。

アッシュの全てを知ってこそ

真の友情や愛情をもって接する事ができるのではないか…

それが弟の様に思うディックの決断だった。



 「アッシュはこの俺の……クローンだ」


 「く、 クローン? アッシュが?」


 「最初から説明すると途方もない時間が

 かかるから今は少し省くが…

 俺のアーディルは訳あって2つに分ける

 必要があったんだ…アッシュに俺の半分の

 アーディルを持たせ、 あんた達の世界へ送ったんだ」


 「……あんたの話が本当ならアッシュは

 こっちの人間って事になるよな?」


 「そういう事だ…」


 「お、 おい待てよ…じゃあ何で

 マスターはアッシュの事知ってたんだ?」


 「…マスター? 何者だ」


 「俺達の世界にはエレメンツっていう組織が

 あるんだけどそこの長、

 つまり指揮官をマスターって言って

 マスターマーディンっていう…」


 「ま、 マーディンだと!?」


 「あ、 あぁ……知ってるのか?」


 「……い…いや…多分…人違いだ…」


 「そうか…?

 そのマスターが何故かアッシュの事に詳しいから

 ちょっと前から疑問なんだよなぁ…」


 「(俺の母親の名と同じだ…。

 いや名前が同じ者など珍しくない…。

 俺の母親は…あの時の爆発で死んだんだ…

 

 仮に…もし…

 万が一ディックの言う者が俺の母親だとして

 どうやってあの爆発から逃げ延びたんだ?

 それに何故別の世界にいる…?)」


 「…っておい、 聞いてるか?」


 「す、 すまん…話はまた改めて話そう…」



そう一言告げると考え込んだ表情のまま

シグナスは部屋を後にした。



 「あ、 あぁ別にいいけどよ…。

 (俺…なんか悪い事言ったのか…?)」








翌日を迎えた。




アッシュとディックは朝食を済ませると

フィルに連れられて訓練施設へと足を運んでいた。

その扉前でフィルが足を止める。



 「この施設はもちろん隠れ家全体に

 イフリナのバリアで覆われてるから

 おもいっきりやっても大丈夫だからね」


 「アッシュ、

 おめぇと修業するのは初めてだな」


 「あぁ、 あれから強くなったからな」


 「へへっ、 そいつは楽しみだな!」



フィルが扉を開くと中は何もなく

壁や床全てが黒で統一された部屋だった。

雰囲気がどこと無くイマジンルームに似ていた。



 「真ん中の床に黄色い円があるでしょ?

