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ETERNAL SAGA  作者: 紫音
23/73

episode 22 新しい自分になる為に…

タイトルを今までと少し感じを変えました☆今回のepisode22はリルティが活躍します♪情けないアッシュも見る事ができるので楽しんで見てくるたらうれしいです。





−ディルウィンクエイス−







アッシュ、 リルティ、 ジェノはマスターの呼出しでマスタールームへと向かっていた。



 「ねっねっ、 3人で任務なんて久々だねぇ☆」


二人の数歩先でスキップしながら話しているリルティにアッシュが返す。



 「あぁ、 この前は散々だったからなぁ」


 「ほんとだよ〜! あたしは死にかけるしぃ(笑)」


 「てーかてめぇ病み上がりだろうが」


 「だーいじょうぶっ!!

 ほぉ〜らっ、 ちゃんと元通りだよぉ!

 やっぱぁ、 ティナさんすごいよねぇー」



そしてディルウィンクエイスの中央にあるワープドアの前まで来た。

ワープドアには元々固定されているものとアッシュやマーディンの様に作り出すものとの2タイプ存在する。

リルティがワープドアに魔力を流し込むと青い液体の様なものが波打ち波紋を作った。



 「…フュリンさぁ、 どうなっちゃったのかなぁ……」


 「あの時から… あいつの声は聞こえて来ないんだ…」


 「羽女は死んだのか…?」


 「…かもな」


 「フュリン…」


 「…マスターが待ってんだ……いくぞ」



ワープドアをくぐりマスターがいるマスタールームへとやって来た。



 「失礼します」



扉を開けるとマーディンが自室の机で書き物をしていた。


書き物と言ってもペンで文字を書くと言った事ではない。

プレート状の板の両端を持って頭にイメージした事を魔力で送るとイメージしたものがそのプレートに浮かび上がる。

一般的にはまだペンを使っている人々が多数だがこう言った日常でも魔力を利用する事が多い。



アッシュ達に気がつくとプレートを置いて彼達の元へとやって来た。



 「リルティ、 調子はよさそうですね」


 「はい、 おかげさまでもうバッチリですぅ!」


 「それはよかったです。 今回の任務はバリオン王からの直接的な依頼です」


 「王様からですかぁ!?」


 「はい。 それも名指しで貴方達をと…」


 「で依頼って何なんすか?」


 「それが…詳しくは向こうで話すのだそうです。

私が知っているのはここまでですので話は王に直接聞いて下さい、 くれぐれも失礼のないように」


 「わかりました」


マスタールームを出て再びワープドアの前へと戻って来た3人。



 「バリオン城までどうやって行こっかぁ☆」


 「元気だなーリルティは」


 「おい、 てめぇのワープドアで行こうぜ」


 「あ! その手があったね」


 「ダメなんだ、 ワープドアは一度も行っていない所は行けないんだよ」


 「え!! まさか…行った事ない…の?」


 「嘘をつくな!! そんな事あるわけないだろうが! いくら辺境な村に住んでいたとはいえバリオン城に行った事ない奴なんて今まで見た事も聞いた事もねぇよ」


 「ここにいるって…」


 「まじ…なんだね…」


ディルウィンクエイスから下の街へと降り街の門に向かってまた歩き始めた3人は【あの日】の事について話し始めた。



 「そう言えばさぁ、 結局ガルって奴、 何しに来たんだろね…」


 「ディウスも絡んでるから相当やばい事だろうな…」


 「……」


 「あとさあとさ、 あいつフュリンに化けてたじゃん」


 「化けてたって言うか中に入ってたんだよきっと」


 「アッシュがフュリンの中に入ってた時、 あいつの存在感じた?」


 「いや…多分いなかったと思う」


 「ふ〜ん…でもまぁいっか☆ あいつ死んだんだし」


 「まあな…でもまだ肝心なディウスが残ってるからな…」


 「そだね…」


 「…お、 おい…


 ちょっと…」



気がつくと3人は既にディルウィンクエイスの街を出てとある場所まで来ていた。



 「なに? どしたの?」


 「こ、 ここ、 と、 ととと通るのか…!?」


 「え? 何言ってんの、 当たり前じゃん」



それは…アッシュが最も苦手とする【あの】場所だった。

【マニュラ】が生息する洞窟である。



 「ジェ、 ジェジェジェノー!!!」



ジェノは既に洞窟の少し先を歩いていた。

洞窟はあの後、 近くにあるラジュ村の村人が通行出来る様にしてくれた様だ。



 「お、 おい! ジェノ!! も、 もも戻って来い!!!」


 「あ? なんだ?」


 「いいから!!」


 「アッシュ? な、 何でそんなに動揺してんの?」



ジェノは訳もわからずゆっくりと戻り始めた。



 「リ、 リルティ〜他の道で、 い、 行かないか?」


 「他の道? なんで?」


 「いや…そ、 その…」


 「おい、 てめぇら何でこんなとこでつっ立んてんだよ」


 「うん、 何かアッシュがね、 他の道がいいって」


 「あ? どう言う意味だよそれ」


 「あたしに聞かれても…。 アッシュ?」


 「あ、 あぁ…。

 あの〜、 そ、 その〜〜この〜どーくつにわぁ〜ぁれ……だから……いる…だ、 だろ?」


 「てめぇな…何言ってるか全然わかんねぇよ。

バカが…」


 「わかったぁ!!

 アッシュ暗いとこが苦手なんだぁ〜」


 「(う〜ん…ちょっと違うけど…まぁいいやこの際どうでも。 ここを通らなければいいんだから)


 そ、 そうなんだよなぁ実は…あははっあははははは」


 「…行くぞ」


 「…お、 おい!」


 「そんな子供みてぇな事に付き合ってられるか…」



ジェノは再び洞窟の中へと歩いて行った。

そしてリルティは…。



 「アッシュ、 目閉じて行けば大丈夫だよ!

