episode 12 危険な2人
エピソード12完成です。
まずタイトルからですが超有名な某アニメを知ってるならどこかで見た事があるかもですが、 どうもこのタイトルがピッタリとフィットしたんです。
意味はティナとリルティの事とノア達の事と二つ含ませています。 内容も頑張って濃い内容を心がけました。 もしかしたら今まで書いてきた中で一番手応えが感じられたのではないでしょうか。。
不発に終わったりして・・・(笑)
「!!? あいつ今何て・・・」
「確か・・死んでるって・・・」
「そうさ! おいらが仕掛けておいた罠に引っ掛かって
今頃はもう死んでるんじゃないかなぁ」
リルティがスキャンで男の魔力の波形を調べている。
「君、 ノア・セレスティだよね?
何で・・・同じ仲間・・候補生を・・・」
「詳しい事は言えないんだよ。 悪いねぇ。
それとついでにもう1つ。」
ノアは指を一本立てて2人に見せる。
「悪いけど君たちもここで死んでもらう。 ふふっ謝ってばっかりだなぁおいら。」
ティナが構え、 リルティも少し下がってスペルの準備を始める。
「ティナ・ウインスレットにリルティ・ブランケットだっけ?
おいらも誤算だったよ。 計算ではみんな出払う予定だったから・・・。」
「誤算・・・? どう言う事よ・・いったい。」
「だから言えないって言ってるじゃないかぁーー。
でも・・・そうだね・・・
ヒントをあげよう・・。
おいらは君たちの・・・・・・敵だよ!!」
話の途中で2人に向かっていくノア、 スライディングでティナの態勢を崩す。
リルティはスペルの詠昌をやめてスライディングしたノアの胸辺りを目がけて
キックを放った・・・が、 ノアはすぐに態勢を整え手をついて上から向かって来ている
リルティに両足を揃えてそれを顔面に入れる。
起き上ったティナは両手に魔力を溜め水色の光を作り出し念じ始めた。
「はぁぁぁぁぁ!!!!!
開け! 我が魔力の扉ー!!
スピアフロストォォォォーー!!!」
そう言って空に向かって連続で12発放つとそのままノアの元へ突っ込んで行った。
「(リモート!!)」
ティナはスペルをコントロールして空に止まらせている。
ノアの攻撃で顔面を蹴られたリルティは地面に倒れようとしていたが手を付き
バク転して受け身を取った。 その間にティナの肘がノアの腹部を捉えていた。
その流れで連続的に回し蹴りを放ちこれもヒットする、
そのフィニッシュとしてバク転の感じで後ろに仰け反って蹴りを放つ。
今度はリルティがスペル発動の魔力を溜めながら飛びひざ蹴りを放ち
その膝が見事にノアの顎を捉える。
少し浮かび上がったノアの脇腹に後ろ回し蹴りを放って吹っ飛ばした。
そして魔力を集め地面に手をついたリルティ
「同時にやるわよ、 リルティ!!」
ティナは両手を空に掲げその手を勢いよく下ろすと空に止まらせておいた12本の氷の槍が
ノアに向かって次々と急降下していく。
「開け!!我が魔力の扉!! スプラァァァッシュ!! いけぇ〜〜〜!!!!!」
手のついた所から水色の線がノアに伸びていく。
2人の上下のはさみうち攻撃、 ノアはまだ起き上がれないでいる。
「くそ〜、 思ってた以上に強いね・・・。
・・・!?」
空から無数の槍がノアに降ってくる事に気づいたノア。
すぐに起き上がると今度は地面が揺れている事に気づく。
リルティから伸びた水色の線がノアを囲うと物凄い勢いで水流が噴出した。
「!!!!? し・・しまっ・・・
たぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
上空に吹き飛ばされたノアを次は無数の槍が襲う。
その氷の槍は皮膚に突き刺さると同時に割れて飛び散った。
地面に落下していくノア。
「やったぁぁ!!!」
「・・・・・・まだよ。 ダメージはくらってるはずだけどあんな攻撃で
やられるような奴じゃない。」
「・・・その通り。」
声の方に振り返るとそこにはノアの姿があった。
リルティは目を丸くしながらもう一度さっきノアが倒れていた場所を確かめる
すると黒煙の跡がうっすらと残っていた。
「ふふふっ、 君たち結構やるね〜! 」
「なんでぇ〜!? さっきあそこにいたはずなのに・・・」
「(あいつ・・・まさか・・・!? )」
「君たちが戦ってたのはおいらの影だよ。 残念だったね〜」
「・・・や、 やっぱりそうだわ・・
今あんたが使ったのは【影術】ね!!」
「えい・・じゅつ?」
【 影術 】
自分の影を操って様々な現象を引き起こす事が出来る
