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ETERNAL SAGA  作者: 紫音
35/73

episode 32 機械都市イフリナ

お待たせしました。

それではどぞ〜

感想よろしくで〜す(^O^)/

目の前まで来るとそのスケールに圧倒される。

建物の所々から蒸気の様なものが噴き出している。

どうやらこの街は鉄で出来ている様だ。



 「なぁ、 あの白い物体は

 ここに逃げやがったんだな?」


 「あぁ。

 あいつの反応が消える前にスキャンで探ったから」



 「それにしてもおめぇ、 よくわかったな」


 「あー、 それはオーバードライヴしたからだよ。

 最高レベルのスキャンに見えないもの

 なんてないからな」


 「…じ、 実はなアッシュ、 お、 おれ、

 そのオーバードライヴ修業してんだよ…」


 「おー!! それで順調なのか?」


 「それがよ〜魔力をリリースドレインする辺りで

 やばくなんだよな…」


 「あはははっ」


 「わ、 悪かったな…不器用で!」


 「違う違う。 同じだなーと思って」


 「……何がぁ」


 「俺も同じところでつまづいてた。

 確かマーディン様もそんな事言ってたっけ。

 『自分で編み出したのに何故か難しい』って」


 「へぇあのマーディン様が……。

 しっかしまさかアッシュに慰められるとはなー。

 【あの頃】は逆だったのによ! へへっ」


 「…あの頃の俺は、 本当に無知だった…。

 エレメンツや帝国の事、 何もかもな…」


 「そんなショゲタ面すんなって!

 ほら、 入ってみよーぜ!!」



2人は鉄の街へと足を踏み入れた。

足元をよく見ると地面まで鉄…。

歩く度にカンカンと音がする。

街は壁に囲まれており、

どうやら出入口は1つだけの様だ。

アッシュ達の世界では見た事がない鉄の街。

しかし人の気配がしない…。



 「ディック……あれ…」


 「…お…おい、 なんだあれは…」



人間の姿をした鉄の塊が家らしき建物から出て来た。

首の部分から小さな穴があり蒸気の様な

白い煙りが動く度に音と共に噴き出している。


 「へ、 ヘンテコなやろーだな…。

 あいつ生きてんのか…?」


 「…スキャンじゃ拾えないみたいだな。

 さっきみたいな魔物という感じもしないし…」



 「あれは、 機人だよアッシュ」


 「!!?」



いきなり背後から声がした。

驚きながら振り返る2人の前には青い髪の少年が

不気味にも似た笑顔で立っていた。

ディックは反射的に構えをとる。



 「な、 なにもんだおめぇ!」


 「フィル…あんた確か…フィルだよな?」


 「よかった。 覚えててくれたんだね」


 「フィル? 知り合いなのか?」


 「うん…まぁちょっとな…」



少年がフィルだとわかるとアッシュは

すぐにある事に気づく。

あの白い物体が何であったのかを…。



 「…そうか!!

 前に夢かなんかでレリスがあの白い光に

 連れ去られた時の…あの物体に似てたんだ」


 「お、 おい待て待て…

 それじゃあ俺達がいる世界ってまさか…」


 「うん、 そうだよディック・ストライバーさん。

 さすがは優秀なエレメンツだね」


 「!? なんで俺の名前知ってんだ?

 しかもフルネームで…」


 「うん…。 ジェノ君とコンタクトをとってた時に

 彼からちょっと聞いてたから」


 「ジェノ!?

 そ、 そうか…だからあん時あいつ…」


 「…フィル、 俺達元の世界に帰りたいんだ」


 「わかってる。 その為に迎えに来たんだよ。

 今から僕等の隠れ家に案内するから

 とりあえずそこで仲間のみんなと相談しよ。

 ついて来て」



そう言いながら街の出口へと向かうフィル。

アッシュは彼に何の躊躇いもなくついて行くのだが…。



 「お、 おい待てって!!