 なんならあたしが手繋いであげよっか??」


 「い、 いや…ぉレ別に暗…闇がにが…とか…じゃ……」


 「え?」


 「あ、 い、 いや…」



リルティはアッシュの手を引っ張って洞窟の中へと入った。

リルティは前へ前へ力を入れアッシュは後ろへ後ろへと出口の方へのけ反りながら反発する。

やがてジェノのすぐ後ろまで近づいた2人。



 「(マ、 マニュラ…出ませんように……この2人にだけは見られたくない…この2人にだけは…)」



洞窟に入ってすでに半分程行ったところだろうか。

先を歩いているジェノがある物を見つけた。

その行動にビクっと身体を揺らすとアッシュは洞窟の端に瞬時に移動して身を縮めた。



 「…何だこの鉄の塊は?」


 「ほんとだ…何か埋まってるね…」


 「(で、 でたでたでた〜〜!!! マ、 マ、 マニュラ!!!)」


 「…あれ…? アッシュがいない…」


 「あいつどこ行ったんだ?」



2人がアッシュを探そうと鉄の塊に背を向けた時だった。

突然、 地響きと共に塊が動き出した。

ジェノはそれにすぐに反応して距離をとった。



 「!?」


 「バカがっ! 早く離れろ!」



彼の言葉にリルティも距離をとった。

そしてアッシュは…



 「(だ、 だめだ〜う、 動けない〜!!)」



地面から何かが出て来た。

頭上は三日月の様に曲がっていてその先の丸い物がついている。

ジェノ達が見た鉄の塊はこの部分だったのだ。



 「アッシュ〜どこ〜!?」


 「(な、 なんだあれは…マニュラ…じゃないな)」


 「ギシャーァァァァ!!」


 「アイアンフィッシュか!!」







【アイアンフィッシュ】


体長約3m

鉄の様に強固な体を持つ土の中を泳ぐ魔魚。

彼等は群れて生活するという性質を持ちオークが大好物でなんと骨事食べてしまうのだ。

確実に餌を手に入れる為に囮を使い仲間達で餌を囲み一気に襲いかかると言う事もできる程知性も高く戦略的に狩りを行う事ができる。







 「ま、 魔物だぁ〜」


 「俺様に任せとけ!」



フォースエッジを精製し、 アイアンフィッシュに突撃して行くジェノ。



 「おらぁっ!!」



力いっぱい振りかぶってアイアンフィッシュに斬りかかったジェノだが相手は鉄の塊。

当然ダメージはない。

アイアンフィッシュは地面に潜り辺りを泳ぎ出した。

地面が揺れる。



 「リル! 何かスペルを使え!」


 「何かって…何だったら効きそうー?」


 「ギシャー!」



いきなり地面から飛び出して来たアイアンフィッシュは洞窟の天井ぎりぎりまで飛び上がると口から何かを吐き飛ばした。

それがリルティとジェノの前に落ちた。



 「あ、 あぶなかった〜」


 「思い出したぜ!! こいつは電撃に弱ぇんだー!! リル! スパークボルトを使えー!!」