エルフがよく使う術であり人間が使いこなす事はかなり困難を要する。
その理由として人間が使用するにはまず魔力の消費が激しい事と
エルフ語で呪文を詠唱しなければならない事があげられる。
特にエルフ語はかなり複雑でこれを完全に覚えるのには100年かかると言われている。
もちろん全てをマスターしなくてもいいがその場合、 エルフの様に素早く
低コストで扱う事ができない。
カテゴリーとして括るのであれば補助的な位置で普通のスペルの様に攻撃や回復と言った
直接的な効果は得られないが、 影に意志や思考を持たせ盾として使ったりする事が
できる。
【 シャドウコピー 】
相手の魔力をスキャンしてその相手を作り出す影術の代名詞的な術。
魔力次第では相手の能力までそっくりそのままコピーする事も可能だが本物以上に強く
する事はできない。 また弱点としてコピーには影が存在しない事と話す事ができない為
見分ける事は容易にできるが、 自身をコピーした場合は少し特殊で会話する事もできる。
また自身のコピーがダメージを受けるとシンクロして本体にも多少のダメージを受ける事となってしまうが、 逆に回復の場合でも同じ効果が得られる。
「人間が使いこなす事なんてまず無理と言った方がいいわ・・
それだけ難しい術なのよ・・・
・・・でも、 これであんたの正体がバレたわねぇー
エルフくん・・・・」
「・・・さすがはクラスAと言ったところか・・・。
人間もまだ捨てたもんじゃないね・・・。」
「実施試験の成績があまりにも優秀だったんで気になってたら
こう言う事だったのね・・・ディアナもそうなんでしょ?」
「・・・・・・ふふ、 ・・・・・・ほんとするどいなぁ。
でも事実なんだから否定しないけど・・・・。」
「マテリアルフォース使ったのあんたねぇ!」
「あぁー、 それはディアナだよ。 ほんとは使う予定ではなかったんだけど
周りの奴らがおいら達の事を疑い初めて急に襲いかかって来たもんだから
やり合っちゃってね。 それを止めようと騒ぎになる前にディアナが
暴走させたんだよ・・・人間を使って・・。」
「暴走させたって・・・そんな事・・」
「ははっ君たちには無理だろうね!! いや、 できたとしても
そんな事やらないかぁ〜ディルウィンクエイスは【お人好しの警戒人間】で
有名だからねぇ〜。 ふふっもっともその警戒心を利用させてもらったんだけど。」
「いったい何の為にこんな事したんだよぉ・・・」
ノアとの会話のバトルが一通り終わると難しい表情を浮かべるティナを見つける。
「(ノアとディアナ・・・どっかで聞いたような名前・・・。)」
右手の指で唇を摘み、 左の手は軽く肘を支え記憶を探ろうとしているティナ。
「ティナさん?」
「ううん! 何でもない!!」
「・・・どうでもいいけどおいら急いでるんで早く続き始めたいんだけどなぁ。」
頭をかきむしって今の自分の気持ちをしぐさで伝えるノア。
「人間の女って何でこんなに話が長いんだぁ? イライラするなぁ・・
もう一気に終わらせよ!! 少し魔力消費が激しいけど・・・。」
そう言うとノアは両手を拳に変え、 全身に魔力を溜めた。
彼の地面に映る影が足から伸びて自身に重なった。
「ティ、 ティナさん! また影術ですかぁ!?」
「そうみたいね・・・。」
ノアの左右に影の様な黒い靄が現れ人型となっていく。
その影が眩い光を出し、 光が柔らかくなるとなんとその影は
ティナとリルティへと変わっていた。
「う、 うそぉ・・・あたしがもう・・1人・?」
「くっ、 シャドウコピーか・・・!!」
「さぁティナ、 リルティ、 あいつらを殺すんだよ。」
ティナコピーとリルティコピーはノアの前に一歩出ると
2人に向かって同時に突進してきた。
「来るわよ!!」
迫る2体のコピーに構えをとるティナだがコピー達はそのまま無視して
ティナの両端を通り越してしまった。 風が髪を後ろに引っ張る
一瞬、 ティナは思考が止まってしまった。
そしてリルティへと向かって行く事に数秒遅れて気がつく。
「しまった!! 2人がかりで集中攻撃する気だわ!!! 」
この事を予測してなかったのかリルティの構えが緩く解けそうになっていた。
「ま、 まじぃ・・・?」
「リルティー!!」
「ちょ、 ちょちょ・・ちょっと待ってぇ〜 2人で来るなんて聞いてないよぉ〜」
一先ず逃げを選択したリルティ。 後ろを振り返りながら必死で走っている。
「ははっ、 君たちもさっきおいらに2人がかりできたんだから
これでおあいこだよ。 」
ティナが走りながら魔力を両手に集め始めた。
「今、 すぐに行くから!