 あの白い物体はなんなんだよ」


 「わるい…あの物体の正体まではちょっと…」


 「あれは一種の警備システムだよ」


 「な、 なんなんだよその警備システムって」


 「う〜ん……簡単に言うと…。

 君達がこの世界にやって来てこの街の警備システムが

 よそ者である君達を危険だと判断したってところかな。

 エネルギー数値が一定を超えると作動する

 仕組みにもなってるから…

 君達が魔力を解放したのが原因だろうねきっと」


 「あの最初の光線は俺達じゃなくて

 ホムラを狙ってやがった訳か…」


 「あのレグに物凄い量の魔力を注ぎ込んでたもんな」


 「…ホムラだ」


 「君達も見たと思うんだけどあの物体自身には

 攻撃する能力は基本的には備わってないんだ。

 光線はエネルギーが大量に消耗するらしい

 から本当に稀だね。

 その代わり奇妙な生き物を造って戦わせるんだよ。

 物体のエネルギーが無くなるまで

 ずっとそれが繰り返される」


 「だからホムラを消した後消えたんだな」


 「俺達が化け物を倒し終わるぐらいに

 消えたのもエネルギーが無くなったからなんだな」


 「でもエネルギーの充電が完了するとまた来るよ。

 それにこの街には幸い1つだけだけど

 普通は3〜5体以上はいるんだから

 気をつけないと駄目だよ」


 「そ…そんなにいるのか…」


 「…フィル、 とりあえずその隠れ家に行けば

 俺達、 帰れるんだよな?」


 「うん…その…。

 正直なところ帰れる保証はないんだ…」


 「…どっちにしても俺達2人だと

 またやっかいな事になるのは目に見えてるし…。

 ディック、 ついて行こうぜ」


 「まっ、 それが現時点でのベストな判断だな」


 「じゃあ2人共ついて来て」



物体の正体がわかった2人は

要約フィルについて行く事を決めた。

そして街の外へと向かう。



 「それにしてもこの鉄の街はなんなんだ?

 人の気配が全くしねぇ…」


 「それにあの塊…鉄で出来た人形みたいだった」


 「ここは人が住む街じゃないんだよ。

 君達もさっき見た機人きじんと言って

 機械で出来た人形が暮らす街なんだ。

 タイプはもうかなり古いけどまだこんな所に

 いたんだね」


 「機械って言やぁ俺達の世界じゃ

 もう失われた技術だ…。

 俺が5才ぐらいのガキの頃にじぃちゃんが

 1個だけ大事そうに持ってたあれも確か…

 機械だって言ってたな。

 実を言うとホムラはじぃちゃんの機械を

 イメージしたんだよな〜」


 「へぇ、 俺は初めてだよ。

 あんな物体、 本でも見た事もない」


 「そりゃあ俺だってこんなでっけぇ

 機械の街はじぃちゃんからも聞いた事なかったぞ」


 「さ、 2人共これに乗って」



フィルの前に突然巨大な鳥が姿を表した。

どうやらこれも機械で出来ているらしい。

自動的に扉が開くとその中に入り2人を呼ぶ。


 「(飛行型レグの巨大版ってとこか…。

 あのフィルってチビがこれを作ったんなら

 かなりの魔力をもってやがるぞ…)」


 「ディックー!! 何してるんだよ早く」


 「あ、 …あぁ!!」



機械で出来た鳥はディックが乗り込むと

空に向かって飛び立ったのだった。











−キルキア−

アスファ山





ジェノとリルティは月尾草を求めて

アスファ山に来ていた。

どうやらユミル神父によるとこの山の頂上に

月尾草はあると言う。


月尾草と言えばマシーナマスター、 エイディアが

2人に命令した『生物の魂を抜く』と異名を持つ

恐ろしい植物だった。

調合した場合にのみその効果が現れるらしいが

果たしてエイディアは本当にそれが目的なのだろうか。

ジェノとリルティはお互い会話にさえ

出さないが頭の中ではエイディアに疑問を抱いていた。



 「も…もうすぐてっぺんだぞ!!」


 「うんー!!

