表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ETERNAL SAGA  作者: 紫音
14/73

episode 13 エレメンツとして…

エピソード13完成しました。

ETERNAL SAGAもおかげさまで3000アクセスを超えました!!  ご愛読されてるみなさまには心から感謝しています。

本当にどうもありがとうございます。


あとランキングも1位をなんとか維持しております。

これもみなさまの清き一票があってこそ!!


引き続きETERNAL SAGAをよろしくお願いします。

では・・・どうぞ!!

 

「アッシュ!! ディック、 止めなくていいの!?

 1人で向かって行ったのよ!!? なんで止めないの!!!?」



ディックは目線を落とし少し笑むとティナにこう言った。


 「ティナ、 あいつは俺達が知ってるあいつじゃもうねぇんだ。


 ついさっき俺達もコピー野郎と戦っててよ、 そん時のあいつのパワー、 魔力、 

 そんで戦い方を見て思ったんだ・・・


 




 あいつ、 ようやく【エレメンツ】になったんだなってな・・・・・・






 

 そりゃ今は候補生だけどよ、 もう俺達が手を差し伸べなくてもいいぐらい

 あいつは成長したんだ」



 「・・・ディック」


ディックが戦っているアッシュを穏やかな表情で見つめている。

その顔を見たティナはもう一度アッシュの姿を瞳に入れる。

そこには帝国兵にやられていたかつての彼は映っていなかった。


 「(そうね・・・あれから必死で頑張ってすごい成長したもんね・・)」


ティナも強い視線をアッシュに送った。


まっすぐノアに向かって行くアッシュ、 振りかぶってパンチを放った。

ノアの顔面に命中した右の拳を瞬時に切り返し裏拳を繰り出す。 

その衝撃で体が仰け反ると今度は左で腹を殴った。 


 「ぐはっ・・・・う・・くっ・・」


後ろに数歩下がるノア、 足音は不規則なリズムを刻む。 

そして口元にはうっすらと血が滲み出している。

それを確認してもう一度とどめの一撃を打ち放ったアッシュだったが、 

突然目の前に影が現れた。



 「!!!!?」


その正体はディアナだった。

ノアに向けて放った拳はディアナによって受け止められた。

そして伸びた腕を掴んで勢いよく回される。 その流れでアッシュは地面に叩きつけられた。

尻もちをついたところにディアナの蹴りがすくいあげるようにして飛んでくる。

回避する事を捨てて防御を選んだアッシュはシールドを強化して攻撃に備えた。

思った以上の衝撃にアッシュの体は地面を滑っていく。

その途中でスペルの詠昌を始め、 そのままの体勢で電撃スパークボルトを放つ

アッシュなのだが・・・・・・


 「あれ? ・・・なんで発動しないんだ??」



アッシュの行動にはっと気づきティナが声を張り上げた。

両手を口に当てアッシュに届かせる。 


 「アッシューーー!! 空に浮かんでるあの丸いやつを何とかしないとスペルの類は

 使えないわよーーーー!!!!!!」



 「? 何だってーーー!?」



ティナは空に指を何度も向けてアッシュに伝える。


 「上・・? ・・・・・・あの球体が関係しているのか・・・?」


 「無駄だ、 破壊どころか触れる事もできない。 あれを消せる方法は1つだけ・・・

 私があれに送る魔力を絶つ事・・・私を・・・殺す事だ・・・」

 


 「ディアナ、 こいつはおいら1人でやる!

 さっきのお返しをしてあげるよアッシュ・バーナム!!」


ノアが前に出てきてアッシュの元へ向かおうとするが、 その腕を掴んでノアを止める。  


 「駄目だ。 このまま戦闘を続けると我々の計画に支障をきたす。 

 ここは一度・・・撤退だ」


 「撤退だって!? 冗談だろディアナ、 おいらはまだ負けてないんだ!!

