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ETERNAL SAGA  作者: 紫音
32/73

       ◆扉

−ディルウィンクエイス−

北の森・湖




大量発生している魔物を蹴散らしながらも

何とか目的の湖へと辿り着いたディックとティナ。

ここへ来るまでに通った森もそうだったが

この湖はさらに霧が濃い。

2人はとりあえずスキャンで辺りを探っているがアッシュの手掛かりは得られない。

本当にこの場所にいるのか。

そう思いたくなる程辺りは静まり返っている。



 「駄目…全然反応無しだわ。

 そっちは?」


 「こっちもなし…だ」


 「この湖に向かったのは確かなんだけどな…」


 「魔力を消してんならスキャンじゃ役に立たねぇ…。

 直接調べるしか手は…ねえか…」



スキャンをやめるとディックは身体を動かし始めた。



 「何? まさか潜る気…!?」


 「そんな驚くこたぁねぇだろ?

 どのみちこうするしか…よっ、 ほっ、

 ないんだからな」


 「…そうね」



するとティナも身体を慣らし始めた。

顔が脚に付く程柔らかなティナの身体。

彼女の柔軟体操は確かに色気も感じるのだが

「美」と言う芸術作品を見ているかの様に美しい。

素直にそれに見とれているディックは思い出したかの様に

彼女を止める。



 「お…おめぇはここで待っててくれ。

 2人共行くと何かあった時困るからな」



ディックの言う【何か】とは命の危険性の事を言っていた。

アッシュの、 あのとてつもない力の前では生きて帰る事も

非常に困難だからだ。

言葉を濁してティナに気を使ったつもりでいたが

しかしそれを感じ取れない彼女ではない。



 「…無理しないでやばくなったら逃げなさいよ…?」


 「あぁ…。

 じゃ、 行くわ!」



適当に挨拶を済ませると湖の中へと入って行った。

彼の姿が見えなくなるまでティナは無事を祈る様に見つめる。



 「あんたの嫌な知らせなんか…したくないからね…」



溜め息と一緒に腰を下ろしたティナは

彼がまた上がってくるであろうその湖をずっと眺めていた。




一方、 中に潜ったディックはと言うと…

思った以上に深かった事に息が続くかどうか

ペース配分を考えている所だった。

水中は普通肉眼では見にくいがそこは

スキャンが役に立つ。

スキャンには魔力を使ってLvを上げる事で

様々な効果が付加できる様になる。

例えば、 暗闇でも見える暗視化などがある。

今回の場合もスキャンLvを上げて暗視化と併用している為

全く障害が無くそして効率よくアッシュを探せるのだ。



 「(…結構深いな…。

 ん…? なんだ? でけぇ穴…。)

 アッシュがやったのか…?」



その穴の中に入って行ったディックだが

段々と息が苦しくなってきている。


戻るか進むか…。


考える時間も限られている中でディックは進む事を決意する。

苦い表情で先を見据え、 進んで行く。



 「(ま、 まずい…息が…)」



もう駄目かと思った時、 出口らしき所に着いた。

力を振り絞り、 水から上がる。



 「ぷはっ!!」



ディックが泳いできた道の先には

運よく空洞になっている所に繋がっていたのだ。

天井には水晶の様に透き通った石が見える。

空洞はさらに奥へと進めるらしい。

立ち止まる事なく奥へと進んで行く。



 「反応無し…か…。

 それにしても妙だな…アッシュが開けた

 穴にしてはやけに造られた感じだな…」



壁や角などには先程も見た石がある。

これは天然の様だが道が綺麗に整っていた。

空洞は段々と広くそして深くなっていく。



 「深いな…まだ奥じゃねぇのか…」



ディックの歩く音が洞窟内に響く。

水中を潜って来たせいなのかそうでないのか

奥に進む度に暖かくなって行く気がした。

ティナと別れてからもう2時間が経過し、

要約この洞窟の一番奥へと辿り着いたディックの瞳に

予想もしていなかったものが映る。



 「ア、 アッシュ…なのか…?」



奥にはアッシュがいた。

だがこの前と様子が違っていてやけに落ち着いている。

そしてアッシュが何かを作り上げている所だった。

見た所、 自分の魔力を何かに流し込んでいる様だ。

それが何なのか…理解はできなかったが

ディックはアッシュの名を叫び続ける。



 「アッシュ!! おいっ!!

 おめぇなにやってんだよそれ!

 なぁ!! 返事ぐらいしろよ!」



そう言いながらアッシュとの距離を詰める。

アッシュはというとそんなディックには一切興味を示さない。

凶暴性は消えていたが、 かといって戻った訳でもない。



 「おい、 なんなんだよそれ」


 「…………」



アッシュの動作が止まった。

もう完了したのだろうか…。

アッシュはその場から離れ謎の物体を虚ろな目で見る。



 「(アッシュの魔力は元に戻ってるみてぇだな…。

 あれにエネルギーを流したからか?