開け! 我が魔力の扉!! クイックフェザァァァー!!」
光の翼がティナを風に乗せ、 物凄いスピードを出してリルティを拾い上げた。
リルティの腕を掴んだティナは少し距離をおいて着地しようとした。
「リルティ、 大丈夫!? ・・こっちも何か作戦考えないと駄目ね・・」
リルティは掴まれていた腕を解きティナの腕を掴み直して地面に叩きつけた。
その衝撃でスペルのコントロールを失い翼は光となってフラッシュと共に飛び散って消えた。
「あぁぁ!! ・・っつー、 もう! なにするのよ!!」
そうリルティに話しかけとたん、 ティナに殴りかかって来た。
パンチは頬をかすって流れて行った。 その避けている間にティナはリルティの足もとを
見てみた。 すると影がない事に気がついた。
「なるほどね〜。 じゃあ本物のリルティはあっちか・・・
間違えて助けたんだ・・あたし。」
冷汗と共に少しだけ軽く笑みをこぼした後距離を取ってもう一度
足元を見てリルティがコピーだと確認すると向かって行った。
リルティコピーはティナの攻撃にシールドを高め守りに徹している。
ティナが放つ右から来た蹴りを腕で防いだが今度は左から回し蹴りが飛んできた
蹴りの勢いで吹っ飛ばされたリルティ―コピーだがすぐに起き上って
ティナの胸辺りに突きを放つ。
それを左手で弾いて腹にパンチを入れるティナ。
その直撃に腹を両手でかばうリルティコピー
「やっぱりね。 コピーと言っても魔力が動力源だから
あいつの魔力が残り少ないとこいつの能力も低下していくんだわ。
よしいける! これでとどめをさして早く【リルティ】のところへ行かないと。」
そこから数歩離れるとティナは両手を胸の前に持って行き
その手の中心から魔力で青い光を作り出した。
「開け! 我が魔力の扉!!
じゃあね、 そっくりさん・・・
アイスファング!!!!」
叫びながら両手を前に向けると青い光がコピーに向かって行った。
コピーに近づくにつれだんだん大きくなっていく青い光はティナの手の所から
順番に氷へと変わって行った。 やがてリルティコピーの目の前まで来た光は
大きく口を開いた形になってそれを飲み込みかみ砕いた。 その瞬間、 氷は大きな音と共に
辺りに飛び散った。 同時に噛み砕かれたコピーも黒い靄を残して消えた。
それを確認するとティナはすぐにリルティの元へ向かって行った。
「リルティ!!」
駆け付けるとこちらでも戦いが繰り広げられていた。
攻撃の途中で本物のティナを見つけると数回のバク転と宙返りをしてティナの前に着地した。
「もぉなんで偽物を連れてっちゃうんですかぁ〜?」
「ごめんごめん・・・でも片づけちゃったから大丈夫よ!!
それにもう絶対間違わないから!!」
「何か見分ける方法でも見つけたんですかぁ!!?」
「まぁね・・・。」
ティナが説明しようとした時、 ティナコピーがスペルを放ってきた。
「とりあえずここはあたしに任せて!!」
そう言うとコピーに向かって行ったティナ。
ティナ同士の激しい攻防を目の前にしたリルティは息を整え闘いを見守る。
右へ左、 上へと広範囲に飛び回り攻防戦を繰り広げているティナとそのコピー
「はぁはぁはぁ・・・リルティ!! こいつにスペルを撃って!!」
「・・あ、 はい!!」
魔力を右手に集めその手を地面に向けた。
「開け! 我が魔力の扉!!」
そしてその右手をそのまま上にあげると目の前の地面が崩れて砂になり宙に浮かんだ。
「スパイ・・・あ、 あれ?」
スペル詠唱に集中したためどっちが本物かわからなくなってしまったリルティ。
「やばぁ〜、 どっちがコピーだぁ?