 離してくれよ!! ディアナ!!!」 


ノアは振り払おうと掴まれた腕を振り回すがディアナの手は一向に離れない。


 「・・忘れたのか? 我々は戦いに来たんじゃない。 お前は私だけじゃなく

 上の命令も無視すると言うのか!? それでもお前がこのまま戦いを続けるならば

 好きにするがいい・・・だがもし【アーディル】奪還に失敗したらその時点で

 お前はハウスから破門、 追放だ」


 「!!!?・・・・・・わかったよ」


アッシュ達に背を向けて普通に立ち去る2人。 ディルウィンクエイスのエレメンツ達の性質を知っていなければこんな真似はできない。


 「ま、 まて! ・・そうはさせない・・・!!」


それを阻止しようとアッシュがノア達を追いかけようと向かって行くのだが・・・



 「アッシュ! 追わなくていい!!」


アッシュはディックの方を一度見ると再びノア達の方を振り向く。 

しかし目の前にノア達の姿はすでに無かった。 


 「何で止めたんだよディック!! このままあいつらを行かせてもいいのか!?

 何か企んでるんだぞ!!?」


 「だから泳がせておくんだよ! あいつらはまた現れる・・・必ずなっ!!」


アッシュは右手を握り拳に変えてそれを見つめながらディックに話す。


 「あのノアって奴だけなら何とか倒せてたかも知れ無かったのに・・・」


 「いいか? アッシュ、 エレメンツは・・・・・・特に【ディルウィンクエイス】

 のエレメンツなら戦いだけじゃなく他の事にももっと目を向けないとだめだ。

 ただ戦って倒しゃぁいいってもんじゃねぇ・・・周りを見てみろ・・・」


アッシュは周りに目を向けた。 

少し離れた所で傷ついたリルティがジェノやクレイドと話している

そして今は何とか動けるがさっきまで瀕死の状態であったティナがゆっくりとリルティ達の

元へと歩いて行く様子がアッシュの両眼りょうまなこがしっかりと捉えた。


 「あのまま戦ってもし援軍でも呼ばれたらあいつらはどうなる!?

 敵は2人とは限らねぇんだぞ?」


 「あ・・・あぁ、 そう・・だな・・・」


アッシュは記憶の中にある無数の扉の中から1つの扉を開けた。

扉の向こうは炎で埋め尽くされた赤い景色が広がっている。

声が聞こえてくる。 子供の泣き叫ぶ声、 家が崩れて下敷きになった村人が助けを呼ぶ手

その村の悲劇を・・・目の前で炎に包まれた村人の姿を2人に重ねた。

自分がした行動でもしかしたらあの2人も同じ目に遭ってたかも知れない。

そう思うと胸が苦しくなって身体が震えだした。


 「(何が『死なせない』だ・・・それどころかもう少しで・・・俺は・・・)」


 「そんな落ち込むなって! 最悪の事態にはならなかったんだからよ

 だが次は気をつけろよ!!」 


 「でもすぐにまた襲って来るんだろ!?」


 「襲ってくるのは間違いねぇがすぐじゃねぇ。

 あいつらが一時的だが撤退するって事はしばらくは襲って来ねぇって事だ。

 その間に俺達は万全ベストな状態にもっていかなければならないんだ」



そう話しながらアッシュ達もジェノとリルティの元へ向かった。


 「リルティ・・大丈夫か?」


 「大丈夫だよ!! アッシュこそ大丈夫?」


 「あ、 ああ・・・俺はどこも負傷してないから」


 「ディックとクレイドはあの2人を見てすでに気づいてるかも知れないけど

 一応あいつらの事をアッシュ達に言っておくわね」


 「あぁわかった。 じゃあ俺とクレイドはこの事を先にマスターに報告しておくか」


 「だがティナ、 さっきの疲労がまだ全快してないんだろ?

 私が代わってもいいが・・・」


 「ありがと! でもいいわ、 それに座って休憩ついでに話す様なもんだから」


 「・・・無理するんじゃねぇぞ・・・」


ディックとクレイドはマスターの元へ向かった。







 「・・・・・・で、

 あいつらの事だけどもう3人ともすでに知ってると思うけどあいつらは

 エルフと言う種族なの」


 「あぁ、 知ってるぜ」


 「俺もディックから聞いた」


 「エルフは元々好戦的ではなく争いを好まないけど、 ・・・そうね・・・

 みんなクラスA級ばかりの戦闘力を持ってるって考えた方がいいわ!」


 「クラスA級!!!!? 嘘だろ!?」


 「何言ってんの、 あんたさっき2人と戦って気付かなかったの? 