 「あたし、 使えないよ〜!!」


 「おい! アッシュ!! てめえ確か使えたよな!! 電撃スペル」


 「(な、 なんだアイアンフィッシュかー)」


 「おいっ!! てめぇ聞いてんのか!! どこにいんだよ!!」


 「…スペルだろ? わかった!!!」



アッシュは片手をアイアンフィッシュに向け唱え始めた。

掌に魔力が集まりバチバチと音と光が高まっていく。



 「開け! 我が魔力の扉!!


 スパークボルトォォ!」



アッシュが放ったスペルがアイアンフィッシュに命中すると電撃はアイアンフィッシュの身体を駆け巡って行く。



 「ギリゥァァッ」


 「お! やったか!?」



アイアンフィッシュは高い雄叫びと共に地面に倒れた。

リルティ少しずつ恐る恐る近づいみた。



 「これって…死んだの?」


 「魔力の反応が消えたから…多分な」


 「……ジェノ」


 「なんか言ったか?」


 「囲まれ…てるぞ」



アッシュが慎重に周りを見渡しながらジェノに告げると3人を取り囲んで4つの塊がぐるぐるとその周りを回り出した。



 「な、 なななに〜これ〜!! またさっきのやつ〜!?」


 「おい…どういう事だ?

スキャンに反応がねぇぞ…」


 「今度は集団で来たぞ…」


 「これって結構やばい…よね、、、?」


 『ギシャーアァァ!!!』



4体のアイアンフィッシュが地面の中から同時に3人に飛びかかって来た。



 「みんな散れー!!」



アッシュの一声で3人はアイアンフィッシュ達の攻撃を中心から外へと身を運んだ。



 「おい!! もう一度スパークボルト撃て!」



 「あ、 あぁ!」



アッシュは再びスパークボルトをアイアンフィッシュに向けて放った。



 「スパークボルトォォォ!!!」



電撃はアッシュの近くのアイアンフィッシュに命中しようとしたが…。



 「あ、 あれ…弾かれた…おい! 弾かれたぞー!!」


 「バカが、 そんなもん見りゃわかる」


 「どどどうすんのー」


 「ギシャーァァァ!!」



1体のアイアンフィッシュはジェノに飛びかかった。



 「くっ!」



何とかその攻撃を避けるジェノにまた別のアイアンフィッシュが襲いかかる。



 「なに!?」


 「ジェノ! 後ろからも来てるよ!!」



4体のアイアンフィッシュがジェノを集中的に狙い始めた。

どの攻撃も見事にジェノは避けいるがなかなか攻撃に移れない。



 「て、 てめぇら!! 見てねぇで何か考えろー!!!」


 「アッシュ〜どうしたらいいんだろ〜」


 「(……あいつは電撃が弱点なんだろ? なのにさっきは弾かれた…

どういう事だ…?

 弱点じゃないって事か…?)」


 「アッシュ〜!!」



するとアッシュは魔力を溜め出した。 



 「(なにもしないよりはマシだよな)


 開け! 我が魔力の扉!!