ティナさ〜ん!! どっちがティナさん!?」
「リルティ!! こっちよこっちがあたし!!」
戦いながら答えを返すがお互いが動いている為どっちが話しているかわからない。
「リルティ!! 影よ影! 影を見てー!!」
「影?」
そう言いながら2人が戦っている足元に目を向けた。
すると一方に影がない事に気がつく。
「見つけたぁ!! ティナさぁ〜んわかりましたぁ〜」
「いいから早くやってちょうだい!!」
「りょうか〜い!!
スパイクニィィードルー!!!」
手を左から右へ流すと砂が順番に石に変わりそれが針の様な姿に変わる。
そしてコピーに向かって5つの巨大な針が勢いよく飛んで行く。
ティナはスペルが来るのを感知し、 コピーに足払いを掛け転ばせた。
そこに5つの巨大な針が飛び込んでくる。 突き刺さるとそこから黒い靄がうっすら滲む。
残りも体や足、 腕などに突き刺さる。 溶け出して刺さったところから石化していく。
徐々に石に変わっていくティナコピーに近寄って行くリルティ。
「バイバイ、 ティ・ナ・さん! おりゃぁ!!!」
正拳突きで石造と化したティナコピーをバラバラにしてしまったリルティ。
それに少し苦笑するティナ。
「あ、 あんた、 今憎しみこもってたでしょ・・・?」
「憎しみだなんてぇ〜!! 人聞きの悪い事言わないで下さいよぉ〜
ただちょっとだけ美人のティナさんを見てムカッとしただけですってぇ〜」
「それ・・・じゅーぶん憎しみこもってませんか・・・」
2人はノアの元へ向かう。
「(くっそ〜、 こっちに向かう時にすでにコピーを放って魔力を使い過ぎたから
コピー自身の能力が低下していたのか・・)」
「さぁ! あとはこいつだけよ!」
「やばいなぁ・・・」
「魔力がかなり減っちゃってるからもうあの術は使えないねぇ」
「覚悟しなさい!!」
2人が攻撃しようとした時だった。
ノアに向かって行く突然ティナ達の前に火球が飛んできた。
その為足が止まってしまった。 小さな爆風だが視界を遮るには十分だった。
目を両手でかばうティナ達。
「ノア! まだこんな所にいたのか!?」
煙が次第に消えて行き、 そこにはノアともう1人女がいた。
ノアと同じく夕日の様に赤く肩までの長い髪だがその女の髪は
少し川の様に緩やかな曲線を描いていた。
薄い黄緑の瞳でティナ達を睨んでいる。
「助かったよディアナ。」
「ここは私が・・・お前は早く例のものを・・・」
「あいつら結構やるよ? おいらも一緒に戦った方がいいんじゃない?」
「もう時間がない。 早く行け。」
「そうはさせ・・・」
阻止しようとティナが一歩足を踏み出すかというこの瞬間に
ディアナが突進してきた。
ティナがとっさにシールドを張って攻撃に備える。
しかしそうティナが行動してる間に背後に回られて背中に肘を入れられる。
「(は、 早い・・・!)」
次に足払いを掛けてティナが地面に着く前に上に蹴りあげた。
すぐにディアナも飛びティナに素早い連撃を繰り出した、 ティナは成す術もなくその攻撃を
全て許してしまう。 そして最後に両手を振り下ろしティナの背後から地面へ叩き落とした。
空中でティナが落下していく様を見ているディアナ。
「う、 ういてる・・!? あいつ空中に浮いてる!!!?」
地面に落ちると砂埃が舞った。 その様子を見ていたリルティの元へまたもや物凄いスピード
で空から突撃してくるディアナ。
「(なにか・・何かしないと・・攻撃・・防御・・スペル・・・
どうしよ・・・とにかく動かないと・・・・・)」
そうリルティが考えている時間は数えるほども経っていなかった。
気がつくとリルティは蹴り飛ばされた後だった。
かなりの勢いで吹き飛ばされそのスピードは岩に激突して止まった。
リルティはそのまま気を失った。
「リルティー!! くそっ、 やあっ、 はぁっ!!」
ティナがディアナに向かって攻撃を仕掛けた。
その攻撃を冷静に見極め紙一重で全て避けた。 ある程度その状態が続いたがスタミナが
切れ始めたティナに隙ができる。 そこをディアナはひざ蹴りでティナの腹に入れる。
「あ・・ぐ・・。 はあはあはあはあ・・・。
(ぜ、 全然当たらない・・。) 」
少し前かがみになり息を切らしているティナ。
片目を瞑って険しい表情を作り、 いつ仕掛けてくるか必死でディアナから目を離さないように見るものの姿がぼやけたり二重に見えたりして
ちゃんと見る事ですらできない状況にあった。
「(魔力もかなり減ってきている・・・今あたしが使えるステータスアップのスペルは
クイックフェザーだけか・・・。)」
ようやく体力も回復してきたティナは次の行動を読んでいた。
ディアナがスペルを詠唱し始めた。
「(スペル!? させるもんですか!!!)