 ディアナってエルフ、 あんたとやり合う前にあたしと戦ってるのよ!?

 あれだけの戦闘を重ねても息1つ切らしていなかったでしょ!?」


 「!!? ・・・あぁ、 そういえばそうだった・・・」


 「ノアにしてもそう・・・スタミナは切れていたみたいだけどアッシュ・ジェノ・ディック

 クレイドとリルティ、 そしてあたしの6人のコピーを連続で作り出した驚異の魔力・・・

 影術をあれだけ連発して使ってそのあとあたし達と戦うって人間じゃまずできない事

 なんだから!! シャドウコピーを一回使うのにどれだけの魔力を消耗するかわかる?」


 『・・・・・・』



 「影術なんてエルフにしてみたら朝飯前、 

 ノアやディアナみたいなのがまだまだいるんだから・・・」


 「しつも〜ん! エルフは【好戦的じゃなく争いを好まない】って言いましたけどぉ、 

 あの2人ディルウィンクエイスに潜入してまで何かしようとしてたじゃないですかぁ

 候補生1人・・・殺し・・ちゃったし・・・」




 「リルティ、 あたしが言ったのは【普通】のエルフはって事!」




 「? それってどうゆう・・・?」





 「あの2人は【レッドエルフ】と言うエルフなの。

 普通のエルフと違ってより戦闘向きと言った方がいいかしら・・・

 

 あんた達エルザード国のハウス【マナフォビッド】は知ってるでしょ?」


 「それって、 前にロゼが言ってた名前だよな?」


 「よく覚えてるわねー、 そうよ世界にエレメンツのハウスは小さいのから大きいのまで

 数多くあるけどあたし達の・・・

 バリオンの【ディルウィンクエイス】

 グランベルクの【レヴィナード】 【アストルーラ】

 そしてエルザードの【マナフォビッド】は4大ハウスと呼ばれていて

 所属数、 戦闘力が他とはずば抜けてる所からそう呼ばれてるんだけど・・・

 理由はそれだけじゃないの・・・まぁそれは今は関係ないから言わないわね


 そのマナフォビッドは所属しているエレメンツ全員エルフなのよ・・・

 さっきも言ったけどレッドエルフのあの2人も恐らくそこのエレメンツのはずだわ・・・」


 「でもあいつら何しに来たんだ・・・?」


 「あいつら計画がどうとか言ってたな」


急に口を開いたジェノに一斉に視線を向けるアッシュ リルティそしてティナ。


 「・・・・・・何だよ」


 「あんたそんな離れててよくこっちの会話が聞き取れるわねー

 情報収集の才能あるかもしれないわよジェノ」


 「違いますよティナさん! あいつはただの盗聴マニアですよ・・・!!」


ジェノに聞こえるようにティナに小声で打ち明けるリルティ。

横目でジェノを見ながら2人はくすくすと笑いを零す。


 「・・・殺すぞ・・・!」





 「な、 なぁ【途中マニュラ】ってど・・どういう事だよ・・・」


さらに火がついて笑い転げる2人。 ティナは口に手を当てて噴き出すのを我慢している。

リルティは腹を抱えたり地面を叩いたりと忙しく動きを見せる、 そしてあのジェノも少し口

が緩むがその姿を見られたくないのか後ろを向いてしまった。

笑いの虫が腹からいなくなるとようやくティナが話を戻す

 

