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愛を売るので、心をください。  作者: 悠介


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10/13

再会

「緊張するな……。」

「大丈夫だよ、悠にぃ。きっと、お父さん達も喜んでくれるよ。」

「だと良いんだけどな……。」

 正月休みが終わって、成人の日が終わって、学校が始まった次の週の土曜日。

 お父さんとお母さんと綾ちゃんが、今日うちに遊びに来る。

 確かお父さんは飲む人だったな、って思い出して、酒を買いに行って、つまみとご飯を用意して、そわそわしながら待ってる。

 ピンポーン

「あ、誰か来た!僕出てくるね!」

 浩希がインターフォンに反応して、玄関に行く。

「はーい!」

「あら、悠ちゃんの弟ちゃんかしら……?初めまして、春ちゃんのお母さんの澄江よ。」

「父の拓真だ。」

「ホントに弟いたんだ!でも、血は繋がってないんでしょ?あ、私綾!よろしくね!」

「始めまして!にいちゃの弟の浩希だよ!どうぞ入って下さい!」

 玄関の方から声が聞こえて、人が入ってくる。

「お久しぶりです、お父さん、お母さん、綾ちゃん。」

「悠ちゃん……。大きくなったわね、ホントにこの子は……。」

「母さん、泣かないと約束しただろう?悠介と会うのに、笑顔でいたいと。」

「お母さんは涙脆いもんねぇ。」

「そういう綾も泣いているぞ?」

 懐かしい顔、最後にあった時より少し皺が増えた両親と、大きくなった綾ちゃん。

 俺も、泣かないで笑顔で出迎えようと思ってたのに、涙がぽろぽろ零れてくる。

「会いたかった……、ずっと、会いたかった……。」

「私達もだよ、悠介。春が亡くなってから暫く、お前に会うのも辛いと母さんが言っていたんだがな、それが疎遠になるきっかけになってしまって、私達もずっと後悔していたんだ。綾が、結婚に当たって会いたい、出席してほしいと背中を押してくれてな。だから、連絡をくれて、本当にありがとう。」

「お父さん……。俺も、春ちゃんの事をずっと引きずってて、ずっとどうすればいいかわかんなかったんです。でも、もっと早く会っておけば良かった、俺から連絡をすれば良かったんです。でも……。怖くて、出来なかったんです。綾ちゃん、ありがとう。結婚、おめでとうね。」

「お兄ちゃん……。私、お兄ちゃん以外の男はお姉ちゃんに渡さない、ってずっと思ってたの。だから……。私にとっても、お兄ちゃんはお兄ちゃんだよ。お姉ちゃんがいなくなっちゃったからってそれは無しにしちゃいけないって、思ったんだ。」

「子供の前で泣くなんて、母親として駄目ね。……。さ、弟ちゃん達を紹介して頂戴?」

「ありがとう、お母さん。皆、こっち来てくれ。」

 綾ちゃんが、なんやかんやで俺を認めてくれてたっていうのも嬉しいし、ずっと関係性は変わってなかったんだって思うと、安心する。

「長男の悠治です。悠にぃにとっては息子なんですけど、歳が近いから、兄として呼んでます。」

「次男の浩希です!」

「四男になった悠介だよぉ!にいちゃと同じ名前なの!」

「えっと、三男の浩介です!」

「あらあら、可愛い子達ね。澄江おばちゃんの事、これからよろしくね?」

「悠介、どうしてこの子達と共に生活を?施設を出てから何があったか、教えてくれないか?」

 まずはリビングのテーブルに座ってもらって、お父さんに焼酎のグラスを渡して、お母さんと綾ちゃんにはジュースを出して、俺も座る。

 子供達はこたつの方に入って、俺達の話を静かに聞く様子だ。

「高校を卒業して、少し経った頃だったかな。宝くじが当たって、家を買って、大学に進学したんだ。それで、大学三年生の頃に、悠治と出会った。悠治はあの時、腕を酔っぱらった父親に斬られて怪我をしてて、放っておけないと思って、警察に通報したんだ。それで……。そこから、ここら辺の施設がいっぱいいっぱいだっていう話を聞いて、引き取る事を決めたんだ。それで、それから二年後に、浩希と悠介を見つけた。二人は放置子で、真冬の公園にいたんだ。そこを保護して、その頃には育児実績もあったから、引き取る事になったんだ。浩介は、まだ一か月ちょっとしか一緒にいないけど、同じ様な理由だね。」