開け! 我が魔力の扉!! (あたしの方が詠昌速度は早い!!)
クイックフェザー・・・・・・・・・・?」
「サイレントスフィア。」
ディアナは両手を前に出して丸い大きな球体を作り出したそれを空に放った。
ディアナの手から離れると球体は電気を帯びだして紫色に変わった。
そして何も起こる事無くそこに浮かんでいる。
「・・・・何で? 発動しないの!?」
「魔力を表に出すとあの球体が全て吸収する。
お前はスペルを発動する事はできない。」
「・・・・・・くそーっ!!」
何の考えも無くただ向かって行ったティナ。 ディアナは表情一つ変える事は無く冷静に
判断しその攻撃に備える。
ティナは手を前についてかかと落としを繰り出しディアナの左肩を狙う。
全く防ぐ動作も回避する事も無く、 なんとその攻撃をシールドだけで弾いてしまった。
ティナの足は鉄の様な感触を感じそれと同時に突風の様な衝撃で吹き飛ばされた。
すぐにバク宙で受け身をとり地面に手をついて着地したティナ。
「な、 何なの今のは・・・。 それになんて頑丈なシールドなの・・
鋼鉄を蹴ってるみたい・・・。」
その一部始終見ていたノアが口を開いた。
「あはっはっはっは、 ディアナまた強くなったんじゃない?
前よりまた魔力が上がってるみたいだけ・・・」
「ノア! まだいたのか!? 早く行け!!! また計画を危険にさらすのか!?」
「わかったいくよ! そんなに怒らなくてもいいだろ・・・!?」
「どこに行くつもりなのよ!!?」
「お前は知らなくていい・・・どうせ死ぬんだ・・・。」
「あったまきた!!! その無表情の顔を歪ましてあげるわぁ!!」
足に全魔力を集め脚力を上げているティナ。
「無駄だ・・いくらスピードを上げてもそんな微弱の魔力では
たいした効果は得られない。」
「それは・・・どう・・かしらね!!!」
「・・・なに!? どこにそんな魔力が・・・・・・・お前、 正気か?
生命力が急激に減少しているぞ・・どうやら魔力に転換してるようだが。」
「あら、 心配してくれてるの? ちゃんと感情あるじゃない・・・
じゃあそのままじっとしててねーーーーそらぁっ!!!」
ディアナに突進していくティナ足で地面を蹴る時に軽い小さな爆発が起きた。
スピードがかかったティナの回し蹴りがディアナに向かって行く。
先程の様にシールドで防御を取ったディアナ。 しかし弾き返す事はできなかった。
受け止めた瞬間電気の様な痺れが腕に残る。
「ぐぐ・・・ぐぐ、 弾けないか・・。」
「・・・ふふっ、 (捉えたわ!! いける!!)」
そのまましゃがんで足払いをして体制を崩した。 そしてその場で前宙からかかと落としを
繰り出してディアナに当てる。 その勢いで地面に叩きつけた。
ジャンプして空中から片膝をディアナの腹に向けて放つがこの攻撃は避けられた。
両手をついて後方へ回避したディアナ。 ・・・だがティナはもう片方の足で地面を蹴り
そのまま頭突きをくらわした。
「・・・はあはあはあ・・はあはあ・・どう? 少しは効いた・・・?」
「ディアナ!!」
ノアが駆け付ける。
「・・・何でまだいるんだ!!? ここは私に任せろと言った事を聞いてなかったのか!」
むくっと立ち上がりティナを睨みつけながらノアに口を開いている。
「もう・・頭にくるわね・・!! あいつどんだけタフなのよ!!?」
「ノアが戦いが終わらないと行かないと言うのであれば・・・
もうこれを使うしかない。」
すると片手を地面につけ、 念じ始めた。
「セルマート・リアノストラーヴァ
炎界の海より来りて全てを焼き尽くせ・・・
出でよ、 エシュネク!!」
魔方陣が強く光を放ち柱を作る。 そしてディアナの掌から光球を前に向けて放つ。
ある所で止まりその光球が大きく膨張し始めた。 やがて空間に歪みを作ると