 「とにかく、 あいつらが何を企んでいてどんな計画を持っていようと

 あたし達はそれを阻止しないとダメって事・・わかった?」



 「はい! わかりました!!」




【レッドエルフ】

赤い髪に薄い黄緑の瞳が特徴的のエルフの中でも一番攻撃的な種族だが実は

階級は最も低い。 人間でいえば歩兵クラスと言っても過言ではない。

階級が上がるにつれて能力と共に見た目も変わる。

上の階級に行くほどエルフの耳は尖っていくがそれは豊富な知識や経験、 年齢を重ねる事で

そうなっていくのだ。 つまり耳が長いエルフは階級が高いと言う事なのだ。





 「じゃあマスターの所へ行きましょうか・・・」


アッシュ達はマスタールームへと足を運んだ。














一方そのころ・・・









ディルウィンクエイスから地上に降り立ち近くの森で誰かと通信オーブを用いて

会話しているノアとディアナ。



 「・・はい。 ではまた後ほど・・・」




 「なぁディアナそれでいつ仕掛けるんだ?」


 「とりあえず数日様子を見よう・・・。

 ディルウィンクエイスの人間が油断している時を狙うのだ」


 「・・・おいら達それまでここにいるのかよ」


 「仕方ないだろ。 命令なのだからな」


 「その間にレヴィナードの連中に【アーディル】を奪われたらどうするんだよ!?」

 

 「あいつらなら心配無い。 武術大会の事で忙しい様だからな」


 「おいら達マナフォビッドも出場するんだよな?」


 「あぁ、 だがあくまでもそう言う作戦だ。 その前に我々がなんとしても

 【アーディル】を手に入れなければならないのだ。 

 わかるなノア、 もうさっきのように勝手な行動は許されないぞ。」


 「わ、 わかってるよ〜

 あぁ〜そんでさぁ、 数日っていつなんだよディアナぁ〜」










そして再びアッシュ達へ・・・





 「あー!!!!!」



リルティが大声で叫んだ。 赤く光る何かを拾い上げるとそれを掲げてアッシュ達に見せた。


 「ほらぁ〜見つけたよぉー!!!!!」


 「赤いカード・・・そうか・・・そう言えば今日初任務でそのカードを探す

 任務なんだったな。 すっかり忘れてたよ俺・・」


 「ふんっ・・・それをどうすんだよ? リル」


 「決まってるじゃん〜!! 解読してマスターに持ってくんだよぉー

 あ!! あそこにも何か光ってる・・・・・・・・・ここにも〜」


リルティは楽しそうに残りのカードを拾いに行ってる。 まるで小さな子供がおもちゃで

遊んでるように見えた。 そしてカードは残り一枚となった。



 「あと一枚どこだろう・・・」


 「もしかしてあいつらが開けたあの穴から下へ落ちて行ったんじゃないのか?」


 「俺様はもう行くぞ・・・付き合ってられねぇ」


 「ジェノダメだよぉ!! 忘れたの!? 任務はまだ続いてるんだよ!!?」


任務と言う言葉を口にされるとなぜか足が前に出ない。

仕方なくリルティの元へ戻るジェノ。


 「ったくマジでめんどくせーよてめぇ・・」


 「いいから探してぇ!」


 「どこにあるかあたし知ってるけどー?」


スキャンで探しているリルティの顔を覗き込んだティナ。


 「何でティナさんが知ってるんですか??」


 「当然でしょ? あたしもこの任務やってきたんだから! 伝統任務ってとこかしら〜」


 「・・・言わないで下さいね! あたし達だけで探しますからぁ!」


 「じゃああたしは先にマスターの所へ行ってるわね」


 






