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光円錐の境界を超えて

作者: ユアリーカ

 光の残像のことだよ。そう陽一郎は言うのだった。

 あれさ、えーと、暗いところで、ペンライトを回して、それをシャッタースピードを落としたカメラで撮影すると、ペンライトの軌跡が光の輪となって写るんだ。見たことあるだろう。言ってみれば、あれが世界線だよ。異なる時間を一枚の写真の中に閉じ込めてる。ほら、ペンライトを回すのにも、ほんの一秒か二秒かもしれないけど時間がかかる。短くはあるけれど、その時間のはじまりから終わりまでを、写真の中にとらえているんだ。瞬間瞬間にはただの光の点だったものが、刻一刻と変化する時間の中では線になる。そういうのを世界線っていうのさ。

 私はきっと、目を大きく見開いていたことだろう。なにか胸を躍らせるものが体の内側で楽しく暴れているような心地だった。

 陽一郎は重い安全靴を玄関の三和土のうえにゴトリと脱ぎ捨てると、あついあついと言いながらお風呂場へ入っていった。空梅雨の太陽に燻された乾いた土塊が靴の表面を薄黄色に染めていた。


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