その中から炎が勢いよく飛び出してきた。 その炎は二つに分かれると地上に落ちた。
地面に落ちると炎はディアナの前で回転しやがてぶつかった。
その爆発の中から赤い蛇の様なものが姿を現した。 体は炎で常時燃えている。
足は無く地面から少し離れて浮いている。
「ま、 マテリアルフォース・・・!?」
「【紅蓮熱消炎】 焼き尽くせ!!」
ディアナは片手をティナに向けてそう叫んだ。
エシュネクがティナに向かって突っ込んでいく。 地面に2本の炎が線となってエシュネクの
後を追いかける。 大きく口を開けて唸りを上げながら威嚇している。
「や、 やばいわね・・・ほんとに・・死ぬかも・・。」
残りの魔力も尽きようとしていたティナはただ立ち尽くすしかなかった。
「ティナ・ウィンスレット・・・チェックメイト。」
そのままエシュネクの姿が段々と赤く輝きだしティナの手前で一度空に上昇した。
その間も赤々と炎を噴き出していく。 それが原型がわからないほどの輝きに満ちると
急降下でティナに向かって行く。 そしてティナもろとも地面を食い破ってしまった。
辺りに熱風と炎が飛び散る。 エシュネクはそれと共に光となって消えてしまった。
「うっひゃぁぁ!! すごいなぁディアナ!! ディルウィンクエイスの底突きぬけて
下の街が見えちゃったよ!! ははっやっぱりすげぇや!!!」
煙と炎が辺りにまだ先程の余韻を残している。
ディアナはその穴を見てノアにこう言った。
「ノア、 さぁもう行くぞ! もうここのマスターも動いてもおかしくない状況だ!
私の話がどう言う事かわかってるな?」
「あぁ! わかってるよ!! じゃ行くか!」
「それは・・・俺達を倒してからだ!!!」
ノアとディアナが振り返ると煙の隙間から2人の影が揺らいでいた。
煙が薄くなるとそこにはアッシュとディックの姿があった。
なんとそこにはティナの姿もあった。 ディックに肩を借りてノア達を睨んでいる。
ノアが一瞬、 驚きの表情を浮かべたがその表情はすぐに引っ込み代わりにニヤッと
笑みが顔から滲み出て来た。 ティナが生きていた事よりも
アッシュ達の事が気になっているようだ。
「あれー、 まだ死んで無かったんだぁー。 彼女もそうだけど
君達も相当しぶといねぇ」
「アッシュ達だけじゃねぇぜ! クソガキ!!」
今度はアッシュ達とは反対側のところで声がした。 ジェノとクレイド達だ。
ノアとディアナは挟まれた形となっていた。
「(マテリアルフォースで集中力を欠いたせいだろうか・・・
接近が全くわからなかった・・・。)」
「君たちに送っておいたプレゼントはどうやら・・・
気に入ってもらえなかったんだね・・・・。」
ジェノがリルティを見つけると彼女の元へ向かった。
「あ・・れ・・。 あたし気を失ってたんだぁ・・・。」
「てめぇ、 なんでこんなとこで寝てんだよ・・・。 ほら・・。」
不器用にリルティを引張り起こすが顔はノア達に向いている。
「いったぁーい!! もぉ! なんでいつもそう乱暴に引っ張るのよ!!
あたし怪我してんの見てわ・・から・・ない・・・・・の・・?」
ジェノが物凄い強烈にノア達を睨んでいるのが途中で気づき、 戸惑ってしまったリルティ。
「(いつも怒った様な顔してるけど・・・こんなジェノ見たの初めて・・・。)」
アッシュがノア達に少し近寄った。
「よ、 よくも・・よくもティナとリルティをこんな目に・・・・・・」
「心配しなくても今度は君たちがこんな目に合う番だよ。 ははっ
今度は2人で戦うよディアナ!! おいらもおかげで結構回復したしね!
そうだね〜まずはそこの死にかけている彼女からやっちゃおうかディアナ!!」
「ふ・・ざけるな・・!
俺の・・・・前では誰一人として
死なせないっ!!!」
アッシュが1人で2人に突っ込んで行った。