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ETERNAL SAGA  作者: 紫音
22/73

episode 21 死闘の末に…

これでやっと一段落ですf^_^; 次回からまた新たな展開が起こります好ご期待☆ あと感想を書いて下さる人が増えて来ました☆これは紫音にとってものすごいうれしい事です。感想を書いてくれた方本当に心から感謝感謝です(笑)


 「ア、 アッシュ…」


 「予定変更だ」



ジェノの腹を蹴り飛ばすとジェノに向けていた手をアッシュに向けた。



 「がふっ…」


 「どうやらお前が先に死にたいらしいな」


 (アッシュ、 リルティはまだ…)


 「…わかってる」


 「おとなしく眠っていればお前は助かったんだがなぁ」


 「……! そうか俺のアーディルが狙いなんだな」


 「お前の? くくく…あーっはははは!」


 (何で笑ってるんやあいつ…)



ジェノはその間にガルの頭上を飛び越してアッシュの前に着地した。

着地したとたん膝と手を地面についた。

既に限界のようだ。



 「ジェノ! 大丈夫か!?」


 「パワー・スピード・魔力に反応力どれをとっても桁違いだ…それにダメージを与えても瞬時に傷を回復、 おまけに体力までときた……

何をどうやっても勝ち目がねぇ…」


 「お前の言葉とは思えないなジェノ」



ガルは構えを解いて話し始めた。



 「お前は何か勘違いをしているようだ」


 「…どういう事だ」


 「確かに俺、 いや俺達6大魔導はアッシュ・バーナムのアーディルを狙ってはいるが……


 お前のではない」


 「…何を言ってる?」


 (アッシュ! 早よリルティを…)


 「くっくっく。

 まぁそんな事は今どうでもいい」


 「ちっ、 不気味に笑いやがって…」



アッシュは目を閉じてゆっくりと深呼吸するとガルを睨んだ。



 「ジェノ、 リルティを連れてハウスに戻ってくれ…」 


 「ダメだ……リルは…」


 「あいつはまだ生きてる…」


 「…なに!?」


 (でも死にかけてるねん!!

 早く治療してやらなやばいで!!)」



ジェノはリルティの元へ駆け寄り息を確かめた。

サングラスを通していつも見ていたあの柔らかな肌はそこには無く、 ただ黒く焦げた人間が彼の瞳の中に入っていた。

彼女の変わり果てた身体を両腕でしっかりと抱き抱えるジェノ…。

怒りなのか悲しみなのか憎しみなのか、 複雑な感情が彼の表情を曇らせる。



 「くっくっく。 逃げようとしても無駄だぞ」



アッシュは少し笑みを見せると手を前に出し大きく円を描き始めた 。

その後を光が追いかけていきやがて光の渦が出来上がった。



 「ワープドア!!? な、 何でてめぇが…」


 「医務室に繋いでおいた。 いいから早く行け」


 「……死ぬんじゃねぇぞ」



 「行かせるかぁ!!」



ガルが超スピードでジェノに襲いかかってきた。



 「な、 なに!?」



しかしその攻撃をアッシュが受け止めた。



 「(俺様にも見えなかった奴の動きを……こいつ…)」


 「早く行けぇ!!」



ジェノは渦の中へ飛び込んだ。

ジェノが通り終えるとその渦は小さくなり消えた。



 「!?

 ほ、 ほう…なかなかの魔力だ」



ガルの腕を左手で払った隙に思い切り握った右手で殴りかかったが簡単に避けられてしまった。

それが証拠にガルは後ろ宙返りを華麗に見せ少し離れた場所にゆっくりと着地した。

アッシュの顔から少し安心の表情が伺える。



 「……2人をうまく逃してよかったと言わんばかりの顔だな……だが、 いい気になるなよ。

 ただ寿命が延びただけの話…死ぬ事に変わりはない」


 「…………」


 「…………」 



それっきり黙り込んでしまったアッシュとガル。

お互いに攻撃の切り口を見出だそうとしている。



 (アッシュ、 なんか知らんけどアタイの声があいつにも聞こえてるみたいやわ…アタイはしばらく話さんとくから)