 あれにイメージと魔力を込めると空間を

 自在に変える事ができるから」


 「まさにイマジンルームだな」


 「うん。 ジェノ君とコンタクトを取ってる間に

 教えてもらってそれを参考に僕なりに

 ちょっと手を加えてあるんだ」


 「普通のイマジンルームと何か違うのか?」


 「基本的には同じだよ。

 ただ魔力を調節できるようにしたんだ。

 君達2人の魔力を本来の半分にして

 その状態で修業する事で魔力の無駄な消費を抑えて

 尚且つ効率よくレベルアップする事ができるんだ

 うまくいけば君達が普段使っている技や術の

魔力消費量を半分に抑える事ができるよ」


 「そいつはすげーや…

 確かにそんな機能なかったな」


 「魔力消費を無駄なく…か…

 俺、 無駄に魔力使ってるのかな…」


 「それじゃ僕はやる事あるから後は

 君達で好きにやって」



と青い髪をかきあげながらフィルは

訓練施設から出て行った。

それを確認したディックは部屋の中心に向かい

黄色い円に手を置いた。 魔力を込めるとたちまち

周りの景色は見渡しのいい平原へと姿を変える。

しばらくすると2人に異変が起こり始めた。



 「な、 なんだ…」


 「…なんか身体が重くないか…?」


 「フィルの言ってた魔力調整ってやつか?」


始めは抵抗あった2人だったが

数分もしない内に違和感は消えていった。

軽く屈伸をしながらディックに話しかける。



 「よっ、 ほっ、 それで何から始めるんだ?」


 「何からもない、 試合しようぜ!」


 「い、 いきなりか!?」


 「な〜にビビってんだよ

 おめぇはもうあの時の…


 おめぇじゃねぇんだろ〜!?」



いきなりディックがアッシュへと向かって行った。

少し慌て気味にシールドを張って構えるが

ディックの蹴りがアッシュに届く頃には

顔が変わっていた。



 「ほらよっ!!」



ディックの蹴りを左腕で受け止めたアッシュは

それを払うとすぐさま右の拳を打ち出した。

その拳を掌で受け止めるディックだが

アッシュはさらに左手からも繰り出して来た。


 「だぁ!」


 「あまーいあまい!!」



アッシュの両手を掴んだディックはそのまま

なんとスペル詠唱を始めた。

アッシュは離れようと力を込めるが

ディックもまたすごい力で両手を離さない。



 「な、 な、 なんて…力…だ」


 「開け! 我が魔力の扉!!

 アッシュ〜オーバードライヴしても…いんだぜ〜



 でないと避けれねぇぜー!!」



ディックはその掴んだ状態からアッシュを

地面へと叩きつけると軽く飛び上がった。

それと同時にスペルを放つ。

アッシュはディックの真下で俯せになって倒れている。



 「ブレェェイズフィィィルドォォ!!!」



ディックの振り下ろした両手からいくつもの炎蛇が

飛び出し、 彼の周りを回りながら範囲を広げて行く。



 「さぁどうすんだー?

 まるこげになっちまうのかあー!」


 「…まるこげになんかなるかよ!!

 はぁっ!!!」



俯せ状態のままフォースエッジを出すと

自身を高速回転させ体を宙に浮かせた。

剣を素早く振り回してその風圧で炎も同時に振り払う。

しかしディックのスペルを完全に回避できず

アッシュはダメージを受ける事となった。



 「な、 なんちゅう奴だ…」


 「あちちち…ディックのやつ手加減してないな…」


 「アッシュも剣なのか…。

 よし! フォースエッジ!!!」



ディックもフォースエッジを出す。

魔力を右手に集めそれが光の塊となると

強いフラッシュが起こった。

ディックの両手にしっかりと握られていたのは

身の丈程の大きな剣だった。

剣と言ってもアッシュのとはタイプが違うようだ。

見た限り斬りつけるタイプではなく

打ち砕くタイプの彼の巨剣。



 「ディックもフォースエッジを…?」


 「なんだ…まさか俺は使えねぇとでも思ってたのか?

 随分なめられたもんだなー!!

 そらぁっ!!」



巨剣を意図も簡単に持ち上げるとアッシュに

向かって突進してきた。

ディックのスピードに影響は見られない。



 「初披露の挨拶がわりだ!

 受け取れぇ〜!!!