 一体あれは…なんなんだ…?)」



アッシュが離れた事ではっきりと物体が確認できた。

ディックの目に映ったのは小さなエネルギー体だった。

直径15Cm程の青く輝く塊。

それが丁度、 胸辺りの高さで淡い輝きを

放ちながら浮いている。

何かは謎だがこれで完成なのだろうか…。

アッシュはじっと見つめたまま何もしない。



 「…スキャンも反応しねぇか…

 このエネルギー体は魔力じゃねぇのか…」



ディックは恐る恐るそれに触れてみようとするが…。



 「ん、 触れねぇぞ…アッシュ、 何だよこれ…」


 「…………」


 「おいアッシュ! 何か言えよ」


 「…………」


 「戦わなくて済んだのはよかったけどよ

 全く相手にされないのも辛いぞー」


 「…………」


 「はぁ…。 そうかよ…はいはいわかったわかった。

 じゃあもう話さねぇーよー」


 「…………」



ディックは暫くアッシュとエネルギー体の

様子を見る事にした。






水辺でディックの帰りを待つティナは先程まで捉えていた

彼の魔力がいきなり消えたのを心配していた。

立ち上がり、 湖周辺を回り始めた。



 「何でいきなり消えたんだろ…。

 まさか……」



最悪の事態を想像するティナ。

どうするか悩んでいると空から何か光る物が飛んで来た。



 「あれ…通信オーブじゃない。

 ……クレイドの魔力だわ」



魔力を通信オーブへ送り通信を繋ぐ。

光は地面に溶けそこからクレイドの幻影が現れた。



 「クレイドどうしたの? 今何処?」


――今はディルウィンクエイスに戻ってる

 すまん…ミダルヴァに行ってたんだ――


 「ミダルヴァ? どうしてそんな所に?」


――マシーナに応援を頼みに行ってたんだ

 今マシーナのマスターと数名のエレメンツが

 来てくれている――


 「そうだったの…」


――ティナ、 急いだ方がいい

 グランベルクがそこまで来ている

 狙いは…わかるだろ?――


 「グランベルクが!? …狙いはアッシュね」


――ここへ来るまで時間の問題だ

 アッシュは見つかったか?――


 「…それが、 ディックがアッシュを探しに湖に

 入ったんだけど…ディックの反応が急に消えたの…」


――反応が消えた? 範囲外に出たんじゃないのか?――


 「ううん。 ちゃんと範囲内だった。

 一瞬の内に消えたの…まるで存在そのものが

 消えたみたいに…」


――……そっちに行ってやる事はできんが…

 恐らくディックはスキャンでは

 感知できない場所にいるんだろう

 心配しなくてもあいつはそう簡単に死にはしない――


 「うん…ありがとう。 クレイド」


――とにかく急いでくれ

 ではディルウィンクエイスで待ってる

 …通信終わり――



クレイドの幻影は光と共にスッと消えた。



 「ディック……」






再びディックへ…。






アッシュは相変わらず何も動きは見せない。

ただじっと青い塊を見つめているだけだった。その雰囲気になれたせいなのかディックは横に寝そべって

あげくの果てにはあくびが出る始末。

眠たそうな目をパチパチしながら見物している。



 「なぁ、 そろそろ話そうぜ。

 いつまでもこんなとこにいるのはごめんだからな」


 「…………」


 「ったく…。

 おいっ!! しまいにゃ俺も……」



すると突然青い塊は強い光を放ち始める。

肉眼で見るには強すぎる光だ。

手でかばうようにして見るディックは光の塊が膨張して

大きくなっているのに気づいた。



 「な、 なんだなんだ! なんなんだ!?」



アッシュはまだ動きを見せない。

青い光は徐々に範囲を広げていく。

そしてその光が渦を作り出しディックやアッシュを

遠ざけようと数秒毎に強い衝撃が波の様に襲って来る。



 「お…い、 も、 も…もしかして…

 お、 …おめ…ぇ、 これ…っ…て」



渦が激しくなり衝撃もまた強くなっていく。

そして青い光の渦は紫がかったスパークと

共に風向きも変わっていく。

今度は2人を吸い込もうと引き寄せ始めた。

堪えているディックだが引き寄せる力は

段々と強くなっていく。

アッシュはそのまま抵抗する気配さえ見られない。



 「ぐぐ…あ…シュ…ぐ、 こ…のま…じゃ…

 やべ……ぞ…」



必死で堪えるディックの付近にいたアッシュはなんと

その渦にのまれてしまった。



 「お…おい…、 く…そ…」



そして…。



 「う…うおあぁぁぁ!!!!!!」



ディックも渦の中に吸い込まれてしまった。

光は2人を飲み込んだ後


役目を終えたかの様に静かに消えていった…。

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