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5話 出航前夜2

  呉基地 食堂 20:00



 「でわ、三佐は艦長とは同期なのですか?」


夕食が終わった食堂の片隅で3人の士官が話す内容は・・・


「そうだな。最初に会った時は、入校式で隣同士になっていたな

変り者が入ったとは聞いていたがまさか隣同士になって今に至るとは」



「その前に、ここにお前がいることが驚きだ。いったいどうしたんだ?」


「聞いてないのか?今日空母機動群が呉に入港することを」


確かに空母機動群が呉に入港することは何日も前にわかっていた。

事実訓練校から出たばかりの人間も知っていたことからもちろん艦長職にいる彼もわかっていたはずだが、重要な命令書や案件以外の書類は副官である森一尉に回しており副官からの報告からもあまり耳を傾けていなかったため同期の真田に会うまではおそらく基地で唯一そのことを知らない人間だった。




「報告はしましたよ艦長 4日前に」


「失礼。 あのときは・・・夕飯について考えていたな酢豚にするか回鍋肉にするかで」


「(聞いてはいないだろうとは思っていたが・・・)」


艦長に振り回される副官の心を読み取ったもう一人の上官が彼に近づき



「かなり苦労しているんだな。アイツは指揮官としての素質は防大でも一・二を争うほどの人間だが時々変なことを考える癖があって教官泣かせの奴だったが任務になると変わるから我慢はしてくれ」


自分より上の人間から謝れると生返事を返すしかない。

そして自分の上官の顔が怖いことを気づき話をすり替える。


「三佐は現在は何に乗機しておられますか?やはりF/Aー18CかDでありますか?」


「話を大きく変えたな。俺が今乗機しているのはF-2Nだ」


「・・・F-2Nでありますか?」


副官が考えているときにずっと黙っていた上官が


「空軍に計画をつぶされた亡霊か」


「それはそうだがもう少し違う言い方をしてくれ。」


「もしかして。海軍主力戦闘機計画のことですか?」



空軍のF-1戦闘機の後継機開発が行われていた時に海軍も次期主力艦上機開発を行おうとしていたが海軍側は新たな航空母艦計画を行っておりその計画で主力艦上戦闘機の計画の遅れが濃厚となり一刻も早くA-4Jの機体変更をしたかった海軍は空軍との共同開発をもちかけ開発費の約3割を海軍側が持つことを条件に開発を行ったが、87年の対日貿易摩擦で苦しんでいたアメリカの政治圧力でアメリカとの共同開発が上がったが空軍側は「それでは、こちらが開発中の計画が倒れる」と反発し悩んだ末海軍の次期主力機をアメリカから存続機を買い付けることでアメリカと合意し当時最新鋭機であったF/Aー18を購入を決定。しかし海軍も反発をし空軍の計画から撤退する予定ではあったが空軍も一定機定数の購入をしないと撤退は認められないと言ったため完成したFー2Nを13機購入しF/A-18もA-4J分を購入するはめになった。その影響で空母建造を先延ばし並びに新造艦の建造を10年近くストップすることになりその時引き渡された13機は「不吉の13」「屈辱の13」とも呼ばれるようになった。




「たしかにいわくつきの機体ではあるがF/A-18よりも対艦・対空戦闘や機動性能は格段に上だぞ」


「それでもたったの13機では話にならんぞ」


「まあまあ・・」


このような話をしている後ろから一人の男性が来て艦長に。


「艦長。出航準備が整いました」


「ごくろう。出航時刻は追って連絡する」


「了解しました」


艦長に敬礼後元来た道を走って戻って行った。


「ずいぶんと遅くに出航だな。なにかあったのか?」


「ちょっと横須賀にいってくるよ」


「そうか、また会えるかもな」


歩く背中にそう言うと


「さて、俺も詰所に戻るか」


そうつぶやくと歩き始めた。


3月23日0:00にあらしおが呉基地から静かに出航した。


目的地である横須賀には0700に到着するように。



F-2NはF-2支援戦闘機の5社案とダッソーラファールがあわさった艦上機と考えてください。

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