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ETERNAL SAGA  作者: 紫音
31/73

       ◆無謀な戦い

−ミダルヴァ−

ザハン周辺空域




 「……来たか」




遥か彼方に一つ、 また一つと小さな粒が見え始めた。

ついにグランベルクがやって来たのだ。



 「お前達、 くれぐれも深追いはするな。

 ……魔力を解放しろ!」



ロンの掛け声と同時に

マシーナのエレメンツ達は一気に魔力を

レグに流し込んだ。

レグの形状がそれぞれより戦闘向きに変わっていく。



 「アックス! セイバ!」


 「りょうかいぃっ!!」


 「アックス! 死ぬんじゃないよ!」


 「へっ、 そっちこそ!!」



アックスとセイバ率いるレグ部隊が

一気にスピードを上げミダルヴァ空域から離れて行った。



 「残りの第三はこのまま待機、 第四は援護しろ!」


 『了解!』



そしてそれを確認したグランベルクのシキ達は合流した兵を

一斉に解き放ちマシーナの攻撃部隊に備える。


 「よいか貴様ら! 一人残らず殺せ!

 レグを破壊しただけで満足するなっ!!」


 『おぉーっ!!』



グランベルクのエレメンツ部隊も接近してくる

マシーナ目掛けて攻撃しながら向かって行った。



 「セイバ! サイドアタックでやるぞ」


 「りょうかい!」



アックスとセイバの部隊はグランベルクの部隊の

側面へ周り込んで攻撃するサイドアタックを開始する。

両サイドからの攻撃作戦である。

アックスの合図でそれぞれの部隊が敵の側面へ散っていく。

グランベルクの部隊は見事これにはまり次々と撃墜する。

しかし相変わらず兵の数が多いグランベルク部隊。

先日戦った時よりさらに多い1000を超す勢いだ。 

両部隊とも凄まじい攻撃が続いている。



 「な、 なんて数だ…」


 「弱音吐いてる場合じゃないよアックス!!」



セイバが魔力を込めた光線をアックスに

迫る敵に向けてぶちかました。

グランベルクのレグがその光線に飲み込まれ消滅して行く。



 「セイバ……あぁ!

 よっしゃあ行くぜぇ!!!


 でぇやあぁぁぁ!!!!!!!」



アックスは魔力を小刻みに放出しながら

数百の敵に突進して行った。

アックスが乱発する魔力の弾は力任せで

特に狙って撃ってる訳ではないが次々と

適を撃墜していった。



 「ったく単純なやつ…」



セイバもアックスのそれに続く。



 「なぁシキ、 あたしらが殺った方が

 早いんじゃないのかい?」


 「…この戦いはまだ序章に過ぎん。

 後にはまだディック・ストライバーや

 ティナ・ウインスレットがいるのだ。

 それにマーディンもな」


 「でもシキ、 あたしらの兵だけじゃ無理だって。

 レグ使わせたらマシーナは最強って話じゃないか」


 「最強だと…? この前の奴は弱かったぞ」


 「リーベルト、 北西の12Kmの

 赤いレグをスキャンしてみな」



リーベルトは言われた通りの方角をスキャンで調べてみた。

すると高い魔力をキャッチする。

その付近にもう一体さらに同じ反応がみられた。



 「……なるほど、 すごい魔力だ」


 「データによると…赤いレグは…

 アックス・ノーガン

 エレメンツクラスAだそうだ」


 「アックス…ノーガン…闘ってみたい」


 「その近くに青いレグあるだろ?

 青レグは…セイバ・ローディス

 こいつもクラスAみたいだねぇ」


 「早くここまで来い…そして俺を楽しませろ」




−ミダルヴァ−

ザハン周辺空域




アックスとセイバの活躍によってまだこの空域

までには敵は進入していなかった。

待機している部隊と共にロンは部隊の事を

思いながら厳しい表情で彼等を見守る。

ここから戦闘区域は数千キロ程離れているが

心術の使える者を側におく事でここからでも

微かに戦闘の様子が伺えた。



 「無理だけは…無理だけはするなよ…。

 アックス…セイバ…」


 「ロンさん、 援護部隊からの前戦報告です」



すると待機していた部隊の1人がレグとレグを

繋ぐ通信手段を用いロンに呼びかけた。



 「どうした?」


 「今戦闘中の中にはシキ達は確認できないとの事です。

 敵はエレメンツクラスCやBなどの

 下級から中級クラスで構成されている模様。

 数は今の所、 千数百と」


 「そうか…。

 クラスAがいないとは…我々も嘗められたものだな…」


 「ロンさん、 俺達いつでも行けます」


 「あぁ。 だがまだ待機していてくれ」


 「了解しました」



音も無く通信が途絶えるとロンは先程と同じ

表情で戦いを見つめる。

相手は帝国グランベルク。

いつどんな状況でも判断を間違えないようにと

ロンの脳裏でその言葉が繰り返され続けていたのだった。




−とある孤島の空域−




3機のレグが空に静止している。

ロゼ、 リーベルトそしてシキのレグだ。

彼等の視線の先の向こうにはマシーナの

指揮官ロンがいるミダルヴァがある。

それを見ながらロゼが溜め息に乗せて愚痴を零す。



 「シキ〜、 あたしらだけで先に行かないかい?