「……。尻の青い子供だった悠介が、今では父として、兄として、頑張っているという事か。春が知ったら、喜ぶだろうな。覚えているか?春が、悠介に惚れた理由を。あの子はな、悠介の、どんな子でも受け入れて、仲良くなろうとして、守ろうとして、そんな姿に惚れた、と言っていたんだ。春が学校で虐められていた頃に、救ってくれて。私達は何も出来なかった、春が話してくれない事には何も出来ないと思っていた。それを悠介は、出会って数年であの子の心を融かして、救ってくれたんだ。私はね、ずっと感謝しているんだよ。悠介がいなかったら、今頃春は報われていなかっただろうからね。」

「あの頃……。俺は、虐めっていうのが嫌で嫌で仕方が無くて、春ちゃんが虐められてるって聞いて、いてもたってもいられなくて。あの後、春ちゃんが告白してくれた時、戸惑ったよ。施設にいる俺なんかでいいのかって、お父さん達は許してくれるのかって。」

「私達は、春ちゃんを救ってくれた貴方にだったら、春ちゃんを任せられると思ったのよ。きっと、心がとても優しい子なんだって、思っていたしね。それは間違っていなかった、今ここにいる坊や達の笑顔が、その証拠だわ。」

 お父さんは焼酎をちびちび飲みながら、お母さんは子供達を眺めながら、話をしてくれる。

 懐かしい、こんな話をする事はあんまり無かったけど、こうやって話をする事が、懐かしい。

「私さ、お姉ちゃんが虐められてるって、気づかなかったの。それで、お兄ちゃんがいきなり来てさ、お姉ちゃんが恩人だ、恋人だって連れてきたから、びっくりして……。あの頃はごめんなさい、お姉ちゃんが、遠くに行っちゃう気がして……。それで、お兄ちゃんにつんけんした態度取ってたの。」

「綾ちゃんは春ちゃんが大好きだったからね。俺も、春ちゃんが大好きだった。それはもう叶わない縁なのかもしれない、もう結べない想いなのかもしれない。でも、俺はずっと、春ちゃんが大好きだ。子供達の事も、勿論大好きだけどね。だから……。ホントに、結婚おめでとう、綾ちゃん。嬉しいよ、小さかった綾ちゃんが結婚だなんて、まるで自分の事の様に嬉しいよ。」

「私、まだあの頃小学生だったんだよね。次男くんと同じくらいの歳でさ、お姉ちゃんが大好きでさ。お兄ちゃんの事一方的にライバル視してて……。ごめんね、お姉ちゃんの事があった後、お兄ちゃんの顔を見るとお姉ちゃんを思い出しちゃう、っていうの、私もあったんだ。」

「誰も責められない、あれは不慮の事故だったんだから。」

 悠治達は黙って俺達の話を聞いてる、時折浩希と浩介が不思議そうな顔をしてるけど、でも口を挟んでくる様な事もしない。

 俺は、逆だと思ってた。

 俺が、春ちゃんを思い出しちゃうのが辛いからって、皆に会いたがらなかったんだって。

 それが、お母さん達も同じ想いだった、お互いに想いあってた、っていうのは、嬉しい。

「あの小っちゃかった綾ちゃんがもう結婚、だなんて少し寂しいけどね。結婚式、参加させて貰っても良いか?」

「勿論、お兄ちゃんには、見て貰わないと。お姉ちゃんもきっと、そうして欲しいって思ってる。」

 きっと、春ちゃんはそう思ってる。

 それは間違いじゃないと思う、春ちゃんの代わりに、俺に見届けて欲しいんだろう、って。

「さ、おチビちゃん達、澄江おばちゃんとお話しましょ!お父さんは悠ちゃんとお話があるだろうから。」

「私も混ぜてー!」

 そういうと、お母さんと綾ちゃんはこたつの方に行く。

 お父さんはちびちびだけど飲んで少し出来上がってるのか、ほんのりと顔が赤い。

「悠介と家族になるのを、楽しみにしていたんだがな、私も。母さんはもっと楽しみにしていた、綾も色々と言いつつそれは変わらなかっただろう。だから……。悠介が施設を出たと聞いた時、うちに来ないかと提案しようと思ったんだがね。ただ、母さんの憔悴具合が酷くてな、私も春を失った事がショックで、ここまで来てしまった。今でも独りだったのなら、と思ったが、子供がいるのでは話は変わってきてしまうだろう。」