 そ、 それにして…も

 か、 か風が強く…なって来たねぇー!!」


魔力で身体を包んでいる為寒さは感じないが

それでも全く感じない訳ではない。

風に混じる雪は強い吹雪となり2人の顔にぶつかる。

視界は決して何も見えない事はないのだが

吹雪のせいもあって目も開けられない。

2人を近づけたくないと言わんばかりに

風は激しく鋭く吹き荒れる。



 「おいそこの洞窟にひとまず入るぞ!!」



ジェノは洞窟を見ながらリルティに

声をかけるが返事が返って来ない。

それに気づいて振り返るとリルティは

離れた所で倒れていた。



 「なにやってんだよ…おいっ!!」



リルティの元へ駆け寄って身体を揺さぶる。

その瞬間ジェノはリルティの魔力を

感じない事に気づいた。



 「ジェ…ノ、 ごめんね…あの戦いで魔力がまだ…」


 「ばかが!! じゃあなんで言わねぇんだよ!」


 「ごめ…ん」


 「…ったく……ほら…」



そうするとジェノはリルティの身体に

自分の魔力を流し込むと淡い光が

リルティを包み込んだ。

彼女の固まった表情が少しずつ和らいでいく。



 「こ、 これ…で動けるだろ…。

 そこに洞窟を…見つけたから…歩ける…か?」


 「…あったかい…。

 うん…もう歩ける…」



リルティの状態がよくなったところで

洞窟へと向かう。

すると入る直前に今度はジェノが倒れた。



 「ジェ…ジェノ…ジェノー!!!」


 「ぐ…お、 俺…さ…まも…まだまだ…だな…」



力尽きたかの様にジェノは俯せたまま気を失った。

リルティは彼を洞窟の中の吹雪が届かない所まで運ぶ。

そして彼女もまた気を失うのだった。






数時間後…。





ジェノが目を覚ました。

魔力を使っていないのに何故か暖かい。

それは目の前に火が焚かれていたからだった。

しかし自動的に起こるはずもない。

一体誰が…。



 「目が覚めたんだね」


 「リル…てめぇが…火を?」


 「……こんな事しかできないからね。

 それにジェノ寒がってたから…」


 「…てめぇまだ魔力が回復してねぇじゃねぇか…」


 「うん…大丈夫大丈夫」


 「代わってやるから寝ろ…ばかが」


 「え…う、 うん…でもジェノ…火のスペル…」


 「作るのは無理でも維持ぐらいできんだろうが

 それを消さなければ火のスペルが使えない

 俺様でも魔力でなんとかなんだろ」


 「う、 うん…それなら…できると思う…けど」


 「いいから代われ」



強引にリルティと代わり魔力を流し込むジェノ。

火の大きさからすると少量の魔力で

維持できる為負担は少ない。

ジェノが眠り続けている間、 彼の寒がる姿を

偶然目にし、 ずっと魔力で火を焚いていた

リルティには重い負担となっていた。

ジェノと代わった途端、 すぐに眠りに落ちてしまった。



 「…ったく…」



しかしそれから数分もしない内にリルティが

目を覚まし小さく声を届ける。



 「ねぇ…ジェノ」


 「んだよ…寝ろっつっただろ」


 「……ありがと」


 「……いいから寝ろ」


 「…うん」


 「…………ばかが…」










その頃アッシュ達はフィルの隠れ家へと

到着していた。

機械でできた乗り物から降りるところだった。

フィルが操る鳥の様な乗り物は

少しずつ下降していく。



 「フィル、 隠れ家ってそこに見えるドーム型の?」


 「うん。 【イフリナ】って言うんだ」


 「隠れ家…と言うより都市だよな…」


 「ごめんごめん。 説明不足だったね。

 ここは【機械都市イフリナ】って言って

 この大陸で唯一人間だけで暮らす街なんだ。 

 ドーム型になっているあれは特殊なバリアで

 僕等以外のよそ者は通り抜ける事はできない

 仕掛けになってる」


 「どうなるんだ?」


 「あのバリアに触れると分解されるよ」


 「ぶ、 分解…ってつまり」


 「粉々になる」


 「ま、 マジか!!」



そんな話の最中にそのバリアを通過していく。

どうやらこのイフリナへは上空から

進入する以外手段はないらしい。



 「な、 ななぁ、 念の為に聞くけどよ…

 俺達…まるこげにならない…よな…?」


 「うん。 100%大丈夫だから安心して」


大丈夫だとわかっていても【よそ者】と

言ったフィルの言葉に緊張する2人。

遠くからはただの青いガラスのドームに見えたが

近くで見るとそれはガラスではなく

電流が幾重にも渡って

そのドームを形成しているのがわかった。

見ただけでも痛みが伝わる程の勢いで

ディックは通過している間ずっと鳥肌を立てていた。



 「よし…もう降りてもいいよ」



扉が開かれると2人は乗り物から外へと出た。

先程の巨大な建物もそうだったが

この街はさらに巨大だった。

周りを見ると乗り物が無数に飛行している。

そして驚く事に2人がいるこの場所は

なんと地上から果てしなく高い所だったのだ。



 「じ、 地面が…見え…ない…」


 「ここも全部機械でできてんだな…。

 でもさっきの街とはちょっと感じ違わねぇか…?」


 「2人共、 この街の中心…わかる?

