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「お前なんかいらない」と追放された令嬢、知らぬ間に禁じられし古代術で次々国を救ってしまう件

作者:sixi
公爵家の長女リリアーナは、魔力こそが貴族の力とされる国で育ってきた。
成人の儀で魔力量を計測したところ、結果は「測定不能」。
測定器は沈黙し、数字はゼロを指した。

「平民以下の恥さらし」「公爵家の面汚し」
婚約者には蔑まれ、父や兄からは冷たく追放を言い渡される。

唯一、幼い頃から世話をしてくれたメイドのミーナだけが、黙って荷物をまとめ、一緒に屋敷を去った。

二人は辺境の小国へ向かい、小さな村に住み始める。
貴族の名も出さず、静かに暮らすつもりだった。

けれど、リリアーナが幼い頃から自然と扱っていたのは、魔力量に頼らず世界そのものに触れる古代の「調律術」だった。
植物に触れれば瞬く間に病を祓い、動物や人間の体を撫でれば深い癒やしを与える。
村の井戸にそっと手を当てただけで、干上がりかけていた水脈が蘇る。

「不思議だねえ、リリアーナさんが触れると、全部が生き返るみたいだ」
「……私、本当は何もしていないんですよ?」

そう言いながら、当の本人はそれを大したことだと思っていない。
だがその力は、長年村を苦しめていた瘴気を一晩で払い、疫病を静め、やがて隣国の侵略軍ですら撤退に追い込む大きな流れを生む。

いつの間にか村だけでなく国を救い、噂は周辺諸国にまで広がった。

「どうか我が国に来てほしい」「姫としてお迎えしたい」

大国からの使節が続々と訪れ、かつて追放した家族や、婚約を破棄した元婚約者までが泣きついてくる。

「リリアーナ……我が家に戻ってきてくれ」
「やり直そう、君を手放したのは間違いだった」

「……もう遅いです。私はここで、自分を受け入れてくれる人たちと生きると決めましたから」

自分を必要としてくれる村の仲間と、新たな国の人々のために。
リリアーナは、自分が持つ“未知の力”を、初めて自分の意志で使うことを決める。
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