 炎舞刃!!!」



そう叫びながら身体を回転させ巨剣を振り回す。

振り下ろした剣の軌道を追っていく

炎が特徴のこの炎舞刃。

アッシュはその技を剣で防ごうと構える。



 「そらそらそらそらぁー! どしたぁぁぁ!!」


 「う…く、 …ぐぐ…ぐ」



横や上、 下からとありとあらゆる角度から

ディックの剣技がアッシュに襲い掛かる。

かろうじて受け止めているものの

防いだ後に強い衝撃で身体が持って行かれ、 

アッシュのバランスが崩れ始めてきている。

さすがにもうダメだと感じるとついに

発動する事を決めた。



 「くっ…、 

 オーバードライヴ!!!」



オーバードライヴした瞬間

その衝撃でディックは軽く吹き飛ばされる。 

剣を突き立てブレーキをかけるディック。



 「や、 やっと出しやがったか…」


 「ディック! じゃあ俺も本気でやるぜ

 はぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 「お、 おまえ…

 またすんげぇ魔力だな…やべぇな俺…」


 「バスターフレア!!」


 「な!?」



至近距離から炎の塊がディックに飛んでいく。

しかしフォースエッジに魔力を送って

力いっぱい弾き返す。



 「おぉぉらぁぁぁああ!!」



バスターフレアは術者アッシュへ向かう。

それを難無くジャンプでかわすと再びスペルを放つ。



 「それなら…ランブレイズだぁ!!」


 「ばーか、 火属性スペルは俺の得意分野だ」



ディックはフォースエッジを戻すと

彼もまたスペル詠唱を開始した。



 「開け! 我が魔力の扉!!」



ランブレイズがまだ詠唱中のディックに迫っている。

だが当たるぎりぎりの距離で詠唱を終えると

すぐにスペルを放った。



 「ドォォォラァァァゴォォ


 ブレェェェェイズ!!!!」



ディックの全身が強く輝き水流の様に炎が飛び出す。

すぐ近くのランブレイズを飲み込むとその炎は

勢いを増してアッシュへと飛んでいく。



 「ス、 スパークボルト!!」



向かって来る巨大な炎に目掛けて放つが

スパークボルトも飲み込んでしまった。

炎はアッシュに接近しながらドラゴンの口へと姿を変え

大きく炎が口を開いた。



 「アッシュ!! そんでおしまいかぁぁぁ!?」



アッシュはディックのスペルに飲み込まれてしまった。

アッシュを飲み込んだ直後ドラゴンの口は

再び炎に姿を戻しその場で巨大な火柱と化した。



 「ほら、 どーしたアッシュ!

 魔力が全然減ってねぇ事ぐらいスキャンで

 バレバレだぞー。 早く出てこいよー!」


 「…アドーラ・バ・シール・ラム・ア・デルス

ドラアドーレア・ラァム・アデールシス」


 「な、 なんだ……?」



なんとアッシュはスーパースペルを

発動させようとしていたのだ。

まだ火柱の中だと言うのに

その中から呪文を唱えている。



 「お、 お前…ま、 まさか…」


 「第六天界の守護者レミアルよ

 我が魂の導きに答え給え」


 「お、 お…おいマジかよお前!!!

 スススーパースペル使えるって

 きき、 き、 き聞いてないぞ!!!!」


 「ディックー! 死ぬなよ〜!!


 アデルヴァーストラムっ!!!」


 「ばば、 ばばばばかやろうーがぁぁ!!!!」



アッシュの周りから無数の光の矢が容赦なく

ディックへと飛んでいく。

この状況を回避するにはもうあの手段しかない…

考える時間も秒単位、

すぐにディックは行動に移した。



 「修業中に死んだなんて

 そんな格好悪い事絶対にできるか!!

 こ、 こうなったらアレを試すしかねぇ!





 お……おぉぉぉぉぉぉ!!!!!」



ディックは魔力を全身から解き放ち

また全身へと吸収させる。

青い魔力の光が少しずつではあるが

赤い魔力へと変化を見せる。



 「ぐぐぐ…た…たの…む…ぐぐ

 ぐうぅおあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



ディックの激しい叫びに呼応するかの如く

全身にスパークが走った。

しかしスーパースペルの第一撃が既に

ディックの頭上にまで迫っていた。



 「オォォォバァァァァー



 ドラァァァァァイヴ!!!!」



ディックの掛け声とほぼ同時に第一撃目が彼に炸裂した。

そして次々と光の矢が爆発を起こす。

アッシュは煙りの中からディックを捜すのだが…



 「こっちだ馬鹿アッシュ!!」



いつの間にかアッシュの背後に回っていたディックは

回し蹴りで不意をついたのだった。

地面を滑っていくとアッシュはそのまま倒れる。

そして突然の出来事で驚きのあまり

オーバードライヴが解除された。

それを確認するとディックも解除した。

その瞬間身体に激痛が走り

ディックはその場に倒れ込んだ。



 「ぐ…身体が…い、 いでぇ…」


 「…ディック、 な……んだよ…

 ちゃんと出来てるじゃないか」



2人は寝そべったまま会話を続ける。



 「あ、 あんな事されりゃあな…

 でき…るよう…になんだろ…」


 「わ、 わるい…。 

 実は寸前で止めようとしたんだけど

 無理だった…あははは…」


 「ば…かやろう…笑い事じゃねっつーの!!!」


 「ま、 まぁ…ディックはオーバードライヴ

 できる様になったし

 俺はスーパースペルの再確認ができたし…

 よかったって事にしないか?」


 「あのな…もしかしたら

 俺死んでたかもしれねぇんだぞ…」


 「だから謝ってるだろー」


 「あのなー。 謝れば済む問題じゃねぇだろう…


 ………次は

 最初からオーバードライヴでやるぞ

 ただし、 さっきみたいな

 スーパースペルは無しだからな…」


 「ま、 まだやるのか!!」


 「ったりめぇだ! まだ始まったとこだろ!

 でも……

 ち、 ちょっと休憩したらな…」



アッシュとディックの修業はこれから始まるようだ。


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