「うん、俺ももう父親、兄として生きていく道を選んだ、それは春ちゃんと一緒にはなれなかったけれど、後悔はしてないよ。」

「漢になったな。あの頃から見込みはあったが、いい男になった。良い父で、良い兄であろうとする、その気概がな。まるで、あの頃から変わらない想いがある様で、思い出すな。あの頃、本当に春は辛かっただろう、それを悠介が救い出してくれなかったら、きっと春は今頃、別の理由で死んでいた、と思う程にな。結局春は、高校卒業を待たずに逝ってしまった訳だが、それでも私達は、悠介に感謝しているよ。」

 思えば、春ちゃんとの出会いは高校一年生の頃、同じクラスになった事が縁の始まりだった。

 中学卒業して、高校入学して、仲良くなって、それで、春ちゃんが高校一年の真ん中くらいから虐めに合う様になって、俺はそれを見ていたくなくて、学校中をひっかきまわして。

 先生からは煙たがられたけど、最終的に警察にお世話になって、虐めの首謀者達が転校、って事で落ち着いて。

 その頃に、春ちゃんに告白されて、付き合いだして、でもまだ施設にいた頃だったし、学校もバイト禁止の高校だったから、デートはもっぱら公園か金の掛からない所か、春ちゃんの家で。

 高校三年になった頃、春ちゃんから結婚を真剣に考えてるって言われて、俺も卒業したら働き始めるし、それも良いのかな、なんて思って。

 でも、春ちゃんは卒業間際、自由登校期間中に、交通事故にあって亡くなった。

「あの頃、春ちゃんがいてくれたから、俺は幸せだったよ。それは今でも思い出すんだ、あの頃の俺は、救っている様で救われてたんだって。今でもそうだよ、子供達がいてくれるから、俺は生きて行っても良いと思える。おっちゃんが言ってた通り、じゃないけどさ、そういう生き方になっちゃった。」

「そうだ、おっちゃん、と言う人には会えたのか?高校卒業したら、会いに行くと言っていただろう?」

「……。俺が高校生の間に、おっちゃんは死んじゃったんだって、近所の人に聞いた。春ちゃんの事があった直後だったから、あれは堪えたよ。それで……。独りで生きていくってなって、自棄を起こしてたんだろうね。生活に必要な分以外、全部宝くじに使ってさ。一等が当たったから、この家を買って、大学に進学して。それで、在学中に悠治に出会って。そんな感じだよ。」

「そうか……。悠介を愛してくれていた人だとは聞いていたからな、私達もいつか一度お会いしたいと思っていたんだが……。……、残念だったな、親の様に慕っていたんだろうに。」

「こればっかりはどうしようもなかった、んだと思うよ。でも、寂しかった。もう二度と、恋人を作らないと思ってたから、おっちゃんまでいなくなっちゃって、寂しかった。」

 春ちゃんがいなくなってしまって、その直後におっちゃんが死んでしまった事を聞いて。

 俺は本当に、あの頃自暴自棄になってたと思う。

 でも、今はそうも言ってられないし、違う。

 子供達がいる、子供達の為にも生きていかなきゃならない。

 前を向いて、一生懸命に足搔いて、春ちゃんやおっちゃんの分まで、生きていかなきゃならないと思ってる。

「悠介……。今からでも、一緒にならないか?子供達も一緒に、で私は構わないぞ?家族になる、それは春が望んだ事で、私達も望んだ事なんだ。悠介を迎えたい、とずっと思っていたんだ。それは、子供がいるからとかそんな事は関係ないんだ、私達は、家族になりたいと願っているんだよ。」

「ありがとう、お父さん。でも……。でも、俺は子供達の為に生きるって決めたから。だから、大丈夫。春ちゃんの事を忘れたわけじゃない、お父さん達と家族になりたくない訳でもない。でも、今の俺には守るべき子達がいる、俺にしか守れない子達がいる。だから、自分の足で歩いて行かないとだ。」

「そうか……。では、見守らせてくれ。私達の方が、順当に進めば先に逝く。しかし、悠介を捨てて生活する、というのは違うと思うんだ。だから、見守らせてくれ。いつか私達が、春に会いに行く時に、嬉しい知らせを持っていける様に。」