 「…あぁ。 その方が集中できる!」


 「かかってこないなら……


 こっちから行くぞ!!」



ガルが急接近して来る。

そしてそのまま片手に魔力を集めアッシュの顔目掛けて放って来た。



 「くっ!」



それを間一髪で避けるアッシュ。 ガルの掌から放たれた光弾はアッシュの右頬を掠めて行った。

だがさらにガルはもう片方の手からも同じ光弾を繰り出してきた。

さすがに間に合わないアッシュは…



 「オォォバァァドライヴー!!!!」



瞬時に魔力をリリース・ドレインしてガルの光弾をかわし、 それと同時に拳を腹に打ち込んだ。



 「うぉらぁぁ!!」


 「がっ…ぐ」



次に足払いを掛け浮かしたガルの身体を両手で地面に叩き付けると力いっぱい蹴り飛ばした。ガルの身体はそのまま何度も転がりながら地面を勢いよく滑って行く。

途中で木に衝突するが一つや二つ程度ではまだまだスピードは落ちない。



 「フレアボォォル!!」



その途中に瞬時にスペルを連発してガルに追い撃ちをかけるアッシュ。

ジェノの話にもあった回復をさせない為に猛攻撃が続いている。

オーバードライヴ中は詠唱・スイッチワードが必要ない為即座に発動できる利点を利用した連続スペルである。



 「おぉぉぉぉ!!!」



波を押し返すかの様な動作を何度も繰り返し凄まじい攻撃が続いている。

ガルの姿は爆発の際の煙で既に見えない。



 「はぁぁぁぁぁ…」



そしてさらに両手に魔力を集めとどめに特大な一発を放とうとしているアッシュ。

彼が選んだスペルは大火炎球バスターフレアであった。

両手いっぱいに抱えた燃え盛る球はさらに大きくなって行き小さな太陽と化したそれを力いっぱいほうり投げた。



 「いっっけぇぇぇぇ!!!」



アッシュとガルを結ぶ道にある周りの木々は凄まじい熱で次々と消滅していきやがてガルがいる煙の中へと突っ込んでいく。

高性能化しているオートスキャンがガルの魔力を察知している。 ガルは間違いなくあの煙の中にいる。 魔力と体力共に減ってきているのを確認、 魔力が減少していると言う事はシールドも弱っていると言う事。

間違いなくアッシュの攻撃は効果的だ。

オーバードライヴを解き息を切らしながらガルを睨むその瞳には決して安心の二文字は無い。

術を解いたのも次の発動までの体力を回復させる為であった。



 「はぁ…はぁはぁ…

 …あ…ぐぐ…」



アッシュは術を使った反動で体力を奪われ過ぎていた。 それは既に普通に立っている事もできない状態であった。

地面に膝をつき粗い息遣いで敵を睨む、 しかし目が言う事を聞かない。何度も試すが片目が勝手に粒ってしまう。

しかしもう片方の目でしっかりと様子を確認している。

さらに手足が痺れ身体を動かそうにもうまくコントロールする事もできないでいた。

煙は次第に落ち着いていきガルが倒れているのを確認した。

息を整えながら構えようとするアッシュだがやはり身体をコントロールできない。



 「はぁ……はぁ…」


 「な、 なんだ……い、 今の技は……」


 (う、 嘘やろ!?

 あいつまだ生きてる…)


 「はぁ…はぁ…はぁ。 …は…はは、 フュリン、 喋らないんじゃなかったのか」



しばらくするとガルの身体が白い光に包まれた。



 「さ、 さ…させる…かぁぁぁ!!!!」



既にアッシュの身体はこの時点で限界だったが、 今ガルに回復を許すともう自分には勝ち目が無いものだと悟り、 必死で阻止しようと走り出す。

しかしガルの元へ辿り着くどころか数歩先で倒れてしまった。



 「く…くく…く…そ」


 (アッシュ!!)



ガルの腕や足、 傷を負った部分が元通りになっていく。 そして驚く事に身につけていた黒いローブまでもが綺麗に修復されていっている。

しかし相当のダメージのせいなのか回復速度が少し落ちていた。



 「油断したとは言え6大魔導であるこの俺に冷や汗をかかせるとは…。


 くく…くっくっく、 面白いじゃないかぁ!!!」



まだ完全に回復していないとはいえ今のアッシュなら充分だと考えたガルはある程度のところで回復をやめアッシュに襲いかかって来たのだった。

アッシュは必死で構えようと力を入れるが今の彼に間に合うはずはなかった。

ガルの強烈な蹴りがアッシュの顔面に炸裂する。



 「あ…がっ……うぐぐ…」



そしてその勢いで蹴り上げられたアッシュ。

ガルは跳び上がってアッシュの背後まで来ると両手を思い切り振り下ろし叩き落とした。



 「そぉぉらぁぁっ!!」


 「ぐあぁぁ!!!」



アッシュが地面にぶつかり亀裂が走る。 数秒してガルも着地すると何やら力を込めて全身を輝かせ始めた。

物凄い高密度の魔力が両手へと集束していく。



 「や、 やばい…すす…ス…パ…スペ…ルだ…」


 「はぁ…はぁ…。

 まさかこいつを使う事になるとはな…」


 (ア、 アッシュワープドアで逃げるんや!!)