 「・・・おい、 なんで教えてもらわなかったんだよてめぇ」


 「あんたね〜任務だって言ったでしょうあたし達が解決しないでどうすんのよぉ!」


2人はリルティの言われるがまま辺りを探しまわった。 

ディルウィンクエイス内にあるのは間違いないのだが下の街の半分はあるこの巨大な島の

中で掌サイズの赤いカードを見つけなければならないと思うとだれてくる。

微量な魔力がそのカードから流れているのだが先程の闘いでスキャンで拾う事もできなくなっていた。 疲れの色が顔から汗と共に滲み出て来ている3人。


 「どこにもないぞ・・・」 


 「おっかしいなぁ〜、 マスター確かに言ったよね6枚って・・・」 


 「ジェノの言うとおりティナに教えてもらった方がよかったんじゃないか?」


 「もぉーアッシュまでぇ〜!!」







 「・・・・あ、 ・・・・・・・・・わかった」




 「えっ? アッシュわかったぁ!!?」


 「(ちっ、 またか・・・)」


 「ティナはちゃんと教えてくれてたんだよ!!」


 「ティナさんがぁ〜? いつ?」



 「ほら! 思い出してみろよ・・・」






ジェノとリルティはティナの会話を思い出してみた。

どんなにきつく絞めあげても一向に答えをくれないジェノとリルティの記憶。

そればかりかリルティはさっきアッシュが言った【途中マニュラ】の言葉を拾い上げ

笑いが込み上げてきたのかくすくすと横を向いて笑っている。


 「てめぇ・・なんで笑ってんだよ・・」


 「え、 あ、 あ〜ごめぇんごめぇん!! (顔に出てたぁ?)」


 「こっちだ」



アッシュが2人を丸い扉の前に連れて来た。



 「ワープドア? なんで?? アッシュ」


 「てめぇまさかこのまま自分家に繋げておやすみとかぬかしたらぶっ飛ばすからな!!」



 「まぁ、 見てろよ・・」



アッシュは念じ始めた、 すると目の前の鉄の扉の中が透明に透けて緩やかな波紋を作った。

その中に手を入れて向こうの場所とこちらを繋いでいるようだ。

そして先にその中へ入って行くアッシュ、 2人もそのあとを追う。

リルティとジェノはお互い顔を見合わせながら入っていった。










 「・・・え? ここって・・・・」



 「てめぇふざけてんのか!!」




リルティとジェノが歪みから出るとそこは屋敷らしきものの玄関に繋がっていた。


 「マスターの・・・屋敷だよ・・ね」


 「あぁ! もうわかっただろ?」


 「・・・・・・・・・あー!!!!!!! わかったあの時だぁ!!!」


 「あの時? ・・・・・・・・・・まさかマスターが持ってたカードの事か?」


 「あぁ! マスタールームで俺達が初めて見たあのカードだよ!!