 奴らまだ苦戦してるみたいだし…。

 このままじゃ身体がなまっちまうじゃないのさ〜」


 「確かにこのままでは時間の無駄だな。

 …ではお前ら2人は先に行け」


 「そうこなくっちゃ!

 シキ、 ミダルヴァで合流だからな」


 「わかっている」


 「リーベ…」



ロゼが名前を呼ぶ少し前に飛んで行ってしまったリーベルト。

何が嬉しいのかロゼは満足そうに後を追う。

魔力を大量に流し込み一気にフルスピードまで加速したロゼのレグは10秒程でシキの視界から消えるのだった。



 「戦闘狂いが…」






−戦闘空域−






マシーナのレグは1000にもなるグランベルクのレグを

300程にまで減らしていた。

だがマシーナの部隊は第一、 第二合わせても

あと10数機程しか残っていなかった。

その中にアックスとセイバのレグがある。



 「347っと〜」


 「あたし途中でわかんなくなったよ

 でも300はいってるな」


 「348ぃ☆

 マジでどんだけいるんだよ…こいつら」


 「…やっばい…魔力が…尽きかけてる…。

 アックスまだ魔力残ってる?」


 「352ぃ♪

 そうだなぁまだ調子いいな!」



セイバはレグに送っていた魔力を少し抑え始めた。

するとレグの性能も若干低下した。



 「始まってからいきなりあんなでかいの

 ぶちかますからだろー」


 「でもあれでかなり減っただろ〜?」


 「まぁ…うん…?

 おい!! でかい魔力がものすげー速さで

 こっち向かってるぞ!!」


 「り、 リーベルト…!!」



2人の視界に超スピードで飛ぶレグが現れた。

秒速100mで飛ぶ化け物の様な速さだ。

アックスもセイバも行動を考えている僅か

数秒の内に通り過ぎた。

まさに一瞬の出来事。

遥か上空を飛行しているのにも関わらず下の海が

削り取られているかの如く剥がれ散る。

凄まじい風圧がアックスとセイバ、 その他の

マシーナのエレメンツ達そして

グランベルクのエレメンツ達全てを巻き込んだ。



 「し、 ししシールドだ!!

 シールドを強化するんだぁ!!!」



アックスの叫びも虚しく響く。

今の衝撃でマシーナのエレメンツ達は

3機にまで減ってしまっていたのだった。

さらにまたもう1機、 とてつもない速さのレグが

急接近していた。



 「お、 おいっ!!

 大丈夫かぁ!!?」


 「ダメだ…ルーカスがやられた…」


 「くっ……ち…くしょうー!」


 「他もやられてる…あたしら入れても

 もう3機だ…」


 「!? また来るぞー!!

 魔力をシールドにフルで回せぇ!!」



広範囲スキャンの範囲内に現れると

僅か5秒にも満たない間に先程の様な

衝撃が辺りに吹きすさぶ。

まるで台風の様だ…。



 「ア、 アックス、 ダ、 ダメだ…

 これ以上は…も…う…」


 「セイバ!! 堪えろ!!!」



残り僅かな魔力しかないセイバは衝撃に堪える事ができず

彼女のレグは海へと落ちて行った。



 「セイバァァ!!!!!!!」



この凄まじい風圧の中、 レグから身を投げ出したアックスは

セイバを追って海の中へと潜って行く。

あの衝撃に堪え切れた者はアックスただ1人であった。





−ミダルヴァ空域−






一方その頃、 ミダルヴァで待機している

部隊がロンに戦場の報告を行っていた。

第一部隊、 第二部隊の壊滅…。

さらにはロゼ、 リーベルトがミダルヴァへ

急接近している事も伝える。



 「ランス、 部隊全員に伝えろ。

 魔力をフルで解放して待機しておけとな」


 「了解しました」



暫くするとスキャン範囲内に2つの巨大な反応を捉える。

ロゼにリーベルトがもう既に近くまで来ていたのだ。

ここから前線まで数千キロ、 シキが

待機していた辺りはさらに離れている。

それだけの距離をたった数分で移動したロゼとリーベルト。

ロンの額を流れる汗は焦りと恐怖が入り交じっていた。



 「グラン…ベルク…」




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