 あの細長い塔の様な建物に行くから」


 「あぁ、 あれか…。 

 それでまたさっきの乗り物で行くのか?」


 「この先はあれに乗るんだよ」



そう言うとフィルは浮遊している

1つの乗り物を呼び寄せた。

カプセル状の細長い乗り物が近寄って来た。

薄く透けている乗り物の中央がスライドし

中へと入れる様になった。



 「ほら、 2人共早く」


 「こ、 こんな薄っぺらい乗り物で

 俺達3人も乗って大丈夫なのか?

 本当に落ちないんだろうな?

 クイックフェザー使えないんだぞ俺。

 こんな高いとこから落下でもしてみろ

 魔力でどうとかの問題じゃねぇぞ……。

 なぁアッシュ、 おめぇもそう思うよな?

 あのチビにガツンと言ってやれよ」



しかしアッシュは既にフィルと中にいた。



 「なにやってんだよディック、 早く乗れよー!!」


 「…お、 おめぇな……」











−キルキア−

アスファ山






 「……ジェノ」



リルティが眠りから覚めた。

あれから3時間が過ぎようとしていた。

ジェノは休む事なく魔力を送り火を維持している。

しかしスキャンで見る限り彼の魔力は

安定している様だ。

表情からも辛そうな気配は一切見られない。

しかしそれでも心配するリルティは思わず

気持ちが口に現れてしまう。



 「ジェノ、 大丈夫なの…?」


 「あぁ、 修業してるみてぇな感覚で

 思ったより楽だな。 それより見ろよ」



すると維持していた魔力を止めると

突然スペルの詠唱を始めた。



 「開け! 我が魔力の扉!!

 

 フレアボール!!」



洞窟の出口に右手を向けると火の球が

勢いよく飛んで行った。



 「う、 うそ…

 火属性スペル…使えるように

 なっちゃったの…!?」


 「こいつに魔力を送ってたら

 なんかできそうな気がして試してみたら

 出来たんだ」


 「す、 すごい…たった数時間で

 スペル習得なんて今まで聞いた事ないよぉ!」


 「でもランクは1番下だ。 

 比較的簡単だから習得できても不思議じゃない」


 「(あたしでも初スペルを習得するのに

 半日はかかったのに…)」


 「こんな低ランクスペルを扱えても別にすごかねぇよ。

 フォース系のマテリアルフォースぐらいを

 扱えるようにならねぇとな…」


 「…吹雪、 まだやまないね…」


 「あぁ。

 しかもさっきより強くなって来てるやがるぜ…」


 「ねぇ、 ジェノ…お願いしてもいいかな?」


 「…なんだ?」


 「フォースエッジ…教えて欲しいの…」


 「あのな…。

 俺様がスペルが苦手なのと同じで

 スペルが得意なてめぇにはフォース系は困難だろうが

 使う魔力の仕組みが全く違うんだ。

 今ここで教えても無理だ」


 「ジェノに教えてもらったらあたし…

 出来るかも…しれない」


 「ばかが…誰が教えても一緒だ」


 「ジェノお願い!!

 あたし、 ジェノや……アッシュみたいに

 もっと強くなりたい!!

 この前みたいにスペルが通じない相手が出てきたら

 あたし…みんなの足をひっぱるだけだから」


 「………わかった。 ただし条件がある」


 「条件…?」


 「クイックフェザーを教えろ。

 俺様がもしあのスペルを使えるようになれば

 戦術の幅が広がる」


 「いいよ! でもジェノ

 クイックフェザーってかなり難しいよ」


 「へっ、 言っとくが

 今まで難しい技しか習得して来なかったんだよ。

 俺様は問題無しだ」


 「だったらあたしもそうだからね!!」


 「よし…いいだろう。

 じゃあ教えてもらおうじゃねぇか」


 「えぇ! あたしが先じゃん!!