 あれは6枚の内の1枚だったんだよ!」


 「すごぉぉぉぉい!!!!!! アッシュかっこいい・・・」


リルティは祈るように手を重ねアッシュを見つめている。

そしてマスタールームの扉にやって来た3人。

アッシュが扉のドアノブを回した。


 「(何でだ・・・何でいつも・・・俺様は何でその事に気がつかねぇんだよ!!)」













 「・・・失礼します」







 「ティナから聞きました。 今までカード探し御苦労さまでしたね。

 それで見つかりましたか?」



リルティが一歩前に出てさっきアッシュが解いた謎をまるで自分が解いたかのように

マーディンに話す。 そして6枚目のカードを手に入れる。

3人はすぐに解読することにした。


 「え・・とこれは・・」


 「ルーン文字だな」」


 「・・デウス・・ドレイア・・ガジェス・・レナ・・・ブーレ・・イ・・・

 ここまでしか俺様はわからねぇ」


 「・・ウ―ダ・・・ケイオン・・マグナ・・ディクト・・アシュ・・・ラァム

 アッシュパス」



 「ルビン・・スウォーダ・・・・メタ・・・・・・・」


順調に解読を進める3人。

夢中になって事を運んだためかあっという間に3時間が経過した。



 「・・・祝う・・・・・き・・・みの・・・・」


 「違げぇよ、 そこは・・・おめでとう・・だろ」


 「・・・あそっか・・おめでとう・・・じゃあこの場合、 君じゃなくて君たちだね」



 「・・・なぞ・・・にせい・・こう・・・」


 「謎じゃなくて、 解読じゃねぇのかそれは・・・・」


 「あぁーなるほどなー」


 「な・・まえ・・・がうえに・・・あがる・・・・・・・・・」


 「何言ってんだてめぇ・・・・それは・・・昇格だろ・・・多分な」


2人の間違った言葉をジェノが正しく次々と訳していく。

そしてさらに2時間が経った・・・









 「できたぁ!! 一回読んでみよっかぁ!」






――おめでとう――



貴方達がこれを読んでいると言う事は解読に成功したと言う事。

ここまで協力し、 助け合ってきた事と思います。

今日をもって貴方達3人は候補生を卒業して正式なエレメンツとしてディルウィンクエイスに仕えてもらいます。 つまりクラスCへ昇格した事を意味します。

任務も今までとは違いここを離れる事も少なくはないでしょう。

過酷な任務が貴方達を待っています。 中には途中で挫けてしまう事があるかもしれません。

そんな時は今日の任務を思い出して見て下さい。

そして力を合わせ助け合いながら常に変わりゆく周りの状況を把握し、

今できる最善を尽くす事に努めて下さい。 大丈夫貴方達ならできます。

なぜならすでに貴方達は任務を一つ達成したのですから・・・





 「え? クラスCにしょうかくぅ〜!!!!!!!?」


 「俺達が・・・?」


 「・・まじかそれ・・」



 「ほら〜、 間違いないよぉ〜!!」





 「その通り、 間違いありませんよ。」


マーディンが奥の部屋から出て来た。 


 「外を見て下さい。 もうこんなに暗くなってしまいましたね。 ふふふ

 えーと・・・・・・5時間とちょっとですか・・・これはすごい!

 新記録が出ました」


 「新記録って・・・なんですかぁ?」


 「今までこの任務をしてきて一番最短で解いたんですよ貴方達は」


 「そうなんですかぁ!! やったねアッシュ! ジェノ!」


リルティは2人にハイタッチを要求してる様だ・・・

アッシュは難なくリルティとハイタッチを交わしたのだが・・



 「ジェノぉ〜、 ハイタッチぃ〜」


 「俺様がそんな事できるかー!!! (しかもマスターの前なんかで絶対やるか!!)」


 「んもぅ! こういうのもチームとしてやらないとダメですよねぇマスター」


 「ふふふふ・・・(ジェノ・・貴方も大変ですね)


 貴方達はもう今日からクラスCの正式なエレメンツです。 

 そこでこれを渡しておきます。」




マーディンは黒い小さな手帳を人数分持ってきた。


 「この手帳は正式なエレメンツの証。 これを見せると一部の施設の利用が少し

 リーズナブルに・・・・・・まぁその辺はティナ達に聞いてみて下さい

 それとクラスCに昇格してもメンバーはこのまま3人にほぼ決定です。

 それと次の任務からは給料が出ます。 それもあってリーダーを決めてもらわなければ

 なりません・・・今ここで決めてもらいませんか・・?」






 「はぁい! あたしアッシュが・・・」


 「アッシュがリーダーにふさわしいと思います」


 「!!!? ジェノ!! お前・・」


 「・・・勘違いすんじゃねぇ、 マスター、 アッシュの洞察力それに纏める力は

 俺達二人よりも遥かに優れています。 アッシュが相応しいのではないかと・・・」



 「ジェノ・・・素晴らしいです・・・仲間の能力を把握していると言う事はそれだけ

 自分も戦場で有利に動けると言う事、 この数週間で成長しましたね」



 「・・・・・・ジェノ」




 「さぁ、 もう時間も時間です。 明日も早いですから今日はゆっくりと

 身体を休めてください」



3人は一礼するとマーディンの屋敷を後にした。







ワープドアの前に戻って来た3人。

リルティが口に手を当てながらあくびをしている。

瞳から今日の疲れが水として少しだけ姿を見せた。


 「ふわぁ〜、 なぁ〜んか長い一日だったねぇ〜」


 「あぁ、 そうだな・・さすがに部屋に着いたら爆睡だな確実に」


 「そうやってのんびりと寝てろ・・・」


 「あー!、 ジェノまたトレーニングする気でしょ? ダメだよ身体を休めなさいって

 マスターが言ってたじゃん!」


 「お前、 今からやるのか!?」


 「当り前だ! 今やらなくていつやるんだよバカが・・・」


 「ジェノぉ!!!! 今日もしそんな無茶な事したらマスターにチクるからぁ」



 「・・・・・・」


 「わかったぁ!!?」


 「・・・んだよ・・ほんとてめぇうぜぇよ・・・」


 「うざくてもなんでもいいから絶対やったらダメだからね!!!!」


そして3人は家路についた・・・・・・















―グランベルク城内―






 「ご、 ご報告致します!!」









 「・・・なんだ」



 「ディルウィンクエイスの近くに潜伏していた偵察隊の情報によりますと

 ディルウィンクエイスと何者かが戦闘していた形跡を発見しました!!」


 「・・何者かわからないのか?」


 「・・ですがクラスAのクレイドと思われる人物を確認し、 マテリアルフォースで

 あのイシュメルを召喚した様です。」



 「な、 なんだと!!?