 ランブレイズー!!」



アイアンフィッシュに向かってうねりながら炎の蛇が舞う。

そして1体に命中した。

すると…。



 「アギャァァァー!!」



火柱を上げた炎に包まれた1体のアイアンフィッシュは黒焦げと化していた。



 「き、 効いた…!」


 「ジェノ! 炎が弱点みたいだよぉ!」


 「見りゃわかるつってんだろ……ん?」



ジェノに飛びかかっていたアイアンフィッシュ達が急に攻撃をやめて地面に潜り始めた。



 「おい…どうした?」


 「(電撃が効かなくて炎が効いた…最初のヤツは電撃が効いたのに……。

 まさか……!)」



ジェノとリルティは地面に潜ったアイアンフィッシュの行動を肉眼と魔眼スキャンを駆使して次の攻撃を探っていた。



 「わかったぞ!!」


 「わかったって何が?」


 「こいつらの倒し方だよ!」


 「マジか! だったらさっさと教えろ!!」


 「いいか、 あいつらは今地中に潜って弱点を克服してるんだ。 どうやってるかはわからないが…」


 「…で、 どうやってやっつけるの??」


 「3人が同時に別々のスペルを使うんだ。 電撃と炎はもう効かないからそれ以外の属性スペルなら大丈夫だ…多分」


 「多分って…」


 「時間がねぇんだよ、

 黙ってスペルの準備しろ。 俺様は風属性でやる」


 「わ、 わかった! あたしは氷属性でやってみる!」


 「俺は……し、 しまった!!」


 「ど、 どうしたの??」


 「ほ、 炎と電撃以外…つ、 使えない」


 「えーー!!!」


 「いまさらどうすんだ!? もう上がって来るぞ!!」


 「(オーバードライヴすればスーパースペル使えるけど身体がどうなるかわからないし…マーディン様の許可無しでは……前使ってすげぇ怒られたしな……う〜ん…どうしよ…)」



地面からアイアンフィッシュの群れの影が見え始めた。

すると…。



 「(どっちみちここで死んだら意味ないんだ……。

 …よし!!)



 2人共少しはなれ…」


 「もー仕方ないなぁ…」


 「…え?」


 「じゃあアッシュは離れてて、 あたしがもう1つ水属性を使うから」


 「もう1つ使うって……だってリルティは…」


 「いいから! さがってなさぁーい!!」


 「あ、 あぁ…」



言われるがままにアッシュは離れる事にした。



 「来たぞ!!


 開け! 我が魔力の扉ぁぁ!!


 スラッシュウィンドオォォ!!!」



十字に形作られた真空の刃が1体のアイアンフィッシュに飛んで行った。鉄の身体をしたアイアンフィッシュの身体が切り刻まれていく。

そして緑と赤が混ざった不気味な液体が地面に飛び散る。

リルティも魔力を集めスペルを放とうとするが…少しいつもの詠唱とは様子が違う。



 「…虚空の空に浮かぶ月よ、 我が扉に光を落とし、 双龍の門と化せ…


 心術!!


   魔双心まそうじん!!!」



リルティが唱えると両腕に青い光の複雑な模様が浮かび上がった。

そしてすぐにスペル詠唱を始める。



 「開け! 我が魔双の扉!!



 フロスト・スプラッシュュュー!!!」



なんと両方の手から別々の属性スペルが放たれた。

宙に浮かんだ氷の槍と地面からアイアンフィッシュに向かって延びていく水流。

それぞれがアイアンフィッシュに命中そして見事に全てのアイアンフィッシュを倒す事に成功する。



 「す、 すごい…2つ同時に別々の属性のス、 スペルを…」


 「ふぅ……」


 「…おい、 てめぇ何したんだ」



リルティの腕に浮かび上がった紋様がスッと消えて行く。



 「へっへーん! すごいでしょう!!

…あれはね、 魔双心って言う心術で〜効果は…ジェノ流に言うと見りゃわかんだろうが、 ばかが〜って感じぃ☆」


 「お、 おまえ、 いつのまにそんな技を…」


 「あやっぱりアッシュも気になるぅ?

 実はね…マスターに教えてもらったんだよ」


 「マーディン様に!?」


 「そっ☆」


 「…………」


 「アッシュもジェノもさぁ日に日に成長してるからさぁ…何かあたしにしか出来ない事ないかなって探してたんだ…

…ほら心術は女の人にしか扱えないじゃん?

だから術を覚えたらあたしも少しは2人の役に立つかなって思ってね。

最近はスペルより心術を学んでるんだぁ」


 「へぇ〜、 確かに心術は女性だけだからなぁ。

いい選択かもな!」


 「………」


 「さ、 早く行こ☆

 もうすぐ出口だよ」


 「あぁ! …できたら、 は、 走って行こうぜ…」



3人は出口に向かって進み出した。




 「(あいつも…、 あいつも信じられねぇ程のスピードで成長してやがる……。



 俺様…にしか出来ない事…… )」



前方に光が見え出した。

3人は無事に洞窟を通り抜けた。



 「(ふぅ〜よ、 よかったぁ…今回はマニュラ出て来なかった……ほんとによかった…)」



ジェノは2人の背中を見つめながら一人考え事をしていた。



 「(…俺様にしかできない事…か…)」



右手を握り拳に変えながらジェノはある決意を決める。

その事を先ではしゃいでる2人はまだ知らない…。

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