「ありがとう、お父さん。きっと、春ちゃんにいい知らせを持っていける様に、頑張るよ。でも、無理はしないでね?もう若くないんだから、無茶もしないでね?」

「言う様になったな、悠介。それだけ、大きくなったという事だろうな。成長を見れなかったのは寂しいが、こうしてまた縁が結べた事を、誇らしく思うよ。悠介は、私達の立派な息子だ。」

 嬉しい、こう言ってくれる人がいる事が、こうして話をしてくれる人がいる事が。

「お父さん達の息子になれて、綾ちゃんのお兄ちゃんになれて、良かった。縁が切れたと思ってたから、またこうして話が出来て良かった。」

「私達もだよ。本当に、悠介が連絡をくれて良かったと思っている。綾の結婚式には、親族として出てくれるか?」

「勿論。お父さん、泣いてるね。」

「……。悲しい、そして嬉しい、誇らしい。色々と、感情が湧き上がってくるんだよ。春が生きていてくれたら、こうして酒を飲んで話すのが、当たり前だったのかもしれない、とな。」

 お父さんは泣いてる、俺も泣いてる。

 それは、悲しいからじゃない、嬉しいからだ。

 勿論、春ちゃんを失った傷が完全に消えた訳じゃない、まだ心に残ってはいる。

 でも、それ以上に、今こうして話が出来る事が、綾ちゃんの結婚が、嬉しくて。


「じゃあ、悠ちゃんって呼ばれてるのね?じゃあ、悠ちゃんの呼び方を変えないといけないわね。いつまでもちゃんなんてつけてたら、子ども扱いだと思われてしまいそうだし。」

「澄江さんは、悠にぃの事好きなんですね。でもわかるなぁ、僕も、悠にぃ大好きですもん。」

「こうして子供が出来ている、とは思わなかったけれど、こう可愛い子が集まっているとは想像も出来なかったわよ?みんな、可愛いわね。おばちゃん、嬉しいわぁ。」

「お兄ちゃんって呼んでるんだもんね、じゃあ私、お姉ちゃんって呼んでもらおうかな?もちろん、君達が良ければ、だけどね。」

 澄江と綾は、浩介達と話をしながら、悠介がどんな人生を送ってきたのか、と考えていた。

 子供がいる、というのももちろん知らなかったし、お兄ちゃんと呼ばれている事も知らなかった、そして四人も子供を引き取って生活しているとは、とてもではないが想像は出来なかった。

「お姉ちゃんって呼んで良いの?じゃあお姉ちゃん!結婚ってなあに?」

「浩くん、ありがとう。結婚っていうのはね、好きな人と一緒になって、一緒に生活して、子供を産んで、育んで。そういう人を、見つける為にするんだよ。ホントは、お兄ちゃんとお姉ちゃんがするはずだったんだけど、お姉ちゃんが事故で死んじゃってさ。私は結婚するつもりは無かったんだけど、そんな私でも良いって言ってくれる人がいたんだ。」

「僕達はまだ子供だから、結婚とかって縁がないけど、そのうちするのかなぁ……。でも、悠にぃはしてほしいって思ってるんだろうな、きっと、素敵な人が見つかるから、って言ってたし。お姉ちゃんのお姉さんは、どんな人だったの?」

「私から見たお姉ちゃんか……。そうだね、凛々しくて、優しくて、愛情が深くて、強い人ってイメージだったなぁ。まだ小学生だったんだけど、大好きだったよ。お兄ちゃんにとられる!って思って、反抗的な態度取ったりね。」

「綾ちゃんは、ホントに春ちゃんにべったりだったものねぇ。でも、悠ちゃん……、悠介が来てから、少し変わったわよね?お兄ちゃんになら、お姉ちゃんをあげてもいい、って言ってたじゃない?」

 懐かしい記憶だ、悠介が来て最初の方は、姉である春を取られると思っていて、悠介につっけんどんな態度を取っていた綾だが、次第に悠介を認めていって、態度が軟化していって、そして結婚を認めた、その直後に春は死んでしまった。

 澄江からしても、結婚を許した二人が離れ離れになってしまって、娘は死んでしまった、事故の加害者を恨んだ所で何も解決しない、誰に責任を負わせた所で心は晴れない、と暫くは憔悴していた。