 だめだよちゃんとルール守らないとぉ!!!」


 「わ、 わかった…」



こうして吹雪が治まる間2人は修業する事に

なったのだった。

まずはリルティのフォースエッジの修業から始まった。



 「フォース系の技に必要なものは何かわかるか?」


 「えっと、 魔力じゃないの?」


 「確かに魔力も必要だが想像力…

 つまりイメージする事が大事なんだ。

 俺様のフォースエッジは【斧】だ」


 「なんで斧なの?」


 「なんで…って。

 そんな細けぇ事はいんだよ」


 「よくないよぉ〜何でか気になるんだもん」


 「……クレイドさんが昔斧使ってるとこみたから」


 「クレイドさん…?

 そうなんだぁ☆ ジェノってクレ…」


 「そ、 そんな事はいんだよ!

 だからとにかく何かイメージしろ!!」


 「そんな怒んなくてもさ…イメージ…う〜ん…」


 「ちゃんとイメージできねぇと

 精製する時にイメージと違うもんになるからな」



軽くポンポンと唇に人差し指を

当てながら考えるリルティ。

洞窟の天井に目をやりながら

そこに頭に描いたもの映し出す。

しかし候補は上がるもののどれか1つを

選ぶとなると中々選び出せない。



 「ねぇジェノ…フォースエッジってさ…







 2つ一気に出せないの?」


 「……な、 な…に?」



リルティの発言に驚くジェノ。

彼女の予想もしなかった言葉に衝撃を受けたようだ。



 「だからフォースエッジを2つ出せないかって…」


 「そ…、 そうか…!! その手があったんだ!!

 リル! てめぇは天才だなマジで!!」


 「そ、 そりゃ…どうも」


 「よし、 じゃあ早くイメージしろ!

 俺様も新たな武器を作るから」


 「(…ほんとこう言う事になるといい顔するのになー。

 何で普段からこんな明るい顔できないのかなぁ…)」


 「おいまだか? 早くしろよ俺様はいつでもいいぜ」


 「う、 うん出来たよ」


 「こっからがこの技の難しいとこだ」



ジェノは両手に魔力を集め始めた。

光は徐々に手へと流れていき大きく膨らんでいく。



 「いいかよく見ろよ、 魔力を送る量は

 常に一定だが時間をかけたらダメなんだ」



ジェノの手元の光がフラッシュとなって辺りを

照らすと次の瞬間、 彼の手には斧が握られていた。



 「え、 新しい武器って…また斧?」


 「ばかが、 見とけよ…こうやって」



するとジェノは手に魔力を込めて斧を出した。

いつも使っているあの手斧だ。



 「よしいいぞ!! 2つ出せる!!!

 くっくっく。 この双斧がこれからの俺様のメインだ。

 既に技のイメージも浮かんできやがった!

 だが魔力消費は結構なもんだな…。

 少しだけ魔力抑えてみるか…。

 いや待てよ…破壊力も落ちちまうじゃねぇか

 魔力消費は仕方ねぇか…」


 「ねぇ、 …あたしの事忘れてない…?」


 「……わ、 忘れるわけねぇだろ!!

 魔力を両手に集中させるんだ。

 同じ量ずつだぞ?」


 「一定…ずつ。 こ…う…?」



魔力が両手に集まり出した。

しかし右手の方が若干スピードが速い。

その為両手の光の大きさは互い違いに…。



 「む、 難しいな…」


 「ダメだ、 そうなったらまた始めからだ」


 「う、 うん…。 ん〜」



再び魔力手に集中させる。

しかしまたしても片方の光が大きくなる。

始めからやり直し…。

その繰り返しもついに135回目となった。



 「リル、 一定だぞ一定」


 「う、 うん…はぁぁ〜」


 「よし、 いいぞ。

 それを一定に保ちながら一気に流し込むんだ。

 流し込むのは一気に同じ量だからな、

 その間も光を維持しねぇとダメだぞ」



するとジェノと同様にフラッシュが起こった。

リルティの手に握られていたものは…。



 「なるほど…そいつがリルのフォースエッジか…」


 「う、 うん、 やっと出来た〜」



リルティのフォースエッジは2本の短剣だった。



 「そんなナイフみてぇな剣…どうやって使うんだ?