 「…だ…駄目だ。

 この大陸そのものがなくなる…ワ…ワープドアで例えこの場所から離れても無駄な…んだよ……」


 「カルステ・ル・セタ・アメイ・ビスト・ラー・アーメイド」



ガルの詠唱が始まった。

あんなに快晴だった空がガルの叫びと共に曇りだした。

彼の足元の地面が割れ岩や石などが空へと昇っていく。

そしてガルを中心に取り巻く風が空の岩や石を砂へと変えていく。



 「く、 く…そ」



懸命に力を振り絞り立ち上がったアッシュは最後の賭けに出た。



 (アッシュ何する気やー!!)


 「俺の…せ、 生命力を魔力に変えて…オーバードライヴでス、 スーパースペルを……」


 (あ、 あんたそんな事したら自分がどうなるかわかってんのんか!?)


 「どのみちあれを撃たせたらおしまいだ……ディルウィンクエイスも全て消えてしまう。



 あいつはスーパースペルのシールドをか、 解除…したんだ……もうこの手しか…方法は……


お…お前を巻き添えにしてごめんな…フュリン…」


 (アッシュ……)



すると深く深呼吸をして息を整えると自分の命を魔力に変え始めた。



 「…はぁ…はぁ…命を魔力に変えて最後の抵抗か…?

 くっくっく……いいだろう…待ってやる」















−ディルウィンクエイス−

 医務室






無事に医務室に着いたジェノはリルティを預けると、 再びアッシュの元へ向かおうと作戦会議室にいるマーディン達の元へ向かっていた。

そして現在の状況リルティの状態などを一通り話し終えるジェノ。



 「マスター!! いますぐ救出命令を」


 「…ディックとクレイドは私と来て下さい。

 ティナはリルティをお願いします」


 「わかりました」


 「ジェノも医務室で治療を」


 「…………」



ティナがジェノの顔を覗き込んだ。



 「ジェノ?」


 「…りょうかい」


 「ディック、 クレイド、 準備はよろしいですね?」


 「はい。 マスター」


 「いつでもいいですよ!!」


 「恐らくアッシュは敵と戦闘してる最中です。 私は敵の方を、 貴方達はアッシュの救出、 そして直ちに撤退してください」


 『了解ッ!』



マーディンとディック、 クレイドはワープドアでアッシュの元へと向かった。













−医務室−




リルティの姿を見るとティナも医療士達と共に治療に励んだ。

そして軽傷で済んだジェノは治療を終えると一人イマジンルームに来ていた。



 「(俺様の……俺様の力はこんなものだったのか……?

 必死で修業してこの様か?)」



イマジンルームの部屋の前はリルティの事で騒がしく人が行き来しているが彼にはその話し声や足音も聞こえてはいなかった。



 「(リルのスペル技術は急激に成長している……スプラッシュ、 クイックフェザーどれもクラスCでは使い熟せないスペルが一つや二つじゃねぇ…あいつのスペルで俺様は助けられた事もあった…。


そしてアッシュ…。

 俺様はてめぇと同じ…いやそれ以上修行に修行を重ねてきた…。

 てめぇが休んでる間も俺様は死に物狂いで訓練してきたんだ。


 なのになんでだ…? なんでてめぇにあの攻撃を見切れる力があるんだ…? 俺様の努力が足りねぇのか…?

 俺様…はここまでなのか…… )」















 「お…オォォバァァドライヴー!!!」



全身にスパークを帯びたアッシュのオーラが青から赤へと変わっていく。



 「うぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」



 「先程の術か…くっくっく…面白い!!


 ファブ・ノ・ヴィス・ラスタ・ア・ラメルク

 第三獄門の番人ハシュクよ。 我が魂をもって今解き放たん」



 「アドーラ・バ・シール・ラム・ア・デルス

ドラアドーレア・ラァム・アデールシス

第六天界の守護者レミアルよ 我が魂の導きに答え給え」



アッシュは空へと浮かび上がり身体を縮込めながら詠唱を続けている。



 「蒸発しろ!!