 (それほどの敵と言う事は戦っていた奴はエレメンツと見てまず間違いない)」



 「報告は以上です!!」


 「ご苦労だった・・・下がれ」


 「はっ!」


 





 「(あやつがマテリアルフォースを使う程の敵と言えば我々を除くと一つしかない・・・

 エルザードのマナフォビッドか・・・!!?)」





 「ずいぶんと煙たい顔してるじゃないか・・・シキ」



謁見の間の大扉から入って来た1人の女がゆっくりとシキの元へ歩いてくる。

足音が何重にも重なって辺りに鳴り響く、 それ以外の余計な音は一切聞こえない。

シキは王座のそばで立っているのだが、 その前に数段の階段があり中央にはじゅうたんが

敷かれてある。 そのじゅうたんを踏みしめて階段に片足を乗せた。

シキは近づいてくるその美しい瞳と魅力的な体に目を何度も奪われたが

これはレヴィナードのエレメンツマスター・ロゼ・・・残酷で有名なあのロゼなんだと

自分の頭に何度も暗示の様に繰り返す、 その為少し汗を一滴こめかみから垂らした。



 「な、 何しに来たのだロゼ」


 「何しにって陛下に呼ばれてきたんだよ、 重大な話があるんだろ?

 それが理由にあんたがここにいるんじゃないのか? アストルーラのエレメンツマスター

 そう言えば昔は銀獅子のシキって呼ばれてたんだった」


 「・・・・・・」



すると王座の奥の階段から足音が聞こえて来た。

2人はその音を聞くと片膝を立て跪いた。 



 「ごめん、 待たせたみたいだね」


 『ディウス陛下っ!!』


2人はディウスが王座に座るまで深く頭を下げ続ける。


 「もう話は君達の耳に届いてると思うけど今日は2人に大事な用があって

 来てもらったんだ。 武術大会の準備などで忙しい事はわかってるけどどうしても

 話しておかないとダメなんだよ」



 「陛下・・・それでその話と言うのは・・・」



 「第三のエレメンツハウスを作る事なんだけどマスターはリーベルトにしようと

 思ってるんだよ。 あいつかなり成長してる様だしマスターの素質を十分もってるみた

 いだし・・・実はちょっと前からそう思ってたんだよ・・・だめかな?」



 「ですがそうなると4大エレメンツマスターの認証が必要となります・・・

 我々を除いてディルウィンクエイスとマナフォビッドのマスターを集めリーベルトを

 マスターとして相応しいかどうかを判断してもらわなければなりません。

 今すぐ行わなくても武術大会が終わってからでも遅くはないでしょう」


 「そっか・・・じゃあこの続きは武術大会が終わった後で話そう

 ・・・それであれは完成した? ロゼ」


 「いえ、 もうしばらく時間がかかります。 なんせ遥か昔の技術を復活させないと

 いけませんから、 もう少しだけお時間を・・・」



 「天魔の闘いだっけ? 敗者は勝者に自分のオーブを受け渡すと言うあれだね」


 「いえ陛下、 受け渡すのではなく勝者が奪い取るのです」


 「そうか、 そうだったな!! ふふ、 君は奇麗な顔してるのに出てくる言葉は

 ほんとに残酷だね・・・まぁそこがロゼの好きなところだけどね」 



ディウスが立ち上がるとロゼとシキは再び頭を下げる。


 「じゃあ今日はもういいよ、 武術大会まであれを完成させて」


 「わかりました」



ディウスが後ろの階段を上がり始める。くすくすと笑い声が漏れてくる。

足音が聞こえなくなるまでロゼとシキはお互い何も話さずじっとその声を耳に入れていた・・







お手数ですが・・・

ランキング&評価感想の方をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気に入っていただけた方、よろしければ投票して下さい!!(月1回) [気に入った!!!]
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