 2本も必要ねぇだろ?」


 「あたしのイメージ通りなら…」



とリルティは短剣の1つを床に投げつけた。

すると地面に突き刺さった短剣は

彼女の合図と共に爆発した。



 「こういう感じ☆ どお? すごいでしょ〜」


 「な、 何で爆発させんだよ。

 確かにそうやって攻撃すれば遠距離からでも

 簡単にダメージを与えられるが

 それだと2回で終わりだぞ」


 「ふふ、 それわね…こういう事ー!!」



リルティは2本同時に短剣を投げ飛ばした。

確かにそれぞれ壁に突き刺さっているのだが

彼女の両手には何故か2本の短剣が握られていた。



 「今度は爆発しねぇのか…」


 「あたしの合図で爆発するんだぁ。

 ジェノ、 これ見て!! じゃぁ〜ん♪」


 「…そうか、 そういう事か…。

 つまりそうやって投げ付けてもまた精製するんだな

 魔力消費を小さくしたのはその為か。

 だが致命的なのは威力がねぇ…。

 例え爆発させてもシールドが使える相手なら

 ダメージは期待できねぇぞ」


 「一撃のダメージは小さくても…。

 塵も積もれば山となるって言うじゃん?」


 「…なるほどな…。

 だがおもしれぇ…。 俺様にはない発想だからな」



2人がフォースエッジを戻すと今度は

ジェノのクイックフェザーの修業に移った。



 「クイックフェザーは発動する事自体は

 そんなに難しくないんだけど…。

 発動後は背中に魔力を送り続けないとダメなんだ」


 「魔力を背中にか…?」


 「この前ジェノはコントロール出来てたから

 もしかしたら早く出来るかもしれないね。

 でもあの時はコントロールだけだったから

 維持する魔力と同時にできればいいんだよ」


 「とりあえずやってみるか…」










再びアッシュへ。






 「さ、 着いたよ」


 「遠くだったから細長く見えたけどよ…

 でっっけぇ〜なー!!」



アッシュ達はカプセル状の乗り物で

都市の中央に位置する細長い建物の前まで来ていた。

降り立ったこの場所も地面から果てしなく離れている。

恐らく1000m程はある長い建物の丁度真ん中辺りに

輪があり彼等はその輪に立っているのだ。

この建物だけ特別のようでここから都市の

全貌が把握出来てしまう。

といってもこれ程の巨大都市の

全てを肉眼で見る事などできないのだが。



 「ディルウィンクエイスも高い場所にあったけど

 ここはさらに高いな…」


 「そんなもん比べもんにならねぇって…

 落ちたら即死だ…いや潰れてぐちゃぐ…」


 「ほら! 2人共早く!!」



大きな扉の前でフィルが2人を呼ぶ。



 「ディック、 行こう」


 「あ、 あぁ」



そしてフィルが待つ大きな扉前にやって来た2人。

これほど巨大な扉をどうやって開けるのだろう…。

そう口を半開きにしたまま固まる2人。

しかし考える時間は以外と少なかった。



 「お! わ、 ワープしたのか」


 「ディック…ここ……水の中だぞ」



アッシュ達は雲を掴める程の高さから今度は

一気に海底のそれも深海までの深さまでワープしていた。



 「この地下が僕等の隠れ家なんだ。

 あの高い建物は一種のカムフラージュってわけ」


 「なるほどな〜あのでっけぇ建物はダミーって事か」


 「それで、 仲間はこの先に?」


 「うん、 君は知ってるよね」


 「…ゼア…レジェアにレリス」


 「アッシュもいるよ」


 「な、 なんだって? 同名って意味か?」


 「そっか。 ディック・ストライバーさん

 は知らないのか」


 「…ディックでいいぜ。

 知らないってなにを?」


 「こっちの世界にもアッシュ・バーナムはいるんだ」


 「……おめぇ知ってたか?」


 「前に話しただろ?

 フュリンから元の身体に戻った時に…」


 「そ、 そうだったか?

 わりぃ…ディウスの事しか覚えてねぇわ」


 「…ここだよ」



フィルが扉に手をかけてゆっくりと開いた。

中は普通に寛げる部屋だった。

壁は透明で深海の様子が一望できる程で

すぐに2人の目に入ってきた。

ワインレッドのソファーが3つあり

そこに適当に座っていたのはゼアとレジェア

机からこちらに向かって来るのはレリス。



そして…。




 「久しぶりだな…【あの時】以来か…」


 「あぁ…」


 「よく来たな。




 アッシュ・バーナム…」







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