 ギルヴァザードォォォ!!」



ガルの両手から放たれた黒く濁った光線はアッシュへと向かう。

その途中で二つの光は太い一つの線となり合わさった。



「アデルヴァァァストラム!!!」



身体を広げると無数の光の矢がガル目掛けて飛んで行った。

アッシュのスペルはガルのスペルを避けて直接本体へと飛んでいく。

そしてお互いのスペルがそれぞれ命中、 激しい大爆発を起こした。


ガルのスーパースペルはシールドを解除している為にアッシュは自らのシールドを広げ被害を最小限にしていた。



今アッシュ達がいるここは周りが滝で囲まれた円錐状の島の様な所。

ワープドアを繋いでエルフの世界ラミュンダから出て来たあの大木の前である。

それが2人の凄まじい爆発で地形が変わり大木はおろか島までもが消滅していた。

アッシュとガルはまだスペルを放ち続けている。



 「ぎぎぎ…ダメだ…力が…」



オーバードライヴが解除された。 それと同時にスーパースペルを保つだけの力も失われ始めていく。



 (アッシュの体力がもう限界に近い…このままやったら……もう…)


 「ぐぐ…ぬぅ…や、 やるな…。

 まさか…お前がスーパースペルを使えるとは…な…だが残念だったな。

 そらぁぁぁ!!!!」



ガルはさらに放っているスペルに魔力を上乗せして追い詰めようとしている。

 アッシュは必死で堪えているものの、 オーバードライヴが解除された為、 広範囲に展開したシールドが少しずつ縮まっていっている。

 それに比例して身体に異変が生じ始め両腕に激痛が走り出す。



 「ぐぐ…ぐぐ…あ…あぁ」


 (…これしかアッシュを救う方法は…ない…でもこれを使ったらアタイは……。

 …!? 何をためらってんねん! アッシュが死ぬかも知らんこの時にどっちが必要か考えたらわかるやろ!! アタイのあほマヌケ〜!!!


 よ、 よし…。

 アッシュ! 今助けたるからなぁ!!!)


 「フュリン、 …何を」



すると身体が光り輝き始めた。

傷が癒えて体力・魔力共に力がみなぎってくるのを感じた。



 「俺のオーブとフュリンのオーブが1つに合わさった……のか……?

 す、 すごい…オーバードライヴしてないのに同等の魔力を感じる」


 「ど、 どうなってる…?

 アッシュの魔力が下がったと思ったらまた急激に上がった…そんな馬鹿な…」


 (…せ…成功や)


 「フュリン、 何やったんだ?」


 (アタイのオーブはあんたのオーブに吸収されて1つになったんや。

 これでめちゃめちゃ潜在魔力が上がったやろ。

 ……じゃあがんばりやアッシュ……)


 「フュリン?、 どうした? …おいっ! くそ!!」



フュリンの声は消えて行った。





 「フュリン、 ありがとな……」



瞳を閉じて気持ちの整理をつけるとアッシュの瞳に再び闘志が戻って来た。

シールドを広げガルのスペルを身体事包み込んだ。


 「な、 なに!!?

 あんな遠い距離からここまでシールドが……し、 信じられん…お、 お、 俺の…スペルが……」



アッシュが展開したシールドは二人を包み込むまでに広がっていた。

ガルのスペルはシールドに吸収されている。

今のガルは無駄に魔力を捨てている状態である。



 「はぁぁぁ…!」



そしてアッシュは力を込めるとガルのスペルを消し去った。

辺りに静けさが戻った。



 「スペルを…、 俺の…スペルをシールドで消しやがった……」



ゆっくりと力を抜いて地面に着地するアッシュ。

さっきまでとはまさに形勢逆転の状態。

しかしアッシュは気を緩めなかった。



 「はぁ…はぁはぁ…ど…うした…何故回復しない……」


 「ガルって言ったかお前、 何しに来たんだ?」


 「……く…そ…俺が…6…大魔…導のこの…俺がこんな…ザコ…に」


 「…6大魔導って何なんだよ」


 「……俺…が…この俺が…こんな…」


 「答えろよ! 何なんだよ!!」


 「この…俺…が…



…お前……みたい…な










…レ、 試作レプリカ…なんかに……」










 「……今…何て……

 おい! 今何て言ったんだ!?」


 「……ふふ…ふ…」


 「答えろ!!」



しかしガルは息絶えていた。



 「俺が…レプリカだって……!!?」




ガルの身体は灰となり風と舞い踊りそして消え去った。

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