 しかし今は、こうやって悠介と会う事を覚悟し、連絡先を書いたはがきを出し、こうして会うに至った。

 それは悠介がアクションを起こしたからというのもあるが、澄江が連絡先を書かなかったら、そもそも連絡はしなかっただろう。

 綾が結婚式に出て欲しいと願った、それもあるだろうが、一番覚悟が必要だったのは、間違いなく澄江だ。

「あれ、お兄ちゃん、泣いてるね。」

「にいちゃも、お父さんも泣いてるね。」

「男の人っていうのは、不器用だからねぇ。ああやって、酒を飲んで話をして、初めて感情が表に出てくるのよ。お父さんだって、ずっと悲しかったと思うの。ただ、私達にはそれを見せたくなかった、私が辛い顔をしていたから、それを支えようとしてくれていたのよね。」

 拓真が泣いている姿、というのを、澄江は久しぶりに見た。

 それは、春が結婚すると悠介と話をして、高校を卒業したら家を出ていく、と話した時以来だ。

 ずっと、澄江を支えよう、綾の父であろうとしていた拓真は、久しぶりに泣く事を許されているのだろう。

「にいちゃ、悲しいのかなぁ。」

「ううん、きっと、パパもお兄ちゃんも、嬉しいんだと思うよ。きっと、お姉ちゃんが傍にいてくれてたから、それがわかって、嬉しいんだと思う。ねぇおチビちゃん達、みんなも、私の結婚式出てくれない?」

「僕達も?」

「うん。お兄ちゃんが一緒に暮らしてる兄弟って事は、私にとっても弟だと思うのよ。お姉ちゃんの結婚、見届けてくれない?」

「僕達は良いんだけど……。新郎さんは大丈夫なの?」

「今になって弟が増えた、なんて言ったら驚くかもしれないけど、きっと受け入れてくれるよ。だって、とっても優しいから。良太っていうんだけどね?良太はとても優しい子だから、きっとみんなの事も受け入れてくれる、そんな気がするの。」

 悠治が新郎の事を気にするが、綾はそれを気にしていない様子だ。

 新郎の良太には、悠介の事は話していた、それを快く了承してくれた良太なら、きっと悠治達の事も受け入れてくれるのではないか、と思っていた。

「今聞いてみよっか。ちょっと待ってね……。」

「ねえちゃ、お電話?」

「そうだよ?あ、もしもし良太?あのね、今お兄ちゃんの所にいるんだけどさ。あのね、弟っていうか、お兄ちゃんの所の子供達も、結婚式に参列して欲しいなって思うの。駄目かな?」

 綾が電話しているうちは黙っていよう、と悠治達は暫し沈黙する。

 澄江は良太がなんと返してくるか、というのが大体想像がついているのか、平然とした顔をしていたが、悠治は何処か不安げな顔をしていた。

「うん、四人。私の方の席で、小学生三人と中学生一人。……。ありがとう、わがままばっかり言ってごめんね。……。大丈夫だって、良太の方のご両親には、良太から説明してくれるって。」

「僕達結婚式行くの?楽しみ!」

「結婚式ってどんななんだろぉ?」

 まだ結婚式に参加した事のない悠介と浩希、浩介は、結婚式というのがどういった場なのかを想像している。

 悠治は親戚の結婚式に一度出た事がある為、なんとなく想像はついていた。

「良太君、優しいわねぇ。皆、綾ちゃんの事、お祝いしてくれるかしら?」

「僕達は全然大丈夫ですよ。テーブルマナーだけ復習しておかないと……。皆、お行儀良くするんだよ?」

「はーい!」

「うん!」

 テーブルマナーと、結婚式のマナーを再確認しなければ、と悠治は考え、後は悠介がどういうか、と言った所だろう。

「悠介ちゃん、この子達を結婚式に招待したいのだけれど、お兄ちゃんとしてはどうかしら?」

「ん……。そうだね、綾ちゃんが誘ってくれてるのなら、行くのが筋ってもんだと思う。是非、皆で参加させて貰うよ。」

「ありがとう、お兄ちゃん。」

「さ、今日は帰りましょう。可愛い子達にも、楽しみにしてもらえるってわかったし、悠介ちゃんにも会えたしね。お父さん、大丈夫?」

「む……。大丈夫だ。悠介、本当にありがとう。」

 暫く話をしていたが、今日はお暇の時間の様だ。

 また会える、と約束をして、三人は帰っていった。

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